あくまで復讐の代行者

ゆー

文字の大きさ
5 / 46
第一章

一人目 ようやく始められる復讐 その二

しおりを挟む
 ある程度の情報をグレモリーから手に入れ、僕は次の行動へ移す。鈴宮に接触だ。

 グレモリーを連れて、鈴宮が一人でいる時を狙う。大学の講義が終わったのだろう、彼女が一人で大学を出て自宅へ向かう途中には公園がある。そこに差し掛かった頃合いを見て声をかける。

「初めまして、鈴宮奈緒美さん」
「は? えっ、誰?」

 唐突に声をかけられ、警戒の眼差しで僕とグレモリーを見る。それに構わず、姉さんのことを問いかける。

「大磨秋乃。知らないわけないよな?」
「はあ? いきなり何よ? その人とわたしに何の関係があるわけ? 意味分かんないんだけど」

 こいつ……! 関係がない、わけないだろ! それとも何か? 自分がしたことも、姉さんのことも、何もかも忘れたとでも言いたいのか……!

 握る杖に力が入る。今すぐにでも、この女の顔に一発でもいいから殴ってやりたい! いや、思い出すまで殴り続けてやりたい!

「主、それはいけませんよ。手を怪我してしまいますし、何よりその役目は私たちにお任せを。ですから、怒りを沈めてください」
「……ちっ」

 グレモリーにたしなめられ深呼吸を。そして、もう一度だけ彼女に問う。

「忘れたか? 同じ高校に通っていた同級生を」
「あっ。もしかして、自殺しちゃった大磨さんのこと?」
「……ああ、そうだよ」

 この女の言葉一つ一つが癇に障るな! なにが、自殺しちゃった、だ! 貴様らがそうしたんだろうが!
 ようやく思い出したようで、確かにいたわ、大磨さん。と軽い反応を見せる。

「それで? 今更、大磨さんのことをわたしに訊いてきて何よ」
「……お前、下着姿を撮ってそれを使って脅迫、恐喝しただろ。グループメッセージ、SNSに晒されたくなかったらお金を寄越せって。虐めてたんだろ」

 姉さんの日記に書かれていた。鈴宮奈緒美に脅迫と恐喝をされていると。一週間に一度、酷い時は三日に一度のペースで女子トイレまたは誰も来ない校舎裏で。

 言い逃れなんてさせない。それ相応の罰は受けてもらうぞ。

「くだらない」

 僕の言葉に、鼻で笑って言い放つ。

「虐め? そんなことしてないし。勝手に自殺して、原因がこっちにあるかもって、先生とか色んな人がわたしにどうでもいいことばっか聞いてきて、ずっと同じ質問に答えるこっちの身にもなってよね。ほんといい迷惑だわ。自殺するなら、迷惑がからないとこでやってよね。そのせいで、わたしにも被害被るのよ」
「…………っ」

 こ、このくそ女! 言うことがそれか!

 認めない、それどころか迷惑とまで言い切る。姉さんが受けてきた痛みも何もかもを、この女にとっては迷惑の一言で片づける。
 殺す。姉さんが受けた痛み以上の苦痛と絶望、許しも希望も何もかも奪って地獄へ叩き落としてやる……!
 僕が感じる恨み、憎しみ、憎悪、殺意の全て込めて殺す。

「グレモリー」
「はい、主」
「お前が創り出した、へ連れて行け」
「仰せのままに」

 グレモリーに命じると、僕らの会話の内容が分からない鈴宮は首を傾げ瞬きした一瞬で間合いを詰められ後退った。

「えっ⁉ な、なに⁉」
「眠りなさい」
「はあ⁉ 何言って……」

 グレモリーの手が、鈴宮の目を覆い視界を塞ぐと身体は力が抜けたのか、膝から崩れ落ちその場に倒れ込む。

「丁寧に運ぶ必要はない」
「分かりました」

 倒れ込む彼女のお腹に腕を通し、軽々と持ち上げるグレモリーはそのまま何もない空中に手を伸ばす。すると、そこに見たことのない赤い文字と魔法陣が浮かび上がる。

 ゆっくりと回転するそれは、徐々に空間を穿ちその先は暗く何も見えない。グレモリーは、腰を曲げ一言、どうぞと。
 僕が先に入り、グレモリーもそのあとに続く。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...