偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

文字の大きさ
181 / 220
第二部 第七章 終わりの始まり

悪神の子たる三男(4)

しおりを挟む
 虫の死骸で生み出されたソンビを駆除しているのはアザゼルと四音。



「やれやれ、ブンブンとうるさい虫だな」



 アザゼルは、軽く光の槍で振り払い消滅させていく。



「はいはい、文句言わずに手を動かして。アザゼル」



 魔力の球を放ち消し飛ばす四音。

 二人からしてみれば肩慣らしにすらならないか。まあ、数は無尽蔵に増えていくがそれも問題ないだろ。

 その元である、蜘蛛が糸を張り巣を作りそのお尻から虫が湧いて出てくるこれを断てばいい。蜘蛛の大きさは、およそ一メートルくらいか。



「お前さんか。よっと」



 アザゼルが先に巣の四方を斬り、落下していく蜘蛛を四音の魔力が飲み込み消滅。



「はい、終わり」



 雑魚処理が終わった二人も傍観するようだ。さて、植物と戦うのは紅と東雲先輩だ。

 こちらもこれといって苦戦はしていない。ただ、粘液を垂れ流す触手に触れたくないようで距離を保ちつつ攻撃を入れていく。



「大蛇、植物本体を喰らえ」



 紅は八岐大蛇に命じ、暴れまわる触手ではなく植物本体を狙う。



「フェニックス、触手を全て燃やして構わない」



 東雲先輩は、フェニックスに触手を全て燃やすよう命じ業火を浴びさせる。炎を受け燃えながらそれでいて、ウネウネと毛虫みたいな動きで気持ち悪い触手だな。

 フェニックスの火は、消えることなく灰へと変わるまで燃え続けた。本体も、八岐大蛇が喰らいあとを残さない。

 これで、残るは三男だけ。こちらは燐と神前先輩が相手をしている。

 雑魚のよう簡単には倒せないだろうな。なにせ、悪神の子だからなと思いきや、二人の刀身が三男の腕を斬り落とし燐の赤い炎と、レヴィアタンの水で機体が吹き飛び地面を転がる。

 全身燃え上がり、水を浴び機械の体から火花が散り感電。



「「………………」」



 これには、燐と神前先輩も顔を見合わせなんとも言えない表情。悪神の子、と言うからそれなりに強いと思っていたが、これでは期待外れもいいところ、そんな風に言いたげな二人。

 俺もそれは思った。弱すぎないか? こいつ、本当に悪神の子か? と疑いたくなる。

 三男は笑いながら「やりますね」と。



「まさか、この吾をここまで追い込むとは。さすが巫女と神殺し」



 その言葉に燐は手を顔の前で振りながら、



「いや、お前が弱いだけだと思うが……」



 神前先輩はため息を吐き出す。



「あんた、本当にあの悪神の子なわけ? 脆いは、弱いはで話にならないわ」



 つまらなそうに言い放つ。

 それに対して三男は、いつまでもヘラヘラと笑うだけ。

 ……気に入らない笑みだ。腕を失くしても、ヘラヘラと不愉快な奴だな。



「へへっ。そりゃあ、子の中で一番弱いから吾は。でもさ、これが本気だと思われるのは心外だなあ」



 首をポキポキ鳴らし立ち上がると、斬り落とした腕が三男の元に飛んでくる。断面がくっつき、自動修理が始まり数秒で直った。

 この光景に誰もが思い出す。

 悪神と同じ再生力を、頭に浮かべ目つきが鋭くなる。

 特に、俺の目は憎悪と恨み、辛み、殺意が込もる。忌々しく憎たらしい再生能力! やはり、それも受け継いでいたか!

 肩を回し確かめると三男は、二人に向かって告げた。



「強いな。あっ、そうだ! 兄上たちにお願いして持って帰ろう! それで、吾の子を孕ませる母体にしてやる。巫女と神殺しの機械人形が産まれるぞ!」



 ……あ? このクソ機械は何を言い出す? 機械の分際で、生殖機能でもあるのか? だとしたら、不愉快を通り越して怒りが込み上げてくる発言だな。俺なら即刻、ぶち殺す。

 三男のクソッたれな言葉に、俺と同じ不愉快もあれば不快感を顕にした二人がキレた。



「ふざけるなっ! 誰がお前の子など産むものか! お前に触れられることさえ虫酸が走る! ここでダーインスレイヴの贄にしてやるっ!」



 燐が構える魔剣ダーインスレイヴに火を纏わせ吠える。

 神前先輩も、目尻を吊り上げこめかみに青筋を立て言い放つ。



「気持ち悪いわ。私を抱けるとか思われてることも気に入らない! 挙げ句、子を産め? 舐めてんじゃないわ! 私の全てはヒナのもので、貴様に与えるものはないのよ! その腐った口諸共、体をバラバラに解体してやるわ!」



 おー、おー。初めて見るな、二人のキレっぷり。これに誰も手を出さないでおこう、と見守る。ただ一人、立花先輩だけは神前先輩にエールを送る。



「真冬ちゃん、頑張って。負けちゃ、ダメだよ? 真冬ちゃんは、ヒナの真冬ちゃん、だから。絶対に、勝ってね」



 こちらこちらで、相変わらずのようで何より。

 二人の怒りを受けてより一層に燃えてきたのか、三男は甲高い声で笑いながら人形から形態が変化する。



「ふふっ、ははははははははっ! いいね、いいね!!」



 両腕と両脚が剣の形へ、背中からはロケットランチャーを展開。

 これは、また歪な姿だな。第二形態とでも言うのか。

 第二戦が切って落とされた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...