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第五章 真実に近づく者たち
隠された真実(5)
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紅を庇う夏目へ、説明を求める美哉。
「どういうことですか? 夏目」
問われ、紅へ視線を向ける。
「敵じゃない。味方って言っていいのか分からない。でも、悪神を殺すそのために裏切り者になった、そう言ってたんだ。アザゼル先生とも話し合ったって、だから詳しいことを聞くためにも殺さないでほしい」
そう言う夏目の言葉に、ヨルムンガンドも何度も頭を上下に振りフェンリルに伝える。
紅を見れば、敵意を向けられても彼からは何も感じられなかった。こちらに、向けるのはただ笑顔のみ。
夏目とヨルムンガンドの言動から美哉、フェンリルは戦闘態勢を解き話を聞くことに。
「夏目くん。ありがとう」
「えっ、いや、俺は何もしてないけど」
「いやいや。オレを庇ってくれたじゃないか。だから、礼を言うのは当然だよ」
「そ、そうなのか?」
大したことはしていないと首を横に振るが、あの戦闘狂かつヤバい奴認識されている紅が礼を言う姿に増々、状況が理解し難いことに美哉たちは困惑してしまう。
そうして全員が擬似空間から出て行くと、アザゼルと四音ことルシファーが出迎えてくれた。
「お疲れさん」
「無事のようね」
紅のことに関してアザゼルに詰め寄る美哉。
「アザゼル! 彼のことを詳しく説明してくれますよね?」
「おうおう、怖い顔だな。なに、ちゃんと説明してやるから。とりあえずは中に入るぞ」
こうして、夏目の家のリビングに集まった面々。後に春人や真冬たちも合流。
集まった面々も見渡し、アザゼルは紅のことを話す前に真実を語る。
それは、今まで信じていたことを引っくり返す衝撃的な内容だった。
「神と敵対している悪神がいるというのは事実だ。どちらも、正真正銘の神だがそれは一昔前までの話。今現在では違う。神はもう、この世に一人たりとも存在しない」
その内容に、四音と紅以外のメンバーが言葉を失い固まった。
神話の世界において語られる悪神は確かにいた。北欧神話、ラグナロクを引き起こしたロキがそう。
「存在しているのは、神によって創られた機械仕掛けの神。それこそが現悪神の正体、そしてお前たちが神殺しとなる際に聞いた声だ。あれは、神に扮した悪神そのもの。全知全能であり、創造主の力を持ってして神獣を蘇らし、人間を使って己の欲求を満たすため行動を起こす。神殺しという存在を生み出し二つの勢力を作りぶつけ合わせ、ゲーム観戦のように楽しみつつも邪魔な存在を消す。あいつは、神と機械仕掛けの神との戦いで生き残った俺とルシファーを殺すために。そして、最後は自らが生み出し作った神殺しさえも使い潰し、生きる人間を操り人形とし新たな世界を創るため――〝機械仕掛けの神が唯一神となった世界〟を手に入れるために」
そう語るアザゼルの話に、紅と夏目以外の全員が絶望の色に染まる。それはフェンリルたちも同様だった。
夏目は、絶望に染まることはない。ただ、この神殺し同士の戦いが無意味だったことにどこか怒りを感じていた。
(紅の言っていた意味がやっと分かった。俺も、相棒たちも、悪神の操り人形じゃねえんだよ……!)
