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旅立ちと出会い
えっ、死刑?
———とある朝。
人間の住まう都の中心部、王都。
その最奥にて優雅に佇む王城内部で俺は———人界王、つまりは人類の王様に、最悪の一言を告げられた。
「えっと……それはどういう……」
「端的に言えば……白よ、お主を2日後に処刑する」
………………どうして??
事の成り行き———と言うか、そもそも俺も、何がどうなって死刑を言い渡されたのかすら分かりはしないのだが。
だが、まあ心当たりと言えば———遡る事1日前、俺は———旅に出た。
…………思い当たる節を探しながらも、俺は今までの旅———未だ旅と呼んでもいいのか分からないものの記憶の断片を、1つ1つ繋ぎ合わせていく。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「AGE18600———まあ、太陽暦2800年における人間界。文字通り人類が住まう領域であり、西大陸のおよそ3分の2を占める領域じゃ。
1000年ほど前『終末戦争』と呼ばれる多種族間星圧戦争にて、星は終末を迎えた……地は裂け、天は割れ、母なる海には生命体の血が流れ出し、ついには波ひとつ起こさぬ紅き無の海へと変貌したんじゃ。
しかし、その戦争の末に———どうやったかは全く不明だが、人類は勝利した。誰も信じちゃおらんがな。
……が、魔族の王『魔王』は死んではおらず、西大陸の最西端にて魔界を作り戦力を蓄えていた。
魔族は30年前に人間界に攻め入り、人間界の中で結成された軍「人界軍」が応戦を試みたが、すぐに壊滅、
高度な魔術を用いる魔王軍に弓や木製の盾、剣などが敵う筈もなく、人類は苦戦を強いられていたんじゃ。
そんな中、人類の王ユダレイ・タッカーダル四世は、争いの素となるとして封印していた『魔術』と『ジョブシステム』を解放するんじゃ。
そして、人界軍の中でも魔術を用いた『魔導大隊』が結成され、人界軍も魔術を使って応戦する事により、魔王軍の一方的な蹂躙にも歯止めがかかるようになった……」
……だとか何とか言ってたおじさんとの会話が思い起こされる。
『そんなの知らなくたって戦えはするのに』
———だのと言ってやったらげんこつされた。
昨日の夜はそんな馬鹿なことばっかしてたっけな。
そう、これは昨日の夜の出来事。
俺が旅立ったのは———小鳥さえずる朗らかな朝のことだった。
「……やはり、お前も行くのか?……あの地獄のような戦地へと」
木造の家のドアの前にて、その人は確かめる様に、俺に向かって問う。
「もちろん。俺は昔から、戦う事しか生きる理由が無かったから」
その人との別れを寂しく思いながらも、細々と呟く。
「それじゃあ、行ってきます」
老人は1度笑顔になった後、俺のこれから歩むであろう道を不安げに見つめながら、少し震えた声で、
「死ぬんじゃ、ないぞ」
と呟いた。
それが老人との、俺を育ててくれた恩人、ジャンおじさんとの最後の会話となった。
……なったのなら、よかったものの。
「まずは王都で勇者登録、その後にジョブ決め……うわー、やる事多いなー……」
……と、冒険に行くのが楽しみなのか、つい独り言が出てしまう。
口に出したはいいものの、本当にやる事多いか? とか思いつつ王都へと足を進める。
おじさんは心配してたけど、はっきり言って魔王軍を倒す事なんて今の自分にとっては余裕(だと思う)で、今は魔王軍との交戦による心配よりも、新たな出会いや冒険にワクワクする気持ちの方が強かった。
だからこそなのだろうか、あれだけ長いと思っていた王都への一本道。
ろくに鋪装もされずに、岩がその辺に転がってるような険しい道が、まるで無かったかの様に思えてしまった。
そんな、ただボーッとしながら歩いていた……それだけで王都正門に着いてしまった。
立派な石造りのアーチに、門の先を埋め尽くす人だかり。4年前にも一度来た事があるが、やはり訪れた感想としては、四年前と同じく、
「すげぇ……」
と口に漏れてしまうほどのものでしかなかった。
石で敷き詰められたタイル、王都正門からなる道の両脇には、果物屋さんや野菜屋さんでいっぱい。
勇者登録ができるジョブセンターは、その一角にポツンと置かれていた。
期待に胸が膨らんで破裂しそうになりながら、ジョブセンターのドアを開ける。
