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第二章
その九
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こちらに猛スピードで迫ってくる人間達は恐怖でしかない。
目が本気だ!!
腕の心配なんかしてる場合じゃねぇ!逃げねぇーと!
さすがにあの人数の人間に迫られては揉みくちゃにされてしまう。
面倒事は御免だ!
烏天狗はバサッと二対の翼を広げると、空高くへ舞い上がる。
空にいれば安全だろ....。
ほっとするも、烏天狗は何か違和感を感じた。
「なんか、いつもより重い....?」
「女性に向かって、その言葉は禁句よ。それより、早く逃げましょ」
「......ああっ!?」
な、何でこいつがっ....!?
実はこの女───夏樹はずっと烏天狗の腕を掴んでいたため、一緒に空へ舞い上がってしまったのだ。
....腕に感覚がなかったから、気づけなかった。
つーか、なに平然と付いて来てんだよ。
「な、ななななな、夏樹お嬢様が浮いてる!?」
「い、一体どういうこと!?」
「俺達は夢でも見てるのか...!?」
烏天狗の姿が見えない彼らからすれば、夏樹が独りでに宙に浮いているようにしか見えない。
夏樹のポーズ的に何かに捕まっているように見えなくもないが、パニックに陥った彼らがそれに気づくことはなかった。
くっそ....!面倒なことに巻き込まれた!
さすがの烏天狗もこの高さから夏樹を振り落とす気はないため、この状況をどう打破するか考え込んでいる。
一度地上に降りて、この女を下ろすか?
でも、現状でそれをやれば下に居る人間どもに揉みくちゃにされかねない。
だからと言って、偉いとこの娘を誘拐っつーのはなぁ....。
「早く逃げましょ!」
「お前に指図される覚えはねぇーよ。つか、降りろ」
「嫌よ!捕まりたくないもの!あっ、でも貴方が友達になってくれるなら降りてもいいわ」
また友達かよ....。
こいつはどんだけ友達が欲しいんだか...。
大体友達なんて作ろうと思って作るもんじゃねぇーだろ。
烏天狗の言い分は尤もだが、友達居ない歴=年齢の夏樹には友達の作り方なんて分からない。
とりあえず、形だけでもお友達になってしまえば私のものよ!友情や信頼なんて後から付いてくるものだもの!
友情や信頼を得てから友達認定する烏天狗とは真逆の考えである。
どちらの考えも間違ってはいないが、正解でもない気がした。
「.....っだー!もー!分かったよ!友達になってやる!だから、降りやがれ!」
「うふふっ。良かった。明日から毎日私の屋敷に遊びに来てね」
「あっ....?って、おい!?何やって!?」
夏樹は落ちないよう必死に掴んでいた烏天狗の腕をパッと離し、急降下していった。
お、おい!?俺は確かに『降りろ』とは言ったが、こんな高さから降りろとは一言も...!
少し高度を下げてから降ろすつもりだった烏天狗は大パニックである。
人は脆い....打ち所が悪ければ死んでしまう!
焦る烏天狗は猛スピードで降下しながら夏樹の方へ腕を伸ばすが、彼女はそれをにっこり笑って振り払った。
まさか、こいつ死ぬつもりなんじゃ....!?
振り払われた腕をもう一度夏樹の方へ伸ばすが、烏天狗の手は空を切る。
チッ!!このままじゃ、間に合わなっ...!
烏天狗がグッと奥歯を噛み締めた同時にバフッという音と歓声が広がった。
「ああ、もう!心配しましたよ、夏樹お嬢様!」
「上手く広げた風呂敷に落ちてくれて良かったです!」
「ご無事で何よりでした!」
どうやら、下にいた人間達が大きな風呂敷を広げ、端の方を皆で持って落ちてきた夏樹の体を受け止めたらしい。
夏樹はそれを知っていたため、烏天狗の手を振り払ったのだ。
別に自殺願望があった訳じゃない。
うふふっ。烏さんったら、焦っちゃって...ふふっ!
何を勘違いしたのか知らないけれど、あの必死な顔は面白かったわ。
風呂敷の上で一人ほくそ笑む夏樹は周りの者達に落下した衝撃で頭が可笑しくなったのか、と本気で心配されていた。
対する烏天狗はまんまと騙されたとばかりに眉を潜める。
別に夏樹は烏天狗のことを騙すつもりはなかったが、結果的にそうなってしまっただけだ。
ったく!下に風呂敷広げてあんなら、先に言えよな!いきなり飛び降りるから柄にもなく焦ったじゃねぇーか!
根は優しい烏天狗は騙されたことに腹を立てながらも、無事で良かったと安堵する。
目の前で死なれでもしたら、目覚め悪いからな。
ったく....とんだお転婆娘が居たもんだ。
あんなのが俺の友達かと思うと、先が思いやられるぜ....
烏天狗はニコニコ笑う夏樹を一瞥すると、今度こそこの場を飛び去っていった。
ちなみに夏樹に掴まれていた腕が感覚を取り戻すまで半日は掛かったというのは余談である。
目が本気だ!!