重い空気が伸し掛かる中、四音も話す。
「機械仕掛けの神を滅ぼすために、わたしとアザゼルも裏で動いていたの。ヘルを保護し紅くんを味方に引き込み、あなたたちにもあれを滅ぼすために力を貸してもらうため近づいた。二人だけでは、どうにもできないから。この真実をみんなに教え、その上で力を借りたい」
そう語る四音ことルシファーだったが、二人の話を受け入れる時間が誰にも必要だった。
春人は、感情を代償に差し出し力を得たことで怒ることも悲しむこともできない。それでも、この場では悲痛な声を絞り出す。
「何を信じ、戦えばいいのか分からなくなるね……」
「ふざけんじゃないわよ! 何のために、代償を支払ってまでを力を求め戦ってきたと思ってるわけ!」
真冬は、怒りをぶつけたくてもぶつける相手がおらず言葉に乗せる。彼女も同じだ、右耳の聴力と左目の視力を代償にし神殺しとなったのだから。
燐も同じのようで手を握りしめ、唇を噛み血が滲もうと目は怒りの感情だけが残る。
桜は兄を心配し何の言えない。それは陽菜も同じだ。
美哉は、視線を夏目へ向けた。神殺しにしてしまった経緯があったからだ。あの過去がなければと考えてしまう。
その視線に気づき美哉を見つめ返す夏目は笑みを作った。
「な、夏目……?」
「俺なら大丈夫。みんなのように怒り散らしたい気持ちはある。けど、俺は世界とかそんな大きなもののために力を求めたわけじゃない」
右手を見つめると、手の平を握りしめ言葉を続ける夏目。
「ただ、大切な人を護りたい、そう願って得たものだ。今じゃ、フェンリルとヨルムンガンドとの約束のためでもある。俺たちは、悪神の操り人形に成り下がるつもりはない。俺は、戦う」
握り拳を作っていた右手から顔を上げ、美哉を真っ直ぐに見つめはっきりと告げた。
「美哉を護って、それで全部が終わったあとはフェンリルとヨルムンガンド、ヘルもよければ一緒にやりたいこと、したいことも夢をみんな叶えるんだ。その邪魔をするのが神だとしても許さない。だから戦う、俺の大事なものを全て護り抜くためにならどんな真実があっても変わらない。やることは一つだ、ぶっ倒す!」
「夏目……」
夏目の想いを聞いた美哉の中で救われたような気持ちになる。変わらない真っ直ぐさで、自分の想いに素直で、そのためなら拳を振るうことができる強い人だと改めて思わせてくれる。
そして、その言葉はフェンリルやヨルムンガンドにも届く。出会った時から、変わらず約束を守ってくれる相棒。悪神だろうが、機械仕掛けの神だろうが夏目が戦うと言うのならやることは決まっていた。
フェンリルとヨルムンガンドは、夏目のそばに寄り添い力強く頷く。
「そうだな。主の言う通りだ、我輩がやることも一つ。主と共に夢も願いも全て叶えるために戦う。それだけだ」
ヨルムンガンドも、夏目の膝の上に乗り元気よく言う。
「そうだよ! ボクも夏目と美哉のために戦う! それでね、みんなと一緒に美味しいものいっぱい食べて、楽しいこといっぱいするんだ!」
「ああ! やるぞ、相棒たち!」
頼もしい相棒たちの言葉に夏目が笑い意気込む。美哉もその笑みにつられ、絶望も不安も消えて自然と笑顔になれる。
「そうですね。何も変わらない夏目と共になら私も戦えます。いえ、戦います。私たちの未来のために」
言いながら夏目の手を取る。お互いの温もりは、安心を与え強気にさせてくれる。
この光景に、春人や真冬たちにも電線していく。
何を求め、何を望み、何を成したいのか、をそれぞれ思い出す。
全員が顔を上げ、絶望ではなく未来を護るために戦意を瞳に宿す。
夏目の言葉で空気が変わる。これに紅は驚く、彼一人で士気がこんなにも簡単に変わるのかと。
ヘルは、そんな夏目を見つめやはり契約を交わすのなら彼しかいない。ならばと行動に起こす、夏目の前へ移動するヘルは目の前で膝をつく。
「へ、ヘル?」
