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第二五部「黒い点」第1話
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背後に気をつけろ
目の前にあるものは
未来とは限らない
☆
もうすぐ夏が終わる。
そう思うことで、やっと季節が移りゆくものであることを感じる頃。
しかし残暑がしばらく居座りそうな、そんな八月。
この地域ではお盆と言えばこの月。
もちろん、まだ幼い絵留にとっては、地域によってお盆の時期が違うことなど知るはずもない。
いくつも集合住宅が並ぶ街の中の小さな公園には、今日も絵留だけ。
その日も暖かかった。
小学二年の夏休み。
絵留の一家は決してお盆や年末年始に実家に帰るという慣習はない。
学校の同級生のいう〝おじいちゃんの家〟〝おばあちゃんの家〟という感覚が絵留には分からない。だから、夏休みや冬休みに必ず行くような所があるわけでもない。
寂しくないと言えば嘘だった。
お盆が近くなると、遊ぶ友達もいなくなる。
遠くにお墓参りに行ったことはある。しかし、なぜか牧田家はお盆には行かない。夏休みが終わる頃に、父の休みに合わせて日曜日に行くだけ。
どうして自分の家だけ他と違うのか、その頃の絵留に理由は分からなかったし、聞いても適当にはぐらかされる。理由は分からなくても〝誤魔化されている〟感覚だけは幼い絵留にも感じ取れた。
テレビをつければお盆の話題ばかり。
しかし父がお盆休みを取ることはなく、その日も絵留は母と二人だけ。
その母が近くのスーパーの買い物から帰ってくると、絵留はお気に入りの帽子を手にして外に飛び出した。
いつもの団地の中の小さな公園。
午後の日差しが暑い。
そこには、数日前まではいつもの友達がいた。
行けばいつも誰かがいる場所だった。
しかし、その日も静か。
誰の声もしない。
──……これから、だれかくるかも…………
絵留がそう思って砂場にしゃがみ込む。
ほんの数分でも、まだ幼い絵留には長く感じられた。
まるで、世界が自分一人だけになってしまったかと思うような寂しさと、それが作り出す静けさ。
どうして自分には〝おじいちゃん〟も〝おばあちゃん〟もいないのか理解することは難しい。みんなのように遠くまで会いに行きたかった。
そして足元の砂をいじる指が止まった時、絵留は視線を感じる。
強い視線だった。
顔を上げ、無意識の内に立ち上がっていた。
その視線の先には、一匹の〝蛇〟。
真っ黒で大きなその〝蛇〟は、微動だにしないまま、ただ、絵留を見つめていた。
☆
そこは〝神無しの社〟と呼ばれた。
とはいえ、知る者は清国会でも限られた者だけ。
専属の接触組織が存在した。その組織────〝六神通〟が清国会との橋渡し役とされてきた。
現在の雄滝神社当主────清国会の頂点でもある滝川恵麻であっても、その詳細は知らない。
一般の人間では入ることの出来ない森。そこは古くから六神通が守ってきた禁足地。その奥に、そこはあった。入ることの出来るのは六神通の人間のみ。清国会の人間でも無断で入ることは許されない。
「神道の世界であるはずの清国会の中で〝六神通〟とは…………その謂れまではご存知なのですか?」
雄滝神社、本殿。
まだ早い時間。強目の日差しが黒い煤に包まれた祭壇に反射していた。
風は無い。それでも流れようとする空気が、そんな恵麻の言葉を捉える。
祭壇を前に恵麻が言葉を向けた相手は、そのだいぶ後ろ。清国会の組織の中では珍しいスーツ姿の若い男だった。恵麻と年齢的にはそれほど変わらないように見える。二〇代であることは間違いないだろう。雄滝神社を訪れる六神通の人間はいつも若い男だけ。しかもいつも違った。そして誰も名を名乗ったことはない。
更に年齢に反比例し、その言葉尻はやけに大人びていた。
「なに、そもそもどれだけ昔に作られた組織なのかも分かる者はおりませんでしょう。なにせあそこは…………〝神無し〟と呼ばれておる所…………神道も仏教も関係はございませんよ」
恵麻の指摘した通り、六神通とは仏教用語の一つ。六つの超常的な知識のことを表すもの。
その恵麻が小さく息を吐いてから応えた。
「私も直接伺ったことはございませんが…………先程申し上げた通り、清国会はその組織体系を大きく変えます。これからは今までのような組織ではありません。それ故……〝あそこ〟にも私が直接伺うべきかと存じます。お伝えすることがございますので…………清国会を束ねる者として────」
「なに、そのようなこと……我々から────」
「いえ…………これも私の責任の取り方です。それに……私も最後に見ておきたい」
「理由は、それだけですか?」
男の目付きが微かに変化した。
恵麻は背中にその鋭さを感じるが、振り向くことはしない。そうすることで何かを見透かされそうな緊張も浮かぶ。
そして口を小さく開いた。
「清国会のトップとして……もちろん興味がありました…………以前から…………」
「では日時がお決まりになりましたらお呼び下さい。私共から伝えておきます。〝カバネの社〟へ…………」
その日の午後、恵麻が赴いたのは毘沙門天神社だった。
決して明るい話を用意してきたわけではない。それでもなぜか参道の石畳を踏みしめる草履が軽い。
──……やはり…………あの選択は間違っていなかった…………
長い歴史を持つ清国会を、現在のトップである自分が実質的に終わらせた。
組織そのものが無くなるわけではないが、それまでの清国会ではなくなった。
その決断をした。
最初は先祖の御霊がどう思うだろうかとも考えた。しかし、不思議と自分の決断が間違っていたとは思えない。例えそれがただの結果論であっても構わないとまで思えた。
恵麻は産まれて初めて、自分を信じることを、信じられた。それまでは、何を思い浮かべても気持ちのどこかに何か燻るものがあったのが事実。少なくとも恵麻はそう感じていた。安易にその感覚を〝疑念〟や〝罪悪感〟と言ってしまうことは簡単だっただろう。しかし何かが違った。まるで喉の奥に何かが引っかかっているようなスッキリとしない不快感。
清国会に於いての決断の後、間違いなく気持ちは軽くなっていた。しかし、しなければいけないことはまだ多い。責任を取らなければならないことが沢山生まれていた。肩にかかる重責は大きい。
それでも、それなのに足は軽い。
そのことだけをとっても、恵麻は萌江たちに感謝していた。何かから解放されたような感覚があったのは事実。
だからこそ、久しぶりに萌江たちに会えることが嬉しかった。
金櫻家の末裔である萌江を信じた。
今は自分が現在の雄滝神社を護る立場であることが嬉しくさえ思う。
──……これは定められていたことか…………
──…………萌江様には笑われそうだが…………
いつの間にか口元が緩む。
参道の石畳から本殿に上がる階段の上。そこには一人の人影。
いつもの黒いゴスロリ。そこにチラつく白いレースのほうが生地が軽いのか、その部分だけが微かに揺れていた。
