107 / 237
還元作戦/越神伴奏ベーゼンドルファー
還元作戦
しおりを挟む
還元作戦。
塩と虹の地獄と化した地上を、元の姿に戻す為の作戦。作戦総司令は現・人界王たる『黒』と名乗る青年。
作戦の概要はこう。まず、前ヘヴンズバースト中心地にヴェンデッタ1号機を投下する。
ヴェンデッタ1号機が、ヘヴンズバースト時に自らの魔力機関から生成したアークレイコアを、『翼』の根本にある旧ヴェンデッタ2号機アークレイコアと同期させ、再び反転現象を起こして虹の大地を『浄化』する。
ただそれだけなのだが、そのためになぜ私や第0機動小隊の者がこの作戦に投入されるのか。
それは、かつてヴェンデッタ2号機と同化してヘヴンズバーストを引き起こした紺色の液体状のスライム———の如き形状を持った謎の生命体『標的A』の存在が確認されたからだ。
再度ソレが現れて、ヴェンデッタ2号機との同化現象を阻止するために、そのために投入された戦力が私たちなのだ。
……そして、そのための新機体。そのための、私の機体なのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『前ヘヴンズバースト発生中心地、到達。これより本艦は、ヴェンデッタ1号機の投入を行う。
第0機動小隊、近衛騎士部隊各員は、発生中心地付近のに不審なものがないかを確認せよ』
ああして話している———先程も、作戦発動の合図を送ったのもこの男性の声だが、この声の主は『黒』という青年だ。
年齢、出身地———その全てが不詳にも関わらず、生前の王がその後釜を託した人物。
故にその黒が、今は人界軍および人間界の実質的な指導者、つまりは『人界王』となっていると言うわけだ。
『ヴェンデッタ、投入開始!……同時に、周辺状況の観察も開始しろ!……魔力探知式レーダーの異常は、いかなる些細なものであっても報告するんだ!』
前ヘヴンズバースト中心地———私たちが今乗っている艦を超える大きさを誇る、そこから生えている翼を横目に、元々私の機体だったヴェンデッタ1号機は降下してゆく。
スラスターを、一定の出力で吹かしながら。そのどこまでも揺れることのない機械的な動作は、よりソレが遠隔補助操作されたモノだと言う事実を助長させるばかり。
……が、変化はなし。ヴェンデッタ1号機がどこまで降りて行こうと、魔力探知式のレーダーに示されたものは何もなかった。
『こちらオペレーター。2秒後、ヴェンデッタ1号機がアークレイスフィアに接地します』
アークレイスフィア。
ヘヴンズバーストの跡地に、地面に埋め込まれるように突如として出現した青い球体。
その中には、間違いなくヴェンデッタ2号機と思しきシルエットが浮かんでいた。
未だヴェンデッタ2号機は未帰還だが、ヴェンデッタ2号機に乗っていたパイロットのケイ・チェインズと同伴者のリコ・プランクは、あの球体の側に放置された状態で発見されたと言う。
人界軍の研究者、ブドゥー博士によると、どうもあの青い球体は、ヴェンデッタの素体———アークレイのコアとも言えるものが結晶球体化した姿らしい。
だからこそあのコアと、ヴェンデッタ1号機のコアを同期させ、こちら側に引き戻す。
すると、反転現象の残るこの地が再び反転———つまりは裏返しの裏返し、元の姿に戻ると言う推察構想『エンジェルビースト構想』から成った作戦が、元の姿に還元する作戦こと『還元作戦』なのだ。
塩と虹の地獄と化した地上を、元の姿に戻す為の作戦。作戦総司令は現・人界王たる『黒』と名乗る青年。
作戦の概要はこう。まず、前ヘヴンズバースト中心地にヴェンデッタ1号機を投下する。
ヴェンデッタ1号機が、ヘヴンズバースト時に自らの魔力機関から生成したアークレイコアを、『翼』の根本にある旧ヴェンデッタ2号機アークレイコアと同期させ、再び反転現象を起こして虹の大地を『浄化』する。
ただそれだけなのだが、そのためになぜ私や第0機動小隊の者がこの作戦に投入されるのか。
それは、かつてヴェンデッタ2号機と同化してヘヴンズバーストを引き起こした紺色の液体状のスライム———の如き形状を持った謎の生命体『標的A』の存在が確認されたからだ。
再度ソレが現れて、ヴェンデッタ2号機との同化現象を阻止するために、そのために投入された戦力が私たちなのだ。
……そして、そのための新機体。そのための、私の機体なのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『前ヘヴンズバースト発生中心地、到達。これより本艦は、ヴェンデッタ1号機の投入を行う。
第0機動小隊、近衛騎士部隊各員は、発生中心地付近のに不審なものがないかを確認せよ』
ああして話している———先程も、作戦発動の合図を送ったのもこの男性の声だが、この声の主は『黒』という青年だ。
年齢、出身地———その全てが不詳にも関わらず、生前の王がその後釜を託した人物。
故にその黒が、今は人界軍および人間界の実質的な指導者、つまりは『人界王』となっていると言うわけだ。
『ヴェンデッタ、投入開始!……同時に、周辺状況の観察も開始しろ!……魔力探知式レーダーの異常は、いかなる些細なものであっても報告するんだ!』
前ヘヴンズバースト中心地———私たちが今乗っている艦を超える大きさを誇る、そこから生えている翼を横目に、元々私の機体だったヴェンデッタ1号機は降下してゆく。
スラスターを、一定の出力で吹かしながら。そのどこまでも揺れることのない機械的な動作は、よりソレが遠隔補助操作されたモノだと言う事実を助長させるばかり。
……が、変化はなし。ヴェンデッタ1号機がどこまで降りて行こうと、魔力探知式のレーダーに示されたものは何もなかった。
『こちらオペレーター。2秒後、ヴェンデッタ1号機がアークレイスフィアに接地します』
アークレイスフィア。
ヘヴンズバーストの跡地に、地面に埋め込まれるように突如として出現した青い球体。
その中には、間違いなくヴェンデッタ2号機と思しきシルエットが浮かんでいた。
未だヴェンデッタ2号機は未帰還だが、ヴェンデッタ2号機に乗っていたパイロットのケイ・チェインズと同伴者のリコ・プランクは、あの球体の側に放置された状態で発見されたと言う。
人界軍の研究者、ブドゥー博士によると、どうもあの青い球体は、ヴェンデッタの素体———アークレイのコアとも言えるものが結晶球体化した姿らしい。
だからこそあのコアと、ヴェンデッタ1号機のコアを同期させ、こちら側に引き戻す。
すると、反転現象の残るこの地が再び反転———つまりは裏返しの裏返し、元の姿に戻ると言う推察構想『エンジェルビースト構想』から成った作戦が、元の姿に還元する作戦こと『還元作戦』なのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる