Wit:1/もしも願いが叶うなら〜No pain, no live〜

月影弧夜見(つきかげこよみ)

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断章Ⅱ〜最終兵器にアイの花を〜

願いと呪い

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「…………お……ま……え、は……」


『……本当に……本当に———迷惑をかけました……

 私のこと……ながら、貴方に謝罪しなければならないようです、白郎』


「まさか、本当に……本当に……そこにって言うのか……そうなんだな、!」


 ああ、この話し方、声色、呼び方……全部師匠のものだった。


『……あまり近付かない方がいいです。いつに戻るか、私にも分かりませんから』

「いや……でも…………そこ、に、いる……のは、師匠……なんだろ、師匠———なんだよな……?」


『———はい。

 ……いやあ、と同じですね、周りが血だらけ———だなんて、はは』


 ———久し、ぶりだ。
 そんな笑う顔を見たのは。

 ここ最近ずっと、不敵に笑う不気味な顔しか見てなかったから。

 そんな———昔の貴方みたいに、無邪気に笑ってみせたのを……とても懐かしく思って。

「ぁ…………ぅ、あぅ…………っ、」

『泣いて……いるのですか……仕方ありませんね、数年ぶりの再会なのですから。

 ———でも』


「で……も………………?」








『貴方は、私を———


 ……分かって、いますよね』



「———あぁ」


『よく聞いていてください。いつまで保つか分からないので。


 ……もう既に誰かから伝え聞いているかもしれませんが———この体は、無数の人間の呪い———魂より変質したソレによって、その命が肩代わりされている状態です。

 これを止めるには、一つしかない。……そう、その全てを———貴方が殺し尽くす、と言うことしか。


 ……だから……頼みます。この体を、何度も何度も何度も何度も、切り刻んで殺し尽くしてください。

 貴方には酷なことかもしれません。様々な思い出が邪魔をするかもしれません。

 ……でも、終わらせて———ほしいのです。


 貴方に託しましたよ、私の弟子の———貴方に。…………もちろん、『もう誰も傷付かない、みんなが笑顔で暮らせる世界』のことも———貴方には任せられる。

 雪斬流の教え———分かりますか?』


 教え………………アレかな。

「無辜の者を……守る剣。罪のない者に振るわないための———力」

『そう……ですね。

 ですが、もう私は———数えきれないほどの罪を重ねました。

 だから……殺してください。
 せめて最後は、貴方の手で逝きたいのです』





 












 本当に。
 本当に、それでいいのだろうか。


 俺は———俺だって、多分貴方より、数えきれないほどの罪を抱えている。

 何人だって殺した。何人だって切り裂いた。何人だって食べてきた。

 でも、こうして生きている。
 サナと話してて、分かったんだっけな……自分なりの幸せを見つけるために生きる。それを贖罪にする、って。


 師匠、貴方は———俺を救ってくれた。貴方がいなければ、俺はこんなところまでは来れなかった。

 だからこそ、その恩返しがしたい。いつもいつも、ずっとずっと考えていた。できることなら、生きているのなら、その恩返しをしたいんだって。


 ———でも、いるぞ。
 今そこに、師匠はいる。

 例え刹那の意識に紛れていたとしても、あの体の中に、師匠の意識は———ある。


 だったら、救ってやりたい。
 俺がしたのと同じように、師匠を———あの中から、助け出してやりたい。

 この俺の手で。例えどれだけ時間がかかったとしても、希望が見えたんだ。

 殺すわけには、いかない。償えない罪があると言うのなら、どれだけ長い時を生かしてでも償わせる。

 ……だから。


「…………いいや、ごめんな師匠。……その約束、守れないよ」

『———、残念です』


 ……いいや、残念に思わないような結果にしてやる。

 ここまで———ことごとく奇跡は起きなかった。
 ずっと、現実は非情で。俺に何度も何度も別れを経験させてきた。

 ……だったら、せめて最後くらいは———奇跡を起こしてやる。

 救ってやるんだよ、師匠を。



『…………お話は、終わりましたか?』






「———ああ。

 をブチ殺す決意は、整ったよ」
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