GAMEなら何でもいいってわけじゃないよね  五十路のオッサンゲーマーは異世界で何かする

なかのしま

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033話:急報

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 膨大な量の資材の仕分け作業を押し付・・・任せることができたおかげで、ようやく俺も少しだけ落ち着けた。
 と、思たんだけどなぁ。
 あっという間にさらなる問題が降りかかってきちゃったんだよ。
 問題を持ち込んできたのは、夕方ごろ村にやって来たオッサン二人。
 カブロの護衛たちの中にいた二人だった。
 早くね?
 移動時間から考えると、サンサテに戻ってからほぼそのまま引き返してきたくらいじゃないと、これだけ早く帰ってこれないんじゃない?
 まさか、途中で何かあったのか?
 「慌ただしく申し訳ない、早急にご検討いただきたい案件が発生したということで、カブロ様より書状を預かってまいったのですが。」
 良かった、魔物に襲われてとか、そういったことでは無いらしい。
 とりあえず急ぎの用だというからソンチョー宅へと案内した。
 「カブロ氏から書状を預かってきました、ご検討いただき、できるだけ早く返事が欲しいそうなんですが。」
 と言って、ソンチョーに筒状に丸められた紙を渡す護衛の一人、確か、ロキリオって言ってたっけ?
 中央を編み込まれたひもで縛り、映画とかアニメで見たことのある封蠟が施してある。
 受け取ったソンチョーは、小型のナイフを取り出してくると封蝋を切って紐を解き、書状をテーブルに広げた。
 集まったみんながのぞき込む。
 で、書状に書かれていた内容を要約すると、
 カブロたち一行は、サンサテについて早々ギリョウに依頼された鍛冶師の件をカブロの母、食堂の女将ベリッサに相談したようだ。
 すると、ちょうど食事というか、酒を飲んでいた石工(石材の切り出しや加工をする職人)が興味を示してきて、是非来たいと言い出した。
 カブロがベリッサの食堂で出されている干し肉を仕入れてきているという話題は常連たちの間で広まっていて、そのカブロが持ち込んできた話ならばと、あれよという間にその場にいた10人ほどの職人も来たいと言い出したという。
 もちろん、一気にこれだけの量の希望者が名乗りを上げたのは干し肉の件だけではない。
 サンサテは、森の魔物たちへの対策として頑丈な防壁に囲まれ、建築物はすでに飽和状態らしいのだ。
 新しい建物を作る仕事はなく、大半が修繕作業などになってしまっている。
 技術力を持ったベテラン職人は賃金も高めで、そういった者へはあまり仕事が回ってこず、せっかく積み重ねてきた技術を持て余していたそうだ。
 新しい、この先発展する可能性の高い土地で自分たちの技術を思う存分発揮できるなら、危険かもしれないなんてことは二の次だと考える職人も少なくなく、この話に飛びついてきたのだという。
 さらに、職人が行くなら商売になると、ベリッサも支店を出そうなんて言い出した。
 当然カブロも店を出すつもりでいる。
 結果、わずか半日で20名ほどの移住希望者と、移住者の家、店を建築するためにやってくる30名ほどの職人、その護衛たちで、移住希望を含めた来訪予定者が70名を超えてしまった。
 次回の来訪で連れてきても問題無いか?
 という内容だった。
 「いや、無理でしょ・・・今の村のランクじゃあ、安全圏に収まりきらないよ。」
 現在のランクでは村のサイズは100m四方、1万㎡である。
 護衛たちも建築関係の職人が仕事を終えて帰宅するまでは滞在するかもしれないし、一時的とはいえ100人を優に超える人が、わずか100m四方の狭い土地にひしめくことになる。
 「やはり無理でしょうか・・・護衛たちはいったん帰らせるので、村への滞在期間はせいぜい2~3日ですし、えぇと、移住者達にははテントを持参させます。
 と、食料も当面は自分たちで用意することになっているそうですが。」
 ?
 それ、君が言いきっちゃっていいの?
 護衛は移住希望者や職人たちがそれぞれ雇うんじゃないのかね?
 それをまとめて帰らせる?
 テントを持参させる?
 食料も自分たちでって、その期間がどれくらいになるか分からないのに。
 伝令役が決められることじゃないよね?
 ってことは、用意周到にカブロが決めてきているってことだよね。
 なんか、ちょっと引っかかるんだけど。
 それに、棒読みポイ芝居臭さも感じるぞ。
 覚えてきた内容を思い出しながら話してる感がプンプンするんですが?
 「もうすぐ冬ですしねぇ。せめて、春になれば問題無いと思うんですが・・・」
 あ!ソンチョーそれマズイ。
 書状を持ってきた男の顔がほころぶ。
 あ、やっぱり!
 これ、きっとカブロに言わされてたな。
 「春なら受け入れていただけるということですね。
 時間もありますので、多少増えるかもしれませんが、許可をいただきありがとうございます。」
 言い終わらないうちに部屋を出ようとする男たち。
 間一髪スロークが立ちはだかった。
 「あ・・・。」
 男たちの顔色がサッと変わる。
 「なるほど、カブロにそう言えって言われたんだな。」
 もう、カブロに”さん”はいらないよね。
 「いや、そのですね。」
 スロークに睨まれてオタオタする男。
 「だから、俺らにゃ無理だって言ったんだ。」
 もう一人が、額に手を当ててボソリとつぶやいた。
 
