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第一次真珠海作戦(後)
断罪天使/ヴェンデッタ・ゼロ( Ⅳ )
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『…………ゴホッ!』
亀裂の走った白い空間———その中から、ブランの体が這い出てくる。
『おい、大丈夫か?!』
すぐさま秀徳はブランに駆け寄り、その顔色を伺う。ブランは四つん這いになったままだ。
『……なあ、俺……いいのかな』
そんなブランが、今度は何かを呟き始めた。
『俺は結局、ケイ。お前と同じだった。……なのに俺はお前をずっと責めて、そんなことばっかしかしないで……お前のことを、何も考えずに……!!』
「いいんだ、いいんだ。今はいいんだよ、ブラン。
今は君が、決意してここに来てくれた、ただそれだけで———僕はそれで、いいと思ったから」
『こんな……空虚な俺でも、ここにいていいって言ってくれるのか?』
「…………ああ、もちろん」
『秀徳……ランドを殺した、その罪を———償わせてくれるか?……どんな方法でもいい、ただ俺は、そのためだけに生きたくて———』
『あのなぁ…………それについて償うことは結構だが、アイツがそのためだけに生きることを望むと思うか?』
『……?』
『ランド、アイツはな……ちゃんとお前のことを考えてくれていたんだよ。
……だからさ、死んだ自分のことで悔やんでほしくは……あるかもしれないけど、そのことに引きずられることは望んでないはずなんだ、それは何より———』
『俺、が……分かる、と?』
『そう。何たってアイツは、お前の数少ない理解者だ。……だからこそ、あの世にいるアイツも、償いの為だけに生きることは祈ってねえ。
俺としては———確かに償いもしなきゃなんねえ、だけど……お前なりの幸せってやつを、自分で選んで自分で掴み取ってみせろ……って、こんなことしか言えねーや』
……その通り、だ。
償いの、贖いのためだけに生きて、そのためだけに死ぬ人生なんて、そっちの方がよっぽど空虚だ。
『…………ごめん…………本当に、ごめん、みんな…………俺は、ずっと勘違いしてた、こんなこと……すぐにやめるべきだったんだ……!』
歯を噛み締め、啜り泣くブランに、僕はそっと近寄って、前からゆっくり抱きしめた。
「戻ろう、帰ろう。君のいた場所、君のいるべき場所、君の居場所———第0機動小隊へ。
君と一緒にいたい人だっているんだ。……君に死んでほしくない人だって、いるんだ。
ここにも2人、そんな人がいるんだから、世界中探せばもっといるに違いない、でしょ?」
『なあ、なんでお前…………そんな、笑顔になってるんだ……? 前のお前だったら、そんな笑顔なんて———』
見せなかったはずだろう、と。
その通りだ。こんな笑顔、リコやヴェンデッタの前以外では見せたことがなかった。
でも今は、心の底から笑うことができる。笑顔で接することができる。胸を張って生きることができる。
「……胸を張って、そして笑って生きていくって、決めたから。……それが、僕の選んだ、僕らしい道だ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「はああああああっ!」
現実。ヴェンデッタは、ブラン機の胸部に腕を突き刺し、そのユニットコンテナそのものを引きずり出した。
『っうおおっ?! お、俺、いつの間にこんなところにぃぃっ?!』
「秀徳、ごめん……まだ最後の仕事が残ってるんだ、君は少し離れててくれ、その機体じゃ戦えない」
『お?……おお、分かった……ぞ』
カスタムゼクスが離れてゆく合間に、僕は言い放った。
「……それじゃあ、いよいよ君を救う番だ、ブラン。
君とあの機体を結びつけている怨念を———この手で断ち切ってみせる。……僕に任せてくれ」
『任せても……いいのか?』
「大丈夫。僕を信じて」
ヒノカグツチの護衛に回っていたビット12機、その全てが、ヴェンデッタの周りに再び集う。
「この一撃で、全て! 君を覆う呪いから、君を救ってみせる!」
背面部にある、改良型Cキャノン2台。その2つともを取り出し、片腕同士で構えて前に持ってくる。
「ビット連結! Cキャノン、コンパクトグレードアップ!」
改良型Cキャノン、その1台につき4機ずつ、ヴェンデッタのビットが接着されてゆく。
残った4機のビットは、機体正面のCキャノンに接触しない位置にて魔法陣を描き出す。
「これで決めてみせる……! Cキャノン、ヴェンデッタフルバーストッッッッッッ!!!!」
Cキャノンに溜め込まれた魔力は、ヴェンデッタのビットもあって数倍にも増幅。そして魔法陣を通ることによって、その威力は絶大に増す!!
