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084話:説明会
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作業などで出ていた人、はじめましての人も含めて、みどり村に住むワタリビト全員がそろってマスターの食堂に会した。
転生村のカタオカたちは先に食事を済ませて休んでもらっている。
明日ソンチョーたちが会談することを伝えてあるので、今頃はきっとプレゼン準備をしていることだろう。
食堂や酒場もすでにオープンしているので、早めに店じまいして貸し切りでの歓迎会?という名称の何かが開催された。
まずはウシオ君の紹介。
洞窟の中で一人頑張ってきたことや、俺を救ってくれたこととかを話した。
ついでに、この世界の洞窟という存在についても情報共有したよ。
なんせ、俺の”常識”さんが「知っていて思い出した」としても、他のみんなも知っているわけではない。
大変危険な存在でもあるのでキッチリと説明させてもらった。
俺と面識のないミサ、カイト、アカネの紹介もされた。
サンドボックスゲーマーが3人になってたのか、どうりですごい発展の仕方だと思ったよ。
で、だ・・・。
「え~、皆様には、盛大にご迷惑をおかけしました、一応あの時のこととか話させていただきますと、デモンエイプに殺されたシンです。」
その一言で盛大に呆れられました。
予定通り、掴みはオッケーですね。
オッケーじゃない?
そうですね、オッケーという雰囲気ではなさそうです。
軌道修正、ここは誠意をもって真面目にお話せねばならないようです。
「あの時はだね、最初にかました騙し討ちがキレイに決まってしまって、正直、余裕をぶっこいてしまったのが問題だったと思うんだ。
黒幕らしき人物との話で聞きたいことは聞けたし、デモンエイプ4匹中3匹を瞬殺・・・では無かったんだけど、そうと思い込んでしまったわけで、後はもう余裕だなんて思っちゃったんだよね。
誰かが来るまで時間を稼げばオッケーなんてね。
黒幕に逃げられないようにだけ注意していれば、状況によってはもう一匹も始末しちゃおうか、なんて思いあがっちゃったんだ。」
そう、三匹瞬殺、こりゃ勝てるって思っちゃったんだよ。
「そこに、エイプが大きな隙を見せたもんで、あ!行ける~なんてね。
いったら~って、調子に乗っちゃったんだよね。
でも、もう死んだと思ってたエイプが一匹生き残っていて、強烈な不意打ちをブチかましてきやがってだね、一瞬意識が飛んじゃったんだよね。
で、気が付いたら最後のエイプが目の前で、攻撃をもろに食らっちゃった。
血がドバーッと出て、あっけないほどに”即死”でした。」
即死だったことははっきり伝えた。
実は、最後に一言だけメッセージを残したんだけど、それを言っても仕方ないことだ。
もう、アオイが責任を感じる必要なんて無いんだ、という意味を込めてなんだけど、伝わってくれればいいんだけど。
「ユーシンをチラッと見た記憶はあるけど、その瞬間にブラックアウト、死んじゃったんだと思う。
あと、ポーションはね、必要なかったんだよ。
ヒール系の魔法充実してたし、装備も結構良かったし、致命傷級のダメージ貰っても数秒意識があれば回復魔法発動できる。
まさか、それを上回る即死級の攻撃受けるなんて夢にも思わなくて。」
あ~、なんか雰囲気が暗くなっちゃった?