 さぁ、つるし上げのハジマリダヨ。
 「いや、あの、俺らがサンサテに戻った時は、実はもう話題になってたんですよ。
 この村・・・デモンエイプの魔石の件で。」
 え?
 なんで?
 村のことは話してないはず。
 「あぁ、もちろん買い取った魔石店は情報を漏らしてないですよ。」
 思い出したように慌てて付け足す。
 「でもねぇ、あれほどの物が出れば嫌でも目立つもんですよ。」
 もう一人の男が補足説明。
 「昔起こった氾濫が、はぐれのデモンエイプが原因だった、って事は中高年以上ならだれでも知っていることなんだ・・・です。
 そのデモンエイプの魔石が売りに出されたってことは、今回の氾濫もそのせいだったんだろうって、すぐに広まったんだ、です。」
 そういえば、買取の店員もすぐにそこら辺の推測をしていたな。
 なるほど、うかつだった。
 けど、あれのおかげで食料も冬支度も進んだわけだしなぁ。
 なるべくしてってことか。
 「でもこことは無関係・・・とはいかないか。」
 腕を組んで渋い顔のスローク。
 「あぁ、森の奥に村ができたってのは、女将の食堂で売られ出したあの干し肉で広まってはいたので。
 ただ、カブロさんがここに来るときは、魔物除けに護衛も必要以上につけて来ています。
 そのおかげでこの村へはかなり困難な道のりを通ってこなければならないって認識されてますし、追っ手にも十分警戒していたので場所までは広まって無いですけどね。
 まぁ、だからこそあの干し肉を手に入れるためにこの村を探ろうとする者は出なかったんですよ、どこにあるかとも知れない村を探してこの森をさ迷うなんて、引き受ける護衛もいないですからね。
 いつからか、この森にはデモンエイプとやりあえる屈強なハンターたちが砦を築いているなんてうわさになっているくらいです。
 そこにデモンエイプの魔石です、先のうわさと相まって、デモンエイプ討伐はこの村の手柄だ、なんて話になっているんです。」
 開き直った二人は、サンサテの状況を詳しく教えてくれた。
 「この村で職人を探してるなんて話は、カブロさんが止める間もなく瞬く間に町中に広まっちまいまして、翌朝には移住希望者の大行列ができてまして、カブロさんも抑えきれなくなっちまって・・・」
 「で、俺たちが来ることになったわけだ、です。」
 二人は、すべて話した、もうどうにでもしろって感じで居直っている。
 けど、見逃さないぞ。
 まだ隠していることがあるね。
 「そんなに魅力的に見えるのかな?ここ。」
 ソンチョーが首をかしげて疑問を口にする。
 「そりゃぁ、少なくともハンターにとってここは天国だろうさ、こんな奥深く、普通なら移動だけで何日も無駄にするんだからな、それも命がけで。
 職人にとってもそうだ、技術を持て余している連中は多いし、森の奥に行くほどいい素材が取れる。
 木材もそうだし、石材なんかもな、普段は何人もの職人が合同でハンターを雇って採取させるんだが、ここなら移動時間も省けるし、省けた分護衛の費用も浮かせる。
 しかも村を発展させるなんて大事業にかかわれるとなりゃぁ、職人みょうりに尽きるだろう?少なくとも、サンサテではもう叶えられないんだ。」
 おいおい、いつの間にか取って付けたような敬語すら忘れてるぞ。
 ま、こっちもその方が本音を聞けてるみたいでいいけど。
 「ハンターに職人、護衛としての傭兵が移住するってなると、そいつらを相手にする商人や飲食関係の人間もついてくる。
 特に飲食関係者は、ここの食いもんに興味津々でな、こっそりベリッサさんの酒場に敵情視察に来る同業者も多かったらしい。」
 「サンサテで来てない飲食店は無いだろうな。」
 「まぁ、そんな感じなもんで、カブロさんも慌てたわけだ。
 翌朝の大行列は、もうすぐ冬だから春まで移動は無理だし、村にも話を通さなきゃならないからって言って何とか落ち着かせたんだがな、どうにも収まりそうにないってことでな。
 俺たちは特別給金が出るんで良いけどよ、無理だって言ったんだぜ、騙すような感じだろ?でも、最初からこんな大きな話しして、移住の件は全部白紙、取引も無しだ~なんて言われたら生きていけないなんて言われてよ・・・。」
 「だますようなことをしてすまない、カブロさんもだいぶ頭を悩ませていたようでな。」
 ソンチョーには小細工無しで相談してもらった方が効果的だと思うけどな。
 しかし、ガッカリだよカブロ、そんなことで取引停止だなんて言うわけがないじゃないか。
 だって、他に取引先が無いんだから・・・トホホだね。
 でもそんなことは絶対教えない。
 「で、いったい何人なんだい。」
 無表情で尋ねるソンチョー。
 うん、本当に70人なんて感じじゃないよね。
 「俺らが出たころは130人でした。」
 うわお。
 カブロ・・・。
 「春には200を超えてそうだね。」
 ちょっとあきれ顔のユーキがぼやく。
 「一日だけ時間をくれ。」
 そう言って二人を出来たばかりのログハウスに追いやると、頑張ってみんなで無い頭を絞ることになった。
 アオイとユーコのブーイングを無視して、現地人を除く全員をかき集める。
 移住者が来ることは歓迎できることだけどね、というか、そうやって発展していくしかないわけだよ、だからと言って、こっちの準備もあるわけだ、なんせ、この村は色々と規格外だから。
 すこしずつならまだしも、一気に受け入れるには準備が必要なんだよ。
 守護神像云々が良い隠れ蓑になってくれそうだけどさ、不思議能力や規格外事案はみんなそれのせいにできるもんね。
 でもだ、ちゃんとルールとかを決めておかなければ絶対混乱するしアラが出る。
 と言うことで、規格外全員集合で受け入れのためのルール作り、条件作りをしましょう、と言うことだよ。
 はぁ、今夜は徹夜かな。
 
