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第13話 秘刀名刀──名もなき秘められし涙
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時は日亜国花見の日からすこし遡る。
秘められし刀がまた一振り、神牙流の剣士の手へと──
【ムスイ編】
(秘刀緑蜜は雷夏にふさわしい…。あのとき見せたあのチカラ…あの速さ…アレは流水流、三剣にも劣らない…内なる獣となっていた。たいして今の私はなんとも中途半端だ)
(…なるほどな、ここでもか…壁というモノは私についてまわるようか)
(握りつづけ、天に手が届くのはほんの一握り。あるいは私こそが喰らう獣、雷夏にとって第一の壁にすぎなかった…か)
(あの剣を受けきれず完全に負けた今、誇れるモノはなんだ。剣を重ねて、研鑽を重ねて、私が偉いといえるのはいたずらに木剣と共に過ごした年月だけのものだ)
(身ひとつ剣ひとつで逃れの町に来たはずがどこに属すでもない、浪人…流浪の民)
「今日も寝ながらにして斬れません。あなたは私をかようにつかい…一体何が望みなのですか。いい加減に天というものを当主直々に教えてくださるのですか」
山の麓にある古い民家にやってきた────赤髪は白髪の老人を見た。相変わらずじっとベッドに横になっているが、見つめる老人のその目から逃れることができない。自分よりはるか格上の老いた剣士に対して、一介の剣士は従うしかなかった。
『ウツワ、』
か細い声でこちらに手を伸ばす老人がいる。また身勝手な指令があるのかもしれない。彼女は怪訝な表情で、伸ばしたその老いているようには見えない鬼神の手を取ろうとしたが────取っていたモノは、
『ミコ、トウガ、なにをしても神牙流をたおせ、さすればウツワは成し剣は成り、【天】と成りうる、』
いつも手にしてきた木剣ではない、預けられた手が鉄のように重い……。
「!? これは……。今コレを私が貰う、どういった意味でしょうか。成りうるのはどちらでッ」
じじいは笑っている。手にしたくすむ黄金の古鞘は青ではない、赤ではない、緑ではない。赤髪の女剣士にはとても似合わない代物であった。
(何より手痛く負けた自分が欲していたこの刀を…手にできる理由がない。しかし、御老体は神牙流をたおせとまた言うのだ。今度はとんでもないモノを授けて)
(私のような凡才がソレを受け取ったその意味が分からなくもなかった。とてつもない才をもつはずの娘、当主代行はあのザマであるからだ。自分を火種にし剣の正道へとまた戻すつもりなのだろう。恐ろしいが正しい流れだ。才ある者が剣をネムラセ埋もれる…それは私も1人の剣士として許しがたい。わざわざクビを取りにきた私を生かして敵としてこそこそと仕立て仕向ける、その親心に僅かに理解を示し協力もしよう──だがッッ)
「分かり…ました。しかし古井戸神子の…いえ神牙流の剣士の当て馬とて…私が勝ってしまったその場合は」
『…それ以上の時はない、12の剣をもってしてもその時は決して振れぬ訪れぬ、ナラバこれ以上振れない剣で忍び過ごすこともない、──今より13本目の秘刀と成れムスイ、』
「!? じゅう…さん…」
じじいは笑っている。
手にした黄金の鞘は、老剣士が手渡すにはあまりにも軽く、私が手にするにはあまりにも重い────────
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【牛頭梢編】
謎が謎を呼ぶ。
シデン・レイラがやってみたかった事パート2である。そう、ただのパート2。
謎から謎への謎のリレー、そのコンボが決まればとてつもなく……彼女はその瞬間興奮するというのだ。
そのなぞの意味が薄ければ薄い程に────
謎に呼ばれやって来た図書室にて。本校女子生徒の茶髪の背についていき、周りより背丈ノッポの彼女は本棚から本棚へと探し物をする。
あのとき喫茶店のテラス席に、風にのりとんできたのは、何かの本の1ページであった。
牛頭梢はその僅か1ページに残された微かな…同種のオーラのニオイを頼りにここまで辿り着いていた。喫茶店から来た道を後戻りし、緑蜜高校の休日の図書室へと。
「なにもなしあるがままになにもなしあるがままにまに、──これってわかる?」
「え? ……いやぁやぁ…『なにもなしあるがままに』なんてフレーズは…あったかなぁなはは(無知の知的なことかな? でもあるがままにはちょっと違うかなぁ?)」
高校2年生、小谷螺夢、図書委員は比較的人当たりとノリがいい、比較的見た目が栃木ギャルであるが、根は真面目であり不思議なことは好きだが不思議ちゃんは苦手である。
小谷螺夢は図書委員として仕方なしに、ダルメシアン柄のツナギを着たその不思議つ子、牛頭梢と共に52ページ目の破られた本を探している。
お腹を満たし風に吹かれたナポリタンの匂いから、今古めかしい図書室の本たちの落ち着くような匂いを摂取しながら。謎が謎を呼び、謎のリレーは意味ありげに続いていく。
【月山編】
「なるほどな、強いて言うならば好きな男のために…その男を強くするために強くなりたいか」
「そ、そうだけどぉー」
剣と剣、威勢声と威勢声でぶつかり合うだけではヘンに飽きてしまうこともある。間合いを取り、似合っていないその眼鏡を危ないからと外させ、素人の若い女に赤髪の女剣士は語らせたのであった。
しかし、予想以上に月山雨楽楽は意味のないことを喋り続けた。一種の惚気話である。剣を取る理由は、男のために強くなりたい、それだけではなくその男を強くしたいからという、聞いたこともないややこしい青春モノの事情であった。
「貴様はナニを言っている」
「ふふぅん──……は?」
セミロングの髪を意味もなく指先に弄りながら悦にいた月山に、ムスイはそう言い、続けた。
それを聞いた月山の表情はぽかーんと、10度程微妙に左に傾げた。
「そんな女の尻に隠れるひ弱な男は斬り捨てろ。なにが千葉ボーイだ、なよなよして聞かされるだけできもちわるい」
「はぁあ?? ひ弱じゃないんだけど! ダンジョンで助けてくれたときは滅茶苦茶かっこよかったんだからァ!!! きもちわるい? しらないのにはぁああああ!!!」
月山は突然噛み付く──。突然きた木剣は少しぼけっとしていた赤髪に振り下ろされた。さすがに豹変し突撃してきた彼女の謎の気迫にはその道玄人の女剣士とて驚き、木剣を慌てて合わせこたえるムスイであったが。
「な、なんだ…ん?ダンジョン」
打ち込まれた一直線な太刀筋よりも、引っかかるその言葉。幾度か調子に乗った青髪の獣から漏れ出ていた気のする言葉だ。
「はぁあああああ──あっ…」
「アレもよくダンジョンとたわけを言っていたな」
「だ、だんじょん…男女の、…千葉と栃木のアオハル問題なんだからァ!」
「どうでもいいッッ! ──丁度いい機会だ、こうも訳の分からないモノばかり私にだけ押し付けられていては癪だ。勝負してもらおうか緑蜜の女子高生ッッ」
鋭い太刀筋に──弾け飛び木剣は後ろへと舞った。
さっきまでの気迫はどこへやら、へし折れ、舞って、共に落ちたのか。離れて今、喉元に向けられた切先に月山は冷や汗がだくだくと流れる。
赤髪の剣士は先程よりも怒っているように見える。そしてさっきの一太刀は目に見えもしなかった──。いつの間にか握りしめていたはずの剣が剣でなくなっていたのだ。まだ続けるというのならば握ったこの短く軽い木屑で立ち向かう……イヤ、かなうはずはない。
我に返った月山雨楽楽は決して次の刃を構えてはいけないと悟る。
女子高生剣士は赤髪の女剣士にフリーズしながら構えていた。やがて、気迫のとうに失せた……虚空の剣をゆっくりと下ろしていった。
雷夏は大事な【夏ちゃんゼリープロジェクト】の用事をいったん済ませ、緑蜜道の駅前でカイトママの経営するクレープグレープグループから、また学校のダンジョンに帰還していた。
そしていつもの濁るシャボンの天、もぬけの青いステージに目立つ────
「雷夏ここにいたか」
「!? ──ほぉ、ムゥちゃんここにきたか」
風なびき佇む──その赤髪、その背は振り向かない。
思いもよらぬ客、剣客がダンジョン部室に入るとすぐそこに待ち構えていた。ジャージ姿の雷夏は驚きつつも、いつものように笑いながら返答をした。
「あまりふざけるな。本当にこの町は出鱈目ばかりだ…。──しかしこんな所で熱心に修行をしていたとはな、ここは空気が美味いな雷夏」
赤髪はおもむろに深呼吸をする。
彼女の背、挙動を見つめる雷夏には神妙な空気が流れていく。
いつもの調子で一歩一歩ずけずけと元気に近付いていたがその歩みを自発的に止める程に、雷夏には様子がおかしいと、なんとなく……見えていた。
(いつもと雰囲気が違うな…んや、ふむ、なかなか振り向かない背で語るのはおもったよりもかっこいい…ナ!)