やっぱりちょっとくらいおふざけ混ぜた方が良かったかなぁ。
「俺がもっと早く駆けつけられていれば・・・。」
「ユーシン、それは違うぞ。」
俺は、思いつめたようなユーシンの言葉を遮った。
「むしろあのタイミングで良かったよ。
まさか、デモンエイプが死んだふりするなんて誰も思わないしね、もう少し早かったら、君が犠牲になっていた可能性があるんだ。
それに、君が犠牲になっていた場合復活は無かった。
だから結果論だけど、アレがベストなタイミングだったんだよ。」
そうして、俺が復活したメカニズムを説明した。
「なんか、胸糞悪りぃっスね。」
そのユーシンの言葉から、他のメンバーの戦いの話を聞く流れになっていき、俺は初めて、あの襲撃に4人ものプレイヤーが関わってきていたことを知った。
「なるほど・・・ってことは、スローク、ユーキ、ユーシン、マナは残機+1なんだね。」
いや残機って・・・ライアーらしい表現だけどさ。
「気を付けてね、それでも復活できるのは、プレ・・・ワタリビトではなくこの世界の生物に殺されたか、怪我、病気で死んだ時だけだから。」
ワタリビトか・・・プレイヤーとか異世界人の方が言いやすい気もするけど、みんなの意見は尊重しよう・・・チョット慣れるのに時間がかかりそうだけど。
「頼るつもりは無いけど・・・あ、いや、シンさんがどうっていうわけじゃないんだけど。」
慌てるように訂正するけどね、気にしなくていいよ、ユーキ君。
俺自身、思うところが無いわけじゃないんだから。
そのまま死後の世界(仮)で丸悪魔との苦闘、ノエルとの出会いと知ったこと、学んだこと、まだ推測の域を出ないけれど、この世界の問題点と、俺たちが召喚されることになった真相を話した。
のどが痛くなった。
生まれてからこれまで、こんなに長く話した記憶は無いってくらい話した。
かなり重い話もあったので、皆神妙な表情になっている。
みんないろいろと言いたいこともあるのだろうけれど、まだ思いを言葉にできるほど整理ができていない感じだ。
重苦しくなりすぎてもなんだと思った俺は、喉が痛いのを我慢して、なんですぐ村に戻らなかったのかを話し始めた。
「衝撃の事実なんだけど、俺、方向音痴らしいんだ。」
クソ真面目に言った。
これでひと笑い来るかと思ったんだけど、ポカンとされてしまった。
スベった。
スンゲェ恥ずかしい。
「あちこちさ迷って、ウシオと出会った洞窟に落ちたり、脱出後ノエルさんの家を発見したりしてね、境遇とか聞いたら、少しでも何かできないかって思っちゃってね。
魔道具の作成法とか、いろいろと教えてもらいながら、少しだけ恩を返せるものを完成させてから森を出たんだよ。
正直なところ、帰りづらかったのもあるんだよね。
俺の貯蔵庫、さっき説明したスキル”商会”で中身を取り出せるようになったんだけど、この村で使ったはずの資材がみんな詰まっててさ、ひょっとしたら、村が大惨事になってるんじゃないか?なんてね。
まぁ、それでも来ないわけにはいかなかったし、先を急ごうと思っていたら、カタオカたちと出会っちゃったんだ。」
しかし、あの変な暗号文は何だったんだろう。
アレを見つけなければ、無駄な時間を使うことなく森を脱出、カタオカたちと出会うことは無かっただろう。
あれ、本当に暗号・・・なのか?
なんだかモヤモヤする。
とはいえ、今はどうしようもないことだ。
モヤモヤを脇に置いておいて、カタオカたちとのことを話していく。
隣国でワタリビトと現地の軍隊が戦闘状態になっていたことに衝撃を受けている人もいたみたいだけれど、結果としてこちら側の被害はなく、ミリアという変人・・・もとい味方を得て、脱出計画を立てていることを話した。
その後、俺が死んだ後の村のこともいろいろと聞かせてもらった。
「こっちもいろいろあったんだねぇ。
サンサテで英雄の村とか言われてたから、何事かと思っちゃったよ。」
と、酒場でのことを話したら、
「英雄の村って・・・隠れてやった意味ないじゃないっスか。」
「みんなバレてるって、ハズいよね。」
と、ようやく雰囲気が和らいできたようで良かった良かった。
そのあとは話に華が咲き、深夜遅くまで宴は続いたのだった。
もちろん、アオイとの和解(?)も済ませたよ。
ほぼユーコ様とマナ様の仲介があったおかげだけどね。
後はもうね、街道のこととか刀のこととかほめちぎってごまかした。
はぁ、疲れた。
**
翌朝から始まった会談。
なぜか俺も参加させられている。
一応当事者だからって事らしいんだけどさ、今日くらいはゆっくりダラけたかったよ。
