Accarezzevole

秋村

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Ⅶ決着

4

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 不気味な笑い声だけが広がる空間。

 奏人はソロを抱いていた腕を離し、再び叔父を見下ろした。あれはもう、人間ではない。真っ当な生命でもない。なんと悲しい存在だろう。そんな憐れみが浮かび、と同時に自分が彼の立場であったならどうしていただろうかと嫌なものがよぎる。

 叔父はアンキェに拾われ、奏人はソロに拾われた。この事実は、どれだけ足掻いても覆らない。ちゃんと分かっているのに、考えてしまう。逆であれば、叔父はこんな風にならなかったのかもしれないと。

 アンキェに拾われていたなら、奏人はおそらく叔父のように生きてはいまい。不器用で可愛げもない奏人を、アンキェは重用しないだろう。この容姿では、そもそもアンキェの手元に渡るかも怪しい。ソロはどうか。叔父を拾った後、奏人にしているように寵愛するのか。ソロは美的感覚が少々アレなので叔父を気に入るかは難しいところだが、叔父の狡猾さを面白がるかもしれない。

 モヤっとしたものが腹の底に渦巻いた。考えるのをやめる。こんなことでソロが自分に飽きた時どうなるのか。そんな考えが生まれて、また自分の悪い癖が出たなと反省する。この癖がすぐに直ることはないだろうが、少しずつでもこの癖を直していかねばならない。

 ――か、ナと……。お前、モ、喰っテ、やル……っ。

 長く伸びてくる手に奏人は身構えたが、ソロがすぐさまその手を切断した。人の形を保っていた時と同様に、片腕を切断されても叔父は悲鳴一つ上げない。そればかりか、また新しい腕が生えてくる。徐々に青紫に変色してゆく、叔父の肌。異臭は益々強くなり、奏人は腕で口元を覆った。

 息をするのも辛い。それはソロも同じなようで、美しい横顔が忌々しげに歪んでいた。鼻を押さえる手がないペザンテは大丈夫かと後ろを振り返ると、尻尾を伸ばして鼻を覆っている。訊けば尾の長さは自在に変えられるのだそうだ。なんと便利な尻尾だろうか。

「ペザンテ。お前なら三段階の大型化も可能だろう。一段階大きくなれ。多少、無理をしてでもだ」

「……ガァゥい、嫌だ

「今この瞬間消し炭になるか、大型化するか。好きな方を選べ」

 尻尾だけでなく、どうやら体自体を変化させられるらしいペザンテ。しかし怪我が治ったばかりの体ではしんどいのか、酷く嫌そうな顔をしている。チラリ、ペザンテが奏人を見た。物凄く大きなため息をつかれてしまう。これまで色んな人物にため息をつかれてきたが、獣にため息をつかれたのは生まれて初めてだ。これ見よがしのため息など、久方ぶりである。

 低く、ペザンテが唸る。空気を震撼させるほどの鋭い声だ。唸り声は深く、強く、どんどん大きくなってゆく。変化は何も声だけではない。金色の毛並みは一層眩く輝き、青い瞳は深い海の底を彷彿とさせた。閃光とともに、気高く美しい妖獣が現れる。それまで大型の狼程度だった体格が、一気にサイズアップし尾は三股。目元に赤い縁取りがされ、先端へ向かうほどに尾は黒い。

「ペザンテ、なの……?」

 驚く奏人をソロがペザンテの上に跨らせる。見た目よりずっと柔らかいペザンテの毛並みが奏人をふわりと包み込み、つい顔が綻んでしまった。最高のモフモフ具合だ。うっかり感動していた奏人だったが、すぐに我に返る。モフモフに感動している場合ではない。

 奏人を手放したソロが、ペザンテに向けて手を翳す。青白い光がペザンテの首に輪を作り、青い鎖となって現れた。まるで首輪だ。

「カナトを無条件で預けるほど、私は貴様を信用したわけではない。カナトに何かあれば、それが貴様の首を落とす。遠ざかるのは構わんが、カナトを連れて離れることは許さん」

 プライドの高いペザンテが首にかけられた鎖に目を鋭く細めるが、後ろから奏人が謝るとソロから顔を背けて鼻を鳴らした。ソロにはどう足掻いても勝ち目がないことを、賢い彼は知っている。かといって奏人に害を加える気もないようで、今は首輪を容認する姿勢のようだ。

