17 / 36
危険しかない旅の二日目
第15話
しおりを挟む
その事実は僕も知っていた。
僕以外の役割を持つ全員が同じ色をしているからだ。それが、嫌で髪を染めカラコンを入れて誤魔化している者がいるくらいだからな。
理由を知り警戒心が消える。木藤を責めるつもりはない。彼一人の責任でもないはずだ。
ただ、知らなくていいこの話を真冬が知ってしまったことに対しての罪悪感があるだけ。
そして、もう一つ気になることがあった。第一世代は処分として、この地下街に放たれたと言っていた木藤。なら、彼らの今は?
「木藤。彼らは今、どうしているんだ?」
僕の問に木藤は、
「一人、この先の街にいるという情報を得たよ」
情報を得た……。情報屋から得たのか? いや、今はそんなことを考えても仕方がない。
「見つけてどうする?」
木藤に訊くと、
「今度こそ助けてあげたい」
一瞬、言いよどみ答える。
……これは何かある。
第二世代のことを知っている。何より、こ先の街に第一世代がいると分かったから車を飛ばしてきたのだろう。
第一世代の子供を助けたい、だが自分に助けるだけの力がない。そんな時に、第二世代の僕と運良く出会った。
と、考えていいだろうな。
だから、
『いやー! まさか、こんなところで第二世代に会えるなんて思いもしなかったよ! 俺はなんて運がいいんだ!』
と、僕を見るやいなそう口走った。
「木藤。お前は、僕に何を求めている?」
「そ、それは……」
「僕が第二世代だと分かったから、車に乗せたんじゃないのか? この先に第一世代がいると分かっているから」
「そうだよ……。君に、あの子を助けてほしい。きっと、能力が暴走寸前のはずだから」
……やはりか。そんなことだろうと思った。
第一世代の能力がどれほどのものか、僕には分からないがただの人間より止められる可能性は大きいと考えたわけか。
「ナイ」
「どうした? 真冬」
「助けてあげないの?」
「え……」
「ナイには、助けられる力があるから木藤さんは騙すような真似をしてまで車に乗せ話したのでしょ?」
「…………」
まさか、真冬がそんなことを言い出すとは予想してなかった。
会話の内容を全て理解しているわけではないが、僕にはそれができると思ったのか真冬は。
「私のことなら平気よ。木藤さんに身体を張って護ってもらうから」
「はぁー……。分かった分かった。木藤、真冬を護りつつ東三番街まで連れて行くと約束できるのなら、お前に協力する。それが条件だ」
「……っ! そうか! ありがとう! もちろん、約束するよ」
僕が出す条件を飲み、またしても厄介ごとに巻き込まれてしまう。
街の入口に到着。車は入口付近に停め中へ入る。
二つ目の街は、高層ビルが建ち現代の街並みだ。
「木藤は、どうやって助けるつもりでいたんだ?」
「ああ、これを使おうと思ってね」
「これは?」
小さな白い箱を取り出す木藤。
「これは、俺が調合した薬と注射器が入っているんだ」
木藤の説明によると、この薬を第一世代の秋斗という子供に打ち込むのだと。その薬は二種類あり精神安定剤と麻酔薬。
秋斗の外見は小さな男の子、走ることが好きで右目に泣きぼくろと左側の口元にもほくろがあると。
木藤に一番、懐いていたらしい。が、その説明はいらないだろうに。
「ねえ、ナイ。これが普通なのかしら?」
と、木藤の説明を聞いていた僕に真冬が訊く。
「何がだ?」
「街に入ってから、屍人に出くわしていなわ。それに、元々この街は静かなものなの?」
「……っ」
真冬に言われて初めて街を見渡す。屍人を確認することはできない。
おかしい……。屍人がいない? それに、真冬の言う通りやけに静かだ。
なんだ……。僕の知らない現象が起きている。
街に屍人がいない、なんてことはありえない。番街はもちろん、そこへ辿り着くため越えなければならない街にも必ず屍人は現れる。それが、この地下街のシステムだ。
それがないということは異常現象だぞ……。
「おかしい。こんな現象、俺も知らいないよっ!」
木藤も予想外なことに焦り出す。
もし、こんな異常がそれも僕らが来た今に起こったとするなら……。
「秋斗が関わっている可能性は?」
「それは俺も考えた。おそらくだけど、秋斗に何かあったのかもしれない……」
僕の問いに苦虫を噛み潰したような顔で頷く木藤。
だとしたら、いったい何が起きたというのか……。
立ち止まり僕ら三人共、辺りを見渡し警戒する。
そんな時、
ドォオオオオオオオオオンッ――!!