「逢真夏目、いえ今後は主様と呼ばせていただきます」
「は、はい?」
ヘルの変わった態度に夏目が困惑した。
「どうか、わたくしと契約を交わしていただけますか? 主様になら全てを捧げてもよいと心の底から思えたのです」
女神の言葉に誰もが黙り見守る。そんな中で夏目の答えはすぐに出た。
「そう望むなら、俺の方こそヘルの力を貸してほしい。俺もヘルのためにできることはなんでもするよ。これからもよろしく」
「……っ! はいです!」
へルの手を取り優しい笑を向け受け入れる夏目。欲しかった言葉をくれ嬉しくなり満面の笑みで返す。
契約をその場で交わす。見守っていたみんなから拍手が起こる。
アザゼルと四音も笑う。ピースは揃いつつあった。これならば今を生きる人々と、今ある世界を護れると、夏目を筆頭にその姿を見て思わせてくれる。
「どういうことですか? 夏目」
問われ、紅へ視線を向ける。
「敵じゃない。味方って言っていいのか分からない。でも、悪神を殺すそのために裏切り者になった、そう言ってたんだ。アザゼル先生とも話し合ったって、だから詳しいことを聞くためにも殺さないでほしい」
そう言う夏目の言葉に、ヨルムンガンドも何度も頭を上下に振りフェンリルに伝える。
紅を見れば、敵意を向けられても彼からは何も感じられなかった。こちらに、向けるのはただ笑顔のみ。
夏目とヨルムンガンドの言動から美哉、フェンリルは戦闘態勢を解き話を聞くことに。
「夏目くん。ありがとう」
「えっ、いや、俺は何もしてないけど」
「いやいや。オレを庇ってくれたじゃないか。だから、礼を言うのは当然だよ」
「そ、そうなのか?」
大したことはしていないと首を横に振るが、あの戦闘狂かつヤバい奴認識されている紅が礼を言う姿に増々、状況が理解し難いことに美哉たちは困惑してしまう。
そうして全員が擬似空間から出て行くと、アザゼルと四音ことルシファーが出迎えてくれた。
「お疲れさん」
「無事のようね」
紅のことに関してアザゼルに詰め寄る美哉。
「アザゼル! 彼のことを詳しく説明してくれますよね?」
「おうおう、怖い顔だな。なに、ちゃんと説明してやるから。とりあえずは中に入るぞ」
こうして、夏目の家のリビングに集まった面々。後に春人や真冬たちも合流。
集まった面々も見渡し、アザゼルは紅のことを話す前に真実を語る。
それは、今まで信じていたことを引っくり返す衝撃的な内容だった。
「神と敵対している悪神がいるというのは事実だ。どちらも、正真正銘の神だがそれは一昔前までの話。今現在では違う。神はもう、この世に一人たりとも存在しない」
その内容に、四音と紅以外のメンバーが言葉を失い固まった。
神話の世界において語られる悪神は確かにいた。北欧神話、ラグナロクを引き起こしたロキがそう。
「存在しているのは、神によって創られた機械仕掛けの神。それこそが現悪神の正体、そしてお前たちが神殺しとなる際に聞いた声だ。あれは、神に扮した悪神そのもの。全知全能であり、創造主の力を持ってして神獣を蘇らし、人間を使って己の欲求を満たすため行動を起こす。神殺しという存在を生み出し二つの勢力を作りぶつけ合わせ、ゲーム観戦のように楽しみつつも邪魔な存在を消す。あいつは、神と機械仕掛けの神との戦いで生き残った俺とルシファーを殺すために。そして、最後は自らが生み出し作った神殺しさえも使い潰し、生きる人間を操り人形とし新たな世界を創るため――〝機械仕掛けの神が唯一神となった世界〟を手に入れるために」
そう語るアザゼルの話に、紅と夏目以外の全員が絶望の色に染まる。それはフェンリルたちも同様だった。
夏目は、絶望に染まることはない。ただ、この神殺し同士の戦いが無意味だったことにどこか怒りを感じていた。
(紅の言っていた意味がやっと分かった。俺も、相棒たちも、悪神の操り人形じゃねえんだよ……!)