入ってすぐに受付があり、いかにもこういうところに立ってそうでどう見ても受付役のお姉さんがいたので、その人に話を聞く事にした。
「すいませーん、勇者登録をしに来たんですけど……」
「はい、勇者登録ですね?……でしたら、こちらにお名前を」
お姉さんが差し出してきてくれたペンを取り、自分の名前を書く。
「白さん、でよろしいですね。それにしても、珍しい名前ですね。異国の文字一文字だけの名前なんて」
……そうだ、俺の名前は———白だ。
ここ、人間界王都より遥か西に位置していた、日ノ國なんてところで使われてた文字を用いた名前だ。
しかし王都の人は凄いな、異国の文字でも読めるなんて。
「それじゃあジョブ決めをさせてもらいますので、この台に手を置いてください」
言われるがままに、茶色の平べったい台に手を置く。ついでに、
「ところで、ジョブシステムって何なんですか?」
おじさんも、その言葉に関しては何度か口にはしていたものの、具体的な意味がよく分からなかったのでつい聞いてしまった。
「ジョブシステムというのは……その人の魂から、その人に向いた魔術の属性などを調べ、その人に合った役職を紹介するシステムですね」
なるほど、つまり俺に合った魔術の属性が分かるって事か。
「ジョブシステムの結果が出たらお知らせしますので、それまであちらのソファで座って待っていてください」
そう言ってお姉さんが指を指したのは、赤くて座り心地の良さそうなソファだった。
ソファに深々と座り、色んなことを妄想してみる。
俺は何が使えるんだろうか。
敵を氷に閉じ込める氷の魔術? それとも敵を紅蓮の業火で焼き尽くす炎の魔術? それとも圧倒的な火力で全てを吹き飛ばす爆発/爆裂魔法?
または……師匠の使っていた『呪術』とか?
何にせよ、今までの人生では刀しか握ってこなかったものだから、どんな魔術や魔法でも、使える事自体が楽しみで仕方なかった。
———そんな事を考えているうちに、
「ジョブシステムの結果が分かりました」
と、お姉さんに案内されカウンターへと移動する。
「こちらがジョブシステムの結果です」
そう告げられ、お姉さんから茶色のカードを手渡された。
「ジョブシステムで評価するのは3つの項目で、1つ目が魔術/魔法適正属性。2つ目が現在の魔力量。3つ目が潜在能力、つまり魔術や魔力量の伸び代を評価しています。
2つ目以降の項目はAランク~Eランクまでで評価しており、AからEに進むごとに評価が下がっていく形となっています」
そう言われて、カードを見てみると、
適正属性:回復魔術
魔力量:C
潜在能力:E
と書かれており。
「嘘だろ……」
まさかの結果に呆然とし、自分の今の感情が声にまで出てしまっていた。
……何がいけないかって?
適正魔術属性だ。
回復魔術———『魔力』を、生物が生きる為に必要不可欠なエネルギー『神力』に変換する魔術、及びそれを用いて、『神力』の過剰供給により人体の損傷部位を迅速に治療する魔術……とは聞いていたが———。
それでも、俺が使いたかった魔術は……そんなショボいやつじゃないのだ。
もっとこう……バーッと火の柱を出したり、カチコチに敵を凍らせて、刀でスパーッと、みたいなことをしたかったってのになあ……
なんだ『回復魔術』って?
この俺に、刀を持って敵陣に突撃していくのが本職の俺に、回復術師をやれと?
……正気じゃないだろ、そんなの。
「色々と、凄いですよね……そこまでの人はあまり見かけないくらいには……」
あんなにまで憧れていた魔術を使う自分の姿が音を立てて崩れていく。っていうか今サラッとひどい事言われた気がする。
「……とりあえず、色々とありがとうございました……」
かき消えそうなほど、小さな声で呟いた。
「あ、うん、とりあえず冒険、頑張ってね……」
半笑いでお姉さんが口を開く。
どうしてこうなってしまったんだと。
15歳の少年には似合わないほどうなだれながら、ジョブセンターを後にする。
———次は依頼か、何か手頃で簡単でかつ金が沢山もらえる依頼……なんて、そんな上手い話はないか。
人間の住まう都の中心部、王都。
その最奥にて優雅に佇む王城内部で俺は———人界王、つまりは人類の王様に、最悪の一言を告げられた。
「えっと……それはどういう……」
「端的に言えば……白よ、お主を2日後に処刑する」
………………どうして??