腕の心配なんかしてる場合じゃねぇ!逃げねぇーと!
さすがにあの人数の人間に迫られては揉みくちゃにされてしまう。
面倒事は御免だ!
烏天狗はバサッと二対の翼を広げると、空高くへ舞い上がる。
空にいれば安全だろ....。
ほっとするも、烏天狗は何か違和感を感じた。
「なんか、いつもより重い....?」
「女性に向かって、その言葉は禁句よ。それより、早く逃げましょ」
「......ああっ!?」
な、何でこいつがっ....!?
実はこの女───夏樹はずっと烏天狗の腕を掴んでいたため、一緒に空へ舞い上がってしまったのだ。
....腕に感覚がなかったから、気づけなかった。
つーか、なに平然と付いて来てんだよ。
「な、ななななな、夏樹お嬢様が浮いてる!?」
「い、一体どういうこと!?」
「俺達は夢でも見てるのか...!?」
烏天狗の姿が見えない彼らからすれば、夏樹が独りでに宙に浮いているようにしか見えない。
夏樹のポーズ的に何かに捕まっているように見えなくもないが、パニックに陥った彼らがそれに気づくことはなかった。
くっそ....!面倒なことに巻き込まれた!
さすがの烏天狗もこの高さから夏樹を振り落とす気はないため、この状況をどう打破するか考え込んでいる。
一度地上に降りて、この女を下ろすか?
でも、現状でそれをやれば下に居る人間どもに揉みくちゃにされかねない。
だからと言って、偉いとこの娘を誘拐っつーのはなぁ....。
「早く逃げましょ!」
「お前に指図される覚えはねぇーよ。つか、降りろ」
「嫌よ!捕まりたくないもの!あっ、でも貴方が友達になってくれるなら降りてもいいわ」
また友達かよ....。
こいつはどんだけ友達が欲しいんだか...。
大体友達なんて作ろうと思って作るもんじゃねぇーだろ。
烏天狗の言い分は尤もだが、友達居ない歴=年齢の夏樹には友達の作り方なんて分からない。
とりあえず、形だけでもお友達になってしまえば私のものよ!友情や信頼なんて後から付いてくるものだもの!
友情や信頼を得てから友達認定する烏天狗とは真逆の考えである。
どちらの考えも間違ってはいないが、正解でもない気がした。
「.....っだー!もー!分かったよ!友達になってやる!だから、降りやがれ!」
「うふふっ。良かった。明日から毎日私の屋敷に遊びに来てね」
「あっ....?って、おい!?何やって!?」
夏樹は落ちないよう必死に掴んでいた烏天狗の腕をパッと離し、急降下していった。
お、おい!?俺は確かに『降りろ』とは言ったが、こんな高さから降りろとは一言も...!
少し高度を下げてから降ろすつもりだった烏天狗は大パニックである。
人は脆い....打ち所が悪ければ死んでしまう!
焦る烏天狗は猛スピードで降下しながら夏樹の方へ腕を伸ばすが、彼女はそれをにっこり笑って振り払った。
まさか、こいつ死ぬつもりなんじゃ....!?
振り払われた腕をもう一度夏樹の方へ伸ばすが、烏天狗の手は空を切る。
チッ!!このままじゃ、間に合わなっ...!
烏天狗がグッと奥歯を噛み締めた同時にバフッという音と歓声が広がった。
「ああ、もう!心配しましたよ、夏樹お嬢様!」
「上手く広げた風呂敷に落ちてくれて良かったです!」
「ご無事で何よりでした!」
どうやら、下にいた人間達が大きな風呂敷を広げ、端の方を皆で持って落ちてきた夏樹の体を受け止めたらしい。
夏樹はそれを知っていたため、烏天狗の手を振り払ったのだ。
別に自殺願望があった訳じゃない。
うふふっ。烏さんったら、焦っちゃって...ふふっ!
何を勘違いしたのか知らないけれど、あの必死な顔は面白かったわ。
風呂敷の上で一人ほくそ笑む夏樹は周りの者達に落下した衝撃で頭が可笑しくなったのか、と本気で心配されていた。
対する烏天狗はまんまと騙されたとばかりに眉を潜める。
別に夏樹は烏天狗のことを騙すつもりはなかったが、結果的にそうなってしまっただけだ。
ったく!下に風呂敷広げてあんなら、先に言えよな!いきなり飛び降りるから柄にもなく焦ったじゃねぇーか!
根は優しい烏天狗は騙されたことに腹を立てながらも、無事で良かったと安堵する。
目の前で死なれでもしたら、目覚め悪いからな。
ったく....とんだお転婆娘が居たもんだ。
あんなのが俺の友達かと思うと、先が思いやられるぜ....
烏天狗はニコニコ笑う夏樹を一瞥すると、今度こそこの場を飛び去っていった。
ちなみに夏樹に掴まれていた腕が感覚を取り戻すまで半日は掛かったというのは余談である。
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