「ソロは? ソロはどうするの?」

「奴とアレを片付ける」

 奴。誰だ。ソロの言う奴が誰なのか奏人には分からなくて、眉をひそめた。風が吹いたのは、ほんの一瞬あと。 

 突如現れた、逞しい後ろ姿。靡く、紫紺の外套。磨き抜かれた大剣。まさに威風堂々。頼もしいその後ろ姿には見覚えがあった。奏人の顔が嬉しそうに綻ぶ。

「ゼロさん!」

「待たせたな」

 背中越しの会話。それでも奏人は嬉しさが隠せない。ゼローザだ。来てくれた。王の盾と呼ばれる、結界師の頂点に立つ男がソロの隣に降り立つ。

 これでソロの危険度が減ると思ったのに、何故だかソロはこちらを睨んでいる。何が不満なのか分からなくて小首を傾げれば、不機嫌そうなままソロが正面を向いた。こんな時でも嫉妬するソロへ呆れるゼローザであったが、ソロに下の様子を尋ねられて答える。

「もって、二十分といったところか。エレジーに指揮を一任してきたが、フエテの方が適任だろう。あいつは、どこへ飛んだんだ?」

「霊界だ」

「そうか……。少しかかるな」

「結界はどの程度もつ」

「正直分からん。アレが未知数だからな」

 アレ、とは叔父の千弥のことだ。青紫色の肌や赤い瞳が禍々しさを強調し、大きく口を開くたびに放つ異臭がとてもではないが元人間だとは思えない。

 ゼローザは軽く周囲を見回した後、短くソロに尋ねた。

「あの方の気配が、完全に消えたな。……アレの仕業か」

「ああ。喰われた」

「それが最期か」

 ソロは答えない。ゼローザも無言だ。

 かつて、叔父に出会う前のアンキェは名君としてこの世界を守っていた。賢帝。そう呼ばれた存在だった。貴族たちの忠誠を一身に集め、四律将を従える姿は律界人の憧れそのものであった。その男が、人間に喰われて死んだ。あっけない最期だ。埋葬されることもなく。偲ばれることもなく。絶望のままに死んだ。栄光の日の姿を知っている元四律将にとって、それは何とも言葉にし難い事実であった。

「あの方を最期に目にしたのがお前で良かった」

「……?」

「同じ轍は、踏んでくれるなよ」

 それはとても重い忠告。ゼローザは、アンキェの臣下として一番近くにあった男。次々にアンキェを見限る中、彼はアンキェを心配し続けていた。忠言したこともある。はじめは笑っていたアンキェが耳を貸さなくなり、閉じこもるようになってからも主のいない空席の王座の隣に立ち続けた。

 そんな彼がアンキェに背を向けたきっかけもまた、シキと同じ人間。しかも二人が顔見知りで、同じ日に律界へ落ちたとは誰が思うだろう。落ちた日に差がある理由は分かっていないが、異空間を通ってこちらに落ちてくる以上、在り得ない話ではない。

 今この城にいるのは、下層区から連れて来られた律界人で大半を占めている。兵士たちも呪詛にあたり正気を失っている者ばかりだ。おそらく真っ当にアンキェの元へ残ったものは一人もおるまい。それまで城にいた侍従たちも簡単に投降し、中には安堵から泣き出す者まであった。

 けれど大半は常軌を逸しており、まともに話ができる状態ではない。問答無用で武器や術を繰り出してくる者は少なくなく、これを無傷で制することは限りなく不可能に近かった。

 そのためゼローザは、彼ら全体に術を使って動きを止めた。これがもって、二十分。その間に、大元を断つためにとやって来た。

「私はアンキェのように閉じこもっても構わないがな。カナトがそれを許さないだろう。寝所で説教されるのが目に見えている」

 ゼローザが笑う。お前が説教を聞き入れるのはカナトぐらいなものだと、妙に嬉しそうだ。そんな二人の会話は、奏人には届かない。ペザンテが二人から離れているからだ。

 ゆっくりと、ゼローザが大剣を抜く。ソロは漆黒の外套を脱ぎ捨て、左目の黒布を自ら剥ぎ取った。

 その左目に眼球は戻っていない。空色の瞳は実質、叔父の魂の核となり続けている。アンキェの魂が潰え、それでもまだ動けているのはソロの左目を取り込んでいるからだ。その上に邪気を覆い、固定し、左目が本来の持ち主に戻ろうとするのを妨げている。