俺からザックリと事情は話してあったんだけど、改めてカタオカ、オオノ2名から彼らの村と現状、移住を希望していることを説明された。
ぶっちゃけ、待ったなしの状態に近い。
移住を断られれば、200名での放浪生活か、戻って内戦勃発か、って感じになってしまっている。
で、話は彼らがみどり村でいかに役に立てるかってアピールへと流れてゆく。
今現在手に入るコンビニ商品が並べられ、キタガワやカタオカ、ムラヤマなどの、村づくりで有用と思われる能力が紹介されてゆく。
わけだけどね、すでにソンチョーたちの中では答えが決まっていたみたい。
「同じ仲間として、何とか手を貸したいとは思っています。
ただ、一番大きな問題が、私の能力とこの村の場所です。」
村自体は現在ランク4、20万㎡にまで拡大したそうだ。
20万㎡っていうと凄そうだけれど、要は400m×500mの長方形の土地だ。
1万人都市を想定してクリフトが設計したという村の区画や道路は、現状の規模ではやりすぎなくらい広い。
現在村として確定されている範囲は、将来都市の中心部になるため施設用の用地が多く、農地なんかも広く設計されているため、住居用のスペースは意外と少ない。
いきなり200人超の住人を受け入れるスペースが無いのだ。
かといって、いずれは広がるからと村の範囲外に住まわせるわけにはいかない。
ここは、世界で最も危険とされるノスサンザ大森林の奥深い地なのだ。
「どうしよう、シンさん。」
なぜこっちに振る?
いや、みんなで注目されても何にも出ないよ?
・・・
・・
・
出ないことも無かった。
はぁ・・・
こうなると思っていたよ。
なんて、あらかじめ代替案を考えちゃってるから、こういう時俺に振られるようになるんだよな。
「いずれは俺も、拠点を作りたいとは思ってたんだよね。」
これは本当。
「正式に従魔が開放されたら、チョットみどり村には刺激が強すぎるなって事になるだろうし、村からは離れた場所に作るつもりだったんだ。」
これも本当、従魔解放までには完成させたいって思っていた。
そしてここからが俺の考えていた代替案。
「デモンエイプの毛皮が魔物除けになるなら、俺の従魔たちがいれば魔物なんて近寄ってこなくなるだろうから、俺の拠点を一時的な入居地として使えるようにするってのはどうだろう。
まぁ、俺がテイムスキル解放できるまではこの村の施設用地でキャンプ生活をしてもらわなきゃならないかもしれないけど。」
たぶん拠点を作るのは数年先になるだろうって何となく思ってたんだよね、なんか、この世界に来てからはレベルアップとかが面倒で仕方ないんだよ・・・ゲームの時は毎日何時間だってかけられたのに。
みどり村のランクが上がってスペースが出来たら、正式に移住してもらえばいいのさ。
そう思ったんけどね。
「あの、そのままその拠点の周辺に、村を起こすとかって出来ないでしょうか?」
へ?
「そうだな、聞く限りは自分たち以上に規格外の能力が多いみたいだし、新しい村を起こした方が生かせる気もするな。」
スロークまで何言ってるの?
「みどり村はこの世界の基準から逸脱しすぎないように注意しながら移住や交流をメインにしてきたけれど、新しく作る村はワタリビトが暮らしやすかったり楽しめたりするような感じになればいいよね。」
ソンチョーまでそんなこと言うし。
いかん、これ
「俺に面倒事が押し付けられる流れじゃないか?とか思ってるんだろ。」
ギクリ・・・スローク正解。
「村自体の運営は移住者たちに任せればいいんじゃないかな、今までだってそうして来たんだから、その方がいいと思うよ。
シンさんは従魔たちを使って安全を保障するだけでもいいんじゃないかな。」
それ、俺がレベルアップにむちゃくちゃ頑張らないといけないんですけど。
「場所の指定をしてもらえれば、下準備は協力できると思いますよ。」
クリフトまでもう決定事項のように進めちゃってるしぃ・・・。
はい、分かりました。
頑張らさせていただきます。
ゴメン、ノエルさん、魔道具の研究は暫しかかりそうです。
**
みどり村の道は広い。
俺たちの設計では道幅を5mで計画していたんだけれど、クリフトがカブロとかに聞き取りをした結果、この世界では思っていたより馬車の使用頻度が多く、将来のことを考えて再設計、通行中の馬車にトラブルがあっても通行を妨げない道幅ってやつを基準にしているらしい。
だから、道の幅は最低10m、メインストリートは森に作った街道並みの20mもあった。
王都のメインストリートには及ばないものの、領都をしのぐ規模の大通りだ。
いや、そんな大規模な通り、計画はできても簡単にいかないよね?