 「当然、守護神像の存在を前面に出すしかないよね、チートは全部守護神像のおかげってことで。」
 ソンチョーの第一声はやっぱり、なものだった。
 それしかないけど、難しいのは守護神像を前面に出すということは、いわゆる宗教化してしまう危険も伴うってことだ。
 出来れば、移住者には仕方なく守護神像の存在を明かすけど、それ以外には秘密にしておきたい。
 そんな都合よくいくわけ無いけど。
 魔物の存在もどうしたものかだ。
 カブロには、元々食材のエグみ抜きはゴブリンの技術でってことで受け入れられているけど、そこは住人ではないし商売が絡んでくるからであって、内心は分からない。
 住人ともなればどんな影響をもたらすか分からないし、魔物の住む村なんてのが広まってしまうと危険視されて討伐隊が、なんて事も起こりえる。
 少なくとも、この村の存在価値が十分に周知されるまではあまり広まってほしくはない。
 「僕たちの能力は守護神像に与えられた、ってするのはいいけどさ、そうなると自分も力が欲しいって連中も出てこない?」
 ライアーの的を射た指摘。
 ど真ん中ドストライクです。
 守護神像頼りもいいけど、そのせいで起こるだろう問題にも対処しておかないといけないのか・・・。
 ってか、これから増える可能性もあるもんね。
 話し合いは深夜にまで及び、すでに脱落者も出ている。
 戦力外だから放置してるけど、なんか腹立つ。
 とりあえず最初に決まったことは、移住には条件があり、その条件を知るには、その内容を生涯秘匿すると誓約すること、とした。
 まぁ、紙切れでの誓約だから反故にすることはできてしまうけど、多少の防波堤にはなるんじゃないか、と言う結論に至った。
 それと、守護神像は天使だとか神の使いだとか、そう言ったもの以外の存在だとして設定しようと、言うところまでは決まった、どうするのかは全然決まって無いんだけどね。
 完全に煮詰まっていたところで、
 「ここらで小休止にしませんか?」
 という声と共に、懐かしい香りが・・・。
 「すげぇ!これ、うどんっスよね?」
 真っ先に食いついたユーシンが、マスターの持つお盆に乗った器の中身を見て歓喜の声を上げた。
 「まだ小麦が取れてないからうどんとは言い切れないけどね、原料がセパ豆ってこと以外はうどんの製法で作ってみたんだ。」
 そう言ってテーブルに並べたられた器に入っているのは、まさに素うどん!
 「こっちの世界の食事に似せたくて、讃岐風のコシの強いうどんじゃないんだけどね。」
 ウマ懐かしい!!
 昆布も鰹節も無いのにどうやって出汁をとったんだろう?苦労したんだろうなぁ。
 あぁ、美味い。
 確かに柔らかい、唇でも切れるくらいの麺は、博多うどんとかに近いかな。
 薄味だけど、薄味だからか、麺の味をしっかり感じられる、何となくだけど、記憶の中のうどんとは若干香りが違う気がする。
 この世界(この国?)の主食、セパ豆を煮て捏ねた麺に近づけるためって言っていたけど、エグみを無視しても雲泥の差だよ。
 こっちの麺って、麺っていうより細長い餅だもんね、2~3割くらいは麺同士がくっついちゃったり、溶けちゃったりしてたもん。
 さすがマスターです。
 最高です。
 早期脱落組もちゃっかり堪能してるのは納得いかないけどね。
 その後も会議は続き、納得がいくものが出来上がったのは明け方近くだった。
 ホントに徹夜になっちゃったよ。     
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