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至福のアフターストーリー?
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▽割れたステンドグラスからおごそかチックな夕陽の射し込む教会▽にて
そういえば俺がお布施をしたシスターが言っていた。
神学を学んでいた学校に例のてっとぅーがいたんだと。
姉妹ではなく同クラの学友だったらしい。
なんでも何かと学校のピロティーで面を合わせては糸目被りの顔のことで取っ組みあい目潰しし合い揉めたんだとか。
というのは十亀亀太郎のジョークであり、てっとぅーとシスターは犬猿の仲であったらしいというのはあながちジョークではない。
要するにシスターの話では、自分に比べて親族が神族で家柄も品格もokな優等生で模範生だったてっとぅーがある日をさかいに日に日にグレたんだと、救済の女神をお馬鹿にするような軽んじた思想をちょこちょことシスターには揶揄うように漏らしていたらしい。
そのことで2人の関係に亀裂がピキピキと、まぁ救済の女神教を信ずる者と、熱心に学び祈りながらもお馬鹿にする者で対立した構図だな。
そんな暗雲たちこめるグレーな青春のままお互い卒業し、交わす言葉ももうなく──それぞれの道を進んでいったんだと。
「ってことだな、シスター」
「はい、ふふ。そうなりますね」
「で、よかったのかシスター? 一発、女神の慈愛で久々に会えたてっとぅーを殴っておかなくて」
「ふふふふ、それははい──ないです。それに……むしろ例の盃、ですか? その悪魔の悪戯に操られていた彼女に真っ先に無意識でも意識的でも救済をもとめられ頼られていたというのは、誠にうれしいことです。それこそこの道を信じ歩んできた救済の女神教のシスター冥利ですね、ふふ」
糸目のシスターは開眼する、どうやら嘘偽りなくそうお思いのようだ。珍しくごつい十字架背負ったバトル以外で開眼しているんだから違いない。
「ははーん。そう解釈するのか聖職者は感心っと言いたいところだがシスター、それはこの十亀亀太郎の芯にも通ずるな。嫌いの反対は好きだからな、俺の経験則では厄介なのは無関心、バッサリと関係を切られた層をファンにするのはひじょーーにエネルギーを使い難しいものだ。ならばいっそ生でファンミに殴り込み会いに来るぐらいカタカタカタカタタイピングをし切り刻まれ嫌われる方が厄介なファンとして、その熱意ありがたいものである」
そう、十亀亀太郎はアンチにつよい。そう自負している。突き詰めるところアンチもファンも同じ重さと熱量があるものだ。
つまり、十亀亀太郎正統派イケメンではないものの塩顔イケメン。概念を知らない者にとっては不気味ノッポ。イタチちゃんや黄巾モブのバスタオル、金ポデに6枚切り、パープルバンドとかいう謎の非公式ファンクラブまで出来上がっており様々なファン層がいることで定評がある、そう、十亀亀太郎。
「あの、トガメ様……────たぶん…ちがうかと」
「ははーんちが…っておーーーっい。ちがうのか、今2000円分ぐらい喋ったぞどこぞの十亀亀太郎は、すね毛じゃないか、ぼーぼーと」
「ふふふ。はい」
はいだとさ。ちがうかとだとさ。
そりゃそーだ、十亀亀太郎とシスターは別の生き物、性別もちがう。
以上、うん。
「まぁいい、次の質問だシスター。てっとぅーの意味を────」
▼
▽
結局お布施までして知りたかった本命、てっとぅーの意味はちっともわからず。
UFOとビッグフットとてっとぅーの世界三大なぞなぞは永遠に謎のまま。
俺は現在、あの穴のダンジョンへと──
町外、ノーマルフィールドへと繰り出し月明かりの道中またワンちゃんらの集団をぶち転がしながら、たどり着いた。
やはりてっとぅー、諦めるわけにはいかない。
会いに行ける未確認生物てっとぅーの元へと──
やはり、例の銀ロリに借りパクされた盃に操られていたというオカルトな証拠がある限り、責任を誰かに問うのは野暮というもの。
当の被害者シスターの見習うべきそれはそれは寛大な慈悲の心もあり、加害者てっとぅーはこのダンジョンで存在することを許されている。
ところで到着したダンジョン内の神社本殿前の境内に、てっとぅーがいる。
何やら焚き火をしており、鮎の塩焼きか何かはしらないが…を美味しそうにはふはふ食している。
至の前紙をぺろ~んと持ち上げながら、はふはふ。
同様に、福の前紙をぺろ~んと持ち上げながら、はふはふ。
巫女さん3人が、ちいさな焚き火を囲み、甘酒をすすりながら鮎の塩焼きをはふはふと女子会に興じていらっしゃる。
すこし意味が分からない俺は、食事のところ失礼し──
「スケさんカクさんばりの両脇、至と福さんがいる。何故だ、てっとぅーはいったん滅びたはず」
「はふはふ、なんかハマっちゃいまして? はふはふしー」
「はふはふ、なんか抜けちゃってきれてない? はふはふっく」
しゃべれたんだ────
「ふふふ、あっとぅー的てっとぅー。はぁーいっ──はふはふふふ」
どうにも分からんが
また洗脳が戻ってんじゃないのかそれは、と思ったが、たとえ一時操られていてもファンはファン出会ってしまったのは変わらない…という解釈でいいわけか?
