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第三章 林間合宿と主なき神獣
主なき神獣は居場所を得る(3)
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ヨルムンガンドは手当たりし次第に破壊行為を始めた。地面の土を抉り、木々を薙ぎ倒し、湖の水を尻尾で弾き飛ばし、草木を猛毒の吐息で腐植させ、逃げ惑う小動物を喰らう。
その破壊行為を止めるべく、桜が小動物を護るためと猛毒の進行を食い止める結界をこの一体に広範囲へ張り、燐が炎の剣を形成し突っ込み硬い鱗に一振り見舞うが軽い火傷程度の傷しか負わせないことに舌打ち。
「ちっ……。ならば……!」
しかし、それで攻撃の手を止めることはない。次の手に打って出る、斬ることが不可能なら貫く攻撃へ。這う胴体は大きく狙いを定めやすい。
大木を見つけ、登る燐はそこからヨルムンガンドの肉体へ目掛け飛び降りる。炎の剣の切っ先を下へ向け自身の体重を乗せ突き刺す。
「くっ、本当にこの鱗は硬いなっ!」
切っ先は硬い鱗に阻まれるが、火力を引き上げ押し込む。ズブリッ、と鱗を貫き肉を焼き飲み込まれていく燃える剣。その痛みは、全身に伝わりのた打ち回るヨルムンガンド。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
神獣の胴体から飛び退き、巻き込まれないよう桜の元へ。燐が離れるのを確認してから夏目とフェンリルが動く。
「フェンリル」
「任せよ」
相棒の口に右手を突っ込み、牙が少しだけ食い込み夏目の血が発火剤となり、手首を引き抜けば蒼く燃え上がる炎が生まれる。
蒼炎を纏いお互いに顔を見合わせる。フェンリルの背に乗り、ヨルムンガンドの尻尾へ。
「主、愚弟の動きは我輩が封じる。その間に洗脳を解け!」
と、背から飛び降りヨルムンガンドの背に移動し駆ける夏目へ。
「分かった! 任せろ!」
念話で教えてもらったことを思い出す。より強い力であれば、洗脳を上書きし解くことが可能。
夏目は、ヨルムンガンドを殺したくない。一緒にいると約束した。何より今、暴走する神獣はもがき苦しみ泣いているのだとそう感じる。
誰にも、奪わせない、助けると決めた。
だから、夏目は叫ぶ。
「ヨルムンガンドッ!」
背を駆け抜け、顔へ一直線に向かう。
その頃、フェンリルは弟の尻尾を本気で噛む。
「ガブッ」
暴れ狂う振動で、地響きが起こり地面が揺れる。四肢に力を込め踏ん張り、逃げようとする弟を逃すまいと後ろへ引っ張る兄の図。
「グルルルッ」
お互いに引っ張り合う兄弟の元へ燐と桜が駆けつける。
「フェンリル!」
「手伝うわ!」
燐は、尻尾に近い箇所に狙いを定め、炎で創り出した紐状を巻きつけ、それを四方に伸ばし紐の先を同じく、炎で生み出した釘に結び地面に深々と突き刺す。
数は四本、だがそれでは足りずヨルムンガンドの動きを封じられない。
「さすがフェンリルの弟だ!」
燐は、十本から二十本と増やし全身へ巻きつけ釘を地面に突き刺す。
桜は結界を使って、ヨルムンガンドの行く手を阻む。張られた結界に阻まれ、逃げる速度が止まり暴れる動きにも紐が邪魔をし鈍くなる。
仲間が動きを封じてくれたお陰で、夏目は遂に顔へ辿り着き至近距離で見つめる。
そして、ヨルムンガンドへ。
「ヨルムンガンド、一緒に帰ろう。帰ったら、美哉が美味しいご飯をいっぱい、作ってくれるから。腹いっぱい食べて、温かい風呂に入って、それでふかふかの布団で寝るんだ。それを毎日、繰り返すんだよ俺とフェンリルと。だから、一緒に帰るぞヨルムンガンド!」
「――――ッ!」
その言葉に反応を示す。虚ろな瞳から大粒の涙の雫が流れていく。一瞬だけ、光が宿ったのを夏目は見逃さなかった。
蒼炎を纏う右手を握りしめ、腕を後ろに引く。
「ちょっと、痛いだろうけど我慢してくれ!」
そう叫び、腕に力を込める。そうすると蒼炎も火力を増し、眩しく直視できないほどに燃え上がる。
鼻筋に立つ夏目は、腰を落とし踏ん張り構え息を吸い込む。
「すーっ……」
ズキッと、体内で吸い込んだ猛毒が蝕む。完全に取り除くには時間が足らず、呼吸する度、駆ける度、手足を動かす度に全身に激痛が走る。内側から、肉を裂き、神経を切られるような痛みに耐え抜き歯を食いしばった。
(俺の、想いに応えてくれ蒼炎!)
