101 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
「何度生まれ変わったって」
「……って事で、ゴルゴダ機関に入ることになった……つったって、なあ……」
「ゴルゴダ……きかん……?」
……そう、それはつい先程。
ゴルゴダ機関に……機密情報ダダ漏れの秘密組織の手先の男より、あの……ロストとか言う物体を討伐した時の報酬を貰ったのだ。
僅か5000パス通貨だったが、とりあえず生活するのには十分だろう。
「ああ、そうだ、まあとりあえず、金が稼げるように……なったんだよ、これでご飯も食べれるな」
「……ニトイ、ごはん、いらない」
「またそれか、何言ったって、とりあえず何か買ってくるからなっ!!」
家に帰り、ニトイと少しばかり話した後、もう一度外に出て向かったのは都内の小さなスーパー。
ドアが開いた瞬間、涼しい風が吹き込んできたことが思い出される。
……年がら年中、夏みたいな暑さを纏っている帝都にとって、あそこはやはり天国でしかなかった。
買ったのは今日の夕食、ただのカップラーメン、そしておやつとしてりんご2つほど。
……まあ、ニトイと分けて食べる分にはいいだろう。
「ただいまー」
「ただ、いま……?」
……さて、家に帰ってきたはいいものの、ニトイは首を傾げる。今の言葉の意味を理解していないようだった。
「あのなあ、ただいまって言うのは……あいさつだ、あいさつだよ、自分が帰ってきた時に言うんだ」
すると、ニトイは急に外へと飛び出す。
何事か、とドアへ近寄ると、直後ドアが開き、
「ただいま……!」
……なんて口にした。
…………かわいい、非常に愛くるしい行動なのだが、コイツ本当に人間か、とも感じれるほどの機械的な行動に、気味悪さも感じていた。
「お、おお……それで……あってるぞ」
「ただいま、ツバサ……!」
……どうすればいいのやら。
「ほら、カップラーメン作るから待っとけよ」
作り方は……お湯を入れて待つだけ。ちょー簡単だ。なぜか、この簡単な操作が一瞬———今の俺には、できないかのように思えたのだが。
「カップラーメン……のむ!」
「おいダメだよせっ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……んで、そろそろ3分経ったかな」
「のんでいい?」
「……箸、持ってくるからな?」
「…………」
「って、もう飲んでるし……熱くないのかよっ?!」
「ぱあっ、おいしい……! あつくて、おいしい……!」
ほのかに赤く染まった頬。いかにも美味しそうに、ニトイはその汁を啜っていた。
「お、おう……?」
…………それならスープでいいんじゃないか、とも思ってしまった。
「はあ、食った食った……こんなの食ったのは初めて…………じゃないか、何言ってんだ俺」
「………………待って、排泄……出る……!」
「はい?!」
「排泄、出る……!」
「トイレ行けトイレに!!!!」
「トイレ…………なに、それ」
「だーもうっ! トイレはな……」
…………なあ、俺はコイツに対して1つ、疑問を思い浮かべたんだ。
……なんで、なんでコイツさ、
「なんでオマエさ、人前の、それも男の前で、今から…………う……の付くやつをさ、大の方のお花摘みをさ、します、だなんて言えるんだよっ!!
しかも俺、一応見ず知らずの人間だぞ? ちょっとはこっちの気持ちぐらい、考えてくれたっていいだろ!!」
「そんな、茶色くて下品な、もの、じゃない」
トイレのドアの向こう側から、少し篭った声が漏れ出す。
……いや、バレてんのね。
「だからってそれを俺の前で言うな、恥ずかしい」
いくらクソではないとは言えど、それを俺の前で言う事自体が問題なんだってば……
「……それに、見ず知らずじゃ、ない」
「いや、見ず知らずだろ?」
「……ちがう。ア……ツバサは、運命の人」
……はい?
それって、あれ?
赤い糸で結ばれた、運命の人ってやつ?
「何度生まれ変わったって……何度繰り返そうとも……私を愛して、くれる、運命の人」
「……なんなんだ、なあ、なんなんだよ一体、そろそろ教えてくれたっていいだろ!