と思っていたら、新規加入のカイトとアカネも、アオイ同様サンドボックス系のゲームをプレイしていたため簡単に進んだそうだ。
アスクラでは無いが、後発のサンドボックスゲームだけあってプレイ性は全年齢向けにやさしくなっているようで、建築済み建物の移動なんかも簡単にできるんだって。
サンドボックス3連星が誕生したことでインフラ設備も難なく完成、現在の見違えるような村が出来上がったと。
見違える・・・俺、そう言えばまだ村をちゃんと見てない。
入り口(グーパンKOでワープ)、診療所、近くの食堂(そのまま酔いつぶれ)、さらに近くのソンチョー宅、しか見ていない。
後でジックリと見物に行きたいところだけど、時間できるかなぁ。
会談を終えたら食堂へ逆戻り。
もうお昼なのです。
しかし増えたなぁ、ワタリビト。
ここまで来るともう、超・能力者って守護神像の気まぐれでは済まなくなってくるよね。
なんせ、次々に増えていくんだからね。
村以外の世界でも同様で、今はまだ酒の肴話で済んでいるけれど、そのうち現実味を帯びてくるだろう。
もちろん良い意味ばかりではないぞ。
結局名前も知らない襲撃者たちのような存在がいるのだから。
もし、問い詰められでもしたらどうしたものか。
ワタリビトを受け入れること、それを決めた以上、前もって何か考えておかないといけないだろう。
マスターの食堂の奥にある個室で昼食を取りながらそんな話題が出た。
浮かんでしまいました。
こういうところがいかんのだよな、俺。
「シンさんから提案があるそうでぇ~す。」
まだ何も言ってないのになぜわかる?
マジ超能力者かよ。
ユーコって、なんかそう言うところがあって怖いんだよなぁ。
「あ~、悪い顔してるもんねぇ。」
ユーコどころかアオイにまでだと!おまえもエスパーか?
気を取り直して。
「あ~、全部根源のアホ王にせいにしちゃえばいいんじゃないかな?」
アオイがやっぱり悪だくみしてるって目で見ているけどスルーだ。
「ガイゼルベルグっていうアホ王が元凶だってことは昨日話したけど、あいつの存在って、いちおうおとぎ話でこの世界に浸透しているみたいなんだよね。
現実通り諸悪の根源として、じゃなくて天空の国の王様っていう扱いなんだけどさ。
だったら、その良い方のイメージに乗っかって利用してやろうかと思うんだけど。」
ガイゼルベーってなんスっけ?とか言ってる声が聞こえたけど無視だ。
っていうかユーシン、なんか昨日から変だぞ。
「これから増えたり見つかったりするワタリビトは、天空の王が魔素絡みで起こる問題を解決するためにあれやこれややって、その結果特殊な能力に目覚めた人間だって感じで広めてもらおうかと。
俺達みたいに守護神像のような存在から力を授かる人以外にも、王がやらかしたあれやこれやの影響で力に目覚める人も出てきてるんだよ~と。
で、中には前回の襲撃犯みたいに悪事を働く連中も出てくるから十分注意しろって、守護神像から警告されたと。
この体(てい)なら、守護神像から能力を与えられたってことになっている俺たち以外にも能力者がいるってことの言い訳にできると思うんだ。
で、悪い奴らもいるからって警告もできるし、そうなったとき一番悪いのはアホ王だって印象も付けられるし。」
ほぉ~。
周囲から関心の声が。
「さすがおじーちゃん。悪知恵だけはマスタークラスね。」
アオイさんや、お褒めの言葉は・・・褒めてるか?それ。
とにかく、生き返ってもおじーちゃん呼びはやめてくれないんだね・・・。
転生村のカタオカたちは先に食事を済ませて休んでもらっている。
明日ソンチョーたちが会談することを伝えてあるので、今頃はきっとプレゼン準備をしていることだろう。
食堂や酒場もすでにオープンしているので、早めに店じまいして貸し切りでの歓迎会?という名称の何かが開催された。
まずはウシオ君の紹介。
洞窟の中で一人頑張ってきたことや、俺を救ってくれたこととかを話した。
ついでに、この世界の洞窟という存在についても情報共有したよ。
なんせ、俺の”常識”さんが「知っていて思い出した」としても、他のみんなも知っているわけではない。
大変危険な存在でもあるのでキッチリと説明させてもらった。
俺と面識のないミサ、カイト、アカネの紹介もされた。
サンドボックスゲーマーが3人になってたのか、どうりですごい発展の仕方だと思ったよ。
で、だ・・・。
「え~、皆様には、盛大にご迷惑をおかけしました、一応あの時のこととか話させていただきますと、デモンエイプに殺されたシンです。」
その一言で盛大に呆れられました。
予定通り、掴みはオッケーですね。
オッケーじゃない?
