偽りの神人 ~神造七代の反逆と創世~

ゆー

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最終章 神造七代の創生

前編 アザゼルとルシファー(1)

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 これは、数十万年前まで遡る。それは、冥界で覇権争いをしていた時代の話である。

 神に仕える天使だったが、神に背き墜ちて堕天使の長となりグリゴリのトップだったアザゼルは、人間の女の美しさに魅入られ禁忌を犯す。

 知識を与え、巨人を産ませてことだ。しかし、アザゼルからすれば神に仕えるよりよっぽど有意義な時間だった。



 ――俺にとっては、そう最愛と呼べるひとだった。共にいる時間が何より大切で、一緒にいる瞬間は愛おしく堪らない――。



 アザゼルは愛する人を得て、幸福だと思える日々。けれど、長くは続かない。悪魔と天使、そして堕天使の争いに身を置くこととなる。



 冥界の覇権争いは、三すくみによる戦争。魔王ルシファーを筆頭とした悪魔陣営、熾天使ミカエルを筆頭にした天使陣営、堕天使総督アザゼルを筆頭にした陣営。

 地上、空、冥界全土でぶつかり合う力と力は地上を焼き払い、死体と血と異臭が充満し、天は黒と白で埋め尽くされ殺し合い、敗れた者から墜ちて行く。仲間、部下、そして最愛を亡くしても止まらない覇権戦争。



 長きに渡る覇権戦争は、唐突に終わりを告げた。そいつは唐突に現れ、三すくみによる戦争に割って入り邪魔をする。天を裂き、降り注ぐのは破魔の剣の雨。魔の存在である悪魔や堕天使にとって、それの剣は毒でしかない。天使には効果が薄くとも、串刺しにされれば致命傷になる。それが止むことなく降り続け、多くの仲間を、宿敵を葬っていく。



「この力はなんだ!?」

「貴様! 何者だ!」

「我らの邪魔をするか!」



 仲間、部下が天に向って叫ぶ。三者共に、多くを失い共通の敵を得た瞬間だった。それは、彼らに命ずる。



「悪魔、堕天使、天使共よ。我が手足となり、絶対服従を誓え」



 と。だが、そんな要求は誰も呑まない。そうして、三すくみと機械仕掛けの神たる悪神との戦争に発展。

 しかし、そこで衝撃の事実を告げられた。



「愚かな羽虫共よ。天使が信仰する神などおらず、それどころか我が殺し、どの国にも神様と呼ばれる存在は消滅したというのにな」

「な、なんだと!?」

「そ、そんなこと……!?」

「まさか……!?」



 アザゼル、ルシファー、ミカエルさえも驚愕した。その事実は、天使にとって受け入れ難い内容。結果、信仰を失った彼らの力は弱体し、悪神の攻撃に耐えられなかった。

 それもそのはず、天使は神に仕え人間を導く存在。その力は神を信仰するからこそ行使が可能となり、その祈りは神へ還元され神格が強化されるのだから。しかし、その真実を知り存在を失くした今、その力は無意味となり弱体するのも必然。

 それでも、ミカエルを含む熾天使は悪神の存在を許すことはなく戦う。



「ミカエル、協力するわ。倒しましょう!」

「俺も力を貸す。あれの好きにはさせん!」

「ルシファー、アザゼル……。まさか、お前たちとこうして共闘するとは。だが、心強い!」



 ルシファーも、アザゼルも奴隷になるつもりはなく旧知の仲であり宿敵であるミカエルたちと共に悪神を討つ。

 その結末は知っての通り、敗北だった。ミカエルを含む熾天使も、その下につく者たちみなが殺された。



「はあ、はあ……。ここまでか……。ならば、せめて二人だけでも……!」



 ミカエルが、最期の力を振り絞り旧知の仲の二人を冥界から逃がすことに成功した。その際に、二人の部下全員が殿を務め時間を稼ぐ。



「お逃げください! 魔王様!」

「あとは我々に任せよ! 征け、アザゼル!」

「ルシファー、アザゼル! どうか、この世界を護ってくれ! そして、あの邪悪な神を討ち滅ぼすんだ! 託せるのは、旧知のお前たちだけ!」



そうして、二人は逃れ生き延びた。屈辱と憎悪と殺意だけを残して。



「ミカエル……! 下僕たち……!」

「クソったれ!」

「約束するわ! 必ず、あの機械仕掛けの神を討ち滅ぼすと!」

「ああ! 絶対にだ! 俺たちから奪った罪、何が何でも償わせてやる!」



 二人は、誓う。散った部下の思い、ミカエルの願いを。

 必ず、悪神を討ち滅ぼすと。そのために、今は身を隠し力を蓄えるべきだと。

 これが、ルシファーとアザゼルの二人だけが生き残った経緯であった。
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