 律力のない叔父が、自分の意思でやっていることではなかった。ここまでくると、もはや生への執着。執念に近い。

「さっさと片付けるぞ」

「言っておくが、俺は同時に下に結界を張り続けている状態だ。お前だけに注力してはやれんからな」

「誰にものを言っている」

 ドン、と地鳴りにも似た風圧。雲は千切れ、空気が強く大きく振動した。離れているこの場所でも凄い風を受ける。ペザンテが更に上空に移動し、奏人は二人を見下ろす形で見守った。

 二人が共闘するのを見るのは初めてだ。実際、これが初めてのこと。犬猿の仲の二人がここまで歩み寄れたことは奇跡に近い。あれほどゼローザを毛嫌いしていたソロ。傍若無人なソロを次期律王と認めずにいたゼローザ。彼はソロが律王になった暁には四律将の座を辞するつもりであった。ソロもゼローザのことは信用ならぬと、四律将から外すつもりだった。

 そんな二人が、手を組んだ。

「行くぞ」

「応っ」

 瞬間、二人の姿が消えた。奏人は慌てて二人の姿を探す。

 真下で立ち上る深紅の火柱。それは次第に青くなり、最終的には白い輝きを放つまでとなった。銀色の炎だ。それを大剣に纏わせ、ゼローザが豪快に揮う。自らの屈強な体躯を用いて戦う彼とは真逆に、ソロは動かない。

 眩い銀の閃光。バチバチと弾ける音。光が飛んだ。そう思った瞬間には、鋭い細い矢のような電撃が叔父の体を焼く。底知れぬ律力の量を有するソロならではの戦い方だ。いくら攻撃型の律界人とはいえ、律力を放出させ続けることは至難の業。律力の方が先に枯渇する。そのためゼローザのように、何かしらの武器に力を乗せて戦うのが主流だ。けれどソロは基本的に武器を用いない。その必要がないからだ。

 塊から伸びる手を二本同時に焼き払い、次々に雷を落としてゆく。その隙間を縫うようにゼローザが斬りかかり、肉塊を削いだ。目にもとまらぬ斬撃。微動だにしないソロの連撃。黒い色を帯びた臭気が噴きあがり、周囲に立ち込める。それをソロが風で薙ぎ払い、ゼローザもまた一瞬も止まることなく叔父の体を切り刻んでいった。

 しかし再生速度が速い。削いだ肉塊が勝手に動き、叔父の体に付着し再生する。削いでも焼いても同じだった。何がそうさせているのかが分からなくて、奏人はペザンテに尋ねた。けれどペザンテにも分からないのか、首を横に振られてしまう。

ガァゥゥンンおそらくだがグァァアアアアゥアンキェのせいだ

「アンキェ? 彼を食べたせいで、叔父さんが強くなったってこと?」

ガゥ違うガルルルルゥゥソロの左目を見ろ

「この距離じゃ無理」

 人間の視力を舐めないで欲しい。この距離でペザンテがソロの目を確認できることが凄い。

 ただ、ソロの左目から薄い青い光がどこかへ流れているような気がした。それを伝えれば、取り込んでいる先は叔父の中にあるソロの左目だという。

 ソロの左目を叔父に埋め込んだのは、アンキェだ。そのアンキェを叔父が取り込んだことで、叔父の体の中にあるソロの左目が誤認を起こしている可能性があるらしい。

 ソロの力をソロの左目が取り込んでいる。ソロの左目はあまりに長く呪詛にかけられ過ぎた。叔父の体にあり続けたのも一因だ。そのせいで器を誤認し、壊れるのを阻止しようとしている。攻撃しているソロ自身から力を吸収しているわけだ。

ガゥルルルゥゥゥンンこれは奴にも誤算だったはずだ

 そんなことが起こっているのかと、奏人は叔父を見た。ギョロリとした赤い目と、目が合う。青紫色の肌は更に色を変え、今度は青黒くなっていた。それでもずっと目だけは赤いままだ。そしてソロやゼローザではなく、ずっと奏人を見ている。

 ――恨……メ、シぃ……う、ら……めシ、ぃ……。恨メ、しィィィィ……ッッ。

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