──……相変わらず派手だな…………
「……久しぶりだ…………西沙」
恵麻がそう言いながら見上げた先の西沙にも、恵麻と同じく小さく笑みが浮かんでいる。
「恵麻も元気そうじゃん。良かった」
そう応えた西沙が目を細めた。
確執の深い間柄。幼い頃から対立しか存在しない関係だった。
恵麻は清国会のトップ。
西沙は清国会の二番手である御陵院神社を抜け出して清国会に抵抗を続けてきた。その抵抗組織である〝蛇の会〟を設立した人間でもある。しかも西沙は恵麻でも恐れていたほどの能力者。
間違いなく恵麻の中には嫉妬があった。以前は認めたくなかったそんなことが、今は懐かしくも感じていた。
お互いに、よもや和解出来るなどと考えたことはない。
しかし、今は笑顔を向け合える仲。
恵麻にはそれが嬉しかった。
これからどんな流れが待っているのかは分からない。それでも西沙たちを信じることに疑問はなかった。
清国会が責任を取らなければならないことは多くある。負の部分と言ってもいいだろう。組織を変えるということはそういうことでもある。変えると言っても、その言葉だけで終わりではない。
──……清国会のトップとして…………しなければならないことがある…………
恵麻の肩に伸し掛かるものは大きかった。
──……私が、やらなければ…………
「お、その巫女服、新調したの?」
本殿の板間の隅で相変わらず想定外な言葉を投げかけるのは、やはり萌江だった。
清国会が総てを投げ打ってまで追い求めた金櫻家の唯一の末裔。その萌江が今は恵麻に笑顔を向けている。
──……まだ不思議な感じだ…………
そう思いながら、恵麻は少し身震いのような感覚を覚えた。それまで感じたことのない感情。しかし不思議と嫌なものではない。
──……陽麻の言うワクワクする感覚とはこういうことか…………
萌江を通じて、妹である陽麻の言葉を今さらながらに理解する。
そして、やはり嫌ではない。
清国会の中心であった雄滝神社に産まれ育ち、その後継者として教育され、学校に通ったこともない。国の中枢に入り込んでいた清国会からすれば義務教育などの法律に左右されることもない人生。もちろん友達などいるはずもない。その感覚すら知りようもなかった。一般的に言うところの、いわゆる世間というものを知らない。
「萌江様にはそんなこともお分かりになるのですか? 久しぶりに皆さんにお会いするので、一応……失礼の無いように新しい物をと…………」
人間関係の構築というものを知らない恵麻にとっては精一杯の返答だった。
しかしそんな、どこか辿々しい恵麻の返し方ですら萌江からすると初々しい。
「可愛いとこあるじゃん。元々綺麗な顔してるし、それならお婿さんも選び放題だねえ」
そこに挟まるのは本殿の板間に膝を下ろした西沙。
「ちょっと、世間知らずなんだから変なこと言って口説かないでよ」
「まあ、私と咲恵は可愛い子に弱いからなあ」
応えながら笑みを浮かべる萌江に釘を刺すのは隣で正座をする咲恵だった。
「萌江と一緒にしないでよ」
そんな会話に入れるはずのない恵麻は、階段を登り切った所で膝を降ろし、両手の指を着いて深々と頭を下げた。
そしてその声が本殿に流れる。
「改めまして皆様、お久しぶりにございます。本日は〝蛇の会〟の皆様に接見出来ますこと、真に幸いにございます」
僅かに空気が引き締まった。
隅で胡座をかいたままの萌江ですら、少し背筋を伸ばす。
毘沙門天神社に中心を置く〝蛇の会〟の会合。決して定期的に行われていたわけではない。必要に応じて収集がかかる程度のものだった。
祭壇の前、そこにいるのは大見坂楓────この年の春に中学生になったばかり。幼いながらもその能力の高さ故、現在は正式に〝蛇の会〟の中心人物。
その横には母親の大見坂雫。元々は雫も西沙と同じく清国会に反旗を向けた人間だったが、その雫でさえ今は恵麻に柔らかい表情を向ける。その雫が口を開いた。
「顔を上げてください。今は同胞じゃないですか」
あからさまに堅苦しさの無い組織。組織という体裁を保つために中心人物は必要とされたが、決して厳格な上下関係があるわけではない。しかも清国会ともあくまで同列。そこは清国会と少し前に共有された部分だった。
以前の清国会のような厳格な組織体系を持った組織しか知らない恵麻にとっては、正直まだ戸惑うことは多い。しかしそこに不安要素はなかった。それは偏に〝信頼〟に他ならない。
今の恵麻には、明確に信じられるものがあった。
しかしその存在たる萌江は決して自分を中心とは思っていない。今も祭壇の前ではなく隅で胡座をかいているほど。組織のトップに立とうという願望はまるでなかった。
しかし、いざとなれば前線に立つ。そして現場をまとめる。そういう強さを持った能力者。
恵麻にはそう見えていた。
そしてそういう人間が一番強いことを、今の恵麻は知っている。
恵麻がゆっくりと頭を上げたところで、その萌江の声が届いた。
「で、どうだった? 例の〝カバネ〟は」
必要以上に硬くなるなと言ったところで、今の恵麻にそれがまだ難しいことも分かっている。だからこそ、手っ取り早く本題に移った。
事の発端は恵麻からの情報。
萌江の〝命を作り出す力〟が明確になったことで、関連を感じた恵麻が動くことになる。
これまで清国会の中で〝命〟が必要とされる神社が二つあった。〝水乃蛇神社〟と〝毘沙門天神社〟。そこでは血を繋ぐために清国会が婿養子や子供を用意するために子供を攫ってきていた歴史がある。しかし必ずしも理想通りの子供が見付かるわけではなかった。
そんな時、清国会が〝命の調達〟のために契約していたのが〝カバネの社〟。
「毎回……というわけではなかったんですね」
咲恵が恵麻に質問を向けた。
「はい……用意出来なかった場合のみ…………ですが…………」
そのか細くなった言葉尻に、空気が僅かに変わる。
「……〝命〟を用意してもらうために…………我々も奉納するべきものがありまして…………それが難しく…………」
応える恵麻の声が小さくなるにつれ、視線が落ちる。
全員が次の言葉を待った。
清国会のトップである人間が、その組織の抱えてきた〝負〟を曝け出す。しかもその組織内ですら知る者が少ない事柄。それが簡単でないことは、その場の誰もが想像出来た。
広がる緊張に、やっと恵麻の声が溶け込む。
「…………胎児を…………用意せねば……なりませんでした…………」
静寂と共に、言葉が続いた。
「……妊娠……三ヶ月から……六ヶ月…………性別は問わずに…………」
言いながら、膝の上に置いていた恵麻の手が微かに震える。
萌江の目付きが変わったのに最初に気が付いたのは、咲恵だった。
先天的に妊娠の出来ない体でありながら〝命を創り出す〟ことの出来る能力者。それ故か、命というものに過剰な部分があるのは否めない。
西沙もそれに気が付いていた。
その西沙が肩越しに萌江に視線を傾ける。
萌江は恵麻を見続けていた。