そうですね、オッケーという雰囲気ではなさそうです。
軌道修正、ここは誠意をもって真面目にお話せねばならないようです。
「あの時はだね、最初にかました騙し討ちがキレイに決まってしまって、正直、余裕をぶっこいてしまったのが問題だったと思うんだ。
黒幕らしき人物との話で聞きたいことは聞けたし、デモンエイプ4匹中3匹を瞬殺・・・では無かったんだけど、そうと思い込んでしまったわけで、後はもう余裕だなんて思っちゃったんだよね。
誰かが来るまで時間を稼げばオッケーなんてね。
黒幕に逃げられないようにだけ注意していれば、状況によってはもう一匹も始末しちゃおうか、なんて思いあがっちゃったんだ。」
そう、三匹瞬殺、こりゃ勝てるって思っちゃったんだよ。
「そこに、エイプが大きな隙を見せたもんで、あ!行ける~なんてね。
いったら~って、調子に乗っちゃったんだよね。
でも、もう死んだと思ってたエイプが一匹生き残っていて、強烈な不意打ちをブチかましてきやがってだね、一瞬意識が飛んじゃったんだよね。
で、気が付いたら最後のエイプが目の前で、攻撃をもろに食らっちゃった。
血がドバーッと出て、あっけないほどに”即死”でした。」
即死だったことははっきり伝えた。
実は、最後に一言だけメッセージを残したんだけど、それを言っても仕方ないことだ。
もう、アオイが責任を感じる必要なんて無いんだ、という意味を込めてなんだけど、伝わってくれればいいんだけど。
「ユーシンをチラッと見た記憶はあるけど、その瞬間にブラックアウト、死んじゃったんだと思う。
あと、ポーションはね、必要なかったんだよ。
ヒール系の魔法充実してたし、装備も結構良かったし、致命傷級のダメージ貰っても数秒意識があれば回復魔法発動できる。
まさか、それを上回る即死級の攻撃受けるなんて夢にも思わなくて。」
あ~、なんか雰囲気が暗くなっちゃった?
