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第一次真珠海作戦(後)
Side-ヒノカグツチ:希望の光
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ヴェンデッタがベーゼンドルファーを焼き払って、数秒後。
ヒノカグツチ艦内、ブリッジにて。
********
「~~こっちは荷電粒子砲の充填に全力を注ぐ、そっちはお前たちに任せたぞ、いいな!」
『了解!』
コーラス7———ケイの勇ましい声が、ブリッジ内に残響する。
……しかし、その希望に満ちた返事は、クルーや司令たちの士気を急激に増加させた。
「さて、聞いたなヒノカグツチクルーよ! 荷電粒子砲の総仕上げだ、充填率! 何パーセントだ!」
『荷電粒子砲充填率、たった今99パーセントを突破!』
「超高高射程アンカー射出! 超巨大規模魔法氷塊に衝突を確認次第、磁場絶対不干渉魔術領域の展開を急げ!」
黒自身は、完全に勝った気でいた。
覚醒し、エンジェルビースト型サイドツーの効力を十全に発揮してみせたヴェンデッタ。
そのヴェンデッタと、そして———ケイならば、この状況をも———Ξ標的からの神力光線一斉照射をも凌いでくれるに違いない、と。
「……司令、本当に良かったんですか……魔力機関の直接プロテクトは全部カット、そんなことをしたら、直撃でもしようものならすぐに———」
「俺は信じているさ、あの小僧を———ケイを。……アイツならば、きっと成し遂げてくれる。アイツと、覚醒したヴェンデッタならば、と」
「何の根拠もないのに、ですか?
先の一部照射はヴェンデッタのビットで直撃は免れたものの、今回ばかりは———!」
焦燥の染まった声を響かせるフリー副司令。だが、黒の信頼は完全に揺るぎはしなかった。
「いいじゃないか、不可能とまで謳われたエクストラバースト、ヘヴンズバーストの無効化までしてみせたんだ!
……信じてみようじゃないか、奇跡ってモノを」
「……………くっだらない……けれど、前にもこんなことはありましたね、そう言えば」
「……」
黒の頭に浮かぶ情景。
それは、魔王との最終戦争の際、英雄たちが———白が見せた輝きのみだった。
……フリーはもちろん困惑していた。
今の今まで、現実的な判断に基づき司令を務めてきた男が、まさか奇跡なんて幼稚で、幻想としか言えないようなものに縋るとは、と。
「———っ、ヒノカグツチ上空、ヴェンデッタに大気中の魔力が収束していきます! これはまさか…………ヘヴンズバースト……?!」
「フリー、今、何を言った……!」
「ごく、小規模の……ヘヴンズバースト。ヴェンデッタが自分で起こしたソレを、ヴェンデッタ自身が制御し、自分のエネルギーとしています……!!」
「………………やはり、な」
『状況解析……島周囲のΞ標的45体、沈黙———反応消滅!
ヴェンデッタが———ヴェンデッタが一掃しました!』
その言葉を聞いた瞬間、ありったけの力を込めて黒は叫ぶ。
「起こるもんだぜ、奇跡ってものも……!」
一部より上がる歓声。あまりの奇跡に歓喜しながらも、状況確認を続けるクルーたち。
荷電粒子砲の充填率の画面を見つつも、感極まる男や、拍手をしながらもレーダーを見続ける女。
皆が皆、この奇跡を———ヴェンデッタとケイという存在を祝福し、それらに湧き上がった。
『充填率…………100パーセント!』
『磁場絶対不干渉魔術領域、アンカーを基部として形成!』
『自転誤差修正、荷電粒子砲———予定通り、魔術領域を通る軌道です!』
『加速機正常、いけまぁす!』
「———司令」
「ああ、やるぞ…………荷電粒子砲、撃ぇーーーーっ!!!!!!」
閃光に包まれた一瞬は過ぎ去り、モニターは完全に黒に染まる。
……さて、発射には成功したのだろうか。
着弾はしたのか、1000体ものΞ標的を、どこまで貫いたのか。
皆が皆、息を飲む。
『モニター、回復します』
モニターに映り込んだ、一面の青空。
正面の奥に位置していた巨大氷塊———それらはその全てが溶け出し、元々その中にいたはずのΞ標的の大群は———。
『Ξ標的……総数の94パーセントを完全破壊、残り6パーセントのうち、5パーセントは半壊しています!』
『Ξ……標的……が……砕けた……』
『成功……したのか……!』
そのほとんどが、完全に消滅していた。
残ったソレも、そのガワのみを残し崩壊しゆくのみ。
「……聞くがいい、今現地で戦っている、サイドツー機動部隊、および魔導大隊諸君……
トランスフィールドも、人界軍も、今は合同……我々人類は、今までずっと、ヤツらΞ標的の脅威に怯えながら戦っていた…………