水乃蛇神社のことも、ここの毘沙門天神社の負の歴史も、この場の誰もが知っていること。普通の血の繋ぎ方ではない。どこかの誰かの犠牲があった。しかも数百年の間、それが繰り返されてきた現実がある。
「子供でも胎児でも…………どちらも、地獄だったね…………鬼郷夫婦がここにいなくて良かった…………」
毘沙門天神社を護ってきた鬼郷家。現在その立場にある宮司の佐平治と巫女の結妃。どちらも〝作られたかもしれない命〟。
萌江のその言葉に、恵麻が顔を上げずに応えていた。
「…………本日……は…………どちらに…………」
「奥に小さな別邸があってさ。今日はそこに行ってもらってる。なんとなく、そのほうがいい気がしてさ…………」
「お会い出来ませんか…………」
少し強くなった恵麻の言葉が続く。
「……私が直接、お二人に────」
「恵麻────」
遮った萌江が繋いだ。
「それは私に選ばせて」
萌江の短いその言葉に、恵麻は何も返せないまま。
その姿に口の動きかけた西沙は、膝の上の両手を強く握りしめていた。元は清国会の一員であった西沙にも、真実を知った今、思うことはある。言いたいことはある。
それでも口をつぐんだ。
──……感情的になったらダメだ…………萌江に任せろ…………
そこに聞こえる萌江の声。
「今さら……綺麗事を言うつもりはないよ。それでいいよね」
強過ぎず、決して柔らかすぎもしない。
そして、次いでその声は西沙に向けられた。
「西沙の中の音水ちゃんは? 聞いてるの?」
亡くなってからも西沙を依代としている巫女、藪沖音水。〝カバネの社〟の話が出た時点で、毘沙門天の鬼郷家同様に〝作られたかもしれない命〟に大きく関わる水乃蛇神社の巫女だった。
「大丈夫。私がシャットアウトしてる。聞かれてないよ…………多分…………」
反射的に西沙が応えていた。
そして、次の萌江の声は柔らかい。
「雫さんは? 楓ちゃんは大丈夫?」
しかしその目は項垂れる恵麻を見据えたまま。
そこに雫の静かな声。
「問題ありません。私も楓も時を遡れる身…………様々なことを見てきました…………」
その雫の言葉にも、隣の楓の表情は変わっていない。僅かな微笑みを浮かべながら静かに恵麻を見つめるだけ。
母と娘、共に時を遡れる能力者。しかも娘の楓は過去に干渉することが出来た。そんな二人だからこそ、ここにいた。だからこそ、楓は〝蛇の会〟の中心にいた。普通の人生など送れるはずもない。そう判断し、自分たちの意思でここにいた。
「娘の楓は強い子です。だからこそ……今、ここにいます。そうですよね…………萌江さん」
そう言いながら、小さく口角を上げた雫の顔が萌江に向く。
萌江は笑みで返すだけ。
口を開いたのはその隣の咲恵だった。
「恵麻さん……質問を続けさせて頂いても?」
あくまで冷静な口調。そうあろうと、咲恵自身が努めていた。それが自分がすべきことであることを知っていた。
──……いざとなれば……萌江を抑えられるのは私だけだ…………
少し間を空けて、恵麻が応える。
「…………もちろんです……どうぞ……」
「その〝奉納品〟は…………その理由までを、ご存知で?」
「いえ、残念ながら分かりません…………私たちも直接接触したことがないのです。仲介役の〝六神通〟ですら謎ばかりです…………」
「そこに…………」
「行けることになりました…………私が直接行って参ります……」
恵麻が顔を上げる。
その恵麻に、萌江は笑みを向けた。
そして口を開く。
「やっと可愛い顔を上げてくれた…………遥か昔から〝命を創り出せる謎の組織〟として存在した所なんでしょ? その〝カバネの社〟って…………その存在が何なのか……清国会のトップの目で見てきて。頼んだよ」
「かしこまりました」
恵麻の返事には、強さが籠っていた。
萌江はその言葉を噛み締めるように間を空けた。
そして繋ぐ。
「私はこれまでの清国会を責める気はないよ。そんな無意味なことには必要性を感じないからね。だから恵麻が私たちの前で責任を感じる必要は無い。でも今の恵麻の感情までを無意味だとは言わない。あなたの今の気持ちは伝わった…………今、必要なことはそれだけ…………でしょ? 咲恵」
突然話を振られた咲恵が少しだけ驚いた表情を浮かべ、それでもすぐに返した。
「そうね……だからここから必要になるのは萌江の未来を見れる力…………私の過去を見れる力や雫さんの過去に遡れる力は必要ない」
「でも…………」
そう言葉を返した萌江が楓に顔を向けながら続ける。
「楓ちゃんの〝過去に干渉出来る力〟は必要になる」
「干渉?」
反射的に返した咲恵の言葉は、その場の全員の疑問だった。
それに萌江は淡々と応え始める。
「────〝牧田絵留〟……覚えてる?」
「牧田……絵留…………あの時の…………」
反射的に応えた咲恵の声が宙を舞う。
かつてスズが取り憑いた少女。
その少女────絵留はカリスマ性を伴い、そして狂信的な新興宗教を作り上げて萌江と咲恵に接触しようとした。
その絵留の最後の言葉を萌江は忘れていなかった。
〝京子に繋がる人間だからだ!〟
「彼女には弟がいた。でも産まれる前に母と共に殺された…………彼女に操られた父親の手で…………彼女というかスズは、彼女の母親を殺すために胎児を殺したって言ってたけど、何か引っかかってたんだ。本当にお母さんに繋がる血だとするなら絵留を殺せばいいだけ……それから弟を殺せばいい…………スズになら簡単なはず。誰かを操ればいい……それなのに、なぜ?」
「まさか……そこに行き着くとはね…………」
思わず返した咲恵の瞳孔が震える。
そして、続けた声も震えた。
「何かを見せるため?」
「…………あの〝血筋〟の…………〝胎児〟が欲しかった…………?」
「……確か最後に……〝京子さんに繋がる人間だから〟って…………」
「そして〝命を創り出せるカバネの社〟の〝奉納品〟…………」
「……萌江の〝命を創り出せる力〟…………」
「私の〝血〟って、よっぽど美味しいらしいね」
そこに挟まるのは西沙。
「年齢は関係ないの?」
「若くなきゃダメ? 西沙も味わってみる?」
戯けるように返す萌江に、西沙は真剣な目付きで返した。
「この状況でふざけないでよ。楓ちゃんの前だよ」
「それもそうか」
しかし当の楓は笑顔で口を開いた。
「大丈夫ですよ。萌江さんのセクハラには慣れましたから」
すかさず萌江。
「歳もとるはずよね。あの楓ちゃんが敬語覚えるくらいだもん」
「もう中学生ですので」
楓は中学生になったばかり。
身長だけでなく態度にも成長が見られる年頃だった。
「ウチの教祖様も大きくなったねえ」
そんなことを言う萌江とのやり取りにも慣れたもの。
「それって皮肉ですよね」
「そんな言葉も中学校で教わるの?」
そして大きな咲恵の溜息。
それを咲恵自身の言葉が補う。
「これからの流れとして、引き続き〝カバネの社〟に関しては恵麻さんに調べてもらうとして…………私たちの役割は? 絵留の母親を調べる必要があるとは思うけど……最初からそのつもりだったんでしょ…………?」