やっぱりちょっとくらいおふざけ混ぜた方が良かったかなぁ。
「俺がもっと早く駆けつけられていれば・・・。」
「ユーシン、それは違うぞ。」
俺は、思いつめたようなユーシンの言葉を遮った。
「むしろあのタイミングで良かったよ。
まさか、デモンエイプが死んだふりするなんて誰も思わないしね、もう少し早かったら、君が犠牲になっていた可能性があるんだ。
それに、君が犠牲になっていた場合復活は無かった。
だから結果論だけど、アレがベストなタイミングだったんだよ。」
そうして、俺が復活したメカニズムを説明した。
「なんか、胸糞悪りぃっスね。」
そのユーシンの言葉から、他のメンバーの戦いの話を聞く流れになっていき、俺は初めて、あの襲撃に4人ものプレイヤーが関わってきていたことを知った。
「なるほど・・・ってことは、スローク、ユーキ、ユーシン、マナは残機+1なんだね。」
いや残機って・・・ライアーらしい表現だけどさ。
「気を付けてね、それでも復活できるのは、プレ・・・ワタリビトではなくこの世界の生物に殺されたか、怪我、病気で死んだ時だけだから。」
ワタリビトか・・・プレイヤーとか異世界人の方が言いやすい気もするけど、みんなの意見は尊重しよう・・・チョット慣れるのに時間がかかりそうだけど。
「頼るつもりは無いけど・・・あ、いや、シンさんがどうっていうわけじゃないんだけど。」
慌てるように訂正するけどね、気にしなくていいよ、ユーキ君。
俺自身、思うところが無いわけじゃないんだから。
そのまま死後の世界(仮)で丸悪魔との苦闘、ノエルとの出会いと知ったこと、学んだこと、まだ推測の域を出ないけれど、この世界の問題点と、俺たちが召喚されることになった真相を話した。
のどが痛くなった。
生まれてからこれまで、こんなに長く話した記憶は無いってくらい話した。
かなり重い話もあったので、皆神妙な表情になっている。
みんないろいろと言いたいこともあるのだろうけれど、まだ思いを言葉にできるほど整理ができていない感じだ。
重苦しくなりすぎてもなんだと思った俺は、喉が痛いのを我慢して、なんですぐ村に戻らなかったのかを話し始めた。
「衝撃の事実なんだけど、俺、方向音痴らしいんだ。」
クソ真面目に言った。
これでひと笑い来るかと思ったんだけど、ポカンとされてしまった。
スベった。
スンゲェ恥ずかしい。
「あちこちさ迷って、ウシオと出会った洞窟に落ちたり、脱出後ノエルさんの家を発見したりしてね、境遇とか聞いたら、少しでも何かできないかって思っちゃってね。
魔道具の作成法とか、いろいろと教えてもらいながら、少しだけ恩を返せるものを完成させてから森を出たんだよ。
正直なところ、帰りづらかったのもあるんだよね。
俺の貯蔵庫、さっき説明したスキル”商会”で中身を取り出せるようになったんだけど、この村で使ったはずの資材がみんな詰まっててさ、ひょっとしたら、村が大惨事になってるんじゃないか?なんてね。
まぁ、それでも来ないわけにはいかなかったし、先を急ごうと思っていたら、カタオカたちと出会っちゃったんだ。」
しかし、あの変な暗号文は何だったんだろう。
アレを見つけなければ、無駄な時間を使うことなく森を脱出、カタオカたちと出会うことは無かっただろう。
あれ、本当に暗号・・・なのか?
なんだかモヤモヤする。
とはいえ、今はどうしようもないことだ。
モヤモヤを脇に置いておいて、カタオカたちとのことを話していく。
隣国でワタリビトと現地の軍隊が戦闘状態になっていたことに衝撃を受けている人もいたみたいだけれど、結果としてこちら側の被害はなく、ミリアという変人・・・もとい味方を得て、脱出計画を立てていることを話した。
その後、俺が死んだ後の村のこともいろいろと聞かせてもらった。
「こっちもいろいろあったんだねぇ。
サンサテで英雄の村とか言われてたから、何事かと思っちゃったよ。」
と、酒場でのことを話したら、
「英雄の村って・・・隠れてやった意味ないじゃないっスか。」
「みんなバレてるって、ハズいよね。」
と、ようやく雰囲気が和らいできたようで良かった良かった。
そのあとは話に華が咲き、深夜遅くまで宴は続いたのだった。
もちろん、アオイとの和解(?)も済ませたよ。
ほぼユーコ様とマナ様の仲介があったおかげだけどね。
後はもうね、街道のこととか刀のこととかほめちぎってごまかした。
はぁ、疲れた。
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翌朝から始まった会談。
なぜか俺も参加させられている。
一応当事者だからって事らしいんだけどさ、今日くらいはゆっくりダラけたかったよ。
俺からザックリと事情は話してあったんだけど、改めてカタオカ、オオノ2名から彼らの村と現状、移住を希望していることを説明された。
ぶっちゃけ、待ったなしの状態に近い。
移住を断られれば、200名での放浪生活か、戻って内戦勃発か、って感じになってしまっている。
で、話は彼らがみどり村でいかに役に立てるかってアピールへと流れてゆく。
今現在手に入るコンビニ商品が並べられ、キタガワやカタオカ、ムラヤマなどの、村づくりで有用と思われる能力が紹介されてゆく。
わけだけどね、すでにソンチョーたちの中では答えが決まっていたみたい。
「同じ仲間として、何とか手を貸したいとは思っています。
ただ、一番大きな問題が、私の能力とこの村の場所です。」
村自体は現在ランク4、20万㎡にまで拡大したそうだ。
20万㎡っていうと凄そうだけれど、要は400m×500mの長方形の土地だ。
1万人都市を想定してクリフトが設計したという村の区画や道路は、現状の規模ではやりすぎなくらい広い。
現在村として確定されている範囲は、将来都市の中心部になるため施設用の用地が多く、農地なんかも広く設計されているため、住居用のスペースは意外と少ない。
いきなり200人超の住人を受け入れるスペースが無いのだ。
かといって、いずれは広がるからと村の範囲外に住まわせるわけにはいかない。
ここは、世界で最も危険とされるノスサンザ大森林の奥深い地なのだ。
「どうしよう、シンさん。」
なぜこっちに振る?