「ほぉ、流水の美剣士もお初の?ダ~ンジョンが気に入ってくれたみたいか! うれしいがもっと後で絶対的に口説くヨテ」
「気に入らない──」
「んや──?」
水色の道着を来た赤髪は振り返る。
「【黄蜜】。その過ぎたるチカラ、自分だけだと思っていたか、──伊達者」
手にしていたのはくすむ黄金の鞘、いつの日かの勝負のように、雷夏がそうしていたように、地に水平に手持ち──スベらせてゆく。
それが何であるのか……。雷夏はなぜか前へと引き寄せられる己の身で感じ分かった。内なる剣が震えざわついてやまない。
黄色い鞘は失せて、刀身が今ギラリと妖しく輝き、久々の美味い空気を吸い久々に柄を人の手に握られて震えている。そして伸ばして向けた正眼の構え、しかしその切先はいつものようには待ちきれなく──全力で駆けていた。
「黄色い…ソレは…──真剣勝負ということか! そちらから来るとは、はっはっは! お初のダンジョンに興奮でもしたか!」
「ツァッーーーー勝負ではないッッ神牙流雷夏貴様を倒す!」
「はははいつの間にか私は神牙流と認められたんだなっ! して、逆の立場も悪くはないナッ」
「その余裕、その壁、叩っ斬るッッ!」
オーラとオーラはぶつかり合い剣士は冷静ではいられない。
青は渦巻き、青は轟く、
いつもの道場ではない。この亜空間のルール大自然に則り、剣士たちは深く呼吸し、いつも以上にパワーが漏れ出てしまう。オーラはより濃く彩られ敵を討つための妖しげな威力を刀身にノセて放つ。
黄蜜の切れ味に応じたのは緑蜜その刀。
二振りの秘刀名刀は今、時空を超え、錆びついたチカラの花火を咲かせ、その真なる牙を研ぎ合わせていく────────
▼
▽
『この剣をもってしても、負けた』
お互い真剣での勝負は意外にも呆気ないものであった。
雷夏の庭といえるダンジョンでは、勝手がちがう。手にした黄蜜を振るう度に急速に内在オーラを消耗し、外に晒す間にも妖刀と浅く紐付けられた身体の体力はみるみると消耗されていった。
亜空間の外、たとえば道場での通常の木剣を用いての剣闘、真剣でなければムスイの方がまだ何枚も上手と言えた。ダンジョンではなく現実と区分されるそこでは、出力するオーラは薄まり、Dスキルチップ技もろくに頭から取り出して放つことも出来ない。
しかし地球と繋がるが隔絶された亜空間であるダンジョンは勝手がちがい、空気がちがい、ルールがちがう。ここでの戦闘で雷夏に経験値でおおきく劣るムスイは圧倒的な威力を持つ秘刀を振いぶつけながらも、慣れぬ刀に振り回され……体力とオーラが先に尽き負けてしまったのであった。まるで剣に操られていた剣士のような様であった。
「どうしたいつにも増して何をそんなに怒っているのか知らないが、いつもより焦って攻めに転じた分、──弱かったぞ」
「くっ…」
青い芝生に片膝をついていたムスイはよろよろとふらつきながらも、立ち上がる。
「おいっ! 大丈夫か? そんな無理にっ──なんなら夏ちゃんが」
「──来るな、ッ……帰らせてもらっ────」
刀を黄色い鞘に仕舞い、背を見せどこかへ向かおうとしたところ────
千鳥足であるく赤髪の剣士ムスイはバタリと……前のめりに倒れてしまった。
雷夏はいそぎ倒れたムスイの元へ近づいていった。ひとまず仰向けに起こし容体を確認、腕のところどころに痣ができている──。
秘刀をつかい秘刀につかわれる……無理をしていた証拠が見受けられた。それは緑蜜を身に宿す雷夏自身もよく知る、秘刀に扱い慣れない内によく出る拒絶反応のようなものであった。
「気を失っている……。それにこれは中学高校のときの夏ちゃんの今は修行し薄まったスペシャルな痣だ。ということはこの刀もやはり同じ…ぶんるい? ムゥちゃんもダ~ンジョンから入場特典でもらっちゃったのか? ……はははいやはや、まったくぅ今日の流水の美剣士はすこしどころじゃなくおかしいな。んや、顔色もヤバヤバの優れていない────。夏ちゃんだ、今すぐ全速力で走ってダンジョンに来い、分かったな! 至急だシキュー海都生徒!」
すこし思わしくない容体を診て雷夏はジャージのポッケに潜ませていたスマホで、急ぎ、回復スキル持ちの海都へと連絡を入れたが、
「ダ~ンジョン★つながらないぞ雷夏ぅ! おバカ夏ちゃん! こいつにも…夏ちゃんの雷オーラを練り上げ込めてぇ、おっとぶち込んどけば──よいしょーーっ、マッ死なないだろ内側からの電撃心臓マッサージはははは」
ここはダンジョン、そう、入口と出口はつながってはいるが隔絶されている。さらに未知の高出力なエネルギー帯でジャミングされ地球への通信が現在事実上まったく不可能なのである。スマホは通信を必要としない計算アプリやゲームのテトマズぐらいしか起動できない鉄のおあそび板にすぎない。
基本的な事をうっかりか忘れていた。同時にそれ程に動揺していたらしいと、雷夏はじぶんでじぶんを笑う。
そして、
先ほどからカタカタと震え……。雷夏の方に引っ付こうと小刻みに近付く黄色い鞘を、望み通りその手に取り強引に、馬乗りになったムスイの鳩尾へと突き立て己の丁寧に編んだ雷電のオーラと共に捩じ込んだ──。
とりあえずの経験から基づくダンジョンでの応急処置を済ませた。その強引な納刀の際、びくりと魚のようにムスイの身体は幾度か海老反りになり跳ねた。だが、やがてその現象も収まり、息もちゃんとしている。
「んや、やはり刀はダンジョンに挑むための電池? ははは、ムゥちゃんの言う通り自惚れていたな。夏ちゃんだけではないようだ?」
そう思うとなんとなく仲間が増えたようでうれしくもあった。にんまりとした表情で美しく青い芝に広がる赤髪のコントラストと、瞳を閉じた彼女の顔をじっと見つめる────。
こんなに上から手強い赤髪を見下す光景はなかなか拝むことは出来ない。じーっと馬乗りになり特等席からご堪能を……。
しかし救命中であることを思い出した。念には念を尽くして念のためにムスイのためにできるだけ急いだ方がいいと、雷夏はすぐさま、まだ薄い寝息を立て眠るムスイの元から立ち上がった。
青髪は赤髪を野に一時捨て置き、役立たずのスマートフォンを片手に第イチ体育倉庫へとつながる跳び箱まで駆けていった。
心地のいい風に背を打たれる、追い風だ。
なぜだろう解放感。
ずいぶんとながく贅沢で開放的なビーチにいたはずなのに、こっちのほうがよりひとり自由におもえるのは、
空気が──うまい。
いきおいのついた自転車はカラカラと車輪を勝手に進める。細道の両サイド、田んぼの風景を突っ切るのもいいものだ。千葉ではできなかったぜいたくなことだ。
しかしそんな爽快サイクリングの最中に、予期せぬ振動をキャッチ、緑のブレザーのポッケから伝う。