重い空気が伸し掛かる中、四音も話す。
「機械仕掛けの神を滅ぼすために、わたしとアザゼルも裏で動いていたの。ヘルを保護し紅くんを味方に引き込み、あなたたちにもあれを滅ぼすために力を貸してもらうため近づいた。二人だけでは、どうにもできないから。この真実をみんなに教え、その上で力を借りたい」
そう語る四音ことルシファーだったが、二人の話を受け入れる時間が誰にも必要だった。
春人は、感情を代償に差し出し力を得たことで怒ることも悲しむこともできない。それでも、この場では悲痛な声を絞り出す。
「何を信じ、戦えばいいのか分からなくなるね……」
「ふざけんじゃないわよ! 何のために、代償を支払ってまでを力を求め戦ってきたと思ってるわけ!」
真冬は、怒りをぶつけたくてもぶつける相手がおらず言葉に乗せる。彼女も同じだ、右耳の聴力と左目の視力を代償にし神殺しとなったのだから。
燐も同じのようで手を握りしめ、唇を噛み血が滲もうと目は怒りの感情だけが残る。
桜は兄を心配し何の言えない。それは陽菜も同じだ。
美哉は、視線を夏目へ向けた。神殺しにしてしまった経緯があったからだ。あの過去がなければと考えてしまう。
その視線に気づき美哉を見つめ返す夏目は笑みを作った。
「な、夏目……?」
「俺なら大丈夫。みんなのように怒り散らしたい気持ちはある。けど、俺は世界とかそんな大きなもののために力を求めたわけじゃない」
右手を見つめると、手の平を握りしめ言葉を続ける夏目。
「ただ、大切な人を護りたい、そう願って得たものだ。今じゃ、フェンリルとヨルムンガンドとの約束のためでもある。俺たちは、悪神の操り人形に成り下がるつもりはない。俺は、戦う」
握り拳を作っていた右手から顔を上げ、美哉を真っ直ぐに見つめはっきりと告げた。
「美哉を護って、それで全部が終わったあとはフェンリルとヨルムンガンド、ヘルもよければ一緒にやりたいこと、したいことも夢をみんな叶えるんだ。その邪魔をするのが神だとしても許さない。だから戦う、俺の大事なものを全て護り抜くためにならどんな真実があっても変わらない。やることは一つだ、ぶっ倒す!」
「夏目……」
夏目の想いを聞いた美哉の中で救われたような気持ちになる。変わらない真っ直ぐさで、自分の想いに素直で、そのためなら拳を振るうことができる強い人だと改めて思わせてくれる。
そして、その言葉はフェンリルやヨルムンガンドにも届く。出会った時から、変わらず約束を守ってくれる相棒。悪神だろうが、機械仕掛けの神だろうが夏目が戦うと言うのならやることは決まっていた。
フェンリルとヨルムンガンドは、夏目のそばに寄り添い力強く頷く。
「そうだな。主の言う通りだ、我輩がやることも一つ。主と共に夢も願いも全て叶えるために戦う。それだけだ」
ヨルムンガンドも、夏目の膝の上に乗り元気よく言う。
「そうだよ! ボクも夏目と美哉のために戦う! それでね、みんなと一緒に美味しいものいっぱい食べて、楽しいこといっぱいするんだ!」
「ああ! やるぞ、相棒たち!」
頼もしい相棒たちの言葉に夏目が笑い意気込む。美哉もその笑みにつられ、絶望も不安も消えて自然と笑顔になれる。
「そうですね。何も変わらない夏目と共になら私も戦えます。いえ、戦います。私たちの未来のために」
言いながら夏目の手を取る。お互いの温もりは、安心を与え強気にさせてくれる。
この光景に、春人や真冬たちにも電線していく。
何を求め、何を望み、何を成したいのか、をそれぞれ思い出す。
全員が顔を上げ、絶望ではなく未来を護るために戦意を瞳に宿す。
夏目の言葉で空気が変わる。これに紅は驚く、彼一人で士気がこんなにも簡単に変わるのかと。
ヘルは、そんな夏目を見つめやはり契約を交わすのなら彼しかいない。ならばと行動に起こす、夏目の前へ移動するヘルは目の前で膝をつく。
「へ、ヘル?」
「逢真夏目、いえ今後は主様と呼ばせていただきます」
「は、はい?」
ヘルの変わった態度に夏目が困惑した。
「どうか、わたくしと契約を交わしていただけますか? 主様になら全てを捧げてもよいと心の底から思えたのです」
女神の言葉に誰もが黙り見守る。そんな中で夏目の答えはすぐに出た。
「そう望むなら、俺の方こそヘルの力を貸してほしい。俺もヘルのためにできることはなんでもするよ。これからもよろしく」
「……っ! はいです!」
へルの手を取り優しい笑を向け受け入れる夏目。欲しかった言葉をくれ嬉しくなり満面の笑みで返す。
契約をその場で交わす。見守っていたみんなから拍手が起こる。
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