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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-レイ: 進撃
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「サイドツー……発進!」
ディスプレイに表示されたCキャノン残弾数、13発。
武装はそのCキャノンと、魔動力回転式刃1本のみ。
『残り弾数———』
残弾表示を確認した瞬間、すかさずマガジンを切り替える。
……とは言っても、生身では刀で戦う身、どうせ主武装は回転式刃になるのだろうが。
「ヤンス、魔力機関の調整及び領域中和は……頼んだわよ」
領域中和。
魔力機関の擬似魔力障壁を用いて、魔力及び神力領域を中和する、だとかいう荒技だ。
———つまり私は、ヘキが特殊な魔力及び神力領域を展開し続けていると考えたわけだ。
「……どんな考えがあるかは知らないでヤンスが、俺は俺のできることを精一杯やるのみでヤンスよ。……じゃないと、俺はセンに顔向けできないでヤンスから。
……それに、先に散った———イデアさんにも」
サイドツーの背より、回転式刃を取り出す。
いつでも斬り込む準備は万端だとも。
右腕しかないサイドツー、だけど私にとっては———それが1番の体制だった。
「どうしたぁっ!……そんなもんだったかあ、貴様の力はぁっ!!!!」
「……ええ、守りは出来ましたが、力はあまりないもので」
「元カーネイジたぁ思えねえセリフだなあっ!!!!」
あまりにも高速にて繰り返される、剛腕と爆剣の拮抗状態。
もはやヘキすらも、こちらの存在に勘付いていないほどであった。
———ならば。
「…………っ」
絶好のタイミング、クラッシャーの攻撃が途切れたその一瞬、その刹那が、私が破って入れる時間だ。
敏速に展開される現場を見極め。
針の穴に糸を通すが如く、細心に的確なタイミングで踏み出し———。
「これはこれは……まさかの参戦、ですか……」
それでも尚ヘキは、回転式刃とクラッシャーの剛腕を、その両手に構えた2本の爆剣で抑えつけていたのだ。
「ほぉ……テメェ等、とっくの昔にくたばったと思ってたが……」
『くたばった、ですってえ……?……こんなところで立ち止まってられるわけ、ないでしょ……っ!』
回転式刃は、爆剣を形作る鉄をも優に削ってゆく。
それを見かねたヘキも、さっさと爆剣を抜こうと動き出すも———。
……様子がおかしい、もう気付かれたのか、領域中和に!
「これはまずいですね、近くにいると———」
『やっぱりそうだったってワケね、ヘキっっっ!!』
手の内は読めた。
……やはりそうだった。
あの時、私の体を貫いた変容魔力障壁、それはヘキの体に棘が生えてくるように唐突に現れたのだ。
私だって驚いた、なんせあまりにも唐突にそれらは現れたのだから。
でも、そうだ。そのヘキの身体を覆っていた魔力障壁が、元からあったものだと考えるのなら。
そして何より、ヘキが領域中和に反応したと言うことは。
そう、ヘキの身体には、硬すぎて攻撃が通らなかった、のではない。
その身体に巡らされた魔力領域によって、与えられた衝撃全てを受け流していたのだ。
……ならば、後はただ攻めまくるのみだ。
領域中和のお陰で、ただ攻めるだけでも勝手にヤツの魔力領域は古いメッキの如くボロボロと剥がれ落ちてゆく……!