いや、みんなで注目されても何にも出ないよ?
・・・
・・
・
出ないことも無かった。
はぁ・・・
こうなると思っていたよ。
なんて、あらかじめ代替案を考えちゃってるから、こういう時俺に振られるようになるんだよな。
「いずれは俺も、拠点を作りたいとは思ってたんだよね。」
これは本当。
「正式に従魔が開放されたら、チョットみどり村には刺激が強すぎるなって事になるだろうし、村からは離れた場所に作るつもりだったんだ。」
これも本当、従魔解放までには完成させたいって思っていた。
そしてここからが俺の考えていた代替案。
「デモンエイプの毛皮が魔物除けになるなら、俺の従魔たちがいれば魔物なんて近寄ってこなくなるだろうから、俺の拠点を一時的な入居地として使えるようにするってのはどうだろう。
まぁ、俺がテイムスキル解放できるまではこの村の施設用地でキャンプ生活をしてもらわなきゃならないかもしれないけど。」
たぶん拠点を作るのは数年先になるだろうって何となく思ってたんだよね、なんか、この世界に来てからはレベルアップとかが面倒で仕方ないんだよ・・・ゲームの時は毎日何時間だってかけられたのに。
みどり村のランクが上がってスペースが出来たら、正式に移住してもらえばいいのさ。
そう思ったんけどね。
「あの、そのままその拠点の周辺に、村を起こすとかって出来ないでしょうか?」
へ?
「そうだな、聞く限りは自分たち以上に規格外の能力が多いみたいだし、新しい村を起こした方が生かせる気もするな。」
スロークまで何言ってるの?
「みどり村はこの世界の基準から逸脱しすぎないように注意しながら移住や交流をメインにしてきたけれど、新しく作る村はワタリビトが暮らしやすかったり楽しめたりするような感じになればいいよね。」
ソンチョーまでそんなこと言うし。
いかん、これ
「俺に面倒事が押し付けられる流れじゃないか?とか思ってるんだろ。」
ギクリ・・・スローク正解。
「村自体の運営は移住者たちに任せればいいんじゃないかな、今までだってそうして来たんだから、その方がいいと思うよ。
シンさんは従魔たちを使って安全を保障するだけでもいいんじゃないかな。」
それ、俺がレベルアップにむちゃくちゃ頑張らないといけないんですけど。
「場所の指定をしてもらえれば、下準備は協力できると思いますよ。」
クリフトまでもう決定事項のように進めちゃってるしぃ・・・。
はい、分かりました。
頑張らさせていただきます。
ゴメン、ノエルさん、魔道具の研究は暫しかかりそうです。
**
みどり村の道は広い。
俺たちの設計では道幅を5mで計画していたんだけれど、クリフトがカブロとかに聞き取りをした結果、この世界では思っていたより馬車の使用頻度が多く、将来のことを考えて再設計、通行中の馬車にトラブルがあっても通行を妨げない道幅ってやつを基準にしているらしい。
だから、道の幅は最低10m、メインストリートは森に作った街道並みの20mもあった。
王都のメインストリートには及ばないものの、領都をしのぐ規模の大通りだ。
いや、そんな大規模な通り、計画はできても簡単にいかないよね?
