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24話 幻覚の正体

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 結論から言うと、オレが幻覚だと思っていた相神は、幻覚ではなかった。

 つまり、オレが泣いて縋ったのは、間違いなく実体を伴ったホンモノだった。
 ちなみに、その元幻覚は、今、オレの背後で寝ている。いや、もしかしたら身体を横たえてるだけで寝てはいないかもしれないけれど。
 オレはイきまくった後、寝落ちした流れで、そのまま目が覚めた後も寝たフリを続けている。相神に背中を向けて、狸寝入りをキめ込んでいるってわけだ。

 相神のおかげで、オレの身体は随分スッキリした。多分、発情期ヒートは終わったんじゃないだろうか。あの変な疼きはなくなったので、きっと、終わったんだと思う。ってことで、もう幻覚の相神は用済みだ。だから、オレの前からさっさと消えてくんねぇかな。……って、やっぱ無理だよなぁ……だって、幻覚だと思っていた相神は、本当は幻覚ではなかったのだから。なので、オレがどんなに願っても、相神の存在がこの部屋から消えることはない。

 ……マジか。死にてぇ……

 相神にあんなみっともない姿を晒すなんて、マジで有り得ねぇ……あの時のオレに、理性なんてモノはなかった。アルファのチンコを求めるただの性欲の獣だ。オメガの発情期ヒート、マジでパねぇなオイ……!!

 あれが三ヶ月に一回とか、無理。もう、絶対、無理。二度と経験したくねぇ。今回ので、発情期ヒートっつーのがトラウマになった。
 ていうか、ぶっちゃけ、初めての発情期ヒートでオレの心はポッキリと折れていた。

 いや、マジ今までオメガの発情期ヒート舐めてたわ。あんなのを定期的に繰り返してるオメガ、すげぇな。あ、オレも今オメガだっけか。いやいや、でも、あんなのあるならオメガとして生きるの無理だわ。オレに、オメガは無理。はい、しゅーりょー。

 なんて、心の中でいくら否定しても、オレが今オメガであるとは変えられないわけで。強い意志さえあれば、第二性を変えられたり……しねぇよな、やっぱり。そんな話は聞いたこともない。ってことは、オレはこれから一生、あの発情期ヒートと付き合っていかなきゃなんねーのかよ。オレは絶望に震えた。

 今回は、何故だか相神がたまたまこの部屋にやって来たから、醜態を晒すことになってしまったものの、なんとか発情期ヒートを抑えることができた。
 だけど、もし発情期ヒートを迎えたときに相神が居なかったらどうすればいいんだ……?

 オレは何かイイ方法はないかと考えて、ふと思いついた。

 いや、ちょっと待て。フツーに、抑制剤があればいいだけじゃね?
 ただし、オメガの抑制剤は高額で、今のオレは文無しだ。でも、金さえあれば、抑制剤は購入可能だ。なんなら効き目は処方薬より落ちるが、一応、薬局でも手に入る。

 金か……
 オレは、金を手に入れる方法について考えた。
 手っ取り早く、飼い主相神にねだってみるか?
 いや、それはオレのプライドが許さねぇ。
 今はたまたまこの立場に甘んじているが、これから一生、相神のペットとして過ごす気はねぇんだ。

 だけど、学校もロクに通わず、生まれたときから八剱組の一員として生きてきたオレにできることといったら、裏の世界の仕事くらいだ。ただし、喧嘩はダメだ。オメガの身体じゃ、力が足りねぇ。その他にオレが今までやってきたことといえば、闇金高利貸しくらいで……

 ……そういえば、八剱斗環オレがしていた仕事はどうなってんだ?
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