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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
聖槍対神刀
しおりを挟む「ようやく見つけたぜ……刹那っ!」
『まさか———あの呪いの渦を、乗り越えてしまうとは……
……ならば、最終決戦と行きましょう。私が残した唯一の過ちに、終止符を』
次第に大きくなりゆく神力の渦。高まる機運に、勝てはしないとすくむ、俺の足。
この場にいるほとんどが人智を超えた存在だというのに、俺だけが———人間の範疇の中に収まっている。……その事実が導く、敗北の道。
「コイツを使うのは後になりそうだな……
アテナ!……ゼウスのヤツは任せた!」
「もち……ろん! お父様、とめるっ!」
『我が胸に還れ、創世武装———聖槍ロンギヌスッ!』
刹那がそう口にした瞬間、刹那の右腕にどこからか二股の巨大な槍が飛来する。
……俺の視点からでも分かるほどの、あまりにも禍々しい神力を纏ったその概念武装。もはや聖槍とは呼び難いモノであった。
『殺し合おう、雪斬白郎。……雪斬宗呪羅———その残滓に、私は刃を突き立てよう』
「———ならば俺もだ。雪斬宗呪羅———師匠の残り滓の掃除と行こう。
もう俺の知っていた、俺だけの師匠は———死んださ。……受け入れる。
神威———概念封印、解除。魔力器官、接続。五十三神同時多発連撃、解除。
背水の陣、極ノ項———全種並列接続使用。
本気で、終わらせる」
そして。神の光を纏った、2つの閃光は———激突する。
互いの軌跡を振り払い、確実にここで決着をつける為に、その為だけに刀を振るい、その為だけに力を込める。
疾風怒濤なまでの勢いを以て、一瞬にして展開されてゆく両者の戦い。
隙を、隙を。幾度となく両者の隙を出し抜こうとする行動が、何度も何度も繰り返される。
「信じるのは———己の剣のみっ!」
今まで培ってきた、ありとあらゆるモノを出して。
怒りをも原動力に、俺は思いっきり地面を踏み付け駆け出す。
鮮やかな曲線を描きながら、両者の刃は衝突を繰り返す。
それ一つ一つが、両者の考え抜いた挙句の攻撃であるという事実は、ソレを側から見ていたアテナとゼウスの心さえも揺り動かしてみせるであろう。
『…………また一段と……強くなりましたね』
「今は思い出話、してる場合じゃねえぇえっ!」
俺が神威を振りかぶる度に突風が地を駆け、刹那が槍を振り回す度に稲妻が天井を裂く。
一瞬の閃光。人間が出せる実力の全ての輝きを、一瞬に集結させたかのような、叡智と研鑽の賜物とも言える光は、瞬く間に点滅を繰り返していた。
もはやどう動いているかも読み取れぬ刹那の足。あまりにも早すぎる攻防が続き、しかしいつまで経とうとも決着は付かない。
互いに引けぬ、絶対に引けぬ信念があるが故の結果———だが。
『ふっ……!』
「にっ!」
互いの刃は、一瞬の隙を以て静止する。
ほとばしる俺の強き想い。今まで様々な人から託され、様々な人の想いを継いだ俺の想いは、もはや刹那をも軽々と凌駕していたに違いない。
———がしかし、刹那は武器の性能、数千年にも渡る、悠久にも等しい時を生きてきた経験のみで渡り合えていた。
これらの要素を差し引いてなお、俺たちの勝負は五分と五分……のはずであった。
「ん……ぶっ……っ!」
一瞬にして刹那より後退し、距離を取った瞬間———後退の瞬間に吐血する。
そう、俺たちの勝負の雌雄を決したのは、俺の使っていた魔術式、背水の陣———極ノ項。
その負担は、あまりにも……大きすぎたのだ。
『もう……終わりとは……拍子抜けもいいところよ……』
「ちく……しょう、俺は……ここ、までってのかぁっ!」
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