「そうか…それはまぁシさんとフクさんの信仰の自由だが。で、そうだそうだ一つ聞くように頼まれていたのだった──てっとぅー教は今後どうするのだてっとぅー」
「ふふふ、至福シフクしふく…てっとぅーは不滅! はふはふ、おひとつ?」
拝啓シスター様へ
ダメだこいつ、お変わりになられていない。正直操られていたという線も怪しい、フツウ操られていた記憶を反芻し少しはしおらしくなるものだが謎のてっとぅー成分が以前と同じ割合含まれている。
シラフの素である、うたがい。
シスターやはりごつい十字架のその鈍器で、慈愛のビンタを一発。
バチバチと鳴るのはビンタではなく火の音。
若干の祭りが3人囲う俺の目の前に、ある。
ならばとひとり誘うように、
キュートな福耳と開眼した赤い瞳のギャップ、火に照らされた由緒正しきみどりの黒髪、そんなちょっぴりヒトより耳のながい大和撫子、やわらかな福笑みの似合うてっとぅーさんに手渡された鮎の塩焼きを…十亀亀太郎は道中てっとぅー至るみち小腹が空いていたので快くうけとった。
そういえば俺がお布施をしたシスターが言っていた。
神学を学んでいた学校に例のてっとぅーがいたんだと。
姉妹ではなく同クラの学友だったらしい。
なんでも何かと学校のピロティーで面を合わせては糸目被りの顔のことで取っ組みあい目潰しし合い揉めたんだとか。
というのは十亀亀太郎のジョークであり、てっとぅーとシスターは犬猿の仲であったらしいというのはあながちジョークではない。
要するにシスターの話では、自分に比べて親族が神族で家柄も品格もokな優等生で模範生だったてっとぅーがある日をさかいに日に日にグレたんだと、救済の女神をお馬鹿にするような軽んじた思想をちょこちょことシスターには揶揄うように漏らしていたらしい。
そのことで2人の関係に亀裂がピキピキと、まぁ救済の女神教を信ずる者と、熱心に学び祈りながらもお馬鹿にする者で対立した構図だな。
そんな暗雲たちこめるグレーな青春のままお互い卒業し、交わす言葉ももうなく──それぞれの道を進んでいったんだと。
「ってことだな、シスター」
「はい、ふふ。そうなりますね」
「で、よかったのかシスター? 一発、女神の慈愛で久々に会えたてっとぅーを殴っておかなくて」
「ふふふふ、それははい──ないです。それに……むしろ例の盃、ですか? その悪魔の悪戯に操られていた彼女に真っ先に無意識でも意識的でも救済をもとめられ頼られていたというのは、誠にうれしいことです。それこそこの道を信じ歩んできた救済の女神教のシスター冥利ですね、ふふ」
糸目のシスターは開眼する、どうやら嘘偽りなくそうお思いのようだ。珍しくごつい十字架背負ったバトル以外で開眼しているんだから違いない。
「ははーん。そう解釈するのか聖職者は感心っと言いたいところだがシスター、それはこの十亀亀太郎の芯にも通ずるな。嫌いの反対は好きだからな、俺の経験則では厄介なのは無関心、バッサリと関係を切られた層をファンにするのはひじょーーにエネルギーを使い難しいものだ。ならばいっそ生でファンミに殴り込み会いに来るぐらいカタカタカタカタタイピングをし切り刻まれ嫌われる方が厄介なファンとして、その熱意ありがたいものである」
そう、十亀亀太郎はアンチにつよい。そう自負している。突き詰めるところアンチもファンも同じ重さと熱量があるものだ。
つまり、十亀亀太郎正統派イケメンではないものの塩顔イケメン。概念を知らない者にとっては不気味ノッポ。イタチちゃんや黄巾モブのバスタオル、金ポデに6枚切り、パープルバンドとかいう謎の非公式ファンクラブまで出来上がっており様々なファン層がいることで定評がある、そう、十亀亀太郎。
