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第二章
ブラウンの処分について 4
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フィル王子の言う通り、この話し合いの決定権を握るのはダミアン陛下ではない。この場に居る全員だ。
多数決の原理に基づき、この話し合いは進められる。
そう国の法律で定まっているからだ。国王の力を持ってしても法律には敵いませんからね。
今まではダミアン陛下に睨まれるのが嫌で貴族達はみんな適当にダミアン陛下の意見に合わせてきたが、今回はそうはいかないだろう。
「私はフィル王子の意見に賛成致します」
「私もです」
「私もフィル王子の提案が一番よろしいかと」
一人でもフィル王子の提案に賛成の意を唱えれば、『私も私も』と次々と賛成者が増えていく。
賛成者はたちまち半数以上に膨れ上がった。
ダミアン陛下は予想外の展開に唖然とする。
「なっ、なな....何故だ!?何故、そんな馬鹿げた提案に賛成するのだ!?」
確かにこれはかなり馬鹿げた提案だ。
だが、ダミアン陛下の提案だって十分馬鹿げている。
これだけのことをしておきながら、王位継承権剥奪と謹慎処分だけなんて普通ではあり得ないのだから。
「おっ、お前達っ!今すぐ賛成を取り消せ!これは命令だ!!」
ダミアン陛下は忘れてしまったのでしょうか?
この場に置いて、王命を始めとする命令は無効とされることを。
公平な話し合いの場を設けるためにここ“最上級会議室”が作られた。この部屋のなかでは権力や地位は無効とされる。この部屋の中では国王も貴族も平民も平等ということだ。
まあ、いつもはこの部屋本来の力が発揮されることはないが。
いつもは国王に睨まれるのが嫌で国王の意見に適当に頷いているだけですからね。
だが、今回は違う。
やっと、この部屋本来の力が発揮されるのだ。
「何故、誰も私の言うことを聞かないのだ!?王命だぞ!?」
「父上、お忘れですか?ここは最上級会議室。王命すらも無効化してしまう特別な空間なのですよ」
「っ....!!」
この顔は完全に忘れていましたね。
目を見開いて固まるダミアン陛下にはもはや王としての貫禄の欠片もない。
まあ、この部屋本来の力が発揮されるのは極稀ですから、忘れてしまうのも無理ないでしょう。
フィル王子は勝利を確信し、笑みを深めた。
ニヤリと口端を吊り上げるそれは見る人によっては悪魔の微笑みに思えることだろう。
「父上が放心状態なので代わりに私が進行を務めさせて頂きます。第三王子ブラウンの一連の騒動の責任を父親であるダミアン陛下が取り、退位することに異論がある方はいらっしゃいますか?」
皆、顔を見合わせるとフルフルと首を横に振った。
ここで異論を唱える勇者も馬鹿も居ませんよ。
次期国王たるフィル王子に睨まれたくはありませんから。
ダミアン陛下だけは何か言いたげな目をしていたが、何を言えば良いのか分からないのか口をパクパクさせているだけだった。
「では、第三王子ブラウンの一連の騒動の責任は父、ダミアンが取るものとし責任をとる体で退位することに決定致しました。これにて、話し合いを終了させて頂きます。お忙しい中、参加頂きありがとうございました。帰る前に書類にサインすることをお忘れなきようお願い致します」
フィル王子の進行のもと話し合いは無事終了。
もっと時間がかかると思っていましたが、思いの外早く終わって助かりました。
フィル王子は慣れたようにささっと書類を作成すると、出入り口付近にある腰くらいの高さの棚の上にそれを置いた。
この書類にサインすることによって、『自分は話し合いで決定したことについて異論はありません』という証明になるのだ。
絶望に打ちひしがれているダミアン陛下を尻目に私達は席から立つとゾロゾロと書類の前に並んだ。
これから忙しくなりそうですね....。
ダミアン陛下の生前退位にフェンガロフォス国への対応とディアナ様への正式な謝罪、フィル王子の国王への就任手続き及び就任パーティーの開催....やることは山積みだ。