青年をノセた自転車はいきおいを失う────────そしてまたカラカラと音を立て……その音の間隔を縮め、またいきおいを取り戻していく。
少年はあわてて旋回させた自転車で逆風の田んぼ道を引き返した────。
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▽▽▽
『うおっ起き──────じゃなくて…大丈夫すか?』
「ここは…」
「えっとダンジョンっすね…」
「ダンジョン……んー…ッ」
(夢のみずの中で溺れつづける私は…水面からしずんで伸ばされた何かをずっと握っていた……暗がりから目覚めると────赤に切り取られた海と砂、陽の景色が見える)
スイカテント内で寝ていた赤髪の剣士は2時間ほどの眠りから起きた。額にのっていた白い濡れタオルは緑のシートに落ちていく。
おもむろに上げた腰が、体がズキズキと鈍く痛む……。
おもわず顔をしかめる程に、この未体験の痛みがなんであるのかは────
「これ水っす」
水のペットボトルを手渡された。
緑のブレザーを着た黒髪の少年がすぐそばに居る。若々しい声をしている見知らぬ少年だ。
「……すまない、いただく」
数秒ペットボトルを握ったままその邪気の無さそうな黒目を見つめる……。やがて困った顔をした彼の手が離れて──ぼさついた赤髪はありがたくもらった飲料水で酷く渇く喉をうるおしていった。
そして間を置き、寝起きの人物と自分が落ち着きを取り戻したころに海都は彼女に話しかけた。
「先生にたのまれてここでえっと…看病! してました。1年D組の楽天海都…っす」
「せんせい…あー、そういえばヤツの高校か……雷夏のことだな?」
「ハイ…そっすね」
「そうだなまずは…たしか…カイトだったか、私はムスイだ」
気を遣ってか青年がそうしたようにお互いまずは自己紹介、水色の道着を着た赤髪は自身のことをムスイと名乗った。
「むすい? 赤い髪…あっ─99連しょ、あっ」
「なに? 今なんと言いかけた」
「いや! なんもっす…」
(この手の痣…刀がない…そしてあの……)
(不明なことは色々あるが、すこしおどおどしだしたこの少年に問う問題ではない。
スベテは己が選び挑み…犯したこと…私は……)
寝ぼけた思考に血を通わせながら沈黙を持て余していた……。ムスイが辺りを探すと、なにやら肌に貼り付いている違和感に気付く。道着のナカに折られた紙が入っていた。
おもむろに懐から取り出したそれをひろげ読み────くしゃりとその手に丸められた。
「────ふざけたことを……はぁ…だが、たしかにこのカラダは痛むな…。お前、痛みを回復できるのか?」
「え回復? 痛みを回復…それならたぶん俺の技なら…いちおうゥッ!? いてっ──」
問われた返答のさなか突然、押し倒されてしまい海都はムスイに何故かマウントポジションを取られている。
「すまないどうやら、私は【妖刀…】に呪われた身が胴から二つにならないためお前の身を借りねばならぬようだ。たしかにその辺りから何か認めず反発するように痛む……先生というだけあって全てが嘘ではないようだ」
「ど、どどういうこっ──」
「自分でもおかしいとは思う私は剣士として敗者でありながらも負けたからと死ぬようにはできていないようだ許せ。──む、なぜ既に勃っている? おい」
「いや、これはちがくて」
「先程の熱心な看病もその気だったというわけか、いいだろう」
「いやちが良く!? 待ってェ!! 回復するなら巻くま、クワッ!??」
海都のほそい手首は既にムスイの両手に捕らえられている。
悪化していく状況に目一杯の抵抗をするが、ぎりぎりと骨がきしみそうなほどの力で…びくともしない。
その攻防の最中、真顔からだんだんと──何故その女のひとはわらっているのか。
垂れ下がった赤髪の女が息を上げ抵抗しつかれた青年を、見下ろしている。
この流れはもうどうしようもない種類のものだ……と海都は悟ってしまった。
またしてもスイカテント内、このテントは何かを引き寄せナニかが起こる。
雷夏の書き残した回復系男子生徒取扱説明書に則り、乗り手を取り……てっとり早く挿入されていた──
赤髪の女は黒髪の彼に跨る。抵抗は疲れるだけで虚しく…掴まれている彼の両手は既にその万力を撥ね退けることをあきらめていた。
腕力で変えることのできない流れのまま、そのまま、訳も分からず襲われてしまった。
「あああああああ」
「よく声をあげるッ…ヤツだな」
「あぁああちょっとマ…あああああ♡」
「うるさいッッ、これぐらいのことでそんなに騒ぐな、ったくどうしようもないヤツだな、このままあと7分耐えて見せろ」
道着を脱いだ一糸まとわぬムスイは騎乗位で海都のペニスを捕まえて責め立てる。
激しく上下する腰を持ち上げ落とす、繰り返すピストン運動で……鍛えられた膣にきつく絡めとられ逃れようのない快感を上から与えられていく。
尻をパンパンと音立て落とす力強い女剣士の殴りつけるような騎乗位に、一介の男子学生が耐えきれるわけもなく……
「あぁあでりゅっそんなっあっ♡ムリですムリぃぃでりゅううう♡」
「ナッ…ん────」
海都は射精した。
膣に力を込めきゅっと締め上げるそのテクニックに青年のペニスからびゅるびゅるとザーメンが搾り出されていく。
回復オーラを含むザーメンがムスイの膣内にどぴゅどぴゅと注ぎ込まれ満たして癒していく──。
回復オーラは内側からパっと広がりじんわり…ムスイの身体を温めていった。
痛む患部は嘘のように急速に癒されていき痛みが穏やかになる。そして壊れかけていた己の身を貫かれ押し寄せ広がる未体験の至福、多幸感がムスイの全身にひろがっていく。
注ぎ込まれたあまりの魔法的快楽にぎゅっと青年の手首を握るチカラが強まる。あまりの激しい交合いに、海都は与えられる快感に追いつけずショートしている。
ムスイは我に返り手を離す、打ち負けてだらしのない顔をしている青年を見下ろしながら乱れた己の赤髪をかいた。
▼
▽
赤髪を水色のヘアゴムで束ねたオンナは捨てていた道着をゆっくりと羽織っていく。
そして倒れていた雄はおもむろに痛む腰を起こしながら、その赤髪の後ろ背を見つめながら。海都の痛む両手首には、悪霊にでも握られたかのような赤い痕がついていた。
(まだ少し、身体に痺れと違和感はあるが…書いてあった効能の通り本当にマシになったようだな。回復などという魔法のようなことを実際にこの身で体験することになるとは……これも隠されていた才能か)
「礼を言うカイト。どうやらすこし命拾いしたようだ」
「いてて……あっ、ハイ…それは…良かった…っす?」
「礼のかわりと言ってはなんだが…────スベテ話そう。それが何も持ち合わせていない私にできるせめてもの誠意だろう」
「いや別に良くなったのであれば俺はそれで……え、すべて? (…なにを?)」
