162 / 256
断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-セン: 一触即発(一触既発)
しおりを挟む
そうか、この男が———ゴルゴダ機関、その元締め———!
『つまり、あなたを倒した先の道は、機神へと繋がっている、と』
「———知りたいのならば、我が身を打ち砕き後試してみよ。もはやこちらも後へは戻れぬ。……手駒を消費し切った後なので、な」
「やはりゴルゴダ機関隊員をロストに使っていたか———全く、どこまでも気色悪いヤツらだ」
———場の空気が、鉄のように冷たく重く変貌する。
それは誰かの覇気ではない、あの男———レインの重圧なのだ。
眼前にてただ有るだけで、そびえ立つ山の如き威圧を放つ男。
その覇気だけでも気絶してしまいそうなほどに、僕たち2人はそれに気圧されていたのだ。
……と。
「さあて……どうする?……貴様らは我が主に逆らった身———抗いには贖いを、どのような方法でその罪を拭う、人類よ?」
「どのような方法———そうだな、ちょうど俺も、どのような方法で貴様を嬲れば、機神への道を聞けるか模索していたところだ」
イデアさんが———その口で反撃し始める。
「話がまるで噛み合っていないではないか、やはりマトモに意思疎通も叶わぬ野蛮な下等生物、東大陸のゴミ溜めが貴様らにはお似合いだ。
……もっとも、貴様らの首は全て、我が主へと捧げるのだが」
「同じ人間、本質的にはどこも変わらんと言うのに———機神らに植え付けられた優生思想によって、自分らの方が上だと思い込んで驕り高ぶりやがって……どこまでも傲慢で滑稽で、自分勝手なスィナーだよ、貴様らは」
「我が身体は既に魂の枷を越え、神への道へと至った聖体。……傲慢で滑稽とは、その神への道も侮辱することになるが———」
「ならばますます滑稽じゃないか、神への道へと至った誰かさんが、こんなゴミ溜めのカスとまともに話し合ってくれるとは!……どこまでも滑稽だ、呆れすぎて笑いも起きん」
「なぁらば殺り合うか、下等生物に相応しい敗北の道を、貴様には未来永劫見せ続けてやろうとも。
貴様の首はお預けだぁ、なぜなら貴様はこの戦いにて敗北を期し、永遠にロストとして生き地獄を味わい続けるからだ……!」
「……っふ、ふはは、ははははははっ!!……ならばこちらも同意見だ、貴様のようなヤツとソリが合うなどとは俺ながら腹立たしいが……それでも貴様とはとことん殺り合いたい!
一切合切全て確実に殺し切ってやるぞ、プリーストっ!!!!」
気圧されていたのは、僕だけだったらしい。
一触即発、そんな状況はたった今終わりを告げた。
「……セン!……俺は久々に血が激ってきた!……勝手に暴れさせてもらうぞ……!」
『いやいやいや、勝手に暴れ回って勝てるような相手じゃないでしょうアレ……!』
さっとサイドツーの肩より飛び降りたイデアさんは、次の瞬間既にレインの爆剣と拮抗していた。
「ぎぃ……!」
———がしかし、組み合っているイデアさんの背後より迫り来る『影』が。
『C-キャノン、次弾装填、砲身冷却完了』
Cキャノンと魔力式伝道接続されたサイドツーの、その操作系より漏れ出す機械音声。
———がしかし、概念弾は使わない。
操作系を少しばかり弄り、簡易換装の用意を進める。
『C-キャノン、自動小銃形態へ移行』
わずか2秒。
その間にも、イデアさんの背後よりには影が未だ有る。
『残り弾数:30』だのと曰う機械音声、次秒でディスプレイ上には、円状の残弾数表示が現れる。
煙で敵が見えない———そんな些細な問題も、サーモグラフィーカメラで既に克服済だ。
無駄な迷いはいらない、必要とあらば———イデアさんだって切り捨てる。
だが、最善は尽くす。これはイデアさんがそれを察知するだろうと踏まえての攻撃だ。