事の成り行き———と言うか、そもそも俺も、何がどうなって死刑を言い渡されたのかすら分かりはしないのだが。
だが、まあ心当たりと言えば———遡る事1日前、俺は———旅に出た。
…………思い当たる節を探しながらも、俺は今までの旅———未だ旅と呼んでもいいのか分からないものの記憶の断片を、1つ1つ繋ぎ合わせていく。
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「AGE18600———まあ、太陽暦2800年における人間界。文字通り人類が住まう領域であり、西大陸のおよそ3分の2を占める領域じゃ。
1000年ほど前『終末戦争』と呼ばれる多種族間星圧戦争にて、星は終末を迎えた……地は裂け、天は割れ、母なる海には生命体の血が流れ出し、ついには波ひとつ起こさぬ紅き無の海へと変貌したんじゃ。
しかし、その戦争の末に———どうやったかは全く不明だが、人類は勝利した。誰も信じちゃおらんがな。
……が、魔族の王『魔王』は死んではおらず、西大陸の最西端にて魔界を作り戦力を蓄えていた。
魔族は30年前に人間界に攻め入り、人間界の中で結成された軍「人界軍」が応戦を試みたが、すぐに壊滅、
高度な魔術を用いる魔王軍に弓や木製の盾、剣などが敵う筈もなく、人類は苦戦を強いられていたんじゃ。
そんな中、人類の王ユダレイ・タッカーダル四世は、争いの素となるとして封印していた『魔術』と『ジョブシステム』を解放するんじゃ。
そして、人界軍の中でも魔術を用いた『魔導大隊』が結成され、人界軍も魔術を使って応戦する事により、魔王軍の一方的な蹂躙にも歯止めがかかるようになった……」
……だとか何とか言ってたおじさんとの会話が思い起こされる。
『そんなの知らなくたって戦えはするのに』
———だのと言ってやったらげんこつされた。
昨日の夜はそんな馬鹿なことばっかしてたっけな。
そう、これは昨日の夜の出来事。
俺が旅立ったのは———小鳥さえずる朗らかな朝のことだった。
「……やはり、お前も行くのか?……あの地獄のような戦地へと」
木造の家のドアの前にて、その人は確かめる様に、俺に向かって問う。
「もちろん。俺は昔から、戦う事しか生きる理由が無かったから」
その人との別れを寂しく思いながらも、細々と呟く。
「それじゃあ、行ってきます」
老人は1度笑顔になった後、俺のこれから歩むであろう道を不安げに見つめながら、少し震えた声で、
「死ぬんじゃ、ないぞ」
と呟いた。
それが老人との、俺を育ててくれた恩人、ジャンおじさんとの最後の会話となった。
……なったのなら、よかったものの。
「まずは王都で勇者登録、その後にジョブ決め……うわー、やる事多いなー……」
……と、冒険に行くのが楽しみなのか、つい独り言が出てしまう。
口に出したはいいものの、本当にやる事多いか? とか思いつつ王都へと足を進める。
おじさんは心配してたけど、はっきり言って魔王軍を倒す事なんて今の自分にとっては余裕(だと思う)で、今は魔王軍との交戦による心配よりも、新たな出会いや冒険にワクワクする気持ちの方が強かった。
だからこそなのだろうか、あれだけ長いと思っていた王都への一本道。
ろくに鋪装もされずに、岩がその辺に転がってるような険しい道が、まるで無かったかの様に思えてしまった。
そんな、ただボーッとしながら歩いていた……それだけで王都正門に着いてしまった。
立派な石造りのアーチに、門の先を埋め尽くす人だかり。4年前にも一度来た事があるが、やはり訪れた感想としては、四年前と同じく、
「すげぇ……」
と口に漏れてしまうほどのものでしかなかった。
石で敷き詰められたタイル、王都正門からなる道の両脇には、果物屋さんや野菜屋さんでいっぱい。
勇者登録ができるジョブセンターは、その一角にポツンと置かれていた。
期待に胸が膨らんで破裂しそうになりながら、ジョブセンターのドアを開ける。
入ってすぐに受付があり、いかにもこういうところに立ってそうでどう見ても受付役のお姉さんがいたので、その人に話を聞く事にした。