お前は誰だ、素性を明かしてくれよ!運命の人ってなんなんだよ、生まれ変わったって……なんなんだよ、俺がお前を愛するって、一体全体どういう風の吹き回しなんだよ!」
「…………分からない。ニトイにも、ツバサにも、まだ」
「ちくしょう……なんだってんだよ一体……風呂入っとくから、俺が出るまで風呂場に行かずにそこに待機な! いいな!」
「べんきで……たいき? ダジャレ?」
…………もう反応しないことにした。
つーかなんでトイレが分からずに、ダジャレを知ってるんだよ……
そんなこんなで、ようやく眠りにつく事ができたのだが。
……ゴルゴダ機関、か。
『んじゃ、明日朝8時に、ここまで来てくれよな!』
そう言われて、あの橙色の髪をした男より渡されたのが、この帝都中心部までの地図。
手書きだったが、イマイチ不気味で得体の知れないものだったゴルゴダ機関にも、ちゃんと人間がいるんだなと確認できたいい材料だった。
…………そう、その図の下手さ加減から。
…………そうか、俺、ゴルゴダ機関で働くのか。明日から。
でも、そうならコイツは……ニトイはどうする?
ここに置いていく……? いや、それじゃダメだろう。ならば連れていく……? いや、それは殺される……直感がそう囁いてる。
どうすればいいんだ、最善の道を選んでも家宅捜索→無事死亡エンドしか思いつかねえぞ?!
……まあいいか、明日、明日にでも考えて……
混乱する頭など完全に無視し、朧げなままの意識をもって目覚ましをかけ、そのまま寝てしまった。
「ゴルゴダ……きかん……?」
……そう、それはつい先程。
ゴルゴダ機関に……機密情報ダダ漏れの秘密組織の手先の男より、あの……ロストとか言う物体を討伐した時の報酬を貰ったのだ。
僅か5000パス通貨だったが、とりあえず生活するのには十分だろう。
「ああ、そうだ、まあとりあえず、金が稼げるように……なったんだよ、これでご飯も食べれるな」
「……ニトイ、ごはん、いらない」
「またそれか、何言ったって、とりあえず何か買ってくるからなっ!!」
家に帰り、ニトイと少しばかり話した後、もう一度外に出て向かったのは都内の小さなスーパー。
ドアが開いた瞬間、涼しい風が吹き込んできたことが思い出される。
……年がら年中、夏みたいな暑さを纏っている帝都にとって、あそこはやはり天国でしかなかった。
買ったのは今日の夕食、ただのカップラーメン、そしておやつとしてりんご2つほど。
……まあ、ニトイと分けて食べる分にはいいだろう。
「ただいまー」
「ただ、いま……?」
……さて、家に帰ってきたはいいものの、ニトイは首を傾げる。今の言葉の意味を理解していないようだった。
「あのなあ、ただいまって言うのは……あいさつだ、あいさつだよ、自分が帰ってきた時に言うんだ」
すると、ニトイは急に外へと飛び出す。
何事か、とドアへ近寄ると、直後ドアが開き、
「ただいま……!」
……なんて口にした。
…………かわいい、非常に愛くるしい行動なのだが、コイツ本当に人間か、とも感じれるほどの機械的な行動に、気味悪さも感じていた。
「お、おお……それで……あってるぞ」
「ただいま、ツバサ……!」
……どうすればいいのやら。
「ほら、カップラーメン作るから待っとけよ」
作り方は……お湯を入れて待つだけ。ちょー簡単だ。なぜか、この簡単な操作が一瞬———今の俺には、できないかのように思えたのだが。
「カップラーメン……のむ!」
「おいダメだよせっ!」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……んで、そろそろ3分経ったかな」
「のんでいい?」
「……箸、持ってくるからな?」
「…………」
「って、もう飲んでるし……熱くないのかよっ?!」
「ぱあっ、おいしい……! あつくて、おいしい……!」
ほのかに赤く染まった頬。いかにも美味しそうに、ニトイはその汁を啜っていた。
「お、おう……?」
…………それならスープでいいんじゃないか、とも思ってしまった。
「はあ、食った食った……こんなの食ったのは初めて…………じゃないか、何言ってんだ俺」
「………………待って、排泄……出る……!」
「はい?!」
「排泄、出る……!」
「トイレ行けトイレに!!!!」
「トイレ…………なに、それ」
「だーもうっ! トイレはな……」
…………なあ、俺はコイツに対して1つ、疑問を思い浮かべたんだ。
……なんで、なんでコイツさ、
「なんでオマエさ、人前の、それも男の前で、今から…………う……の付くやつをさ、大の方のお花摘みをさ、します、だなんて言えるんだよっ!!