背を向いていた赤髪は振り返る、おどろく海都の目を見つめながらやわらかく微笑んだ────。
▼
▽
女剣士はスベテを語りはじめた。
海都は何故自分に…と思いつつも彼女の話をよく聞いていた。
そしてここまで至った経緯あらすじがおおよそ分かり、海都自身がここに呼ばれた理由にもつながっていたのであった。
狭いテント内で座り向かい合う、赤髪が持つ湖のような色合いの青瞳は落ち着いている。
海都は相槌をうちながら彼女の話すことのひとつひとつに納得し、頷いていく。
「────────そんなことが…ってことは、その神牙流の…先生のあの緑の刀を奪うためにその流水流から来たってわけすか。はぁ。なんか、俺にはぜんぜん想像も」
「馬鹿げているとは思うか? しかし秘刀の奪い合いは今もひっそりと続いているらしい。私が流水流の当主から聞いたところだ」
「そうなんすか…秘刀…」
「流水流を出ていくかわりにここに遣わされたのは神牙流当主の暗殺のためだった」
「え、暗殺??? どっどどどみこさんを!?」
また新たな情報を口にした。〝暗殺〟落ち着いた声色でぶっそうな言葉がたしかに海都の耳にとどいた。
それには海都も驚かずにはいられない、到底普通に生きて来た自分には縁の無い言葉である。
「いや違う、古井戸神子は当主代行で当主ではない。その上に立つひとりの老剣士だ」
「老剣士…そうなんすか。暗殺って…あのぉ…冗談っすよね?」
「意味合いとしては冗談のようではある。と言えるな…。ただしく言えば寝たきりという当主の容体報告、スパイみたいなものだな。……いやそうでもない、いや私はなんだ…」
「…えっと! なんかでもそれおかしくないすか…その流水流を出ていくかわりにってどういう…出ていくならそんなスパイなんてする必要はないんじゃ??」
「…たしかに、私は流水流がキライだ」
「え、キライ? どういう」
「それはもうスベテが嫌いになった。勝って勝って勝ち続ける、より高みを目指して勝ち続けた者たちの多く集う道へと進む、するとどうなるとおもう」
「えっと、それは…勝者と……敗者…?」
「そうだ、勝って勝って勝ち続ける負けて負けて負けつづける。若輩の私は敗北というものを知らなすぎた。しかし、そこからまた負けて負けて超えて勝ち続ける。敗北を知り、私はまた強くなった。そしてまた高みを目指し誘われたより強い流派の道場へと向かった」
「じゃあなんで嫌いってのは…とてもそうは」
「ふっ、簡単なつづきだ。そこから先は行き止まりだった。負け続ければいずれ勝てるようになる、それが私の驕りだと私は知らなかったんだ。世間の身近じゃない剣じゃなくてもお前にもあるだろう? 例えばもっと練習すればプロ野球選手になれただとか。自分ならもっと上手くやれる、自分ならこうするのに、自分も同じだけソレに時間を費やし同じ鍛錬を積めば、だとか」
「それは一度くらい…妄想は、したの…かなぁ? ぁ…でも俺は野球なんて数度しか(千葉トッポウミベーズの野球教室で…)やったことありませんし分かりません。剣なんて本当にヤドカリも倒せないぐらいからっきしですし…全然聞いた話のムスイさんとは選んだ人生の質や重みも……その俺と比べたら可能性の意味とか距離が違うような…?」
「フッ、若い割に客観的で遠慮がちだな。質や重みなどむしろ呪われた足枷だ、同じことだ。私は負け続ければ剣を受け続ければいずれ逆転していると…自分は誰よりも伸び盛りなのだと錯覚していた。しかし思考からぽっかり抜け落ちていた、これは私だけが主役のRPGではない、相手も強くなる、上手くなる、私と打ち合い私以上にだ。最後にモノを言うのは剣の才能と己のウツワ。剣を握った年月だけではないそれこそが自己満足で済ませる暗示で驕りだ、つまり生まれながらにして勝負はおおかた決まっていたのさ。そして今日、秘刀をもってしても私のウツワは溢れるばかりひび割れるばかりで役に立たなかった。最後まで自分で自分のことを……斬り捨てるタイミングを失っていたんだ────」
海都には何も言い返すことはできない。目の前の人とは違う世界に棲む、まさにそんな。
それでも彼女の言った言葉を繰り返して添い、途切れてしまった話のつづきをうながした。
「才能、ウツワ、秘刀……あのそれで」
「だが秘刀、…刀は流水流にも必要だ。だから天に敗れた私は天命をうけてここに来たのだ、私の剣でも役立つものならばと」
つづきの言葉は、海都にとってその場ではまったく意味のわからないものであった。
しかし、彼女はすこし上を向きだまっている。海都にも人間として彼女の様から感じ取れるものがあった。
「俺にはゼンゼンむすいさんのことは分からないっすけど……そういうものなんすか?」
「そういうものなの、────かもな」
涙はこぼれない。
最後にはさっと拭われ、
こらえきった視線は正眼に構えられる。
赤髪の女剣士はスベテを話した青年に向けて────またやわらかく微笑んでみせた。
秘められし刀がまた一振り、神牙流の剣士の手へと──
【ムスイ編】
(秘刀緑蜜は雷夏にふさわしい…。あのとき見せたあのチカラ…あの速さ…アレは流水流、三剣にも劣らない…内なる獣となっていた。たいして今の私はなんとも中途半端だ)
(…なるほどな、ここでもか…壁というモノは私についてまわるようか)
(握りつづけ、天に手が届くのはほんの一握り。あるいは私こそが喰らう獣、雷夏にとって第一の壁にすぎなかった…か)
(あの剣を受けきれず完全に負けた今、誇れるモノはなんだ。剣を重ねて、研鑽を重ねて、私が偉いといえるのはいたずらに木剣と共に過ごした年月だけのものだ)
(身ひとつ剣ひとつで逃れの町に来たはずがどこに属すでもない、浪人…流浪の民)
「今日も寝ながらにして斬れません。あなたは私をかようにつかい…一体何が望みなのですか。いい加減に天というものを当主直々に教えてくださるのですか」
山の麓にある古い民家にやってきた────赤髪は白髪の老人を見た。相変わらずじっとベッドに横になっているが、見つめる老人のその目から逃れることができない。自分よりはるか格上の老いた剣士に対して、一介の剣士は従うしかなかった。
『ウツワ、』
か細い声でこちらに手を伸ばす老人がいる。また身勝手な指令があるのかもしれない。彼女は怪訝な表情で、伸ばしたその老いているようには見えない鬼神の手を取ろうとしたが────取っていたモノは、
『ミコ、トウガ、なにをしても神牙流をたおせ、さすればウツワは成し剣は成り、【天】と成りうる、』
いつも手にしてきた木剣ではない、預けられた手が鉄のように重い……。
「!? これは……。今コレを私が貰う、どういった意味でしょうか。成りうるのはどちらでッ」
