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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜
Side-レイラ: 緊迫攻防
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「っ、カーオっあ———、っ……!」
声にならない、あっしの声。
痛みに悶え喘ぐその様、自分から見ていてもどれほど無様だったろうか。
「ほ~んっと、バカよ、バカ!
ここまでなんて、もう笑いも出てこないぐらいよ!」
そう———だった。
ラースは、ソウルレス……だった。あの場で再生するのを見ていたと言うのに、なんであっしは忘れていたのだろうか。
自らのアホさ加減が、恨めしい。
なんで……こんな、ところで……足引っ張るかなぁ……!
「どお、どお? 胸の真ん中、鎌で釣られた気分!……聞かせて、聞かせてみせてよ、ねえったら!!」
「…………っ、史上……最っ高に、最っ悪な…………気分、っすよ……!」
「あら、そう。
ならもっと、深くまで刺してあげるねっ!」
「っ———あああああああああっ!!!!」
叫び声———ですらなかった。微かに残った残り滓を搾り出すような、そんな心の底からの叫び声。呻きだ。
「………………ああ! ようやく……いい声ってもんじゃない! あははははははっ!」
「くる……っ、て……狂って、る…………っすよ、お……前…………!!」
「狂ってるぅ?……っはは、狂ってる、だってえ! 今更ぁ?」
「自覚、あっ……たん、すね……」
「何言ってるの、狂ってるわけ……ないじゃない……!
私は正常、普通! ちゃんと任務を達成できてる、偉い子なの!」
———なんだ、その感じは。
まるで子供じゃないか。
……自らの状態の異常さ、倫理観の欠如すら自覚できず、命令に———任務をこなすことこそ『偉いこと』だと認識して、そしてそれをできている自分を『偉い子』だと自賛する……
子供———なのはそうだが、コレを狂っていると言わず何と言う。
「一応…………聞く、けど……お前は…………何の、ために……戦ってるん……すか……?」
「最後の最後に、聞くことがソレ? 神様に祈らなくてもいいの~?」
……その神様が、自分たちの側にいることも知っているくせに。
「…………はあ、どれだけ物好きなんだか。私は———」
今しかない。どう見ても、ヤツは油断している……!
「———っ!」
そう、ここまで大鎌に貫かれ、そのまま放置とされてきたわけだが、あっしは今の今まで手放さなかった、コイツを。
だからこそ見える勝機。後は関係ない、今だけを見て、コイツを使う……!
「……っ、何……って、鎌が…………っ!」
大剣———その重さをもって、何とかその鎌の持ち手を歪ませ、断ち切ったはいいものの。
「っはあっ!……あっ……うぅう……っ!」
……とは言えど、以前鎌の先端はあっしの胸に突き刺さったまま。動くだけでも、意識が途切れそうになるほどの激痛が走る。
「———鎌がなくなったけど……まあいっか、どうせそっちは虫の息。
十時剣だろうと、お前みたいな雑魚は簡単に殺せる……! 私に逆らった罰よ、その命で償ってっ!」
両腕、合計6本もの十時剣を、指と指の間に構え、こちらに突進するラース。
……どう、すべきかと。
それをほんの少し考えた後、あっしは———。
「…………ラースッ!
お前は一体、何のために戦ってるんすか!」
ダメ元———と言うか、苦肉の策というか。
もはや普通にやり合っても勝てるはずがない、だから……せめてこうやって、少しでも時間を稼ぐことにしたんだ。
声にならない、あっしの声。
痛みに悶え喘ぐその様、自分から見ていてもどれほど無様だったろうか。
「ほ~んっと、バカよ、バカ!
ここまでなんて、もう笑いも出てこないぐらいよ!」
そう———だった。
ラースは、ソウルレス……だった。あの場で再生するのを見ていたと言うのに、なんであっしは忘れていたのだろうか。
自らのアホさ加減が、恨めしい。
なんで……こんな、ところで……足引っ張るかなぁ……!
「どお、どお? 胸の真ん中、鎌で釣られた気分!……聞かせて、聞かせてみせてよ、ねえったら!!」
「…………っ、史上……最っ高に、最っ悪な…………気分、っすよ……!」
「あら、そう。
ならもっと、深くまで刺してあげるねっ!」
「っ———あああああああああっ!!!!」
叫び声———ですらなかった。微かに残った残り滓を搾り出すような、そんな心の底からの叫び声。呻きだ。
「………………ああ! ようやく……いい声ってもんじゃない! あははははははっ!」
「くる……っ、て……狂って、る…………っすよ、お……前…………!!」
「狂ってるぅ?……っはは、狂ってる、だってえ! 今更ぁ?」
「自覚、あっ……たん、すね……」
「何言ってるの、狂ってるわけ……ないじゃない……!
私は正常、普通! ちゃんと任務を達成できてる、偉い子なの!」
———なんだ、その感じは。
まるで子供じゃないか。
……自らの状態の異常さ、倫理観の欠如すら自覚できず、命令に———任務をこなすことこそ『偉いこと』だと認識して、そしてそれをできている自分を『偉い子』だと自賛する……
子供———なのはそうだが、コレを狂っていると言わず何と言う。
「一応…………聞く、けど……お前は…………何の、ために……戦ってるん……すか……?」
「最後の最後に、聞くことがソレ? 神様に祈らなくてもいいの~?」
……その神様が、自分たちの側にいることも知っているくせに。
「…………はあ、どれだけ物好きなんだか。私は———」
今しかない。どう見ても、ヤツは油断している……!
「———っ!」
そう、ここまで大鎌に貫かれ、そのまま放置とされてきたわけだが、あっしは今の今まで手放さなかった、コイツを。
だからこそ見える勝機。後は関係ない、今だけを見て、コイツを使う……!
「……っ、何……って、鎌が…………っ!」
大剣———その重さをもって、何とかその鎌の持ち手を歪ませ、断ち切ったはいいものの。
「っはあっ!……あっ……うぅう……っ!」
……とは言えど、以前鎌の先端はあっしの胸に突き刺さったまま。動くだけでも、意識が途切れそうになるほどの激痛が走る。
「———鎌がなくなったけど……まあいっか、どうせそっちは虫の息。
十時剣だろうと、お前みたいな雑魚は簡単に殺せる……! 私に逆らった罰よ、その命で償ってっ!」
両腕、合計6本もの十時剣を、指と指の間に構え、こちらに突進するラース。
……どう、すべきかと。
それをほんの少し考えた後、あっしは———。
「…………ラースッ!
お前は一体、何のために戦ってるんすか!」
ダメ元———と言うか、苦肉の策というか。
もはや普通にやり合っても勝てるはずがない、だから……せめてこうやって、少しでも時間を稼ぐことにしたんだ。
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