乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

君との距離

54.

「とりあえず、今日中にルルーシアに帰らないと。」

領主にお叱りを受ける。

「ねぇ、」

「ん。」

ヤナは目を泳がせた。聞づらいが、

「俺ってどこに住むの？」

あ、

「そっか～。」

「考えてなかったんかい!!」

だってさぁ、、、


俺結構フレドリックのことで頭いっぱいだったんだぜ。

距離撮ろうかとかとか考えるので忙しくて―――




はい。



言い訳ですね。



「とりあえず俺の両親の家……んん、1週間くらい城にある俺の部屋に泊まるか？」

最初知らない人のところに置き去りにされるのかと思ったが、それを聞いてヤナはほっとした。

イオといえば、一瞬にして泣きそうな顔になったので慌ててはいたが。


「王都の暮らしに慣れてきたら今後のことを考えよう。」

ヤナの頭にまだ若いが男らしい骨ばった自分より大きな手がのる。

そしてくしゃくしゃにされた。


「ん、んん！」

フレドリックには遠慮して優しく撫でるのに、ヤナには頭が左右に揺れるぐらいぐわぐわと撫でる。


なんだかその遠慮のなさがこそばゆく、嬉しかった――――――。