じじいは笑っている。手にしたくすむ黄金の古鞘は青ではない、赤ではない、緑ではない。赤髪の女剣士にはとても似合わない代物であった。
(何より手痛く負けた自分が欲していたこの刀を…手にできる理由がない。しかし、御老体は神牙流をたおせとまた言うのだ。今度はとんでもないモノを授けて)
(私のような凡才がソレを受け取ったその意味が分からなくもなかった。とてつもない才をもつはずの娘、当主代行はあのザマであるからだ。自分を火種にし剣の正道へとまた戻すつもりなのだろう。恐ろしいが正しい流れだ。才ある者が剣をネムラセ埋もれる…それは私も1人の剣士として許しがたい。わざわざクビを取りにきた私を生かして敵としてこそこそと仕立て仕向ける、その親心に僅かに理解を示し協力もしよう──だがッッ)
「分かり…ました。しかし古井戸神子の…いえ神牙流の剣士の当て馬とて…私が勝ってしまったその場合は」
『…それ以上の時はない、12の剣をもってしてもその時は決して振れぬ訪れぬ、ナラバこれ以上振れない剣で忍び過ごすこともない、──今より13本目の秘刀と成れムスイ、』
「!? じゅう…さん…」
じじいは笑っている。
手にした黄金の鞘は、老剣士が手渡すにはあまりにも軽く、私が手にするにはあまりにも重い────────
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【牛頭梢編】
謎が謎を呼ぶ。
シデン・レイラがやってみたかった事パート2である。そう、ただのパート2。
謎から謎への謎のリレー、そのコンボが決まればとてつもなく……彼女はその瞬間興奮するというのだ。
そのなぞの意味が薄ければ薄い程に────
謎に呼ばれやって来た図書室にて。本校女子生徒の茶髪の背についていき、周りより背丈ノッポの彼女は本棚から本棚へと探し物をする。
あのとき喫茶店のテラス席に、風にのりとんできたのは、何かの本の1ページであった。
牛頭梢はその僅か1ページに残された微かな…同種のオーラのニオイを頼りにここまで辿り着いていた。喫茶店から来た道を後戻りし、緑蜜高校の休日の図書室へと。
「なにもなしあるがままになにもなしあるがままにまに、──これってわかる?」
「え? ……いやぁやぁ…『なにもなしあるがままに』なんてフレーズは…あったかなぁなはは(無知の知的なことかな? でもあるがままにはちょっと違うかなぁ?)」
高校2年生、小谷螺夢、図書委員は比較的人当たりとノリがいい、比較的見た目が栃木ギャルであるが、根は真面目であり不思議なことは好きだが不思議ちゃんは苦手である。
小谷螺夢は図書委員として仕方なしに、ダルメシアン柄のツナギを着たその不思議つ子、牛頭梢と共に52ページ目の破られた本を探している。
お腹を満たし風に吹かれたナポリタンの匂いから、今古めかしい図書室の本たちの落ち着くような匂いを摂取しながら。謎が謎を呼び、謎のリレーは意味ありげに続いていく。
【月山編】
「なるほどな、強いて言うならば好きな男のために…その男を強くするために強くなりたいか」
「そ、そうだけどぉー」
剣と剣、威勢声と威勢声でぶつかり合うだけではヘンに飽きてしまうこともある。間合いを取り、似合っていないその眼鏡を危ないからと外させ、素人の若い女に赤髪の女剣士は語らせたのであった。
しかし、予想以上に月山雨楽楽は意味のないことを喋り続けた。一種の惚気話である。剣を取る理由は、男のために強くなりたい、それだけではなくその男を強くしたいからという、聞いたこともないややこしい青春モノの事情であった。
「貴様はナニを言っている」
「ふふぅん──……は?」
セミロングの髪を意味もなく指先に弄りながら悦にいた月山に、ムスイはそう言い、続けた。
それを聞いた月山の表情はぽかーんと、10度程微妙に左に傾げた。
「そんな女の尻に隠れるひ弱な男は斬り捨てろ。なにが千葉ボーイだ、なよなよして聞かされるだけできもちわるい」
「はぁあ?? ひ弱じゃないんだけど! ダンジョンで助けてくれたときは滅茶苦茶かっこよかったんだからァ!!! きもちわるい? しらないのにはぁああああ!!!」
月山は突然噛み付く──。突然きた木剣は少しぼけっとしていた赤髪に振り下ろされた。さすがに豹変し突撃してきた彼女の謎の気迫にはその道玄人の女剣士とて驚き、木剣を慌てて合わせこたえるムスイであったが。
「な、なんだ…ん?ダンジョン」
打ち込まれた一直線な太刀筋よりも、引っかかるその言葉。幾度か調子に乗った青髪の獣から漏れ出ていた気のする言葉だ。
「はぁあああああ──あっ…」
「アレもよくダンジョンとたわけを言っていたな」
「だ、だんじょん…男女の、…千葉と栃木のアオハル問題なんだからァ!」
「どうでもいいッッ! ──丁度いい機会だ、こうも訳の分からないモノばかり私にだけ押し付けられていては癪だ。勝負してもらおうか緑蜜の女子高生ッッ」
鋭い太刀筋に──弾け飛び木剣は後ろへと舞った。
さっきまでの気迫はどこへやら、へし折れ、舞って、共に落ちたのか。離れて今、喉元に向けられた切先に月山は冷や汗がだくだくと流れる。
赤髪の剣士は先程よりも怒っているように見える。そしてさっきの一太刀は目に見えもしなかった──。いつの間にか握りしめていたはずの剣が剣でなくなっていたのだ。まだ続けるというのならば握ったこの短く軽い木屑で立ち向かう……イヤ、かなうはずはない。
我に返った月山雨楽楽は決して次の刃を構えてはいけないと悟る。
女子高生剣士は赤髪の女剣士にフリーズしながら構えていた。やがて、気迫のとうに失せた……虚空の剣をゆっくりと下ろしていった。
雷夏は大事な【夏ちゃんゼリープロジェクト】の用事をいったん済ませ、緑蜜道の駅前でカイトママの経営するクレープグレープグループから、また学校のダンジョンに帰還していた。
そしていつもの濁るシャボンの天、もぬけの青いステージに目立つ────
「雷夏ここにいたか」
「!? ──ほぉ、ムゥちゃんここにきたか」
風なびき佇む──その赤髪、その背は振り向かない。
思いもよらぬ客、剣客がダンジョン部室に入るとすぐそこに待ち構えていた。ジャージ姿の雷夏は驚きつつも、いつものように笑いながら返答をした。
「あまりふざけるな。本当にこの町は出鱈目ばかりだ…。──しかしこんな所で熱心に修行をしていたとはな、ここは空気が美味いな雷夏」
赤髪はおもむろに深呼吸をする。
彼女の背、挙動を見つめる雷夏には神妙な空気が流れていく。
いつもの調子で一歩一歩ずけずけと元気に近付いていたがその歩みを自発的に止める程に、雷夏には様子がおかしいと、なんとなく……見えていた。
(いつもと雰囲気が違うな…んや、ふむ、なかなか振り向かない背で語るのはおもったよりもかっこいい…ナ!)