すると、さっきとは打って変わって声を落とした萌江が応えた。
「恵麻から〝カバネの社〟の話を聞いた時からなんとなく頭に浮かんでた……理由は分からないけど絵留が頭から離れない……それが今日確信に変わったよ。やっぱり、それぞれに繋がりがありそうだ…………」
やはりその声は空気をも変える。
「楓ちゃん、私の記憶を頼りに、行ける? 絵留の母親の牧田靖子を知りたい」
その萌江の言葉に、楓は僅かに顎を上げて応えた。
「いつでも」
そして、その口角が上がる。
☆
昭和五〇年。
西暦一九七五年。
昭和二〇年の敗戦を経験し、戦後からゆっくりと続いた高度経済成長に於いて、後に安定成長期とも言われる頃の始まり。やがてバブル景気と呼ばれるものに発展していくが、その経済的繁栄が幻のものでしかなかったことが判明するのはまだ先。
国際的に見て経済が発展することに並行して国民一人一人の生活も確かに豊かにはなっていた。それでもそれは統計上の数字でしか歴史の教科書には載らない。総ての国民が豊かな生活を謳歌出来得ることなど有りはしない。貧富の差が豊かさを生む。資本主義社会の現実。それに多くの国民が気が付くのは、自らがその生活の質を落とさざるを得なくなった時。
底辺の生活を強いられてきた人々は、いつの世にも存在する。
そんな人々が社会の豊かさを支えてきたことに、ほとんどの人々は気が付かなかった。
それが今以上に執拗に隠されていた時代。
そんな時代に、産まれた。
後にその父となる男────牛抱清も底辺で生きてきた。戦後すぐに産まれ、戦後の苦しみを直接味わったことは無く、物心が付いた頃はすでに戦後ではなかった。その苦しみを直接味わったのは両親だということは清も理解している。
それを理解出来たのは昭和三〇年代。
とはいえ、牛抱家が常に貧しかったのは変わらなかった。両親共に定職に着いたことは無く、常に日雇いだったが、それでも屋根のある家と呼べる場所があった。戦時中に直接的な戦火の影響があった地域ではなかったが、そんな場所でも敗戦の影響は大きく、多くの国民が肩を寄せ合って生きていた。
一つの所に長く暮らしたことはない。そんな子供の頃の経験からか、清は大人になってからも場所という物に愛着を持つことはなかった。
清が中等学校の卒業と同時に地元の新聞社の印刷工場に就職した頃、両親が失踪する。
ある夜、家に二人とも帰ってこなかった。
警察に捜索願いは届け出たが、それ以来両親が帰ってくることはなかった。
それから、両親との最後の夜の言葉が、清を苦しめる。
〝 清国会には気を付けなさい 〟
清国会────初めて聞く言葉だった。相談出来る友達もいない。新聞でも見たことはなかった。
それでも地方紙とはいえ新聞社の完全子会社となる印刷工場。おそらくこの時代に於いては多くの情報が集まる場所の一つだろう。
「清国会って、聞いたことありませんか?」
清が工場長に相談したのも自然な流れだった。
印刷工場とはいっても地方紙。従業員が十数人の小さな会社。答えはやはり清の想像通りのものだった。
「清国会? 聞いたことないな」
工場長は戦後すぐから工場を任されて一〇年以上。新聞社の子会社とはいえ、所詮はただの印刷工場に過ぎなかった。こんな答えは清にも想像は出来ていたこと。しかしまだ幼かった清には他に頼る当ては無い。小さな〝点〟に縋るしかなかった。
「そうですか」
「清国会……〝会〟ってことは、暴力団とかじゃないだろうな」
「分かりません。ですが父が最後に〝清国会に気を付けろ〟って言ってました」
「本社に問い合わせてみるよ。何か分かるかもしれないな。少し待ってろ」
それから数日、本社である新聞社からは何の情報も得られないまま。
朝だった。
工場長が開け放したままを嫌う入り口の扉。
ステンレス製の、所々が綻び、錆着き、歪んだ古い扉。
開け放たれたままだった。
見知った従業員たちが忙しなく出入りする。
「清君! 工場長が少し前に交通事故で────!」
〝 清国会には気を付けなさい 〟
その日は仕事もそこそこに、清達のような若い従業員だけで定期ラインを回していった。大人達は全員が忙しく事務所を出入りする。
そして清がそこはかとない恐怖に気持ちを落ち着かせられずにいる内、まだ昼前にその男はやってきた。
「君が…………牛抱君だね?」
小さな応接室に呼ばれた清にそう声を掛けたのは、三〇前後と思しき男。
お茶を運んできた事務員の女性が退室すると、慣れた手付きで男はテーブルの上に名刺を滑らせた。その名刺を目で追いかけた清が顔を上げると、その男の目は決して笑ってはいなかった。工場長の交通事故の直後。当然には思えた。
「私は本社で……主に事件を担当してる記者だよ。今朝亡くなった工場長から依頼を受けてた」
「亡くなった?」
「少し前に電話があったよ…………ダメだったそうだ」
そう応えて男は視線を下げた。
名刺に書かれている名前は〝月乃隆一〟。
──……工場長がこの人に…………
「こんな時にすまないね。急を有すると思ったから…………〝清国会〟というものを調べて欲しいと工場長から頼まれていたんだが……君の依頼だったそうだね」
「はい……大人の人なら…………何か知ってる人がいるかと…………」
──……何か…………嫌だな…………
「牛抱君は……何を知ってる?」
そう言いながら月乃の目付きが鋭くなっていったことに、清は背中の悪寒を感じる。
「……ここに就職してすぐですから……もう半年ぐらいですが、実は両親が失踪したままで…………その両親が最後の夜に〝清国会には気を付けろ〟と…………」
「清国会が何か────は……聞かなかったかい?」
「……いえ…………何も…………」
──……圧迫感…………これが新聞記者か…………
「そうか…………もう口にしないほうがいいみたいだ。私も最近、誰かに尾けられててね。そして朝の事故だ……現場を見てきたけど、車を置いて運転手はどこかに消えた。急ブレーキの跡も無い。しかも車は深夜に盗まれた盗難車だった」
「つまり…………」
「殺人の可能性があるってことだよ」
「まさか……どうして工場長が────」
「どうやら、清国会は危険な存在のようだ…………私にも何かあるかもしれない。君も、もうその名前は口にしないほうがいい…………」
そして、清は仕事を辞めた。
初めて恐怖を感じた。
その形になってきた緊張感が、両親の失踪と絡みつく。
すぐに工業部品を作る小さな町工場に転職。
その朝もいつもの電車に乗っていた。
しかしその電車は大きな脱線事故を起こし、その事故は新聞の一面を飾る。清は怪我こそしたが骨折もないままにすぐに退院することが出来た。
そして清は再び転職し、住まいを移す。
怖かった。
同時に思い過ごしだとも思った。自分の命を狙うなら、もっと簡単なやり方があると思えたからだ。
しかし例えそれが思い過ごしだとしても、同じ場所に長くいることに恐怖を感じる。そしてなぜ両親が転職と引っ越しを繰り返していたのかを理解した。
結果的に長くても三ヶ月。転職と転居を繰り返すことになる。
