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本編
接触《ニコラス side》
バハルの出産から一週間が経過した頃、僕はゴミを掃除するため、ある人物とレストランで食事をしていた。
その『ある人物』とは────ソフィア嬢の婚約者である、ジェフリー・サミュエル・クライン第二王子だ。
彼と接触した理由はもちろん、ソフィア嬢の浮気を告発するため。
当初の予定では、もっと早く接触する筈だったのだが、ジュリアの出産が重なって大幅に予定がズレたのだ。
ハッキリ言って、浮気の告発より、ジュリアの体調管理の方が重要だからね。
安産だったとはいえ、産後まもないジュリアを一人にする訳にはいかなかった。
屋敷で僕の帰りを待つ愛しい女神の姿を思い浮かべながら、ワイングラスに手を伸ばす。
すると、タイミングを見計らったようにジェフリー王子が口を開いた。
「お前の方から、食事に誘ってくるなんて、どういう風の吹き回しだ?俺に何か用があったんじゃないのか?」
メインディッシュに差し掛かっても、なかなか本題に入らない僕に痺れを切らしたのか、ジロリとこちらを睨み付けてくる。
駆け引きも何も無いストレートな言葉に、僕は思わず苦笑を浮かべた。
良くも悪くも、素直な方だ。腹黒い第一王子とは大違い……正反対と言ってもいい。
あんな女に簡単に引っ掛かったのも、納得が行く。
ナプキンで口元を拭うフリをし、緩んだ口元を隠す。
そして、一度表情を引き締めてから、オパールの瞳を見つめ返した。
「ええ、実はジェフリー王子にソフィア嬢のことについて、ご相談……というか、お話ししたいことがあり、お呼び立てした次第です」
「フィアについて、話したいことだと……?」
「はい」
僕がソフィア嬢にしつこく言い寄られていた男だからか、ジェフリー王子は怪訝そうな顔をする。
野良猫のように警戒心を剥き出しにする彼に、僕は内心溜め息を零した。
僕にはもう心に決めた女性が居るから、わざわざ他人の婚約者を奪ったりしないよ。
まあ、たとえ心に決めた女性が居なくても、あの女は御免だけど……どんなに外見が優れていても、ワガママで非常識な女って嫌いなんだよね。
『天使』と持て囃される愚鈍な女を思い出す度、心が冷え切っていく。
“氷の貴公子”の名に恥じない無表情を浮かべた僕は冷めた目でジェフリー王子を見つめた。
「ジェフリー王子、単刀直入に言います。ソフィア嬢は────浮気をしています。それも複数人の男性と」
その『ある人物』とは────ソフィア嬢の婚約者である、ジェフリー・サミュエル・クライン第二王子だ。
彼と接触した理由はもちろん、ソフィア嬢の浮気を告発するため。
当初の予定では、もっと早く接触する筈だったのだが、ジュリアの出産が重なって大幅に予定がズレたのだ。
ハッキリ言って、浮気の告発より、ジュリアの体調管理の方が重要だからね。
安産だったとはいえ、産後まもないジュリアを一人にする訳にはいかなかった。
屋敷で僕の帰りを待つ愛しい女神の姿を思い浮かべながら、ワイングラスに手を伸ばす。
すると、タイミングを見計らったようにジェフリー王子が口を開いた。
「お前の方から、食事に誘ってくるなんて、どういう風の吹き回しだ?俺に何か用があったんじゃないのか?」
メインディッシュに差し掛かっても、なかなか本題に入らない僕に痺れを切らしたのか、ジロリとこちらを睨み付けてくる。
駆け引きも何も無いストレートな言葉に、僕は思わず苦笑を浮かべた。
良くも悪くも、素直な方だ。腹黒い第一王子とは大違い……正反対と言ってもいい。
あんな女に簡単に引っ掛かったのも、納得が行く。
ナプキンで口元を拭うフリをし、緩んだ口元を隠す。
そして、一度表情を引き締めてから、オパールの瞳を見つめ返した。
「ええ、実はジェフリー王子にソフィア嬢のことについて、ご相談……というか、お話ししたいことがあり、お呼び立てした次第です」
「フィアについて、話したいことだと……?」
「はい」
僕がソフィア嬢にしつこく言い寄られていた男だからか、ジェフリー王子は怪訝そうな顔をする。
野良猫のように警戒心を剥き出しにする彼に、僕は内心溜め息を零した。
僕にはもう心に決めた女性が居るから、わざわざ他人の婚約者を奪ったりしないよ。
まあ、たとえ心に決めた女性が居なくても、あの女は御免だけど……どんなに外見が優れていても、ワガママで非常識な女って嫌いなんだよね。
『天使』と持て囃される愚鈍な女を思い出す度、心が冷え切っていく。
“氷の貴公子”の名に恥じない無表情を浮かべた僕は冷めた目でジェフリー王子を見つめた。
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