と思っていたら、新規加入のカイトとアカネも、アオイ同様サンドボックス系のゲームをプレイしていたため簡単に進んだそうだ。
アスクラでは無いが、後発のサンドボックスゲームだけあってプレイ性は全年齢向けにやさしくなっているようで、建築済み建物の移動なんかも簡単にできるんだって。
サンドボックス3連星が誕生したことでインフラ設備も難なく完成、現在の見違えるような村が出来上がったと。
見違える・・・俺、そう言えばまだ村をちゃんと見てない。
入り口(グーパンKOでワープ)、診療所、近くの食堂(そのまま酔いつぶれ)、さらに近くのソンチョー宅、しか見ていない。
後でジックリと見物に行きたいところだけど、時間できるかなぁ。
会談を終えたら食堂へ逆戻り。
もうお昼なのです。
しかし増えたなぁ、ワタリビト。
ここまで来るともう、超・能力者って守護神像の気まぐれでは済まなくなってくるよね。
なんせ、次々に増えていくんだからね。
村以外の世界でも同様で、今はまだ酒の肴話で済んでいるけれど、そのうち現実味を帯びてくるだろう。
もちろん良い意味ばかりではないぞ。
結局名前も知らない襲撃者たちのような存在がいるのだから。
もし、問い詰められでもしたらどうしたものか。
ワタリビトを受け入れること、それを決めた以上、前もって何か考えておかないといけないだろう。
マスターの食堂の奥にある個室で昼食を取りながらそんな話題が出た。
浮かんでしまいました。
こういうところがいかんのだよな、俺。
「シンさんから提案があるそうでぇ~す。」
まだ何も言ってないのになぜわかる?
マジ超能力者かよ。
ユーコって、なんかそう言うところがあって怖いんだよなぁ。
「あ~、悪い顔してるもんねぇ。」
ユーコどころかアオイにまでだと!おまえもエスパーか?
気を取り直して。
「あ~、全部根源のアホ王にせいにしちゃえばいいんじゃないかな?」
アオイがやっぱり悪だくみしてるって目で見ているけどスルーだ。
「ガイゼルベルグっていうアホ王が元凶だってことは昨日話したけど、あいつの存在って、いちおうおとぎ話でこの世界に浸透しているみたいなんだよね。
現実通り諸悪の根源として、じゃなくて天空の国の王様っていう扱いなんだけどさ。
だったら、その良い方のイメージに乗っかって利用してやろうかと思うんだけど。」
ガイゼルベーってなんスっけ?とか言ってる声が聞こえたけど無視だ。
っていうかユーシン、なんか昨日から変だぞ。
「これから増えたり見つかったりするワタリビトは、天空の王が魔素絡みで起こる問題を解決するためにあれやこれややって、その結果特殊な能力に目覚めた人間だって感じで広めてもらおうかと。
俺達みたいに守護神像のような存在から力を授かる人以外にも、王がやらかしたあれやこれやの影響で力に目覚める人も出てきてるんだよ~と。
で、中には前回の襲撃犯みたいに悪事を働く連中も出てくるから十分注意しろって、守護神像から警告されたと。
この体(てい)なら、守護神像から能力を与えられたってことになっている俺たち以外にも能力者がいるってことの言い訳にできると思うんだ。
で、悪い奴らもいるからって警告もできるし、そうなったとき一番悪いのはアホ王だって印象も付けられるし。」
ほぉ~。
周囲から関心の声が。
「さすがおじーちゃん。悪知恵だけはマスタークラスね。」
アオイさんや、お褒めの言葉は・・・褒めてるか?それ。
とにかく、生き返ってもおじーちゃん呼びはやめてくれないんだね・・・。
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貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
根暗男が異世界転生してTS美少女になったら幸せになれますか?
みずがめ
ファンタジー
自身の暗い性格をコンプレックスに思っていた男が死んで異世界転生してしまう。
転生した先では性別が変わってしまい、いわゆるTS転生を果たして生活することとなった。
せっかく異世界ファンタジーで魔法の才能に溢れた美少女になったのだ。元男は前世では掴めなかった幸せのために奮闘するのであった。
これは前世での後悔を引きずりながらもがんばっていく、TS少女の物語である。
※この作品は他サイトにも掲載しています。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
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