「かなざくらの古屋敷」
~ 第二五部「黒い点」第2話へつづく ~
目の前にあるものは
未来とは限らない
☆
もうすぐ夏が終わる。
そう思うことで、やっと季節が移りゆくものであることを感じる頃。
しかし残暑がしばらく居座りそうな、そんな八月。
この地域ではお盆と言えばこの月。
もちろん、まだ幼い絵留にとっては、地域によってお盆の時期が違うことなど知るはずもない。
いくつも集合住宅が並ぶ街の中の小さな公園には、今日も絵留だけ。
その日も暖かかった。
小学二年の夏休み。
絵留の一家は決してお盆や年末年始に実家に帰るという慣習はない。
学校の同級生のいう〝おじいちゃんの家〟〝おばあちゃんの家〟という感覚が絵留には分からない。だから、夏休みや冬休みに必ず行くような所があるわけでもない。
寂しくないと言えば嘘だった。
お盆が近くなると、遊ぶ友達もいなくなる。
遠くにお墓参りに行ったことはある。しかし、なぜか牧田家はお盆には行かない。夏休みが終わる頃に、父の休みに合わせて日曜日に行くだけ。
どうして自分の家だけ他と違うのか、その頃の絵留に理由は分からなかったし、聞いても適当にはぐらかされる。理由は分からなくても〝誤魔化されている〟感覚だけは幼い絵留にも感じ取れた。
テレビをつければお盆の話題ばかり。
しかし父がお盆休みを取ることはなく、その日も絵留は母と二人だけ。
その母が近くのスーパーの買い物から帰ってくると、絵留はお気に入りの帽子を手にして外に飛び出した。
いつもの団地の中の小さな公園。
午後の日差しが暑い。
そこには、数日前まではいつもの友達がいた。
行けばいつも誰かがいる場所だった。
しかし、その日も静か。
誰の声もしない。
──……これから、だれかくるかも…………
絵留がそう思って砂場にしゃがみ込む。
ほんの数分でも、まだ幼い絵留には長く感じられた。
まるで、世界が自分一人だけになってしまったかと思うような寂しさと、それが作り出す静けさ。
どうして自分には〝おじいちゃん〟も〝おばあちゃん〟もいないのか理解することは難しい。みんなのように遠くまで会いに行きたかった。
そして足元の砂をいじる指が止まった時、絵留は視線を感じる。
強い視線だった。
顔を上げ、無意識の内に立ち上がっていた。
その視線の先には、一匹の〝蛇〟。
真っ黒で大きなその〝蛇〟は、微動だにしないまま、ただ、絵留を見つめていた。
☆
そこは〝神無しの社〟と呼ばれた。
とはいえ、知る者は清国会でも限られた者だけ。
専属の接触組織が存在した。その組織────〝六神通〟が清国会との橋渡し役とされてきた。
現在の雄滝神社当主────清国会の頂点でもある滝川恵麻であっても、その詳細は知らない。
一般の人間では入ることの出来ない森。そこは古くから六神通が守ってきた禁足地。その奥に、そこはあった。入ることの出来るのは六神通の人間のみ。清国会の人間でも無断で入ることは許されない。
「神道の世界であるはずの清国会の中で〝六神通〟とは…………その謂れまではご存知なのですか?」
雄滝神社、本殿。
まだ早い時間。強目の日差しが黒い煤に包まれた祭壇に反射していた。
風は無い。それでも流れようとする空気が、そんな恵麻の言葉を捉える。
祭壇を前に恵麻が言葉を向けた相手は、そのだいぶ後ろ。清国会の組織の中では珍しいスーツ姿の若い男だった。恵麻と年齢的にはそれほど変わらないように見える。二〇代であることは間違いないだろう。雄滝神社を訪れる六神通の人間はいつも若い男だけ。しかもいつも違った。そして誰も名を名乗ったことはない。
更に年齢に反比例し、その言葉尻はやけに大人びていた。
「なに、そもそもどれだけ昔に作られた組織なのかも分かる者はおりませんでしょう。なにせあそこは…………〝神無し〟と呼ばれておる所…………神道も仏教も関係はございませんよ」
恵麻の指摘した通り、六神通とは仏教用語の一つ。六つの超常的な知識のことを表すもの。
その恵麻が小さく息を吐いてから応えた。
「私も直接伺ったことはございませんが…………先程申し上げた通り、清国会はその組織体系を大きく変えます。これからは今までのような組織ではありません。それ故……〝あそこ〟にも私が直接伺うべきかと存じます。お伝えすることがございますので…………清国会を束ねる者として────」
「なに、そのようなこと……我々から────」
「いえ…………これも私の責任の取り方です。それに……私も最後に見ておきたい」
「理由は、それだけですか?」
男の目付きが微かに変化した。
恵麻は背中にその鋭さを感じるが、振り向くことはしない。そうすることで何かを見透かされそうな緊張も浮かぶ。
そして口を小さく開いた。
「清国会のトップとして……もちろん興味がありました…………以前から…………」
「では日時がお決まりになりましたらお呼び下さい。私共から伝えておきます。〝カバネの社〟へ…………」
その日の午後、恵麻が赴いたのは毘沙門天神社だった。
決して明るい話を用意してきたわけではない。それでもなぜか参道の石畳を踏みしめる草履が軽い。
──……やはり…………あの選択は間違っていなかった…………
長い歴史を持つ清国会を、現在のトップである自分が実質的に終わらせた。
組織そのものが無くなるわけではないが、それまでの清国会ではなくなった。
その決断をした。
最初は先祖の御霊がどう思うだろうかとも考えた。しかし、不思議と自分の決断が間違っていたとは思えない。例えそれがただの結果論であっても構わないとまで思えた。
恵麻は産まれて初めて、自分を信じることを、信じられた。それまでは、何を思い浮かべても気持ちのどこかに何か燻るものがあったのが事実。少なくとも恵麻はそう感じていた。安易にその感覚を〝疑念〟や〝罪悪感〟と言ってしまうことは簡単だっただろう。しかし何かが違った。まるで喉の奥に何かが引っかかっているようなスッキリとしない不快感。
清国会に於いての決断の後、間違いなく気持ちは軽くなっていた。しかし、しなければいけないことはまだ多い。責任を取らなければならないことが沢山生まれていた。肩にかかる重責は大きい。
それでも、それなのに足は軽い。
そのことだけをとっても、恵麻は萌江たちに感謝していた。何かから解放されたような感覚があったのは事実。
だからこそ、久しぶりに萌江たちに会えることが嬉しかった。
金櫻家の末裔である萌江を信じた。
今は自分が現在の雄滝神社を護る立場であることが嬉しくさえ思う。
──……これは定められていたことか…………
──…………萌江様には笑われそうだが…………
いつの間にか口元が緩む。
参道の石畳から本殿に上がる階段の上。そこには一人の人影。
いつもの黒いゴスロリ。そこにチラつく白いレースのほうが生地が軽いのか、その部分だけが微かに揺れていた。
──……相変わらず派手だな…………
「……久しぶりだ…………西沙」
恵麻がそう言いながら見上げた先の西沙にも、恵麻と同じく小さく笑みが浮かんでいる。
