文字の大きさ
大
中
小
143 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
ラグナロクの揺籠
*◇*◇*◇*◇
全く同時刻。
焼き付けるような日差しが、爛々と鋼鉄の都を照らす最中。
第5機動小隊———人界軍と同盟を組んだ、トランスフィールド諸国の一部が結成した『西大陸東部連合』で構成された部隊。
この第5機動小隊の兵器として、人界軍から配備されたのが、サイドパワースーツとして搭乗することのできる、人界軍専用汎用人型機動兵器『サイドツーmark.2』である。
魔王軍との決戦が終結した後、トランスフィールドは全面的に戦争を停戦し、人界軍との関係が密接になった。
そうして、魔王打倒から、このオリュンポスに至るまでの1年間の間に、『サイドポーツ』という競技が発展した。
この競技自体は、『サイドツーmark.1』、攻撃用兵装を装備していない人型ロボットを用いた球技……だったのだが、対オリュンポス———『エターナル』の完遂のために動いたオリュンポスを攻め滅ぼすため、攻撃用兵装の追加、機動力の向上を目的とした機体が量産されることとなった。
それが僕たち、第5機動小隊の乗り込む『サイドツーmark.2』である。
サイドツー。
魔力もしくは電力にて動く、全長3メートルほどの、人型の構造をとった史上初の機動兵器、サイドパワースーツ。
搭乗者はユニットコンテナなるコンテナに乗り込み、それを骨格のみの機体の中央にはめ込み起動させる。
ユニットコンテナ装着時の外見としては、骨格だけの脚部に股関節部より伸びる六本の鉄の管、その真上にコンテナが位置し、そのコンテナの両脇部から両腕が伸びているという構造である。
人型でありながら顔面がなく、中腹部に視覚の機能を搭載したこの形は、前作機のmark.1よりも機動性を重視したものとなっている(顔面部の重量を削減したため)。
両腕部は骨格のみながらも5本指の手の形状となっており、さまざまな武器を持たせられるという汎用性に富んだデザインとなった。
脚部、足の裏の部分にはローラーがついており、機動性を重視したデザインになっている。これは元々サイドラー自体が競技用として開発された名残である。
……従来の人界軍の兵器から見れば、化け物じみた性能をしているが、あくまでこれは量産機に過ぎない。
———そして、僕の乗っているコレは、その中でも特別に強化された、至高の一品。……まあ、元々もうちょっと高価な僕の専用機だって、あったわけだけど。
『セン!……本当にこっちで合ってるでヤンスか?』
無線より聞こえたノイズ混じりの、ヤンスの声。
「……ああ、うん、間違ってたって建物ぶっ壊せばいいだけだから大丈夫……だと思う」
『強引でヤンスね……まあできかねないところが怖いんでヤンスが……』
「……ヤンス、くいな。……そろそろ目標地点だ。…………兵装準備、一斉掃射の用意を」
『…………セン、いつもに増して……怖いね……』
「そりゃあ……そうだ。ここは戦場だ、気を抜いたら———僕たちが死ぬ。特に、自分自身の力で、魔力障壁も神力障壁も張れないヤンスは……そのリスクが高いから」
『そんなんなくても、このサイドツーを使いこなして、必ず作戦を成功に導いてやるでヤンスよ!』
「……はいはい、いくら成績がダントツで1番だったからって、あんまり調子に乗らないでよ、もしものことがあったらアレだから」
そうして、僕が率いるサイドツー15機の第一機動部隊は、アルファポイントへの入り口———閉ざされた鉄の壁へと辿り着く。
「……Cキャノン、爆裂刻印概念弾装填式、用意!
…………撃てーーーーっ!!!!」
僕の掛け声と共に、赤に塗られた小銃型の概念弾放出機構装備式銃より、ただ単発の弾が放たれる。
高速にて放たれたその弾は、鉄の壁に突き刺さるやいなや———、
爆発した。
紙を破るように鋭く、そして大きな音を立てながら、その爆発反応は次々と連鎖してゆき、ついには鉄の壁をも———突き破った。
そう、この威力、この技術こそが……今の人界軍、今の西大陸東部連合の実力なのである。
『……さっすが、改良型Cキャノンでヤンスね……俺たちがヤバくなったら、後ろからソレで援護頼むでヤンスよ』
「……うん、いざとなったら……この力で終わらせる」
鉄の扉の先、地下への道は開かれた。
またここに、突撃してゆく部隊が一つ。
その部隊が相対したのは———。
「こんにちは、人間の皆さん?……オリュンポスはどうですか、美しいですか?……そうですよねえ、そうでなくては! なんせ私の有る都市なのだから!!」
……と、いきなり住んでるところ自慢大会を繰り広げた、美しき女だった。
……いやいやいや、何なんだこの人。急にここに現れて———って、まさか話に聞いたゴルゴダ機関……っ?!
