偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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第二章 神喰い狼フェンリルと不死鳥フェニックス

縛られる巫女(2)

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 部室に戻ってくる美哉。夏目たちはもう帰ったのだろう、誰もいない部屋に一人。



 春人の言葉が頭にこびりつき、苛立ちが隠せない。部室に誰もいなくてよかったと思う美哉。



 ダンッ! と部長専用の机を叩く。こんなにも感情的になるのは珍しい。普段から感情を抑制し、常に冷静でいられるように心がけてきたが縁談の件だけは冷静ではいられない。



 当主兼、祖父の玄也に言えば父親の目論見を潰せるだろうが結局、玄也に頼りっきりになってしまう。その程度では本当の意味で自由にはなれない。



「私は……」



 夏目のそばに一生いられるには、どうすればいいのか分からなくなってしまう。



「…………」



 ふと、このまま逆らうこともできず、言いなりになるのなら初めては……と考えが過ぎった。



「夏目との、最初で最後の――」



 冷静に物事を捉えることも、まともな思考ができなくなった美哉は早足で帰宅する。夏目も既に帰っているだろうと踏み切り、ノックもせず部屋へ突撃する。予想通り、ベッドの上に座り義足の手入れをしていた。



「おわっ⁉ び、びっくりした。おかえり、美哉」



 突撃に驚きつつも笑って出迎えてくれる夏目。



「…………っ」

「ん? 美哉?」



 いつもなら、ただいま戻りました、など言う美哉が今日は黙り込む様子に首を傾げる。



「どうした?」



 と、様子がおかしいことに気づき心配し訊く。手入れ中の義足を置いて、片足で兎のように跳ね美哉のそばに近づく。

 美哉のそばに寄り顔を覗く夏目は、戸惑いながらも頭を撫でる。



「――っ⁉」

「大丈夫か?」



 夏目から見て、美哉が泣いているように見えたのだ。実際には、涙が流れているわけではないがそれでも頭を撫でれば少しは泣き出しそうな心が楽になるかもと。



 夏目の撫でる手が優しく、温かさが今は余計に心が痛む。頭の隅で、強引に迫ってお互いの初めてを散らすのは違う気がする。



 そう考える思考は戻りつつあったが、巫女としての役目に自由がない未来に我慢できなかった。

 もう子供ではない。子を宿す体はあり、神殺しの血ならなにも春人でなくてもいいはず。



(宿すなら、他の誰でもない夏目との子が欲しいっ……)



 と強く望んでしまう美哉。

 嫌な己が浮かび上がり語り掛ける。



『夏目の家へ強引に同棲を進めたのはこのためでしょう?』



『誘惑したのも、夏目の性欲を刺激し続けていたのも、我慢できなくするため』



『同棲している間に、夏目の子種を貰い無理矢理にでも子を宿すため。そう望んだのは私なのだから』



 そう半身が答える。そして最後に、このまま押し倒して奪えばいいんです、と囁かれる。

 悪魔の囁きに美哉は応えてしまう。夏目の肩に手を置く。



「美哉?」



 疑問符を浮かべた夏目をベッドへ押し倒す。



「えっ、ちょっ、うおっ⁉」



 美哉の行動に二度目の驚き、身動きが取れない夏目のお腹の上にのしかかり言葉を発する。



「夏目。今すぐ、私を抱いてください」

「へっ、は、はあっ⁉」



 言い終わると制服に手をかけ脱いでいく美哉に夏目はパニックを起こす。

 アホ毛はグルグルと回転し、混乱を示し教えるが今ばかりは無視を決め込む美哉だった。



「ちょっ、ま、待て!」



 制服を脱ぐ美哉の手を掴み止めるが、その手を払い除け制止も聞く耳を持たず下着姿となりそれさえも手にかけ脱ごうとする。



「み、美哉⁉ ほ、本当に待て! やめろって!」

「…………」

「美哉!」



 夏目の上に座り込んだ状態で器用に制服も、下着さえも脱ぎ捨て裸体を晒す。



「なっ、なななっ……!」



 目の前、視界には何も隠すものがない美哉の体が映り耳まで真っ赤にして手で目を覆う夏目。



「な、何をやってるんだよ! か、風邪引いたらどうする気だ!」



 と、怒るポイントが少しズレている夏目だが美哉の表情には陰りを滲ませ危なげだ。



「見てください、夏目……」

「はいっ⁉」



 目を覆う右手を取り、自ら胸へ持っていき触らせる。手の平から伝わる柔らかさ、温もりに心臓の鼓動を感じさせる。



「~~~~っ!」



 手の平から伝わる全てに、声にならない声がもれる夏目。

 反応を見て美哉は言う。



「夏目、分かりますか? 私の鼓動が、温もりが……。私の全部は、あなたに捧げたいんです……」

「み、美哉……?」



 何を求め、今この瞬間に何を成そうとしているのか夏目には分からない。だけど、どこか苦しげで辛そうな美哉を放ってはおけない。



(なんだ? 美哉は何に怯えているんだ? 何があったんだ?)



 パニックを起こしながらも、わずかに残った理性が耐え思考回路を働かせようとするがそれを美哉は潰しにくる。



「私と子作りしましょうか。夏目」

「なっ……⁉」



 美哉の口から、想像もしていなかった言葉が飛び出し開いた口が塞がらない。耐えている理性にヒビが入った。



 固まる夏目に美哉は妖艶に微笑む。
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