しかも俺、一応見ず知らずの人間だぞ? ちょっとはこっちの気持ちぐらい、考えてくれたっていいだろ!!」
「そんな、茶色くて下品な、もの、じゃない」
トイレのドアの向こう側から、少し篭った声が漏れ出す。
……いや、バレてんのね。
「だからってそれを俺の前で言うな、恥ずかしい」
いくらクソではないとは言えど、それを俺の前で言う事自体が問題なんだってば……
「……それに、見ず知らずじゃ、ない」
「いや、見ず知らずだろ?」
「……ちがう。ア……ツバサは、運命の人」
……はい?
それって、あれ?
赤い糸で結ばれた、運命の人ってやつ?
「何度生まれ変わったって……何度繰り返そうとも……私を愛して、くれる、運命の人」
「……なんなんだ、なあ、なんなんだよ一体、そろそろ教えてくれたっていいだろ!
お前は誰だ、素性を明かしてくれよ!運命の人ってなんなんだよ、生まれ変わったって……なんなんだよ、俺がお前を愛するって、一体全体どういう風の吹き回しなんだよ!」
「…………分からない。ニトイにも、ツバサにも、まだ」
「ちくしょう……なんだってんだよ一体……風呂入っとくから、俺が出るまで風呂場に行かずにそこに待機な! いいな!」
「べんきで……たいき? ダジャレ?」
…………もう反応しないことにした。
つーかなんでトイレが分からずに、ダジャレを知ってるんだよ……
そんなこんなで、ようやく眠りにつく事ができたのだが。
……ゴルゴダ機関、か。
『んじゃ、明日朝8時に、ここまで来てくれよな!』
そう言われて、あの橙色の髪をした男より渡されたのが、この帝都中心部までの地図。
手書きだったが、イマイチ不気味で得体の知れないものだったゴルゴダ機関にも、ちゃんと人間がいるんだなと確認できたいい材料だった。
…………そう、その図の下手さ加減から。
…………そうか、俺、ゴルゴダ機関で働くのか。明日から。
でも、そうならコイツは……ニトイはどうする?
ここに置いていく……? いや、それじゃダメだろう。ならば連れていく……? いや、それは殺される……直感がそう囁いてる。
どうすればいいんだ、最善の道を選んでも家宅捜索→無事死亡エンドしか思いつかねえぞ?!
……まあいいか、明日、明日にでも考えて……
混乱する頭など完全に無視し、朧げなままの意識をもって目覚ましをかけ、そのまま寝てしまった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
絶交した幼馴染と大学の合コンで再会した。
孤独な蛇
恋愛
中学生の浅野春樹は上級生と喧嘩騒動を起こしたことがあった。
その上、目つきが悪く地毛は茶髪のため不良少年のような扱いを受けて学校では孤立していた。
そんな中、幼馴染の深瀬志穂だけは春樹のことをいつも気遣ってくれていた。
同じ高校に行こうと声を掛けてくれる志穂の言葉に応えたい一心で受験勉強にも力を入れていた。
春樹にとって、学校で孤立していることは問題ではなかった。
昔から志穂が近くにいてくれるから……。
しかし、3年生なってから志穂の態度がよそよそしくなってきた。
登下校も別々になり、学校で話しかけてくることも無くなった。
志穂の心が自分から離れていってしまっている気がした春樹は焦っていた。
彼女と話がしたい。笑った顔が見たい。
志穂と一緒に帰ろうと、彼女が部活動を行っている体育館へ向かったのだが……。
そこで春樹が耳にしたのは、自分の悪口を言って部活の友達と楽しそうにしている志穂の声だった。
その瞬間、春樹の中で志穂に対する想いや信頼は……消滅した。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。