という轟音が街に響いた。
僕以外の役割を持つ全員が同じ色をしているからだ。それが、嫌で髪を染めカラコンを入れて誤魔化している者がいるくらいだからな。
理由を知り警戒心が消える。木藤を責めるつもりはない。彼一人の責任でもないはずだ。
ただ、知らなくていいこの話を真冬が知ってしまったことに対しての罪悪感があるだけ。
そして、もう一つ気になることがあった。第一世代は処分として、この地下街に放たれたと言っていた木藤。なら、彼らの今は?
「木藤。彼らは今、どうしているんだ?」
僕の問に木藤は、
「一人、この先の街にいるという情報を得たよ」
情報を得た……。情報屋から得たのか? いや、今はそんなことを考えても仕方がない。
「見つけてどうする?」
木藤に訊くと、
「今度こそ助けてあげたい」
一瞬、言いよどみ答える。
……これは何かある。
第二世代のことを知っている。何より、こ先の街に第一世代がいると分かったから車を飛ばしてきたのだろう。
第一世代の子供を助けたい、だが自分に助けるだけの力がない。そんな時に、第二世代の僕と運良く出会った。
と、考えていいだろうな。
だから、
『いやー! まさか、こんなところで第二世代に会えるなんて思いもしなかったよ! 俺はなんて運がいいんだ!』
と、僕を見るやいなそう口走った。
「木藤。お前は、僕に何を求めている?」
「そ、それは……」
「僕が第二世代だと分かったから、車に乗せたんじゃないのか? この先に第一世代がいると分かっているから」
「そうだよ……。君に、あの子を助けてほしい。きっと、能力が暴走寸前のはずだから」
……やはりか。そんなことだろうと思った。
第一世代の能力がどれほどのものか、僕には分からないがただの人間より止められる可能性は大きいと考えたわけか。
「ナイ」
「どうした? 真冬」
「助けてあげないの?」
「え……」
「ナイには、助けられる力があるから木藤さんは騙すような真似をしてまで車に乗せ話したのでしょ?」
「…………」
まさか、真冬がそんなことを言い出すとは予想してなかった。
会話の内容を全て理解しているわけではないが、僕にはそれができると思ったのか真冬は。
「私のことなら平気よ。木藤さんに身体を張って護ってもらうから」
「はぁー……。分かった分かった。木藤、真冬を護りつつ東三番街まで連れて行くと約束できるのなら、お前に協力する。それが条件だ」
「……っ! そうか! ありがとう! もちろん、約束するよ」
僕が出す条件を飲み、またしても厄介ごとに巻き込まれてしまう。
街の入口に到着。車は入口付近に停め中へ入る。
二つ目の街は、高層ビルが建ち現代の街並みだ。
「木藤は、どうやって助けるつもりでいたんだ?」
「ああ、これを使おうと思ってね」
「これは?」
小さな白い箱を取り出す木藤。
「これは、俺が調合した薬と注射器が入っているんだ」
木藤の説明によると、この薬を第一世代の秋斗という子供に打ち込むのだと。その薬は二種類あり精神安定剤と麻酔薬。
秋斗の外見は小さな男の子、走ることが好きで右目に泣きぼくろと左側の口元にもほくろがあると。
木藤に一番、懐いていたらしい。が、その説明はいらないだろうに。
「ねえ、ナイ。これが普通なのかしら?」
と、木藤の説明を聞いていた僕に真冬が訊く。
「何がだ?」
「街に入ってから、屍人に出くわしていなわ。それに、元々この街は静かなものなの?」
「……っ」
真冬に言われて初めて街を見渡す。屍人を確認することはできない。
おかしい……。屍人がいない? それに、真冬の言う通りやけに静かだ。
なんだ……。僕の知らない現象が起きている。
街に屍人がいない、なんてことはありえない。番街はもちろん、そこへ辿り着くため越えなければならない街にも必ず屍人は現れる。それが、この地下街のシステムだ。
それがないということは異常現象だぞ……。
「おかしい。こんな現象、俺も知らいないよっ!」
木藤も予想外なことに焦り出す。
もし、こんな異常がそれも僕らが来た今に起こったとするなら……。
「秋斗が関わっている可能性は?」
「それは俺も考えた。おそらくだけど、秋斗に何かあったのかもしれない……」
僕の問いに苦虫を噛み潰したような顔で頷く木藤。
だとしたら、いったい何が起きたというのか……。
立ち止まり僕ら三人共、辺りを見渡し警戒する。
そんな時、
ドォオオオオオオオオオンッ――!!
という轟音が街に響いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる