Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

Side-レイラ: 緊迫攻防

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「っ、カーオっあ———、っ……!」

 声にならない、あっしの声。
 痛みに悶え喘ぐその様、自分から見ていてもどれほど無様だったろうか。

「ほ~んっと、バカよ、バカ!
 ここまでなんて、もう笑いも出てこないぐらいよ!」

 そう———だった。
 ラースは、ソウルレス……だった。あの場で再生するのを見ていたと言うのに、なんであっしは忘れていたのだろうか。

 自らのアホさ加減が、恨めしい。
 なんで……こんな、ところで……足引っ張るかなぁ……!

「どお、どお? 胸の真ん中、鎌で釣られた気分!……聞かせて、聞かせてみせてよ、ねえったら!!」

「…………っ、史上……最っ高に、最っ悪な…………気分、っすよ……!」

「あら、そう。
 ならもっと、深くまで刺してあげるねっ!」

「っ———あああああああああっ!!!!」

 叫び声———ですらなかった。微かに残った残り滓を搾り出すような、そんな心の底からの叫び声。呻きだ。

「………………ああ! ようやく……いい声ってもんじゃない! あははははははっ!」

「くる……っ、て……狂って、る…………っすよ、お……前…………!!」

「狂ってるぅ?……っはは、狂ってる、だってえ! 今更ぁ?」

「自覚、あっ……たん、すね……」

「何言ってるの、狂ってるわけ……ないじゃない……!

 私は正常、普通! ちゃんと任務を達成できてる、偉い子なの!」


 ———なんだ、その感じは。
 まるで子供じゃないか。

 ……自らの状態の異常さ、倫理観の欠如すら自覚できず、命令に———任務をこなすことこそ『偉いこと』だと認識して、そしてそれをできている自分を『偉い子』だと自賛する……


 子供———なのはそうだが、コレを狂っていると言わず何と言う。

「一応…………聞く、けど……お前は…………何の、ために……戦ってるん……すか……?」


「最後の最後に、聞くことがソレ? 神様に祈らなくてもいいの~?」

 ……その神様が、自分たちの側にいることも知っているくせに。

「…………はあ、どれだけ物好きなんだか。私は———」

 今しかない。どう見ても、ヤツは油断している……!

「———っ!」

 そう、ここまで大鎌に貫かれ、そのまま放置とされてきたわけだが、あっしは今の今まで手放さなかった、を。

 だからこそ見える勝機。後は関係ない、今だけを見て、コイツを使う……!

「……っ、何……って、鎌が…………っ!」

 大剣———その重さをもって、何とかその鎌の持ち手を歪ませ、断ち切ったはいいものの。

「っはあっ!……あっ……うぅう……っ!」

 ……とは言えど、以前鎌の先端はあっしの胸に突き刺さったまま。動くだけでも、意識が途切れそうになるほどの激痛が走る。


「———鎌がなくなったけど……まあいっか、どうせそっちは虫の息。

 十時剣だろうと、お前みたいな雑魚は簡単に殺せる……! 私に逆らった罰よ、その命で償ってっ!」

 両腕、合計6本もの十時剣を、指と指の間に構え、こちらに突進するラース。

 ……どう、すべきかと。
 それをほんの少し考えた後、あっしは———。


「…………ラースッ!

 お前は一体、何のために戦ってるんすか!」

 ダメ元———と言うか、苦肉の策というか。
 もはや普通にやり合っても勝てるはずがない、だから……せめてこうやって、少しでも時間を稼ぐことにしたんだ。
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