「恵麻も元気そうじゃん。良かった」
そう応えた西沙が目を細めた。
確執の深い間柄。幼い頃から対立しか存在しない関係だった。
恵麻は清国会のトップ。
西沙は清国会の二番手である御陵院神社を抜け出して清国会に抵抗を続けてきた。その抵抗組織である〝蛇の会〟を設立した人間でもある。しかも西沙は恵麻でも恐れていたほどの能力者。
間違いなく恵麻の中には嫉妬があった。以前は認めたくなかったそんなことが、今は懐かしくも感じていた。
お互いに、よもや和解出来るなどと考えたことはない。
しかし、今は笑顔を向け合える仲。
恵麻にはそれが嬉しかった。
これからどんな流れが待っているのかは分からない。それでも西沙たちを信じることに疑問はなかった。
清国会が責任を取らなければならないことは多くある。負の部分と言ってもいいだろう。組織を変えるということはそういうことでもある。変えると言っても、その言葉だけで終わりではない。
──……清国会のトップとして…………しなければならないことがある…………
恵麻の肩に伸し掛かるものは大きかった。
──……私が、やらなければ…………
「お、その巫女服、新調したの?」
本殿の板間の隅で相変わらず想定外な言葉を投げかけるのは、やはり萌江だった。
清国会が総てを投げ打ってまで追い求めた金櫻家の唯一の末裔。その萌江が今は恵麻に笑顔を向けている。
──……まだ不思議な感じだ…………
そう思いながら、恵麻は少し身震いのような感覚を覚えた。それまで感じたことのない感情。しかし不思議と嫌なものではない。
──……陽麻の言うワクワクする感覚とはこういうことか…………
萌江を通じて、妹である陽麻の言葉を今さらながらに理解する。
そして、やはり嫌ではない。
清国会の中心であった雄滝神社に産まれ育ち、その後継者として教育され、学校に通ったこともない。国の中枢に入り込んでいた清国会からすれば義務教育などの法律に左右されることもない人生。もちろん友達などいるはずもない。その感覚すら知りようもなかった。一般的に言うところの、いわゆる世間というものを知らない。
「萌江様にはそんなこともお分かりになるのですか? 久しぶりに皆さんにお会いするので、一応……失礼の無いように新しい物をと…………」
人間関係の構築というものを知らない恵麻にとっては精一杯の返答だった。
しかしそんな、どこか辿々しい恵麻の返し方ですら萌江からすると初々しい。
「可愛いとこあるじゃん。元々綺麗な顔してるし、それならお婿さんも選び放題だねえ」
そこに挟まるのは本殿の板間に膝を下ろした西沙。
「ちょっと、世間知らずなんだから変なこと言って口説かないでよ」
「まあ、私と咲恵は可愛い子に弱いからなあ」
応えながら笑みを浮かべる萌江に釘を刺すのは隣で正座をする咲恵だった。
「萌江と一緒にしないでよ」
そんな会話に入れるはずのない恵麻は、階段を登り切った所で膝を降ろし、両手の指を着いて深々と頭を下げた。
そしてその声が本殿に流れる。
「改めまして皆様、お久しぶりにございます。本日は〝蛇の会〟の皆様に接見出来ますこと、真に幸いにございます」
僅かに空気が引き締まった。
隅で胡座をかいたままの萌江ですら、少し背筋を伸ばす。
毘沙門天神社に中心を置く〝蛇の会〟の会合。決して定期的に行われていたわけではない。必要に応じて収集がかかる程度のものだった。
祭壇の前、そこにいるのは大見坂楓────この年の春に中学生になったばかり。幼いながらもその能力の高さ故、現在は正式に〝蛇の会〟の中心人物。
その横には母親の大見坂雫。元々は雫も西沙と同じく清国会に反旗を向けた人間だったが、その雫でさえ今は恵麻に柔らかい表情を向ける。その雫が口を開いた。
「顔を上げてください。今は同胞じゃないですか」
あからさまに堅苦しさの無い組織。組織という体裁を保つために中心人物は必要とされたが、決して厳格な上下関係があるわけではない。しかも清国会ともあくまで同列。そこは清国会と少し前に共有された部分だった。
以前の清国会のような厳格な組織体系を持った組織しか知らない恵麻にとっては、正直まだ戸惑うことは多い。しかしそこに不安要素はなかった。それは偏に〝信頼〟に他ならない。
今の恵麻には、明確に信じられるものがあった。
しかしその存在たる萌江は決して自分を中心とは思っていない。今も祭壇の前ではなく隅で胡座をかいているほど。組織のトップに立とうという願望はまるでなかった。
しかし、いざとなれば前線に立つ。そして現場をまとめる。そういう強さを持った能力者。
恵麻にはそう見えていた。
そしてそういう人間が一番強いことを、今の恵麻は知っている。
恵麻がゆっくりと頭を上げたところで、その萌江の声が届いた。
「で、どうだった? 例の〝カバネ〟は」
必要以上に硬くなるなと言ったところで、今の恵麻にそれがまだ難しいことも分かっている。だからこそ、手っ取り早く本題に移った。
事の発端は恵麻からの情報。
萌江の〝命を作り出す力〟が明確になったことで、関連を感じた恵麻が動くことになる。
これまで清国会の中で〝命〟が必要とされる神社が二つあった。〝水乃蛇神社〟と〝毘沙門天神社〟。そこでは血を繋ぐために清国会が婿養子や子供を用意するために子供を攫ってきていた歴史がある。しかし必ずしも理想通りの子供が見付かるわけではなかった。
そんな時、清国会が〝命の調達〟のために契約していたのが〝カバネの社〟。
「毎回……というわけではなかったんですね」
咲恵が恵麻に質問を向けた。
「はい……用意出来なかった場合のみ…………ですが…………」
そのか細くなった言葉尻に、空気が僅かに変わる。
「……〝命〟を用意してもらうために…………我々も奉納するべきものがありまして…………それが難しく…………」
応える恵麻の声が小さくなるにつれ、視線が落ちる。
全員が次の言葉を待った。
清国会のトップである人間が、その組織の抱えてきた〝負〟を曝け出す。しかもその組織内ですら知る者が少ない事柄。それが簡単でないことは、その場の誰もが想像出来た。
広がる緊張に、やっと恵麻の声が溶け込む。
「…………胎児を…………用意せねば……なりませんでした…………」
静寂と共に、言葉が続いた。
「……妊娠……三ヶ月から……六ヶ月…………性別は問わずに…………」
言いながら、膝の上に置いていた恵麻の手が微かに震える。
萌江の目付きが変わったのに最初に気が付いたのは、咲恵だった。
先天的に妊娠の出来ない体でありながら〝命を創り出す〟ことの出来る能力者。それ故か、命というものに過剰な部分があるのは否めない。
西沙もそれに気が付いていた。
その西沙が肩越しに萌江に視線を傾ける。
萌江は恵麻を見続けていた。
水乃蛇神社のことも、ここの毘沙門天神社の負の歴史も、この場の誰もが知っていること。普通の血の繋ぎ方ではない。どこかの誰かの犠牲があった。しかも数百年の間、それが繰り返されてきた現実がある。