「ほぉ、流水の美剣士もお初の?ダ~ンジョンが気に入ってくれたみたいか! うれしいがもっと後で絶対的に口説くヨテ」
「気に入らない──」
「んや──?」
水色の道着を来た赤髪は振り返る。
「【黄蜜】。その過ぎたるチカラ、自分だけだと思っていたか、──伊達者」
手にしていたのはくすむ黄金の鞘、いつの日かの勝負のように、雷夏がそうしていたように、地に水平に手持ち──スベらせてゆく。
それが何であるのか……。雷夏はなぜか前へと引き寄せられる己の身で感じ分かった。内なる剣が震えざわついてやまない。
黄色い鞘は失せて、刀身が今ギラリと妖しく輝き、久々の美味い空気を吸い久々に柄を人の手に握られて震えている。そして伸ばして向けた正眼の構え、しかしその切先はいつものようには待ちきれなく──全力で駆けていた。
「黄色い…ソレは…──真剣勝負ということか! そちらから来るとは、はっはっは! お初のダンジョンに興奮でもしたか!」
「ツァッーーーー勝負ではないッッ神牙流雷夏貴様を倒す!」
「はははいつの間にか私は神牙流と認められたんだなっ! して、逆の立場も悪くはないナッ」
「その余裕、その壁、叩っ斬るッッ!」
オーラとオーラはぶつかり合い剣士は冷静ではいられない。
青は渦巻き、青は轟く、
いつもの道場ではない。この亜空間のルール大自然に則り、剣士たちは深く呼吸し、いつも以上にパワーが漏れ出てしまう。オーラはより濃く彩られ敵を討つための妖しげな威力を刀身にノセて放つ。
黄蜜の切れ味に応じたのは緑蜜その刀。
二振りの秘刀名刀は今、時空を超え、錆びついたチカラの花火を咲かせ、その真なる牙を研ぎ合わせていく────────
▼
▽
『この剣をもってしても、負けた』
お互い真剣での勝負は意外にも呆気ないものであった。
雷夏の庭といえるダンジョンでは、勝手がちがう。手にした黄蜜を振るう度に急速に内在オーラを消耗し、外に晒す間にも妖刀と浅く紐付けられた身体の体力はみるみると消耗されていった。
亜空間の外、たとえば道場での通常の木剣を用いての剣闘、真剣でなければムスイの方がまだ何枚も上手と言えた。ダンジョンではなく現実と区分されるそこでは、出力するオーラは薄まり、Dスキルチップ技もろくに頭から取り出して放つことも出来ない。
しかし地球と繋がるが隔絶された亜空間であるダンジョンは勝手がちがい、空気がちがい、ルールがちがう。ここでの戦闘で雷夏に経験値でおおきく劣るムスイは圧倒的な威力を持つ秘刀を振いぶつけながらも、慣れぬ刀に振り回され……体力とオーラが先に尽き負けてしまったのであった。まるで剣に操られていた剣士のような様であった。
「どうしたいつにも増して何をそんなに怒っているのか知らないが、いつもより焦って攻めに転じた分、──弱かったぞ」
「くっ…」
青い芝生に片膝をついていたムスイはよろよろとふらつきながらも、立ち上がる。
「おいっ! 大丈夫か? そんな無理にっ──なんなら夏ちゃんが」
「──来るな、ッ……帰らせてもらっ────」
刀を黄色い鞘に仕舞い、背を見せどこかへ向かおうとしたところ────
千鳥足であるく赤髪の剣士ムスイはバタリと……前のめりに倒れてしまった。
雷夏はいそぎ倒れたムスイの元へ近づいていった。ひとまず仰向けに起こし容体を確認、腕のところどころに痣ができている──。
秘刀をつかい秘刀につかわれる……無理をしていた証拠が見受けられた。それは緑蜜を身に宿す雷夏自身もよく知る、秘刀に扱い慣れない内によく出る拒絶反応のようなものであった。
「気を失っている……。それにこれは中学高校のときの夏ちゃんの今は修行し薄まったスペシャルな痣だ。ということはこの刀もやはり同じ…ぶんるい? ムゥちゃんもダ~ンジョンから入場特典でもらっちゃったのか? ……はははいやはや、まったくぅ今日の流水の美剣士はすこしどころじゃなくおかしいな。んや、顔色もヤバヤバの優れていない────。夏ちゃんだ、今すぐ全速力で走ってダンジョンに来い、分かったな! 至急だシキュー海都生徒!」
すこし思わしくない容体を診て雷夏はジャージのポッケに潜ませていたスマホで、急ぎ、回復スキル持ちの海都へと連絡を入れたが、
「ダ~ンジョン★つながらないぞ雷夏ぅ! おバカ夏ちゃん! こいつにも…夏ちゃんの雷オーラを練り上げ込めてぇ、おっとぶち込んどけば──よいしょーーっ、マッ死なないだろ内側からの電撃心臓マッサージはははは」
ここはダンジョン、そう、入口と出口はつながってはいるが隔絶されている。さらに未知の高出力なエネルギー帯でジャミングされ地球への通信が現在事実上まったく不可能なのである。スマホは通信を必要としない計算アプリやゲームのテトマズぐらいしか起動できない鉄のおあそび板にすぎない。
基本的な事をうっかりか忘れていた。同時にそれ程に動揺していたらしいと、雷夏はじぶんでじぶんを笑う。
そして、
先ほどからカタカタと震え……。雷夏の方に引っ付こうと小刻みに近付く黄色い鞘を、望み通りその手に取り強引に、馬乗りになったムスイの鳩尾へと突き立て己の丁寧に編んだ雷電のオーラと共に捩じ込んだ──。
とりあえずの経験から基づくダンジョンでの応急処置を済ませた。その強引な納刀の際、びくりと魚のようにムスイの身体は幾度か海老反りになり跳ねた。だが、やがてその現象も収まり、息もちゃんとしている。
「んや、やはり刀はダンジョンに挑むための電池? ははは、ムゥちゃんの言う通り自惚れていたな。夏ちゃんだけではないようだ?」
そう思うとなんとなく仲間が増えたようでうれしくもあった。にんまりとした表情で美しく青い芝に広がる赤髪のコントラストと、瞳を閉じた彼女の顔をじっと見つめる────。
こんなに上から手強い赤髪を見下す光景はなかなか拝むことは出来ない。じーっと馬乗りになり特等席からご堪能を……。
しかし救命中であることを思い出した。念には念を尽くして念のためにムスイのためにできるだけ急いだ方がいいと、雷夏はすぐさま、まだ薄い寝息を立て眠るムスイの元から立ち上がった。
青髪は赤髪を野に一時捨て置き、役立たずのスマートフォンを片手に第イチ体育倉庫へとつながる跳び箱まで駆けていった。