「落ちろ、呪詛と絶望の申し子! お前が縛っていい人間なんて、この世には存在しないっ!」
絶大なる魔力砲。その威力に、ブラン機は耐えきれず崩壊してゆく。
崩れゆく閃光の最中、コエが聞こえた。
『許せなかった』
『勝手に僕らを捕らえて、勝手に改造したヤツらを、僕らは許せはしなかった』
『だからこれは、神々にも、人間にも、世界にも対する復讐だったんだ』
「…………だからって、他人を巻き込んでいいわけがないんだ。だから、これはその罰だ。
不安定な人間の心を弄んだことの罪は、僕が———シンが、裁いてみせる」
亀裂の走った白い空間———その中から、ブランの体が這い出てくる。
『おい、大丈夫か?!』
すぐさま秀徳はブランに駆け寄り、その顔色を伺う。ブランは四つん這いになったままだ。
『……なあ、俺……いいのかな』
そんなブランが、今度は何かを呟き始めた。
『俺は結局、ケイ。お前と同じだった。……なのに俺はお前をずっと責めて、そんなことばっかしかしないで……お前のことを、何も考えずに……!!』
「いいんだ、いいんだ。今はいいんだよ、ブラン。
今は君が、決意してここに来てくれた、ただそれだけで———僕はそれで、いいと思ったから」
『こんな……空虚な俺でも、ここにいていいって言ってくれるのか?』
「…………ああ、もちろん」
『秀徳……ランドを殺した、その罪を———償わせてくれるか?……どんな方法でもいい、ただ俺は、そのためだけに生きたくて———』
『あのなぁ…………それについて償うことは結構だが、アイツがそのためだけに生きることを望むと思うか?』
『……?』
『ランド、アイツはな……ちゃんとお前のことを考えてくれていたんだよ。
……だからさ、死んだ自分のことで悔やんでほしくは……あるかもしれないけど、そのことに引きずられることは望んでないはずなんだ、それは何より———』
『俺、が……分かる、と?』
『そう。何たってアイツは、お前の数少ない理解者だ。……だからこそ、あの世にいるアイツも、償いの為だけに生きることは祈ってねえ。
俺としては———確かに償いもしなきゃなんねえ、だけど……お前なりの幸せってやつを、自分で選んで自分で掴み取ってみせろ……って、こんなことしか言えねーや』
……その通り、だ。
償いの、贖いのためだけに生きて、そのためだけに死ぬ人生なんて、そっちの方がよっぽど空虚だ。
『…………ごめん…………本当に、ごめん、みんな…………俺は、ずっと勘違いしてた、こんなこと……すぐにやめるべきだったんだ……!』
歯を噛み締め、啜り泣くブランに、僕はそっと近寄って、前からゆっくり抱きしめた。
「戻ろう、帰ろう。君のいた場所、君のいるべき場所、君の居場所———第0機動小隊へ。
君と一緒にいたい人だっているんだ。……君に死んでほしくない人だって、いるんだ。
ここにも2人、そんな人がいるんだから、世界中探せばもっといるに違いない、でしょ?」
『なあ、なんでお前…………そんな、笑顔になってるんだ……? 前のお前だったら、そんな笑顔なんて———』
見せなかったはずだろう、と。
その通りだ。こんな笑顔、リコやヴェンデッタの前以外では見せたことがなかった。
でも今は、心の底から笑うことができる。笑顔で接することができる。胸を張って生きることができる。
「……胸を張って、そして笑って生きていくって、決めたから。……それが、僕の選んだ、僕らしい道だ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
「はああああああっ!」
現実。ヴェンデッタは、ブラン機の胸部に腕を突き刺し、そのユニットコンテナそのものを引きずり出した。
『っうおおっ?! お、俺、いつの間にこんなところにぃぃっ?!』
「秀徳、ごめん……まだ最後の仕事が残ってるんだ、君は少し離れててくれ、その機体じゃ戦えない」
『お?……おお、分かった……ぞ』
カスタムゼクスが離れてゆく合間に、僕は言い放った。
「……それじゃあ、いよいよ君を救う番だ、ブラン。
君とあの機体を結びつけている怨念を———この手で断ち切ってみせる。……僕に任せてくれ」
『任せても……いいのか?』
「大丈夫。僕を信じて」
ヒノカグツチの護衛に回っていたビット12機、その全てが、ヴェンデッタの周りに再び集う。
「この一撃で、全て! 君を覆う呪いから、君を救ってみせる!」
背面部にある、改良型Cキャノン2台。その2つともを取り出し、片腕同士で構えて前に持ってくる。
「ビット連結! Cキャノン、コンパクトグレードアップ!」
改良型Cキャノン、その1台につき4機ずつ、ヴェンデッタのビットが接着されてゆく。
残った4機のビットは、機体正面のCキャノンに接触しない位置にて魔法陣を描き出す。
「これで決めてみせる……! Cキャノン、ヴェンデッタフルバーストッッッッッッ!!!!」
Cキャノンに溜め込まれた魔力は、ヴェンデッタのビットもあって数倍にも増幅。そして魔法陣を通ることによって、その威力は絶大に増す!!
「落ちろ、呪詛と絶望の申し子! お前が縛っていい人間なんて、この世には存在しないっ!」
絶大なる魔力砲。その威力に、ブラン機は耐えきれず崩壊してゆく。
崩れゆく閃光の最中、コエが聞こえた。
『許せなかった』
『勝手に僕らを捕らえて、勝手に改造したヤツらを、僕らは許せはしなかった』
『だからこれは、神々にも、人間にも、世界にも対する復讐だったんだ』
「…………だからって、他人を巻き込んでいいわけがないんだ。だから、これはその罰だ。
不安定な人間の心を弄んだことの罪は、僕が———シンが、裁いてみせる」
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