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第三章 林間合宿と主なき神獣
調査開始(4)
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戻ってきた夏目たちは改めて作戦会議を行う。
「まず、使徒の目的はわたしたちと同じと見ていいだろう」
「あたしもそう思うわ」
「だな。湖付近の洞窟にいたわけだし」
使徒の目的について三人の意見は満場一致。このタイミングで写真が撮られた湖付近の洞窟での遭遇がただの偶然のはずがなく、どう見ても未確認生物こと神獣の捕獲が狙いと見て間違いないだろう。
「となると、神獣の奪い合いは必然だろうな。こっちには夏目がいるとはいえ、油断は禁物だ」
「そうね。こっちも神獣が目的だから」
「向こうに神殺しがいないことが気になるけど」
使徒たちとの衝突は免れないだろうと答えが出る。
神獣を奪われる前に使徒を倒す方針で作戦を練ることに。あとは、使徒より先に神獣と接触し味方に引き込むという案も頭に入れておく。
今夜は、神獣調査と使徒の動向も探るのと並行で行う。時刻は二十二時過ぎ、夏目たちは一般生徒が消灯時間を迎えてから行動に起こす。再び、湖へ向かう。
辺りは暗く、それぞれ手に持つ懐中電灯の灯りを頼りに足元を照らし進む。夏目は、湖の水面を覗き込みながら照らす。
夏目のそばにはフェンリルが大型犬のサイズとなり寄り添う。
燐と桜は、辺りを見渡し警戒をする。
「う~ん、何も見えないな……」
気配や何も感じない夏目は、水面を覗き込みながら呟く。すると、照らす水面に影が横切った。
「おわぁっ⁉ な、何か横切ったぞ⁉」
唐突に視界に映り込む影に驚き声を上げ、その声に反応した燐と桜が駆け寄る。
「どうした⁉ 何か見つけたのか⁉」
「夏目くん、大丈夫⁉」
「二人共、今、黒い何かが横切ったんだよ!」
夏目が水面を照らしながら説明をするが、何も映り込むことはなく灯りの反射で燐と桜の顔が映るだけだった。
「何も見えないが?」
「ええ、何もないわね」
「いや、ほんとだって! 何かが視界に映ったんだって!」
「まあ、主よ落ち着け。誰も、嘘を言っているなどとは思ってはいない」
「でもよ……」
「夏目が見たという、黒い影が何なのか」
「湖にいる魚と間違えたとか?」
燐と桜は、水面を覗き込み確かめる。とその時、水面が波打ち始めた。
「「――っ!」」
二人は同時に、覗き込む湖から数歩後退したと同時に地面が微かに揺れ出す。
「ん? 地震か?」
「いや、違う。主よ、気をつけろ!」
「え? どういう――って、うわっ⁉」
夏目の疑問を遮るように、その揺れは大きくなるにつれて水面も大きくうねり出した。
揺れに驚き、体勢を崩し倒れ込みそうになる夏目を燐と桜が両腕を掴み支えてくれる。
「大丈夫か、夏目?」
「この揺れ、大きいわ」
「大丈夫だ。ありがとう」
「……っ! 三人共、来るぞ!」
フェンリルの叫びに前方を見れば、湖の水がうねり津波のように荒れ狂い襲い掛かる。
「なっ⁉」
「引くぞ!」
「嘘でしょ⁉」
慌てて後退し距離を取る三人の前に姿を見せた未確認生物こと神獣。暗闇の中でも分かるほど輝く金色の瞳、そして大き過ぎる丸みを帯び鱗に覆われた長い胴体。現れたのは、巨大過ぎる蛇だ。
生え揃う牙を剥き出し、夏目たちを捉えると金色の瞳を細め睨みつける。そして、口を開けた。そこから紫色の煙を吐き出す。
「まずいっ! 桜よ、今すぐ結界を張れ! あれに当てられると死ぬぞ!」