心地のいい風に背を打たれる、追い風だ。
なぜだろう解放感。
ずいぶんとながく贅沢で開放的なビーチにいたはずなのに、こっちのほうがよりひとり自由におもえるのは、
空気が──うまい。
いきおいのついた自転車はカラカラと車輪を勝手に進める。細道の両サイド、田んぼの風景を突っ切るのもいいものだ。千葉ではできなかったぜいたくなことだ。
しかしそんな爽快サイクリングの最中に、予期せぬ振動をキャッチ、緑のブレザーのポッケから伝う。
青年をノセた自転車はいきおいを失う────────そしてまたカラカラと音を立て……その音の間隔を縮め、またいきおいを取り戻していく。
少年はあわてて旋回させた自転車で逆風の田んぼ道を引き返した────。
▼▼▼
▽▽▽
『うおっ起き──────じゃなくて…大丈夫すか?』
「ここは…」
「えっとダンジョンっすね…」
「ダンジョン……んー…ッ」
(夢のみずの中で溺れつづける私は…水面からしずんで伸ばされた何かをずっと握っていた……暗がりから目覚めると────赤に切り取られた海と砂、陽の景色が見える)
スイカテント内で寝ていた赤髪の剣士は2時間ほどの眠りから起きた。額にのっていた白い濡れタオルは緑のシートに落ちていく。
おもむろに上げた腰が、体がズキズキと鈍く痛む……。
おもわず顔をしかめる程に、この未体験の痛みがなんであるのかは────
「これ水っす」
水のペットボトルを手渡された。
緑のブレザーを着た黒髪の少年がすぐそばに居る。若々しい声をしている見知らぬ少年だ。
「……すまない、いただく」
数秒ペットボトルを握ったままその邪気の無さそうな黒目を見つめる……。やがて困った顔をした彼の手が離れて──ぼさついた赤髪はありがたくもらった飲料水で酷く渇く喉をうるおしていった。
そして間を置き、寝起きの人物と自分が落ち着きを取り戻したころに海都は彼女に話しかけた。
「先生にたのまれてここでえっと…看病! してました。1年D組の楽天海都…っす」
「せんせい…あー、そういえばヤツの高校か……雷夏のことだな?」
「ハイ…そっすね」
「そうだなまずは…たしか…カイトだったか、私はムスイだ」
気を遣ってか青年がそうしたようにお互いまずは自己紹介、水色の道着を着た赤髪は自身のことをムスイと名乗った。
「むすい? 赤い髪…あっ─99連しょ、あっ」
「なに? 今なんと言いかけた」
「いや! なんもっす…」
(この手の痣…刀がない…そしてあの……)
(不明なことは色々あるが、すこしおどおどしだしたこの少年に問う問題ではない。
スベテは己が選び挑み…犯したこと…私は……)
寝ぼけた思考に血を通わせながら沈黙を持て余していた……。ムスイが辺りを探すと、なにやら肌に貼り付いている違和感に気付く。道着のナカに折られた紙が入っていた。
おもむろに懐から取り出したそれをひろげ読み────くしゃりとその手に丸められた。
「────ふざけたことを……はぁ…だが、たしかにこのカラダは痛むな…。お前、痛みを回復できるのか?」
「え回復? 痛みを回復…それならたぶん俺の技なら…いちおうゥッ!? いてっ──」
問われた返答のさなか突然、押し倒されてしまい海都はムスイに何故かマウントポジションを取られている。
「すまないどうやら、私は【妖刀…】に呪われた身が胴から二つにならないためお前の身を借りねばならぬようだ。たしかにその辺りから何か認めず反発するように痛む……先生というだけあって全てが嘘ではないようだ」
「ど、どどういうこっ──」
「自分でもおかしいとは思う私は剣士として敗者でありながらも負けたからと死ぬようにはできていないようだ許せ。──む、なぜ既に勃っている? おい」
「いや、これはちがくて」
「先程の熱心な看病もその気だったというわけか、いいだろう」
「いやちが良く!? 待ってェ!! 回復するなら巻くま、クワッ!??」
海都のほそい手首は既にムスイの両手に捕らえられている。
悪化していく状況に目一杯の抵抗をするが、ぎりぎりと骨がきしみそうなほどの力で…びくともしない。
その攻防の最中、真顔からだんだんと──何故その女のひとはわらっているのか。
垂れ下がった赤髪の女が息を上げ抵抗しつかれた青年を、見下ろしている。
この流れはもうどうしようもない種類のものだ……と海都は悟ってしまった。
またしてもスイカテント内、このテントは何かを引き寄せナニかが起こる。
雷夏の書き残した回復系男子生徒取扱説明書に則り、乗り手を取り……てっとり早く挿入されていた──
赤髪の女は黒髪の彼に跨る。抵抗は疲れるだけで虚しく…掴まれている彼の両手は既にその万力を撥ね退けることをあきらめていた。
腕力で変えることのできない流れのまま、そのまま、訳も分からず襲われてしまった。
「あああああああ」
「よく声をあげるッ…ヤツだな」
「あぁああちょっとマ…あああああ♡」
「うるさいッッ、これぐらいのことでそんなに騒ぐな、ったくどうしようもないヤツだな、このままあと7分耐えて見せろ」
道着を脱いだ一糸まとわぬムスイは騎乗位で海都のペニスを捕まえて責め立てる。
激しく上下する腰を持ち上げ落とす、繰り返すピストン運動で……鍛えられた膣にきつく絡めとられ逃れようのない快感を上から与えられていく。
尻をパンパンと音立て落とす力強い女剣士の殴りつけるような騎乗位に、一介の男子学生が耐えきれるわけもなく……
「あぁあでりゅっそんなっあっ♡ムリですムリぃぃでりゅううう♡」
「ナッ…ん────」
海都は射精した。
膣に力を込めきゅっと締め上げるそのテクニックに青年のペニスからびゅるびゅるとザーメンが搾り出されていく。
回復オーラを含むザーメンがムスイの膣内にどぴゅどぴゅと注ぎ込まれ満たして癒していく──。
回復オーラは内側からパっと広がりじんわり…ムスイの身体を温めていった。
痛む患部は嘘のように急速に癒されていき痛みが穏やかになる。そして壊れかけていた己の身を貫かれ押し寄せ広がる未体験の至福、多幸感がムスイの全身にひろがっていく。