「子供でも胎児でも…………どちらも、地獄だったね…………鬼郷夫婦がここにいなくて良かった…………」
毘沙門天神社を護ってきた鬼郷家。現在その立場にある宮司の佐平治と巫女の結妃。どちらも〝作られたかもしれない命〟。
萌江のその言葉に、恵麻が顔を上げずに応えていた。
「…………本日……は…………どちらに…………」
「奥に小さな別邸があってさ。今日はそこに行ってもらってる。なんとなく、そのほうがいい気がしてさ…………」
「お会い出来ませんか…………」
少し強くなった恵麻の言葉が続く。
「……私が直接、お二人に────」
「恵麻────」
遮った萌江が繋いだ。
「それは私に選ばせて」
萌江の短いその言葉に、恵麻は何も返せないまま。
その姿に口の動きかけた西沙は、膝の上の両手を強く握りしめていた。元は清国会の一員であった西沙にも、真実を知った今、思うことはある。言いたいことはある。
それでも口をつぐんだ。
──……感情的になったらダメだ…………萌江に任せろ…………
そこに聞こえる萌江の声。
「今さら……綺麗事を言うつもりはないよ。それでいいよね」
強過ぎず、決して柔らかすぎもしない。
そして、次いでその声は西沙に向けられた。
「西沙の中の音水ちゃんは? 聞いてるの?」
亡くなってからも西沙を依代としている巫女、藪沖音水。〝カバネの社〟の話が出た時点で、毘沙門天の鬼郷家同様に〝作られたかもしれない命〟に大きく関わる水乃蛇神社の巫女だった。
「大丈夫。私がシャットアウトしてる。聞かれてないよ…………多分…………」
反射的に西沙が応えていた。
そして、次の萌江の声は柔らかい。
「雫さんは? 楓ちゃんは大丈夫?」
しかしその目は項垂れる恵麻を見据えたまま。
そこに雫の静かな声。
「問題ありません。私も楓も時を遡れる身…………様々なことを見てきました…………」
その雫の言葉にも、隣の楓の表情は変わっていない。僅かな微笑みを浮かべながら静かに恵麻を見つめるだけ。
母と娘、共に時を遡れる能力者。しかも娘の楓は過去に干渉することが出来た。そんな二人だからこそ、ここにいた。だからこそ、楓は〝蛇の会〟の中心にいた。普通の人生など送れるはずもない。そう判断し、自分たちの意思でここにいた。
「娘の楓は強い子です。だからこそ……今、ここにいます。そうですよね…………萌江さん」
そう言いながら、小さく口角を上げた雫の顔が萌江に向く。
萌江は笑みで返すだけ。
口を開いたのはその隣の咲恵だった。
「恵麻さん……質問を続けさせて頂いても?」
あくまで冷静な口調。そうあろうと、咲恵自身が努めていた。それが自分がすべきことであることを知っていた。
──……いざとなれば……萌江を抑えられるのは私だけだ…………
少し間を空けて、恵麻が応える。
「…………もちろんです……どうぞ……」
「その〝奉納品〟は…………その理由までを、ご存知で?」
「いえ、残念ながら分かりません…………私たちも直接接触したことがないのです。仲介役の〝六神通〟ですら謎ばかりです…………」
「そこに…………」
「行けることになりました…………私が直接行って参ります……」
恵麻が顔を上げる。
その恵麻に、萌江は笑みを向けた。
そして口を開く。
「やっと可愛い顔を上げてくれた…………遥か昔から〝命を創り出せる謎の組織〟として存在した所なんでしょ? その〝カバネの社〟って…………その存在が何なのか……清国会のトップの目で見てきて。頼んだよ」
「かしこまりました」
恵麻の返事には、強さが籠っていた。
萌江はその言葉を噛み締めるように間を空けた。
そして繋ぐ。
「私はこれまでの清国会を責める気はないよ。そんな無意味なことには必要性を感じないからね。だから恵麻が私たちの前で責任を感じる必要は無い。でも今の恵麻の感情までを無意味だとは言わない。あなたの今の気持ちは伝わった…………今、必要なことはそれだけ…………でしょ? 咲恵」
突然話を振られた咲恵が少しだけ驚いた表情を浮かべ、それでもすぐに返した。
「そうね……だからここから必要になるのは萌江の未来を見れる力…………私の過去を見れる力や雫さんの過去に遡れる力は必要ない」
「でも…………」
そう言葉を返した萌江が楓に顔を向けながら続ける。
「楓ちゃんの〝過去に干渉出来る力〟は必要になる」
「干渉?」
反射的に返した咲恵の言葉は、その場の全員の疑問だった。
それに萌江は淡々と応え始める。
「────〝牧田絵留〟……覚えてる?」
「牧田……絵留…………あの時の…………」
反射的に応えた咲恵の声が宙を舞う。
かつてスズが取り憑いた少女。
その少女────絵留はカリスマ性を伴い、そして狂信的な新興宗教を作り上げて萌江と咲恵に接触しようとした。
その絵留の最後の言葉を萌江は忘れていなかった。
〝京子に繋がる人間だからだ!〟
「彼女には弟がいた。でも産まれる前に母と共に殺された…………彼女に操られた父親の手で…………彼女というかスズは、彼女の母親を殺すために胎児を殺したって言ってたけど、何か引っかかってたんだ。本当にお母さんに繋がる血だとするなら絵留を殺せばいいだけ……それから弟を殺せばいい…………スズになら簡単なはず。誰かを操ればいい……それなのに、なぜ?」
「まさか……そこに行き着くとはね…………」
思わず返した咲恵の瞳孔が震える。
そして、続けた声も震えた。
「何かを見せるため?」
「…………あの〝血筋〟の…………〝胎児〟が欲しかった…………?」
「……確か最後に……〝京子さんに繋がる人間だから〟って…………」
「そして〝命を創り出せるカバネの社〟の〝奉納品〟…………」
「……萌江の〝命を創り出せる力〟…………」
「私の〝血〟って、よっぽど美味しいらしいね」
そこに挟まるのは西沙。
「年齢は関係ないの?」
「若くなきゃダメ? 西沙も味わってみる?」
戯けるように返す萌江に、西沙は真剣な目付きで返した。
「この状況でふざけないでよ。楓ちゃんの前だよ」
「それもそうか」
しかし当の楓は笑顔で口を開いた。
「大丈夫ですよ。萌江さんのセクハラには慣れましたから」
すかさず萌江。
「歳もとるはずよね。あの楓ちゃんが敬語覚えるくらいだもん」
「もう中学生ですので」
楓は中学生になったばかり。
身長だけでなく態度にも成長が見られる年頃だった。
「ウチの教祖様も大きくなったねえ」
そんなことを言う萌江とのやり取りにも慣れたもの。
「それって皮肉ですよね」
「そんな言葉も中学校で教わるの?」
そして大きな咲恵の溜息。
それを咲恵自身の言葉が補う。
「これからの流れとして、引き続き〝カバネの社〟に関しては恵麻さんに調べてもらうとして…………私たちの役割は? 絵留の母親を調べる必要があるとは思うけど……最初からそのつもりだったんでしょ…………?」
すると、さっきとは打って変わって声を落とした萌江が応えた。
「恵麻から〝カバネの社〟の話を聞いた時からなんとなく頭に浮かんでた……理由は分からないけど絵留が頭から離れない……それが今日確信に変わったよ。やっぱり、それぞれに繋がりがありそうだ…………」