「あの、トガメ様……────たぶん…ちがうかと」
「ははーんちが…っておーーーっい。ちがうのか、今2000円分ぐらい喋ったぞどこぞの十亀亀太郎は、すね毛じゃないか、ぼーぼーと」
「ふふふ。はい」
はいだとさ。ちがうかとだとさ。
そりゃそーだ、十亀亀太郎とシスターは別の生き物、性別もちがう。
以上、うん。
「まぁいい、次の質問だシスター。てっとぅーの意味を────」
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結局お布施までして知りたかった本命、てっとぅーの意味はちっともわからず。
UFOとビッグフットとてっとぅーの世界三大なぞなぞは永遠に謎のまま。
俺は現在、あの穴のダンジョンへと──
町外、ノーマルフィールドへと繰り出し月明かりの道中またワンちゃんらの集団をぶち転がしながら、たどり着いた。
やはりてっとぅー、諦めるわけにはいかない。
会いに行ける未確認生物てっとぅーの元へと──
やはり、例の銀ロリに借りパクされた盃に操られていたというオカルトな証拠がある限り、責任を誰かに問うのは野暮というもの。
当の被害者シスターの見習うべきそれはそれは寛大な慈悲の心もあり、加害者てっとぅーはこのダンジョンで存在することを許されている。
ところで到着したダンジョン内の神社本殿前の境内に、てっとぅーがいる。
何やら焚き火をしており、鮎の塩焼きか何かはしらないが…を美味しそうにはふはふ食している。
至の前紙をぺろ~んと持ち上げながら、はふはふ。
同様に、福の前紙をぺろ~んと持ち上げながら、はふはふ。
巫女さん3人が、ちいさな焚き火を囲み、甘酒をすすりながら鮎の塩焼きをはふはふと女子会に興じていらっしゃる。
すこし意味が分からない俺は、食事のところ失礼し──
「スケさんカクさんばりの両脇、至と福さんがいる。何故だ、てっとぅーはいったん滅びたはず」
「はふはふ、なんかハマっちゃいまして? はふはふしー」
「はふはふ、なんか抜けちゃってきれてない? はふはふっく」
しゃべれたんだ────
「ふふふ、あっとぅー的てっとぅー。はぁーいっ──はふはふふふ」
どうにも分からんが
また洗脳が戻ってんじゃないのかそれは、と思ったが、たとえ一時操られていてもファンはファン出会ってしまったのは変わらない…という解釈でいいわけか?
「そうか…それはまぁシさんとフクさんの信仰の自由だが。で、そうだそうだ一つ聞くように頼まれていたのだった──てっとぅー教は今後どうするのだてっとぅー」
「ふふふ、至福シフクしふく…てっとぅーは不滅! はふはふ、おひとつ?」
拝啓シスター様へ
ダメだこいつ、お変わりになられていない。正直操られていたという線も怪しい、フツウ操られていた記憶を反芻し少しはしおらしくなるものだが謎のてっとぅー成分が以前と同じ割合含まれている。
シラフの素である、うたがい。
シスターやはりごつい十字架のその鈍器で、慈愛のビンタを一発。
バチバチと鳴るのはビンタではなく火の音。
若干の祭りが3人囲う俺の目の前に、ある。
ならばとひとり誘うように、
キュートな福耳と開眼した赤い瞳のギャップ、火に照らされた由緒正しきみどりの黒髪、そんなちょっぴりヒトより耳のながい大和撫子、やわらかな福笑みの似合うてっとぅーさんに手渡された鮎の塩焼きを…十亀亀太郎は道中てっとぅー至るみち小腹が空いていたので快くうけとった。
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