注ぎ込まれたあまりの魔法的快楽にぎゅっと青年の手首を握るチカラが強まる。あまりの激しい交合いに、海都は与えられる快感に追いつけずショートしている。
ムスイは我に返り手を離す、打ち負けてだらしのない顔をしている青年を見下ろしながら乱れた己の赤髪をかいた。
▼
▽
赤髪を水色のヘアゴムで束ねたオンナは捨てていた道着をゆっくりと羽織っていく。
そして倒れていた雄はおもむろに痛む腰を起こしながら、その赤髪の後ろ背を見つめながら。海都の痛む両手首には、悪霊にでも握られたかのような赤い痕がついていた。
(まだ少し、身体に痺れと違和感はあるが…書いてあった効能の通り本当にマシになったようだな。回復などという魔法のようなことを実際にこの身で体験することになるとは……これも隠されていた才能か)
「礼を言うカイト。どうやらすこし命拾いしたようだ」
「いてて……あっ、ハイ…それは…良かった…っす?」
「礼のかわりと言ってはなんだが…────スベテ話そう。それが何も持ち合わせていない私にできるせめてもの誠意だろう」
「いや別に良くなったのであれば俺はそれで……え、すべて? (…なにを?)」
背を向いていた赤髪は振り返る、おどろく海都の目を見つめながらやわらかく微笑んだ────。
▼
▽
女剣士はスベテを語りはじめた。
海都は何故自分に…と思いつつも彼女の話をよく聞いていた。
そしてここまで至った経緯あらすじがおおよそ分かり、海都自身がここに呼ばれた理由にもつながっていたのであった。
狭いテント内で座り向かい合う、赤髪が持つ湖のような色合いの青瞳は落ち着いている。
海都は相槌をうちながら彼女の話すことのひとつひとつに納得し、頷いていく。
「────────そんなことが…ってことは、その神牙流の…先生のあの緑の刀を奪うためにその流水流から来たってわけすか。はぁ。なんか、俺にはぜんぜん想像も」
「馬鹿げているとは思うか? しかし秘刀の奪い合いは今もひっそりと続いているらしい。私が流水流の当主から聞いたところだ」
「そうなんすか…秘刀…」
「流水流を出ていくかわりにここに遣わされたのは神牙流当主の暗殺のためだった」
「え、暗殺??? どっどどどみこさんを!?」
また新たな情報を口にした。〝暗殺〟落ち着いた声色でぶっそうな言葉がたしかに海都の耳にとどいた。
それには海都も驚かずにはいられない、到底普通に生きて来た自分には縁の無い言葉である。
「いや違う、古井戸神子は当主代行で当主ではない。その上に立つひとりの老剣士だ」
「老剣士…そうなんすか。暗殺って…あのぉ…冗談っすよね?」
「意味合いとしては冗談のようではある。と言えるな…。ただしく言えば寝たきりという当主の容体報告、スパイみたいなものだな。……いやそうでもない、いや私はなんだ…」
「…えっと! なんかでもそれおかしくないすか…その流水流を出ていくかわりにってどういう…出ていくならそんなスパイなんてする必要はないんじゃ??」
「…たしかに、私は流水流がキライだ」
「え、キライ? どういう」
「それはもうスベテが嫌いになった。勝って勝って勝ち続ける、より高みを目指して勝ち続けた者たちの多く集う道へと進む、するとどうなるとおもう」
「えっと、それは…勝者と……敗者…?」
「そうだ、勝って勝って勝ち続ける負けて負けて負けつづける。若輩の私は敗北というものを知らなすぎた。しかし、そこからまた負けて負けて超えて勝ち続ける。敗北を知り、私はまた強くなった。そしてまた高みを目指し誘われたより強い流派の道場へと向かった」
「じゃあなんで嫌いってのは…とてもそうは」
「ふっ、簡単なつづきだ。そこから先は行き止まりだった。負け続ければいずれ勝てるようになる、それが私の驕りだと私は知らなかったんだ。世間の身近じゃない剣じゃなくてもお前にもあるだろう? 例えばもっと練習すればプロ野球選手になれただとか。自分ならもっと上手くやれる、自分ならこうするのに、自分も同じだけソレに時間を費やし同じ鍛錬を積めば、だとか」
「それは一度くらい…妄想は、したの…かなぁ? ぁ…でも俺は野球なんて数度しか(千葉トッポウミベーズの野球教室で…)やったことありませんし分かりません。剣なんて本当にヤドカリも倒せないぐらいからっきしですし…全然聞いた話のムスイさんとは選んだ人生の質や重みも……その俺と比べたら可能性の意味とか距離が違うような…?」
「フッ、若い割に客観的で遠慮がちだな。質や重みなどむしろ呪われた足枷だ、同じことだ。私は負け続ければ剣を受け続ければいずれ逆転していると…自分は誰よりも伸び盛りなのだと錯覚していた。しかし思考からぽっかり抜け落ちていた、これは私だけが主役のRPGではない、相手も強くなる、上手くなる、私と打ち合い私以上にだ。最後にモノを言うのは剣の才能と己のウツワ。剣を握った年月だけではないそれこそが自己満足で済ませる暗示で驕りだ、つまり生まれながらにして勝負はおおかた決まっていたのさ。そして今日、秘刀をもってしても私のウツワは溢れるばかりひび割れるばかりで役に立たなかった。最後まで自分で自分のことを……斬り捨てるタイミングを失っていたんだ────」
海都には何も言い返すことはできない。目の前の人とは違う世界に棲む、まさにそんな。
それでも彼女の言った言葉を繰り返して添い、途切れてしまった話のつづきをうながした。
「才能、ウツワ、秘刀……あのそれで」
「だが秘刀、…刀は流水流にも必要だ。だから天に敗れた私は天命をうけてここに来たのだ、私の剣でも役立つものならばと」
つづきの言葉は、海都にとってその場ではまったく意味のわからないものであった。
しかし、彼女はすこし上を向きだまっている。海都にも人間として彼女の様から感じ取れるものがあった。
「俺にはゼンゼンむすいさんのことは分からないっすけど……そういうものなんすか?」
「そういうものなの、────かもな」
涙はこぼれない。
最後にはさっと拭われ、
こらえきった視線は正眼に構えられる。
赤髪の女剣士はスベテを話した青年に向けて────またやわらかく微笑んでみせた。
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