『ふんあぁっ!!』
片腕のみ、とても五体満足とはいかない身体でもなおサイドツーは、その全身を震わせ動かし続ける。
もはやここまで来たら気合い比べ、根性のみでごり押すしか手段は———。
その時、手が止まった。
というよりも、体全体が———動かなくなったのだ。
「……レイさん?! 急に止まってどうしたでヤンスかあっ?!」
声を出そうと、必死にのたうちまわろうともがくも、身体が反応を許さない。
『……やっぱりテメェ、本当はくたばってるんじゃねえのかよっ!』
クラッシャーからの一言。
反論しようと口を動かすも、声は出ず。
そうこうしているうちに、頭の中が霧に包まれてきた。
なんだか———意識が、この身体から徐々に離れていっているような感覚が続いて———。
ディスプレイに表示されたCキャノン残弾数、13発。
武装はそのCキャノンと、魔動力回転式刃1本のみ。
『残り弾数———』
残弾表示を確認した瞬間、すかさずマガジンを切り替える。
……とは言っても、生身では刀で戦う身、どうせ主武装は回転式刃になるのだろうが。
「ヤンス、魔力機関の調整及び領域中和は……頼んだわよ」
領域中和。
魔力機関の擬似魔力障壁を用いて、魔力及び神力領域を中和する、だとかいう荒技だ。
———つまり私は、ヘキが特殊な魔力及び神力領域を展開し続けていると考えたわけだ。
「……どんな考えがあるかは知らないでヤンスが、俺は俺のできることを精一杯やるのみでヤンスよ。……じゃないと、俺はセンに顔向けできないでヤンスから。
……それに、先に散った———イデアさんにも」
サイドツーの背より、回転式刃を取り出す。
いつでも斬り込む準備は万端だとも。
右腕しかないサイドツー、だけど私にとっては———それが1番の体制だった。
「どうしたぁっ!……そんなもんだったかあ、貴様の力はぁっ!!!!」
「……ええ、守りは出来ましたが、力はあまりないもので」
「元カーネイジたぁ思えねえセリフだなあっ!!!!」
あまりにも高速にて繰り返される、剛腕と爆剣の拮抗状態。
もはやヘキすらも、こちらの存在に勘付いていないほどであった。
———ならば。
「…………っ」
絶好のタイミング、クラッシャーの攻撃が途切れたその一瞬、その刹那が、私が破って入れる時間だ。
敏速に展開される現場を見極め。
針の穴に糸を通すが如く、細心に的確なタイミングで踏み出し———。
「これはこれは……まさかの参戦、ですか……」
それでも尚ヘキは、回転式刃とクラッシャーの剛腕を、その両手に構えた2本の爆剣で抑えつけていたのだ。
「ほぉ……テメェ等、とっくの昔にくたばったと思ってたが……」
『くたばった、ですってえ……?……こんなところで立ち止まってられるわけ、ないでしょ……っ!』
回転式刃は、爆剣を形作る鉄をも優に削ってゆく。
それを見かねたヘキも、さっさと爆剣を抜こうと動き出すも———。
……様子がおかしい、もう気付かれたのか、領域中和に!
「これはまずいですね、近くにいると———」
『やっぱりそうだったってワケね、ヘキっっっ!!』
手の内は読めた。
……やはりそうだった。
あの時、私の体を貫いた変容魔力障壁、それはヘキの体に棘が生えてくるように唐突に現れたのだ。
私だって驚いた、なんせあまりにも唐突にそれらは現れたのだから。
でも、そうだ。そのヘキの身体を覆っていた魔力障壁が、元からあったものだと考えるのなら。
そして何より、ヘキが領域中和に反応したと言うことは。
そう、ヘキの身体には、硬すぎて攻撃が通らなかった、のではない。
その身体に巡らされた魔力領域によって、与えられた衝撃全てを受け流していたのだ。
……ならば、後はただ攻めまくるのみだ。
領域中和のお陰で、ただ攻めるだけでも勝手にヤツの魔力領域は古いメッキの如くボロボロと剥がれ落ちてゆく……!
『ふんあぁっ!!』
片腕のみ、とても五体満足とはいかない身体でもなおサイドツーは、その全身を震わせ動かし続ける。
もはやここまで来たら気合い比べ、根性のみでごり押すしか手段は———。
その時、手が止まった。
というよりも、体全体が———動かなくなったのだ。
「……レイさん?! 急に止まってどうしたでヤンスかあっ?!」
声を出そうと、必死にのたうちまわろうともがくも、身体が反応を許さない。
『……やっぱりテメェ、本当はくたばってるんじゃねえのかよっ!』
クラッシャーからの一言。
反論しようと口を動かすも、声は出ず。
そうこうしているうちに、頭の中が霧に包まれてきた。
なんだか———意識が、この身体から徐々に離れていっているような感覚が続いて———。
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