「すいませーん、勇者登録をしに来たんですけど……」
「はい、勇者登録ですね?……でしたら、こちらにお名前を」
お姉さんが差し出してきてくれたペンを取り、自分の名前を書く。
「白さん、でよろしいですね。それにしても、珍しい名前ですね。異国の文字一文字だけの名前なんて」
……そうだ、俺の名前は———白だ。
ここ、人間界王都より遥か西に位置していた、日ノ國なんてところで使われてた文字を用いた名前だ。
しかし王都の人は凄いな、異国の文字でも読めるなんて。
「それじゃあジョブ決めをさせてもらいますので、この台に手を置いてください」
言われるがままに、茶色の平べったい台に手を置く。ついでに、
「ところで、ジョブシステムって何なんですか?」
おじさんも、その言葉に関しては何度か口にはしていたものの、具体的な意味がよく分からなかったのでつい聞いてしまった。
「ジョブシステムというのは……その人の魂から、その人に向いた魔術の属性などを調べ、その人に合った役職を紹介するシステムですね」
なるほど、つまり俺に合った魔術の属性が分かるって事か。
「ジョブシステムの結果が出たらお知らせしますので、それまであちらのソファで座って待っていてください」
そう言ってお姉さんが指を指したのは、赤くて座り心地の良さそうなソファだった。
ソファに深々と座り、色んなことを妄想してみる。
俺は何が使えるんだろうか。
敵を氷に閉じ込める氷の魔術? それとも敵を紅蓮の業火で焼き尽くす炎の魔術? それとも圧倒的な火力で全てを吹き飛ばす爆発/爆裂魔法?
または……師匠の使っていた『呪術』とか?
何にせよ、今までの人生では刀しか握ってこなかったものだから、どんな魔術や魔法でも、使える事自体が楽しみで仕方なかった。
———そんな事を考えているうちに、
「ジョブシステムの結果が分かりました」
と、お姉さんに案内されカウンターへと移動する。
「こちらがジョブシステムの結果です」
そう告げられ、お姉さんから茶色のカードを手渡された。
「ジョブシステムで評価するのは3つの項目で、1つ目が魔術/魔法適正属性。2つ目が現在の魔力量。3つ目が潜在能力、つまり魔術や魔力量の伸び代を評価しています。
2つ目以降の項目はAランク~Eランクまでで評価しており、AからEに進むごとに評価が下がっていく形となっています」
そう言われて、カードを見てみると、
適正属性:回復魔術
魔力量:C
潜在能力:E
と書かれており。
「嘘だろ……」
まさかの結果に呆然とし、自分の今の感情が声にまで出てしまっていた。
……何がいけないかって?
適正魔術属性だ。
回復魔術———『魔力』を、生物が生きる為に必要不可欠なエネルギー『神力』に変換する魔術、及びそれを用いて、『神力』の過剰供給により人体の損傷部位を迅速に治療する魔術……とは聞いていたが———。
それでも、俺が使いたかった魔術は……そんなショボいやつじゃないのだ。
もっとこう……バーッと火の柱を出したり、カチコチに敵を凍らせて、刀でスパーッと、みたいなことをしたかったってのになあ……
なんだ『回復魔術』って?
この俺に、刀を持って敵陣に突撃していくのが本職の俺に、回復術師をやれと?
……正気じゃないだろ、そんなの。
「色々と、凄いですよね……そこまでの人はあまり見かけないくらいには……」
あんなにまで憧れていた魔術を使う自分の姿が音を立てて崩れていく。っていうか今サラッとひどい事言われた気がする。
「……とりあえず、色々とありがとうございました……」
かき消えそうなほど、小さな声で呟いた。
「あ、うん、とりあえず冒険、頑張ってね……」
半笑いでお姉さんが口を開く。
どうしてこうなってしまったんだと。
15歳の少年には似合わないほどうなだれながら、ジョブセンターを後にする。
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