洗浄魔法って便利だね~風呂キャンしたい俺が異世界転移してみたら~

夏芽玉

文字の大きさ
11 / 11

11話 身体が先か、心が先か

しおりを挟む
 クリスに色々質問……いや、尋問された俺は、全てを話すことなってしまった。
 俺が異世界に召喚されたときの状況についても、俺が密かに抱いていた野望についても、ナニからナニまで、全てを、だ。

「……ところで。カイトは、私との行為は気持ち良かったということで間違いないのだな?」
「そうだよっ! だから困ってるんだって言ってるでしょっ!」

 俺は半ばヤケクソになって叫んだ。
 洗いざらい吐かされてしまったのだから、こうなったら、責任を取ってもらって、クリスには何かいい案を出してもらわなければ気が済まない。

 これからの俺の快適なオナニーライフのための知恵を寄越せ!!

 ……とばかりに、今度は俺がクリスに詰め寄ったんだけど。

「何も困ることなんてないよ。簡単なことじゃないか」
「何が」
「カイトはこれから、一人遊びオナニーなんてせずに、私とセックスをすればいいだけだよ」

 整った顔立ちのクリスから、オナニーとかセックスとかいう言葉が飛び出してくるのはちょっと違和感があるけれど……
 俺たちはもうあんなことをした仲なんだ。今更と言えば、今更かもしれない。

「だから、セックスなんてしたら、それはもうオナニーって言わな……って、ええ!? セックスぅ!?」

 言ってから気づいた。
 今、俺、セックスって言った!?
 ていうか、さっきクリスもセックスって言っていた気がするな?

「私のコレが、カイトのココに入って、私たちはひとつになったんだ。これをセックスと言わずして、なんというつもりだ?」

 クリスが俺の尻をさらりと撫でた。

「んっ……」

 先程、さんざん俺に快楽を与えてきた手に撫でられて、身体がピクリと反応してしまった。

「だ、だけど……セックスっていうのは、好きな人同士がすることであって……」
「カイト。好きだよ」
「ひゃい!?」

 突然の告白に、頭が真っ白になる。

「す、すき……?」

 って、誰が誰を……って、クリスが、俺のことを、今、好きって言った……!?

 自慢じゃないけれど、今まで三十年近く生きてきて、告白したこともされたこともない。
 当然、恋人だっていたこともない。

「カイトはどうだ?」
「え、えっと……」
「私のことは、好きではない?」

 そういう聞き方はズルいと思う。
 クリスとは、王城での様々な困難を一緒に乗り越えた仲間のように思っている。
 一定以上の好意を抱いていて、尻にチンコを突っ込まれても嫌だとは思わなかったし、キスも気持ち良かった。
 だけど、それが恋愛感情なのかと言われれば……

「え、えーっと……」

 紫の瞳が俺をじっと見つめる。
 俺は視線を逸らして、口を開いた。

「……わかんない……」

 だってさ。
 好きってどいういことなのか、俺にはよくわからないんだもん。
 確かに、クリスとのエッチ……というか、セックスは気持ち良かった。
 だけど、セックスをしてエッチが気持ち良かったら「好き」ってなるの?
 それはなんか違うような気がするんだけど……

 そういったことを、俺はしどろもどろになりながらクリスに説明した。

「そうか……」

 俺の話を最後まで聞いてくれたクリスが口を開いた。
 がっかりさせちゃったかな……
 セックスのときに見せてくれた欲望を向けられることはもうないのかな、と思ったらちょっと残念な気がした。

「そう言うのであれば……」

 ベッドに乗りあがったクリスが俺を押し倒す。

「え?」

 シーツに背中をつけて見上げたクリスは、雄の顔をしていた。

「どれだけ気持ち良かったか、まずはしっかり復習してもらうところから始めようかな」
「はひ?」
「ちょうど今から、復習するところだったんだろう?」
「いや、それは、その、えーっと……」
「それなら、私とだったらどれだけ気持ち良くなれるか、もう一度試してみよう」

 ええっと、今、俺がクリスとのエッチを再現しようと思ったのは……えーっと、なんでだっけ?

「ひゃあんっ!?」

 先程は一切触れられることがなかった胸の突起を舐められて、あられもない声が出てしまった。

 え、何!?
 そこは、俺、未開発なんですけれど……?

 ちゅっちゅっと音を立てて吸われると、何故だか身体の奥からじれったい疼きが広がってくる。

「クリス……なんか、それ、変になる……」

 快楽に弱い俺は、一瞬で抵抗する気をなくしてしまった。
 だって、クリスに触れられるのは気持ち良すぎるから。

「カイトは気持ち良くなってくれているだけでいいよ。身体からでもいい。絶対に、私のことを好きにさせてみせるから」





 俺は、市井育ちの王様のことをちょっとナメてたらしい。

 よく考えたらさ。
 クリスはちょっと前まで王城の外で暮らしていたのに、今となってはもうすっかりこの国の王様をしているわけなんだよ。

 王城の人たちはみんな親切で、俺のことも笑顔で歓迎してくれたけれど、実際は腹に色んなものを抱えた人たちが巣食う場所でもあった。
 腹黒大臣たちが様々な不正をして私腹を肥やしていた証拠は、俺だって実際目にしたわけだし……そうそう。俺や王様に毒を盛った人物は、毎回すぐに捕えられ処分されている。

 それにも関わらず、ありとあらゆる手段でクリスや俺の命を狙ってくる輩がいるんだけど、いつもすぐに犯人は見つかって、クリスに返り討ちにされている。
 クリスは策略家でもあるんだけど、意外と武道家でもあるんだ。
 だから、セックスだって、あんなに強い……いやいや、いまはそれはいいんだった。

 そんな魔窟に突然放り込まれたにもかかわらず、ちゃんと王様を続けていられるクリスは、かなり有能な人材であるといえるだろう。

 そんなハイスペな王様の全力をもって落としにかかられた俺は、気が付けばすっかり心も身体もクリスにメロメロになってしまうことになっていた。
 その後、クリスは自分の弟が成人したタイミングで退位し、弟に王位を譲った日、クリスにプロポーズされた俺が、この国で末永く幸せに暮らすことになるなんて……この時の俺は、まだ知らない。


 おわり
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

執着騎士団長と、筋肉中毒の治癒師

マンスーン
BL
現代日本から異世界へ転生した治癒師のレオには、誰にも言えない秘密がある。 それは「定期的に極上の筋肉に触れて生命力を摂取しないと、魔力欠乏で死んでしまう」という特異体質であること! ​命をつなぐため、そして何より己のフェティシズムを満たすため、レオがターゲットに選んだのは「氷の騎士団長」と恐れられる英雄ガドリエル。 ​「あぁっ、すごい……硬いですガドリエル様ッ!(大胸筋が)」 「……っ、治療中にそんな熱っぽい声を出すなッ」 ​生きるために必死で揉みしだくレオを、ガドリエルは「これほど俺の身を案じてくれるとは」と都合よく勘違い 触られたいムッツリ攻め×触りたい変態受け

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

処理中です...