「非戦闘員……?……ならば、ここは戦わずに保護するしか……」
『でっ……でもセン、コイツ……この鉄の扉の中にいたんでヤンスよ?……何か、何かよからぬ胸騒ぎがしやがるでヤンス』
「……そうだね、……でも、意思の疎通は図るべきだ。理由もないのに殺すなんて、そんなのは……ダメだから。
それじゃあ、アイツは———報われない」
全く同時刻。
焼き付けるような日差しが、爛々と鋼鉄の都を照らす最中。
第5機動小隊———人界軍と同盟を組んだ、トランスフィールド諸国の一部が結成した『西大陸東部連合』で構成された部隊。
この第5機動小隊の兵器として、人界軍から配備されたのが、サイドパワースーツとして搭乗することのできる、人界軍専用汎用人型機動兵器『サイドツーmark.2』である。
魔王軍との決戦が終結した後、トランスフィールドは全面的に戦争を停戦し、人界軍との関係が密接になった。
そうして、魔王打倒から、このオリュンポスに至るまでの1年間の間に、『サイドポーツ』という競技が発展した。
この競技自体は、『サイドツーmark.1』、攻撃用兵装を装備していない人型ロボットを用いた球技……だったのだが、対オリュンポス———『エターナル』の完遂のために動いたオリュンポスを攻め滅ぼすため、攻撃用兵装の追加、機動力の向上を目的とした機体が量産されることとなった。
それが僕たち、第5機動小隊の乗り込む『サイドツーmark.2』である。
サイドツー。
魔力もしくは電力にて動く、全長3メートルほどの、人型の構造をとった史上初の機動兵器、サイドパワースーツ。
搭乗者はユニットコンテナなるコンテナに乗り込み、それを骨格のみの機体の中央にはめ込み起動させる。
ユニットコンテナ装着時の外見としては、骨格だけの脚部に股関節部より伸びる六本の鉄の管、その真上にコンテナが位置し、そのコンテナの両脇部から両腕が伸びているという構造である。
人型でありながら顔面がなく、中腹部に視覚の機能を搭載したこの形は、前作機のmark.1よりも機動性を重視したものとなっている(顔面部の重量を削減したため)。
両腕部は骨格のみながらも5本指の手の形状となっており、さまざまな武器を持たせられるという汎用性に富んだデザインとなった。
脚部、足の裏の部分にはローラーがついており、機動性を重視したデザインになっている。これは元々サイドラー自体が競技用として開発された名残である。
……従来の人界軍の兵器から見れば、化け物じみた性能をしているが、あくまでこれは量産機に過ぎない。
———そして、僕の乗っているコレは、その中でも特別に強化された、至高の一品。……まあ、元々もうちょっと高価な僕の専用機だって、あったわけだけど。
『セン!……本当にこっちで合ってるでヤンスか?』
無線より聞こえたノイズ混じりの、ヤンスの声。
「……ああ、うん、間違ってたって建物ぶっ壊せばいいだけだから大丈夫……だと思う」
『強引でヤンスね……まあできかねないところが怖いんでヤンスが……』
「……ヤンス、くいな。……そろそろ目標地点だ。…………兵装準備、一斉掃射の用意を」
『…………セン、いつもに増して……怖いね……』
「そりゃあ……そうだ。ここは戦場だ、気を抜いたら———僕たちが死ぬ。特に、自分自身の力で、魔力障壁も神力障壁も張れないヤンスは……そのリスクが高いから」
『そんなんなくても、このサイドツーを使いこなして、必ず作戦を成功に導いてやるでヤンスよ!』
「……はいはい、いくら成績がダントツで1番だったからって、あんまり調子に乗らないでよ、もしものことがあったらアレだから」
そうして、僕が率いるサイドツー15機の第一機動部隊は、アルファポイントへの入り口———閉ざされた鉄の壁へと辿り着く。
「……Cキャノン、爆裂刻印概念弾装填式、用意!
…………撃てーーーーっ!!!!」
僕の掛け声と共に、赤に塗られた小銃型の概念弾放出機構装備式銃より、ただ単発の弾が放たれる。
高速にて放たれたその弾は、鉄の壁に突き刺さるやいなや———、
爆発した。
紙を破るように鋭く、そして大きな音を立てながら、その爆発反応は次々と連鎖してゆき、ついには鉄の壁をも———突き破った。
そう、この威力、この技術こそが……今の人界軍、今の西大陸東部連合の実力なのである。
『……さっすが、改良型Cキャノンでヤンスね……俺たちがヤバくなったら、後ろからソレで援護頼むでヤンスよ』
「……うん、いざとなったら……この力で終わらせる」
鉄の扉の先、地下への道は開かれた。
またここに、突撃してゆく部隊が一つ。
その部隊が相対したのは———。
「こんにちは、人間の皆さん?……オリュンポスはどうですか、美しいですか?……そうですよねえ、そうでなくては! なんせ私の有る都市なのだから!!」
……と、いきなり住んでるところ自慢大会を繰り広げた、美しき女だった。
……いやいやいや、何なんだこの人。急にここに現れて———って、まさか話に聞いたゴルゴダ機関……っ?!
「非戦闘員……?……ならば、ここは戦わずに保護するしか……」
『でっ……でもセン、コイツ……この鉄の扉の中にいたんでヤンスよ?……何か、何かよからぬ胸騒ぎがしやがるでヤンス』
「……そうだね、……でも、意思の疎通は図るべきだ。理由もないのに殺すなんて、そんなのは……ダメだから。
それじゃあ、アイツは———報われない」
感想 203
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさんパーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
黄金の艦隊 マネー・パワーで歴史を変える男
俊也「平和を金で買えるなら、それに越したことはない。
戦争が避けられないなら、せめて日本が負けない力を金で買おう」
1930年代より世界経済の混乱に乗じて自らの海運会社を急成長、新興財閥を立ち上げた男の、重課金架空戦記!??
姉妹作
「零戦戦記」
「総統戦記」
も、よろしくお願いします。