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本編
4話 トンデモ社長命令にクソアプリ
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「でも、意外と面白い機能入ってたよ」
「上條さんも登録したんですか?」
「社長命令だからね」
トンデモ社長命令の被害者がここにも一人居たようだ。
上條さんのことだから上手く躱すなんてことできなかったんだろうな、可哀相に、と同情しながらもオレは退会手続きができる画面を探す。うーん、見つからない。
「せっかくだから、退会する前に奥村くんも相性占いとかしてみたら?」
アプリのホーム画面に戻ったら、上條さんが横から手を伸ばしてきて画面の端にあるアイコンをタップした。いつも以上に距離が近い気がして、オレの心臓がドキっと鳴った。
アプリを活用する気なんてこれっぽっちもなかったんだけど、相性診断は瞬時に起動してしまった。幸いにもまだ昼休みはたっぷりある。頑なに断る理由もないし、話のネタにするくらいはいいかという軽い気持ちで、オレは画面に現れたいくつかの質問に答えていった。
最後に『診断』ボタンを押すと『貴方と一番相性のいいのはこの人です』というメッセージと共に画面に現れたのは、なんと上條さんだった。相性診断では最高値である『99.9パーセント』が表示されている。
「わー! 僕達相性最強だって! これは付き合うしかないんじゃない?」
「なに馬鹿なこと言ってるんですか」
スマホ画面を覗き込んで無邪気に言う上條さんに、オレはわざと呆れた声で言った。ものすごく驚いたけれど嬉しい。でも、それをそのまま表現するのは憚られて、自分の気持ちを隠そうとした結果、過剰に冷たい声になっていなかっただろうか。
「相性占いなんて、信頼できないですよ。どうせうちの会社が作ったものなんだし」
そうだ、どうせ開発したのはうちの会社なんだから。社員が休んでいる間に個人情報を勝手に登録してしまうような会社の作ったアプリなんて、絶対に信頼できないし、したくない。この結果を信頼して喜んだ後に、やっぱりぬか喜びでしただなんていうなんてことになったら、立ち直れる気がしない。
「じゃあ、僕と奥村くんが付き合ってみて本当に相性が良かったら、『このアプリの相性占いはわが社の自信作です!!』って営業しちゃおっかな。ねぇ、サンプリングしたいから協力してよ」
「サンプリングですか……」
オレは返事の言葉に詰まった。サンプリングのためのニセモノの恋人……告白する勇気のないオレにとっては、降って湧いたような奇跡だ。決して本物の恋人ではないけれど、これは上條さんと束の間の間でも恋人ごっこができる唯一のチャンスになるかもしれない。
「それにさ、これで奥村くんとオレがマッチングしたら、二人揃ってアプリを退会できるじゃん。一石二鳥じゃない!?」
「上條さん、本気で言ってるんですか?」
「ちなみに、このアプリマッチングする以外で退会する方法がないんだけど……」
「は!?」
なにそのクソアプリ!! オレは唖然とした。それは、今すぐに改善したほうがイイと思うぞ!!
「上條さんも登録したんですか?」
「社長命令だからね」
トンデモ社長命令の被害者がここにも一人居たようだ。
上條さんのことだから上手く躱すなんてことできなかったんだろうな、可哀相に、と同情しながらもオレは退会手続きができる画面を探す。うーん、見つからない。
「せっかくだから、退会する前に奥村くんも相性占いとかしてみたら?」
アプリのホーム画面に戻ったら、上條さんが横から手を伸ばしてきて画面の端にあるアイコンをタップした。いつも以上に距離が近い気がして、オレの心臓がドキっと鳴った。
アプリを活用する気なんてこれっぽっちもなかったんだけど、相性診断は瞬時に起動してしまった。幸いにもまだ昼休みはたっぷりある。頑なに断る理由もないし、話のネタにするくらいはいいかという軽い気持ちで、オレは画面に現れたいくつかの質問に答えていった。
最後に『診断』ボタンを押すと『貴方と一番相性のいいのはこの人です』というメッセージと共に画面に現れたのは、なんと上條さんだった。相性診断では最高値である『99.9パーセント』が表示されている。
「わー! 僕達相性最強だって! これは付き合うしかないんじゃない?」
「なに馬鹿なこと言ってるんですか」
スマホ画面を覗き込んで無邪気に言う上條さんに、オレはわざと呆れた声で言った。ものすごく驚いたけれど嬉しい。でも、それをそのまま表現するのは憚られて、自分の気持ちを隠そうとした結果、過剰に冷たい声になっていなかっただろうか。
「相性占いなんて、信頼できないですよ。どうせうちの会社が作ったものなんだし」
そうだ、どうせ開発したのはうちの会社なんだから。社員が休んでいる間に個人情報を勝手に登録してしまうような会社の作ったアプリなんて、絶対に信頼できないし、したくない。この結果を信頼して喜んだ後に、やっぱりぬか喜びでしただなんていうなんてことになったら、立ち直れる気がしない。
「じゃあ、僕と奥村くんが付き合ってみて本当に相性が良かったら、『このアプリの相性占いはわが社の自信作です!!』って営業しちゃおっかな。ねぇ、サンプリングしたいから協力してよ」
「サンプリングですか……」
オレは返事の言葉に詰まった。サンプリングのためのニセモノの恋人……告白する勇気のないオレにとっては、降って湧いたような奇跡だ。決して本物の恋人ではないけれど、これは上條さんと束の間の間でも恋人ごっこができる唯一のチャンスになるかもしれない。
「それにさ、これで奥村くんとオレがマッチングしたら、二人揃ってアプリを退会できるじゃん。一石二鳥じゃない!?」
「上條さん、本気で言ってるんですか?」
「ちなみに、このアプリマッチングする以外で退会する方法がないんだけど……」
「は!?」
なにそのクソアプリ!! オレは唖然とした。それは、今すぐに改善したほうがイイと思うぞ!!
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