ヘクターに当主の座を譲る前に最後の大仕事と行きましょうか。
多数決の原理に基づき、この話し合いは進められる。
そう国の法律で定まっているからだ。国王の力を持ってしても法律には敵いませんからね。
今まではダミアン陛下に睨まれるのが嫌で貴族達はみんな適当にダミアン陛下の意見に合わせてきたが、今回はそうはいかないだろう。
「私はフィル王子の意見に賛成致します」
「私もです」
「私もフィル王子の提案が一番よろしいかと」
一人でもフィル王子の提案に賛成の意を唱えれば、『私も私も』と次々と賛成者が増えていく。
賛成者はたちまち半数以上に膨れ上がった。
ダミアン陛下は予想外の展開に唖然とする。
「なっ、なな....何故だ!?何故、そんな馬鹿げた提案に賛成するのだ!?」
確かにこれはかなり馬鹿げた提案だ。
だが、ダミアン陛下の提案だって十分馬鹿げている。
これだけのことをしておきながら、王位継承権剥奪と謹慎処分だけなんて普通ではあり得ないのだから。
「おっ、お前達っ!今すぐ賛成を取り消せ!これは命令だ!!」
ダミアン陛下は忘れてしまったのでしょうか?
この場に置いて、王命を始めとする命令は無効とされることを。
公平な話し合いの場を設けるためにここ“最上級会議室”が作られた。この部屋のなかでは権力や地位は無効とされる。この部屋の中では国王も貴族も平民も平等ということだ。
まあ、いつもはこの部屋本来の力が発揮されることはないが。
いつもは国王に睨まれるのが嫌で国王の意見に適当に頷いているだけですからね。
だが、今回は違う。
やっと、この部屋本来の力が発揮されるのだ。
「何故、誰も私の言うことを聞かないのだ!?王命だぞ!?」
「父上、お忘れですか?ここは最上級会議室。王命すらも無効化してしまう特別な空間なのですよ」
「っ....!!」
この顔は完全に忘れていましたね。
目を見開いて固まるダミアン陛下にはもはや王としての貫禄の欠片もない。
まあ、この部屋本来の力が発揮されるのは極稀ですから、忘れてしまうのも無理ないでしょう。
フィル王子は勝利を確信し、笑みを深めた。
ニヤリと口端を吊り上げるそれは見る人によっては悪魔の微笑みに思えることだろう。
「父上が放心状態なので代わりに私が進行を務めさせて頂きます。第三王子ブラウンの一連の騒動の責任を父親であるダミアン陛下が取り、退位することに異論がある方はいらっしゃいますか?」
皆、顔を見合わせるとフルフルと首を横に振った。
ここで異論を唱える勇者も馬鹿も居ませんよ。
次期国王たるフィル王子に睨まれたくはありませんから。
ダミアン陛下だけは何か言いたげな目をしていたが、何を言えば良いのか分からないのか口をパクパクさせているだけだった。
「では、第三王子ブラウンの一連の騒動の責任は父、ダミアンが取るものとし責任をとる体で退位することに決定致しました。これにて、話し合いを終了させて頂きます。お忙しい中、参加頂きありがとうございました。帰る前に書類にサインすることをお忘れなきようお願い致します」
フィル王子の進行のもと話し合いは無事終了。
もっと時間がかかると思っていましたが、思いの外早く終わって助かりました。
フィル王子は慣れたようにささっと書類を作成すると、出入り口付近にある腰くらいの高さの棚の上にそれを置いた。
この書類にサインすることによって、『自分は話し合いで決定したことについて異論はありません』という証明になるのだ。
絶望に打ちひしがれているダミアン陛下を尻目に私達は席から立つとゾロゾロと書類の前に並んだ。
これから忙しくなりそうですね....。
ダミアン陛下の生前退位にフェンガロフォス国への対応とディアナ様への正式な謝罪、フィル王子の国王への就任手続き及び就任パーティーの開催....やることは山積みだ。
ヘクターに当主の座を譲る前に最後の大仕事と行きましょうか。
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