案内役という簡単そうに見えるお仕事

ゆー

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血にまみれた嘘

第27話

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 木藤が運転する車に乗る僕らの間に会話はなく、ただ荒野を走り続けること三十分。ようやく目的地の東三番街に辿り着く。

「ここが、東三番街だよ」

 そう言って、車を入り口の扉前に停める木藤。

「ここから先は、本当に危険で命がいくつあっても足りないくらいだよ。それでも行くのかい?」

 真冬へ問う木藤。その問いに、真冬は頑固として行くと頷く。

「ええ。あそこにいるから」

 景が、か……。

 ここまで来てしまうともう引き返せないな。この先、屍人が徘徊して生きて戻って来られる可能性は極めて低い。
 僕一人なら戻って来ることは可能だろうが。真冬を連れてとなると難しいだろう。それに、大樹の場所へ案内できたとして、真冬はその場で死を選ぶつもりでいる。僕に止める手段はない。

「そうか……。俺はここで待っているから用が済んだら戻っておいで」
「……ええ」

 木藤はそう言い残し、僕と真冬を見送る。
 東三番街の扉の門は鉄の固まりだ。扉には手の形をした窪みがある。その窪みに手を入れ、押し開く仕組みになっている。

「真冬。その窪みに手を入れてみるといい」
「それで開くのかしら?」
「ああ。そういう仕組になっているからな」
「そうなのね。分かったわ」

 窪みに手を入れる真冬。
 重そうで硬そうな鉄の門は、見た目に反して女一人で簡単に開く。
 その先の光景は、高層マンションや二階建て、三階建ての一軒家、集合住宅が密集する住宅街だった。

「さて、真冬」
「何かしら?」
「行こうか」

 真冬へ手を差し伸べる。

「ええ。案内、よろしくね」
「ああ」

 僕の手を取り街の中へと足を踏み入れる。鉄の門はゆっくりと閉まっていく。
 閉まった扉を見つめていた真冬が僕へ訊く。

「戻る際はどうするの?」
「東三番街の出入り口はここしかない。扉付近は、屍人がいないがそれは獲物がいないからであって、捉えられると扉を目前に喰われることもある。出る時は極力、屍人との遭遇を避け入ってきた時と同様に窪みに手を入れて開ければいい」
「街を出るまで安心できない、ってことなのね」
「まあ、そうだな」

 手を握る真冬の手に力が僅かに強まる。
 大樹まで辿り着けるのかという不安なのか、それとも口うるさく危険だと言うこの街にようやく恐怖を抱いたからなのか。

 引き返すか? と訊いたところで答えは決まっているから聞かないが。

 横転したワゴン車、家に突っ込んだ軽自動、道路の真ん中に積み重ねられたバイクたち。割れた窓ガラスや食器類、道の端に壊れた家具がいくつも転がる。人の気配など全く感じられなず静か過ぎる街。

 そして壁から地面や建物にこびりつく血。
 さながらゾンビ映画に出てくる街そのもの。

 真冬を横目で見れば、真冬も僕を見て頷く。お互い前を向き、大樹がある場所へと歩き出すのだった。
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