握りしめた拳を、ヨルムンガンドの額を思い切り殴り飛ばす夏目。
――バゴンッ!
と鈍い音と共に衝撃波が襲う。
鱗を破壊し、夏目の蒼炎を纏う拳は肉体の内側にまで届き蒼い炎が全身を焼く。体内に入り込んだ花折の血を一滴、残さず燃やし尽くす。
夏目は望んだ。ヨルムンガンドの臓器、神経を傷つけるのではなく異物をだけを排除したいと。ただ助けるために、殺すためではなく。強く想い、蒼炎に込めた一撃。
その結果、蒼炎は夏目の想いに応えるべく殴った箇所だけの鱗を破壊し体内へ、皮膚を通して血液から全身に蒼炎が駆け巡り異物と見なした花折の血だけを燃やした。
「――――…………」
ヨルムンガンドは大きく仰け反り、意識を失い巨躯だった体は維持ができなくなり小さくなっていく。
「ヨルムンガンド!」
小さなサイズになったヨルムンガンドを慌てて腕に抱きとめ、落下し何度目かの宙に放り出される夏目をフェンリルがしっかりと受け止め着地。
「無事か、主?」
「ああ。大丈夫だ」
フェンリルの問いに答えながら、腕の中のヨルムンガンドは傷だらけで涙を一筋、流しそれを拭い頭を撫でる夏目だった。
その破壊行為を止めるべく、桜が小動物を護るためと猛毒の進行を食い止める結界をこの一体に広範囲へ張り、燐が炎の剣を形成し突っ込み硬い鱗に一振り見舞うが軽い火傷程度の傷しか負わせないことに舌打ち。
「ちっ……。ならば……!」
しかし、それで攻撃の手を止めることはない。次の手に打って出る、斬ることが不可能なら貫く攻撃へ。這う胴体は大きく狙いを定めやすい。
大木を見つけ、登る燐はそこからヨルムンガンドの肉体へ目掛け飛び降りる。炎の剣の切っ先を下へ向け自身の体重を乗せ突き刺す。
「くっ、本当にこの鱗は硬いなっ!」
切っ先は硬い鱗に阻まれるが、火力を引き上げ押し込む。ズブリッ、と鱗を貫き肉を焼き飲み込まれていく燃える剣。その痛みは、全身に伝わりのた打ち回るヨルムンガンド。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
神獣の胴体から飛び退き、巻き込まれないよう桜の元へ。燐が離れるのを確認してから夏目とフェンリルが動く。
「フェンリル」
「任せよ」
相棒の口に右手を突っ込み、牙が少しだけ食い込み夏目の血が発火剤となり、手首を引き抜けば蒼く燃え上がる炎が生まれる。
蒼炎を纏いお互いに顔を見合わせる。フェンリルの背に乗り、ヨルムンガンドの尻尾へ。
「主、愚弟の動きは我輩が封じる。その間に洗脳を解け!」
と、背から飛び降りヨルムンガンドの背に移動し駆ける夏目へ。
「分かった! 任せろ!」
念話で教えてもらったことを思い出す。より強い力であれば、洗脳を上書きし解くことが可能。
夏目は、ヨルムンガンドを殺したくない。一緒にいると約束した。何より今、暴走する神獣はもがき苦しみ泣いているのだとそう感じる。
誰にも、奪わせない、助けると決めた。
だから、夏目は叫ぶ。
「ヨルムンガンドッ!」
背を駆け抜け、顔へ一直線に向かう。
その頃、フェンリルは弟の尻尾を本気で噛む。
「ガブッ」
暴れ狂う振動で、地響きが起こり地面が揺れる。四肢に力を込め踏ん張り、逃げようとする弟を逃すまいと後ろへ引っ張る兄の図。
「グルルルッ」
お互いに引っ張り合う兄弟の元へ燐と桜が駆けつける。
「フェンリル!」
「手伝うわ!」
燐は、尻尾に近い箇所に狙いを定め、炎で創り出した紐状を巻きつけ、それを四方に伸ばし紐の先を同じく、炎で生み出した釘に結び地面に深々と突き刺す。
数は四本、だがそれでは足りずヨルムンガンドの動きを封じられない。
「さすがフェンリルの弟だ!」
燐は、十本から二十本と増やし全身へ巻きつけ釘を地面に突き刺す。
桜は結界を使って、ヨルムンガンドの行く手を阻む。張られた結界に阻まれ、逃げる速度が止まり暴れる動きにも紐が邪魔をし鈍くなる。
仲間が動きを封じてくれたお陰で、夏目は遂に顔へ辿り着き至近距離で見つめる。
そして、ヨルムンガンドへ。
「ヨルムンガンド、一緒に帰ろう。帰ったら、美哉が美味しいご飯をいっぱい、作ってくれるから。腹いっぱい食べて、温かい風呂に入って、それでふかふかの布団で寝るんだ。それを毎日、繰り返すんだよ俺とフェンリルと。だから、一緒に帰るぞヨルムンガンド!」
「――――ッ!」
その言葉に反応を示す。虚ろな瞳から大粒の涙の雫が流れていく。一瞬だけ、光が宿ったのを夏目は見逃さなかった。
蒼炎を纏う右手を握りしめ、腕を後ろに引く。
「ちょっと、痛いだろうけど我慢してくれ!」
そう叫び、腕に力を込める。そうすると蒼炎も火力を増し、眩しく直視できないほどに燃え上がる。
鼻筋に立つ夏目は、腰を落とし踏ん張り構え息を吸い込む。
「すーっ……」
ズキッと、体内で吸い込んだ猛毒が蝕む。完全に取り除くには時間が足らず、呼吸する度、駆ける度、手足を動かす度に全身に激痛が走る。内側から、肉を裂き、神経を切られるような痛みに耐え抜き歯を食いしばった。
(俺の、想いに応えてくれ蒼炎!)
握りしめた拳を、ヨルムンガンドの額を思い切り殴り飛ばす夏目。
――バゴンッ!
と鈍い音と共に衝撃波が襲う。
鱗を破壊し、夏目の蒼炎を纏う拳は肉体の内側にまで届き蒼い炎が全身を焼く。体内に入り込んだ花折の血を一滴、残さず燃やし尽くす。
夏目は望んだ。ヨルムンガンドの臓器、神経を傷つけるのではなく異物をだけを排除したいと。ただ助けるために、殺すためではなく。強く想い、蒼炎に込めた一撃。
その結果、蒼炎は夏目の想いに応えるべく殴った箇所だけの鱗を破壊し体内へ、皮膚を通して血液から全身に蒼炎が駆け巡り異物と見なした花折の血だけを燃やした。
「――――…………」
ヨルムンガンドは大きく仰け反り、意識を失い巨躯だった体は維持ができなくなり小さくなっていく。
「ヨルムンガンド!」
小さなサイズになったヨルムンガンドを慌てて腕に抱きとめ、落下し何度目かの宙に放り出される夏目をフェンリルがしっかりと受け止め着地。
「無事か、主?」
「ああ。大丈夫だ」
フェンリルの問いに答えながら、腕の中のヨルムンガンドは傷だらけで涙を一筋、流しそれを拭い頭を撫でる夏目だった。
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