やはりその声は空気をも変える。
「楓ちゃん、私の記憶を頼りに、行ける? 絵留の母親の牧田靖子を知りたい」
その萌江の言葉に、楓は僅かに顎を上げて応えた。
「いつでも」
そして、その口角が上がる。
☆
昭和五〇年。
西暦一九七五年。
昭和二〇年の敗戦を経験し、戦後からゆっくりと続いた高度経済成長に於いて、後に安定成長期とも言われる頃の始まり。やがてバブル景気と呼ばれるものに発展していくが、その経済的繁栄が幻のものでしかなかったことが判明するのはまだ先。
国際的に見て経済が発展することに並行して国民一人一人の生活も確かに豊かにはなっていた。それでもそれは統計上の数字でしか歴史の教科書には載らない。総ての国民が豊かな生活を謳歌出来得ることなど有りはしない。貧富の差が豊かさを生む。資本主義社会の現実。それに多くの国民が気が付くのは、自らがその生活の質を落とさざるを得なくなった時。
底辺の生活を強いられてきた人々は、いつの世にも存在する。
そんな人々が社会の豊かさを支えてきたことに、ほとんどの人々は気が付かなかった。
それが今以上に執拗に隠されていた時代。
そんな時代に、産まれた。
後にその父となる男────牛抱清も底辺で生きてきた。戦後すぐに産まれ、戦後の苦しみを直接味わったことは無く、物心が付いた頃はすでに戦後ではなかった。その苦しみを直接味わったのは両親だということは清も理解している。
それを理解出来たのは昭和三〇年代。
とはいえ、牛抱家が常に貧しかったのは変わらなかった。両親共に定職に着いたことは無く、常に日雇いだったが、それでも屋根のある家と呼べる場所があった。戦時中に直接的な戦火の影響があった地域ではなかったが、そんな場所でも敗戦の影響は大きく、多くの国民が肩を寄せ合って生きていた。
一つの所に長く暮らしたことはない。そんな子供の頃の経験からか、清は大人になってからも場所という物に愛着を持つことはなかった。
清が中等学校の卒業と同時に地元の新聞社の印刷工場に就職した頃、両親が失踪する。
ある夜、家に二人とも帰ってこなかった。
警察に捜索願いは届け出たが、それ以来両親が帰ってくることはなかった。
それから、両親との最後の夜の言葉が、清を苦しめる。
〝 清国会には気を付けなさい 〟
清国会────初めて聞く言葉だった。相談出来る友達もいない。新聞でも見たことはなかった。
それでも地方紙とはいえ新聞社の完全子会社となる印刷工場。おそらくこの時代に於いては多くの情報が集まる場所の一つだろう。
「清国会って、聞いたことありませんか?」
清が工場長に相談したのも自然な流れだった。
印刷工場とはいっても地方紙。従業員が十数人の小さな会社。答えはやはり清の想像通りのものだった。
「清国会? 聞いたことないな」
工場長は戦後すぐから工場を任されて一〇年以上。新聞社の子会社とはいえ、所詮はただの印刷工場に過ぎなかった。こんな答えは清にも想像は出来ていたこと。しかしまだ幼かった清には他に頼る当ては無い。小さな〝点〟に縋るしかなかった。
「そうですか」
「清国会……〝会〟ってことは、暴力団とかじゃないだろうな」
「分かりません。ですが父が最後に〝清国会に気を付けろ〟って言ってました」
「本社に問い合わせてみるよ。何か分かるかもしれないな。少し待ってろ」
それから数日、本社である新聞社からは何の情報も得られないまま。
朝だった。
工場長が開け放したままを嫌う入り口の扉。
ステンレス製の、所々が綻び、錆着き、歪んだ古い扉。
開け放たれたままだった。
見知った従業員たちが忙しなく出入りする。
「清君! 工場長が少し前に交通事故で────!」
〝 清国会には気を付けなさい 〟
その日は仕事もそこそこに、清達のような若い従業員だけで定期ラインを回していった。大人達は全員が忙しく事務所を出入りする。
そして清がそこはかとない恐怖に気持ちを落ち着かせられずにいる内、まだ昼前にその男はやってきた。
「君が…………牛抱君だね?」
小さな応接室に呼ばれた清にそう声を掛けたのは、三〇前後と思しき男。
お茶を運んできた事務員の女性が退室すると、慣れた手付きで男はテーブルの上に名刺を滑らせた。その名刺を目で追いかけた清が顔を上げると、その男の目は決して笑ってはいなかった。工場長の交通事故の直後。当然には思えた。
「私は本社で……主に事件を担当してる記者だよ。今朝亡くなった工場長から依頼を受けてた」
「亡くなった?」
「少し前に電話があったよ…………ダメだったそうだ」
そう応えて男は視線を下げた。
名刺に書かれている名前は〝月乃隆一〟。
──……工場長がこの人に…………
「こんな時にすまないね。急を有すると思ったから…………〝清国会〟というものを調べて欲しいと工場長から頼まれていたんだが……君の依頼だったそうだね」
「はい……大人の人なら…………何か知ってる人がいるかと…………」
──……何か…………嫌だな…………
「牛抱君は……何を知ってる?」
そう言いながら月乃の目付きが鋭くなっていったことに、清は背中の悪寒を感じる。
「……ここに就職してすぐですから……もう半年ぐらいですが、実は両親が失踪したままで…………その両親が最後の夜に〝清国会には気を付けろ〟と…………」
「清国会が何か────は……聞かなかったかい?」
「……いえ…………何も…………」
──……圧迫感…………これが新聞記者か…………
「そうか…………もう口にしないほうがいいみたいだ。私も最近、誰かに尾けられててね。そして朝の事故だ……現場を見てきたけど、車を置いて運転手はどこかに消えた。急ブレーキの跡も無い。しかも車は深夜に盗まれた盗難車だった」
「つまり…………」
「殺人の可能性があるってことだよ」
「まさか……どうして工場長が────」
「どうやら、清国会は危険な存在のようだ…………私にも何かあるかもしれない。君も、もうその名前は口にしないほうがいい…………」
そして、清は仕事を辞めた。
初めて恐怖を感じた。
その形になってきた緊張感が、両親の失踪と絡みつく。
すぐに工業部品を作る小さな町工場に転職。
その朝もいつもの電車に乗っていた。
しかしその電車は大きな脱線事故を起こし、その事故は新聞の一面を飾る。清は怪我こそしたが骨折もないままにすぐに退院することが出来た。
そして清は再び転職し、住まいを移す。
怖かった。
同時に思い過ごしだとも思った。自分の命を狙うなら、もっと簡単なやり方があると思えたからだ。
しかし例えそれが思い過ごしだとしても、同じ場所に長くいることに恐怖を感じる。そしてなぜ両親が転職と引っ越しを繰り返していたのかを理解した。
結果的に長くても三ヶ月。転職と転居を繰り返すことになる。
「かなざくらの古屋敷」
~ 第二五部「黒い点」第2話へつづく ~
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