これにフェンリルが叫ぶ。
桜は、フェンリルの言葉に瞬時に反応し全員を護るべく結界を張り覆う。
張ったと同時に紫色の煙が結界を覆い尽くすが、結界を超えて内部にまでは届かず無事。
腕を伸ばし結界を張る桜が訊く。
「フェンリルさん、あれは何?」
「あれは、ありとあらゆる生物を死に至らしめる猛毒だ。木々や草木は腐り、生物は一瞬で死に絶え、大地は枯れ二度とそこに咲くことも生えることはない」
フェンリルの珍しく焦った説明に、この場にいる全員が危険過ぎると顔が青ざめる。
「まさか、本当にヨルムンガンドがいるとはな……。この猛毒は、我輩の弟の能力に間違いない」
「じゃあ、あれがヨルムンガンドなのか?」
「うむ、主の言う通りだ」
夏目の問いに頷くフェンリル。
「結界がなければ、いくら神殺しの肉体といえど厳しいであろう」
つけ加える説明に、今起きている状況に危機感が強くなる。結界の外に出るこもままならい。動けない今、燐の頭にあることが過ぎり焦る。
「待て! この猛毒が合宿所にまで及べば大惨事になるのではないのか⁉」
「おそらく、そこまでこの猛毒は届かないであろう。我輩が見るにヨルムンガンドの様子がおかしい、本来の力を発揮できていなように見える。ヨルムンガンドの本気ならば、この結界を噛み砕きその上で猛毒を吐き出し確実に殺しにくるはずだ。だが、猛毒を吐き出すだけで何もしない、おまけに威力が弱い」
焦る燐に対して、フェンリルは吐き出された猛毒と弟を知るからこその行動を見てそう分析する。
その言葉に完全に安心できたわけではいが、ひとまず生徒たちに危害が及ばないと胸を撫で下ろす燐。
だが、今の現状では結界を覆い尽くす猛毒で動けないことには変わりない。三人とフェンリルは、ヨルムンガンドが吐き出した猛毒のせいで結界内に閉じ込められてしまうのだった。
「まず、使徒の目的はわたしたちと同じと見ていいだろう」
「あたしもそう思うわ」
「だな。湖付近の洞窟にいたわけだし」
使徒の目的について三人の意見は満場一致。このタイミングで写真が撮られた湖付近の洞窟での遭遇がただの偶然のはずがなく、どう見ても未確認生物こと神獣の捕獲が狙いと見て間違いないだろう。
「となると、神獣の奪い合いは必然だろうな。こっちには夏目がいるとはいえ、油断は禁物だ」
「そうね。こっちも神獣が目的だから」
「向こうに神殺しがいないことが気になるけど」
使徒たちとの衝突は免れないだろうと答えが出る。
神獣を奪われる前に使徒を倒す方針で作戦を練ることに。あとは、使徒より先に神獣と接触し味方に引き込むという案も頭に入れておく。
今夜は、神獣調査と使徒の動向も探るのと並行で行う。時刻は二十二時過ぎ、夏目たちは一般生徒が消灯時間を迎えてから行動に起こす。再び、湖へ向かう。
辺りは暗く、それぞれ手に持つ懐中電灯の灯りを頼りに足元を照らし進む。夏目は、湖の水面を覗き込みながら照らす。
夏目のそばにはフェンリルが大型犬のサイズとなり寄り添う。
燐と桜は、辺りを見渡し警戒をする。
「う~ん、何も見えないな……」
気配や何も感じない夏目は、水面を覗き込みながら呟く。すると、照らす水面に影が横切った。
「おわぁっ⁉ な、何か横切ったぞ⁉」
唐突に視界に映り込む影に驚き声を上げ、その声に反応した燐と桜が駆け寄る。
「どうした⁉ 何か見つけたのか⁉」
「夏目くん、大丈夫⁉」
「二人共、今、黒い何かが横切ったんだよ!」