何の躊躇いもなく、その引き金をそっと引く。
『つまり、あなたを倒した先の道は、機神へと繋がっている、と』
「———知りたいのならば、我が身を打ち砕き後試してみよ。もはやこちらも後へは戻れぬ。……手駒を消費し切った後なので、な」
「やはりゴルゴダ機関隊員をロストに使っていたか———全く、どこまでも気色悪いヤツらだ」
———場の空気が、鉄のように冷たく重く変貌する。
それは誰かの覇気ではない、あの男———レインの重圧なのだ。
眼前にてただ有るだけで、そびえ立つ山の如き威圧を放つ男。
その覇気だけでも気絶してしまいそうなほどに、僕たち2人はそれに気圧されていたのだ。
……と。
「さあて……どうする?……貴様らは我が主に逆らった身———抗いには贖いを、どのような方法でその罪を拭う、人類よ?」
「どのような方法———そうだな、ちょうど俺も、どのような方法で貴様を嬲れば、機神への道を聞けるか模索していたところだ」
イデアさんが———その口で反撃し始める。
「話がまるで噛み合っていないではないか、やはりマトモに意思疎通も叶わぬ野蛮な下等生物、東大陸のゴミ溜めが貴様らにはお似合いだ。
……もっとも、貴様らの首は全て、我が主へと捧げるのだが」
「同じ人間、本質的にはどこも変わらんと言うのに———機神らに植え付けられた優生思想によって、自分らの方が上だと思い込んで驕り高ぶりやがって……どこまでも傲慢で滑稽で、自分勝手なスィナーだよ、貴様らは」
「我が身体は既に魂の枷を越え、神への道へと至った聖体。……傲慢で滑稽とは、その神への道も侮辱することになるが———」
「ならばますます滑稽じゃないか、神への道へと至った誰かさんが、こんなゴミ溜めのカスとまともに話し合ってくれるとは!……どこまでも滑稽だ、呆れすぎて笑いも起きん」
「なぁらば殺り合うか、下等生物に相応しい敗北の道を、貴様には未来永劫見せ続けてやろうとも。
貴様の首はお預けだぁ、なぜなら貴様はこの戦いにて敗北を期し、永遠にロストとして生き地獄を味わい続けるからだ……!」
「……っふ、ふはは、ははははははっ!!……ならばこちらも同意見だ、貴様のようなヤツとソリが合うなどとは俺ながら腹立たしいが……それでも貴様とはとことん殺り合いたい!
一切合切全て確実に殺し切ってやるぞ、プリーストっ!!!!」
気圧されていたのは、僕だけだったらしい。
一触即発、そんな状況はたった今終わりを告げた。
「……セン!……俺は久々に血が激ってきた!……勝手に暴れさせてもらうぞ……!」
『いやいやいや、勝手に暴れ回って勝てるような相手じゃないでしょうアレ……!』
さっとサイドツーの肩より飛び降りたイデアさんは、次の瞬間既にレインの爆剣と拮抗していた。
「ぎぃ……!」
———がしかし、組み合っているイデアさんの背後より迫り来る『影』が。
『C-キャノン、次弾装填、砲身冷却完了』
Cキャノンと魔力式伝道接続されたサイドツーの、その操作系より漏れ出す機械音声。
———がしかし、概念弾は使わない。
操作系を少しばかり弄り、簡易換装の用意を進める。
『C-キャノン、自動小銃形態へ移行』
わずか2秒。
その間にも、イデアさんの背後よりには影が未だ有る。
『残り弾数:30』だのと曰う機械音声、次秒でディスプレイ上には、円状の残弾数表示が現れる。
煙で敵が見えない———そんな些細な問題も、サーモグラフィーカメラで既に克服済だ。
無駄な迷いはいらない、必要とあらば———イデアさんだって切り捨てる。
だが、最善は尽くす。これはイデアさんがそれを察知するだろうと踏まえての攻撃だ。
何の躊躇いもなく、その引き金をそっと引く。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる