【R-18】異能幸運レアドロップでイキ抜く♡ピネスと校長の不気味なダンジョン冒険記Re:

山下敬雄

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【禁じられし書、血で燃え染めて、眠れし悪魔をも懐柔する】
【盗り分かち合うは悪魔の片眼、くだり誘われるは死神の青】
【我が慧眼に映るは真理成熟の色のみ、対なす追憶の空よ忘却の哀願に染まれ】

 それは虚仮威しではない。モンスターを使役するほどに、不思議なことに主の魔力が高まっている。無尽蔵にも等しく思える程の内在魔力、その上限値がゾクゾクと終わりなく膨らみ続けている。

「まっりょっくううううううとめろーーーー!!! プラチナをかめーーーー!!!」

 ミイラ男は訳の分からない念仏を聞きながらも理解した。自分のコレクションを全開放しないと、もはやいけないことに。

 全員で突撃、全員で斉射。包帯のナカに隠されたジュエルモンスターたちを宝石の檻から呼び起こす。ビオトープ内にある疑似太陽を覆い曇りゆく不吉な空の下、敵の手下として増え続ける影の軍団をその輝きで消し去らんとけしかけた。

 再び衝突し合うモンスターたち。膨らみ続けいつ破裂するかも分からないとてもイヤな予感のするプラチナ髪の術師、その者の企みを即刻止めるために、あるいは守るために。

 三つ丸まり並走していた影のイワマジロたちは転がり……やがて合わさり、巨大な一つの黒岩と化す。その黒岩と興奮気味に相撲を取ろうとしたモンスター、フンコロガシオパールを轢き潰し砕いた。

 浮かぶ影のキューブに逆さ吊りに留まっていたドクターコウモリは怪音波を発し、空から抜こうとするストロベリークォーツバメの編隊の飛行感覚を奪い、ふらふらと酔わせたように墜落させた。

 もはやジュエルモンスターに任せているだけでは足りない。包帯のリネンを乱舞させながら怒涛の勢いを見せる。冷たく染まる不穏な砂地を蹴散らし、行手を阻み纏わりつく影のモンスターを蹴散らし、痺れを切らしたミイラ男が猛進を始めた。

 そして悠長に傘を差したまま佇むその危険なプラチナ髪の術師へと、今にも噛み付かんばかりの怒涛の勢いで肉薄しようとする、だが──。


 ────────カラダがぷかぷかと浮いている。

 宙に、浮いている。

「【キャプチャーぁあぁりねっ!?】 あぁっ……???」

 ダイヤモンドの甲羅を背負う子亀が、のっそりと眠っていた包帯の隙間から首を出した。そして主と同じように首を傾げている。

 蠢きながら広がっていたのは、差していた傘が落とす黒影。その桁外れの魔力を含有する黒のエリアに迂闊に侵入しようものなら、発揮する異能【浮遊】の影響で、小亀を抱えた包帯男が間抜けに浮かばされても不思議ではない。

 足をばたつかせてそれでも前へと泳ぐ。そんな風に宙を必死に漂い始めた包帯男へと、はたき落とすように猫パンチをお見舞いする。ネコ科のモンスター2体が近づく珍妙な輩へとその素速い前足のジャブを浴びせ、プラチナ髪の主から遠ざけた。


異能
【波動】
【浮遊】
【カリスマ】
【書記】
そして【ネクロマンシー】と、右目に有する灰色の悪魔の眼。

 それら今持ち得る全ての技とチカラを合わせ──彼女にとって一番強く一番呪われし〝灰色の過去〟を今一度呼び起こし、この膨れ上がった膨大な魔力と共に唱えれば一体どうなるのか。


【曇天より来たれ灰色の青春、麗麗と降り注げ幻想の雨】


 深きより誘い導き出す答えは、太陽を消し熱砂を冷やし、灰色に曇りゆく天の下、傘を浮かばせ両手を広げワラい口ずさむ──その妖艶な唇の裏にあり。


「フッフ────【クラウディシャドウレイン】……」


 美しき悪魔の微笑みと共に、避けられない雨は降り注ぐ。

 アメンボサファイアは差すそのエメラルドのハスの葉の傘で凌ぐも、凌やしない。穴が開き黒く枯れ果ててしまう。雨宿りしていた青いアメンボはその細身長足ごと穿たれて尽きる。

 次々とカラフルに散乱する虹色の宝石が地に煌めき、激しく打ちつける雨粒の波紋が重なり、地に染みることなくその魔力と威力は果てなく広がっていく。

 にわかに降り頻るその爽やかな雨音に、もう──振り返ることはない。されど差す黒い雨傘は打たれて、今日も迷うことなく一歩一歩、先へと歩む。

 黒い傘を差した女は、青い波紋を追いかけて灰色に染まる砂漠をゆく。散らばった虹色の宝は、かき集めない。地に寝そべる狂愛のミイラ男への手向たむけとした────。


 この程度の必然、刹那的な勝利に酔いしれることはない。前へ前へと、成長をするのは青春のアオに溺れる生徒たちだけではない。

 プラチナ髪を靡かせ、灰色の瞳に眼帯を覆い直す。常に圧倒たるそのカリスマを放ち、トップに君臨し続け、迷える彼彼女らを導いていく。

 スペシャルな校長、不黒文。その秘められし底知れない魔力とチカラは、今もなお果てのない成長を続けている。
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