偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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第二章 神喰い狼フェンリルと不死鳥フェニックス

縛られる巫女(4)

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 美哉を押し倒し、性行為の寸前を止めに入った二人。家へ勝手に上がり込み、部屋にまで押し入った人物は燐と桜だ。



(は⁉ えっ⁉ な、なんでこの二人が俺の家に⁉ お、おまけに見られた⁉)



 と頭の中は混乱の嵐に陥る夏目。

 美哉というと、無言の圧力で燐と桜を睨みつけていた。



「は、破廉恥よ! ケダモノ!」



 桜は、ベッドの上にいる夏目に向かって顔を真っ赤にして怒る。燐は、これといって表情を変えず冷静に美哉へ言う。



「先輩、がいながら逢真とこういことはやめてくれ」



 燐の一言に反応する夏目。



(こ、婚約者? 美哉に婚約者がいるのか?)



 そんな話は今まで一度も聞いていないことに不安が押し寄せる。

 婚約者がいながら誘惑してきたのか? なんで? どうして? 理由は? と疑問ばかり思考が巡る。



「ちっ!」



 盛大に舌打ちをしながら美哉は夏目から離れ布団で体を隠す。部屋の入口に立ち塞がる燐と桜に怒りを向け言い放つ。



「私と夏目の家に勝手に上がり込まないでください。それだけではなく、部屋にまで押し入るとは常識がないのでは?」



 それに対して燐から美哉へ伝える。



「雪平家……いや、先輩の父君からの命なんだ。わたしの父伝手で、先輩が実家に戻るまで逢真の家に同居する運びとなった。それと、先輩が逢真とための抑止力がわたしと桜だ」

「――――っ!」

(美哉?)



 美哉の表情が一変。燐の言葉を聞いて、布団を握りしめ唇を噛み瞳の奥には殺意が芽生え始めていた。



 夏目には一体なんの話をしているのかさっぱり分からず黙る。

 桜もまだ顔が赤いまま美哉へ忠告。



「お兄様との縁談が成立するまではご自重ください。いえ、成立したとしても浮気はダメですけど」



 桜の言う、お兄様とは生徒会長のことだとすぐ理解した。そして、先程からの会話で夏目も嫌でも分かった。美哉の婚約者が、神山学園の生徒会長であり同じ神殺しの東雲春人だと。



 信じたくなくて、受け入れられず美哉を見て答えを求める夏目の顔を一度は見て視線を逸らし一言。



「ごめんなさい……」

「……っ」



 美哉の返答にアホ毛が左右に軽く揺れる。その動きが謝罪を聞きたいのではないと拒否を示すが、夏目の心情を理解しながらも視線だけではなく顔をも逸らす。



 何も言えなず固まる夏目を置いて、制服を手に取りある程度の身だしなみを整え、燐と桜を連れて部屋を出て行く。



「こめんなさい。今日のことは、私が一方的な欲がなしたことです。忘れてください、夏目」



 その際にもう一度、謝り扉を静かに閉める。

 呆然とベッドの上で座り込み動けない夏目。その影から、フェンリルが顔を出す。



「主、大丈夫か?」

「フェンリル……」



 心配し、夏目の顔を覗き込み訊くフェンリルに問う。



「俺の知らないところで何が起きてるんだ?」

「それを訊かれても、我輩にも分からぬ」



 美哉が住むことに関しては許可を出した。だが、燐と桜のことは知らない。それどころか何故、雪平家というより美哉の父親にそこまで決定権があるのか。



 何より、美哉がどうして春人と縁談をしなければならないのか。疑問が尽きない夏目にフェンリルから、



「問いただすしかなかろう」

「そう、だよな……」



 興奮し熱くなった体は冷え切り、性欲などどこか彼方に消えてしまう。残ったのは意味も分からず押し寄せる不安と、答えが見えない疑問だけ。
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