だが、だが今は! 今だけは……違うと、胸を張って言わせてもらう…………
俺たちは———我々、人界軍は遂に…………奴等に一矢報いたのだッ!!」
ヒノカグツチ艦内、ブリッジにて。
********
「~~こっちは荷電粒子砲の充填に全力を注ぐ、そっちはお前たちに任せたぞ、いいな!」
『了解!』
コーラス7———ケイの勇ましい声が、ブリッジ内に残響する。
……しかし、その希望に満ちた返事は、クルーや司令たちの士気を急激に増加させた。
「さて、聞いたなヒノカグツチクルーよ! 荷電粒子砲の総仕上げだ、充填率! 何パーセントだ!」
『荷電粒子砲充填率、たった今99パーセントを突破!』
「超高高射程アンカー射出! 超巨大規模魔法氷塊に衝突を確認次第、磁場絶対不干渉魔術領域の展開を急げ!」
黒自身は、完全に勝った気でいた。
覚醒し、エンジェルビースト型サイドツーの効力を十全に発揮してみせたヴェンデッタ。
そのヴェンデッタと、そして———ケイならば、この状況をも———Ξ標的からの神力光線一斉照射をも凌いでくれるに違いない、と。
「……司令、本当に良かったんですか……魔力機関の直接プロテクトは全部カット、そんなことをしたら、直撃でもしようものならすぐに———」
「俺は信じているさ、あの小僧を———ケイを。……アイツならば、きっと成し遂げてくれる。アイツと、覚醒したヴェンデッタならば、と」
「何の根拠もないのに、ですか?
先の一部照射はヴェンデッタのビットで直撃は免れたものの、今回ばかりは———!」
焦燥の染まった声を響かせるフリー副司令。だが、黒の信頼は完全に揺るぎはしなかった。
「いいじゃないか、不可能とまで謳われたエクストラバースト、ヘヴンズバーストの無効化までしてみせたんだ!
……信じてみようじゃないか、奇跡ってモノを」
「……………くっだらない……けれど、前にもこんなことはありましたね、そう言えば」
「……」
黒の頭に浮かぶ情景。
それは、魔王との最終戦争の際、英雄たちが———白が見せた輝きのみだった。
……フリーはもちろん困惑していた。
今の今まで、現実的な判断に基づき司令を務めてきた男が、まさか奇跡なんて幼稚で、幻想としか言えないようなものに縋るとは、と。
「———っ、ヒノカグツチ上空、ヴェンデッタに大気中の魔力が収束していきます! これはまさか…………ヘヴンズバースト……?!」
「フリー、今、何を言った……!」
「ごく、小規模の……ヘヴンズバースト。ヴェンデッタが自分で起こしたソレを、ヴェンデッタ自身が制御し、自分のエネルギーとしています……!!」
「………………やはり、な」
『状況解析……島周囲のΞ標的45体、沈黙———反応消滅!
ヴェンデッタが———ヴェンデッタが一掃しました!』
その言葉を聞いた瞬間、ありったけの力を込めて黒は叫ぶ。
「起こるもんだぜ、奇跡ってものも……!」
一部より上がる歓声。あまりの奇跡に歓喜しながらも、状況確認を続けるクルーたち。
荷電粒子砲の充填率の画面を見つつも、感極まる男や、拍手をしながらもレーダーを見続ける女。
皆が皆、この奇跡を———ヴェンデッタとケイという存在を祝福し、それらに湧き上がった。
『充填率…………100パーセント!』
『磁場絶対不干渉魔術領域、アンカーを基部として形成!』
『自転誤差修正、荷電粒子砲———予定通り、魔術領域を通る軌道です!』
『加速機正常、いけまぁす!』
「———司令」
「ああ、やるぞ…………荷電粒子砲、撃ぇーーーーっ!!!!!!」
閃光に包まれた一瞬は過ぎ去り、モニターは完全に黒に染まる。
……さて、発射には成功したのだろうか。
着弾はしたのか、1000体ものΞ標的を、どこまで貫いたのか。
皆が皆、息を飲む。
『モニター、回復します』
モニターに映り込んだ、一面の青空。
正面の奥に位置していた巨大氷塊———それらはその全てが溶け出し、元々その中にいたはずのΞ標的の大群は———。
『Ξ標的……総数の94パーセントを完全破壊、残り6パーセントのうち、5パーセントは半壊しています!』
『Ξ……標的……が……砕けた……』
『成功……したのか……!』
そのほとんどが、完全に消滅していた。
残ったソレも、そのガワのみを残し崩壊しゆくのみ。
「……聞くがいい、今現地で戦っている、サイドツー機動部隊、および魔導大隊諸君……
トランスフィールドも、人界軍も、今は合同……我々人類は、今までずっと、ヤツらΞ標的の脅威に怯えながら戦っていた…………
だが、だが今は! 今だけは……違うと、胸を張って言わせてもらう…………
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