夏目が水面を照らしながら説明をするが、何も映り込むことはなく灯りの反射で燐と桜の顔が映るだけだった。
「何も見えないが?」
「ええ、何もないわね」
「いや、ほんとだって! 何かが視界に映ったんだって!」
「まあ、主よ落ち着け。誰も、嘘を言っているなどとは思ってはいない」
「でもよ……」
「夏目が見たという、黒い影が何なのか」
「湖にいる魚と間違えたとか?」
燐と桜は、水面を覗き込み確かめる。とその時、水面が波打ち始めた。
「「――っ!」」
二人は同時に、覗き込む湖から数歩後退したと同時に地面が微かに揺れ出す。
「ん? 地震か?」
「いや、違う。主よ、気をつけろ!」
「え? どういう――って、うわっ⁉」
夏目の疑問を遮るように、その揺れは大きくなるにつれて水面も大きくうねり出した。
揺れに驚き、体勢を崩し倒れ込みそうになる夏目を燐と桜が両腕を掴み支えてくれる。
「大丈夫か、夏目?」
「この揺れ、大きいわ」
「大丈夫だ。ありがとう」
「……っ! 三人共、来るぞ!」
フェンリルの叫びに前方を見れば、湖の水がうねり津波のように荒れ狂い襲い掛かる。
「なっ⁉」
「引くぞ!」
「嘘でしょ⁉」
慌てて後退し距離を取る三人の前に姿を見せた未確認生物こと神獣。暗闇の中でも分かるほど輝く金色の瞳、そして大き過ぎる丸みを帯び鱗に覆われた長い胴体。現れたのは、巨大過ぎる蛇だ。
生え揃う牙を剥き出し、夏目たちを捉えると金色の瞳を細め睨みつける。そして、口を開けた。そこから紫色の煙を吐き出す。
「まずいっ! 桜よ、今すぐ結界を張れ! あれに当てられると死ぬぞ!」
これにフェンリルが叫ぶ。
桜は、フェンリルの言葉に瞬時に反応し全員を護るべく結界を張り覆う。
張ったと同時に紫色の煙が結界を覆い尽くすが、結界を超えて内部にまでは届かず無事。
腕を伸ばし結界を張る桜が訊く。
「フェンリルさん、あれは何?」
「あれは、ありとあらゆる生物を死に至らしめる猛毒だ。木々や草木は腐り、生物は一瞬で死に絶え、大地は枯れ二度とそこに咲くことも生えることはない」
フェンリルの珍しく焦った説明に、この場にいる全員が危険過ぎると顔が青ざめる。
「まさか、本当にヨルムンガンドがいるとはな……。この猛毒は、我輩の弟の能力に間違いない」
「じゃあ、あれがヨルムンガンドなのか?」
「うむ、主の言う通りだ」
夏目の問いに頷くフェンリル。
「結界がなければ、いくら神殺しの肉体といえど厳しいであろう」
つけ加える説明に、今起きている状況に危機感が強くなる。結界の外に出るこもままならい。動けない今、燐の頭にあることが過ぎり焦る。
「待て! この猛毒が合宿所にまで及べば大惨事になるのではないのか⁉」
「おそらく、そこまでこの猛毒は届かないであろう。我輩が見るにヨルムンガンドの様子がおかしい、本来の力を発揮できていなように見える。ヨルムンガンドの本気ならば、この結界を噛み砕きその上で猛毒を吐き出し確実に殺しにくるはずだ。だが、猛毒を吐き出すだけで何もしない、おまけに威力が弱い」
焦る燐に対して、フェンリルは吐き出された猛毒と弟を知るからこその行動を見てそう分析する。
その言葉に完全に安心できたわけではいが、ひとまず生徒たちに危害が及ばないと胸を撫で下ろす燐。
だが、今の現状では結界を覆い尽くす猛毒で動けないことには変わりない。三人とフェンリルは、ヨルムンガンドが吐き出した猛毒のせいで結界内に閉じ込められてしまうのだった。
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