異世界言ってみよう

サラニネル

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初めての薬草採集の悲(喜)劇

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ギルドを出る頃には、日が真上にあったので昼になっていると思われた。
ツッコはマーサ手書きの簡単な地図を広げる確認しながら進んで行った。
あと時間も無いので携帯食(固形栄養食)を食べながら向かうことになった。
不機嫌そうなツッコを先頭に、その後でボッケが物珍しそうにキョロキョロと見渡し、最後にフードで顔を隠したアマリも珍しそうに周りをチラ見していた。

カードの内容を思い出し、ツッコの眉間にシワが寄った。
「何が吟遊詩人だ!ふざけてんのか!」
「歌や詩って言ってたね?...歌いながら漫才でもしてみる?」
ボッケは携帯食をかじりながら適当に返した。
「...絶対無理だろ」ツッコも想像したが無理だった。
アマリは、そんな2人をほっといて携帯色を食べながら呟いた。
「これもう飽きたな」
ツッコは残っていた携帯食を一気に口に入れ噛み砕くと飲み込み込んだ。
「とにかく、まずは薬屋に行くぞ!マーサさん、だったか? あの婆さんに言われた通り薬草を集めて金にしないと食料も、もう残り少ないしな」

しばらく歩き小さい橋を渡ると、古い木造の家が見えてきた。見ると出窓の横に木の板が掛けてあり「薬屋にご用の方は窓を開けて」と書いてあった。
「窓口販売ってやつか?」
ツッコが窓を開けると同時に窓についた鐘のカーンという音が店の奥へと響いた。
それと共に何か色々な植物を混ぜたような匂いが奥から漂ってきた。

少し待つと奥から、ぼさっとした髪でメガネをかけ所々にシミのついた服を着た女性が現れた。そして、その女性は軽い感じで話しかけてきた。
「いらっしゃい。初めまして、薬屋のエーリカよ。今日は何の用?」
ツッコは早速要件を話し始めた。
「すまねえんだけど、薬じゃなくてギルドの依頼の件で来たんだ」
「ああ、依頼の方ね。じゃあ家で話しましょ、玄関に入ってきて」
エーリカは窓を閉めると、さっさと行ってしまった。

案内された客間には机と椅子があったが、まるで物置のようだった。天井から薬草が吊るされ、瓶や様々な調合機材が雑然と置かれていた。見たこともない植物や調合道具を興味深そうに眺めていると椅子に座るよう勧められた。

席に着くなり、エーリカはすぐ本題に移った。
「この辺の草原にもあるんだけど、...これと同じ物を探してきてほしいの」
エーリカは薬草の葉を一枚机に置くと続けた。
「あと根入らないから、根の上の茎を少し残して千切って持ってきて。それから...街の周りの草原なら危険なモンスターはいないはずだから怪我したくないなら、お勧めよ」

ツッコは、葉をまじまじと見つめて質問した。
「なんか、これ見分け方あるのか?」
「特徴的なのはこの部分よ。見ればわかるでしょ?」
エーリカが指し示した葉の一部に確かに特徴的な部分があった。
「その一枚は持っていっていいから、取れたら、ここに持ってきて」
エーリカの言葉に「わかった」と答えた後、3人で特徴的な部分を確認していると、カーンという音が聞こえた。
「あら?お客さんが来たから、これでおしまいね。じゃあ玄関は閉めていってね」
言うだけ言うとエーリカは、さっさと行ってしまった。

草原に出るため門に着くと、グースは以前と同じように椅子に座って空を眺めていた。3人は軽く挨拶すると街の外に出た。

周りを見渡し、街の外周に広がる緑の草原へ入って行った。
ツッコは、草むらをかき分け調べ出した。「えーと、この葉っぱの形だろ...」
「ツッコ、これじゃない? この葉っぱ、ちょっとギザギザしてるよ」
ボッケが指差したものをツッコが確認すると全く形が違っていた。
「それはただの雑草だ。どう見ても違うだろ!」
「ええ、そうかなぁ。でも、ちょっとだけ似てる気がするんだよなあ」
ボッケはツッコから葉を借りると再度確認を始めた。
アマリも2人の近くで一生懸命探したが、なかなか探せなかった。

それ以降も似たような植物が多すぎて見分けがつかず時間だけが過ぎて行った。
「もう1時間ぐらい探したはずなのに、2本しかねえ!」
ツッコは苛立ちを隠せない。汗をぬぐうと指先が緑色になっていた。
その時、アマリがツッコの袖を引っ張りながら言った。
「ツッコ、あれ...」
アマリが指さした先には、ウサギのような姿をしたモンスターがいた。
ただし、普通のウサギではなく頭には鋭いツノが生えていた。

そして、こちらに気付いたツノウサギが地面を足で強く踏み叩き威嚇してきた。
「な、なんだあれ!ツ、ツノが生えてるじゃねえか!」
ツッコは声をひそめてアマリと話した。
「おい、とりあえず、逃げるぞ!」
ツッコは冷や汗をかきながらボッケにも言った。

その声が気に障ったのか、ツノウサギはギロリと目を光らせると突進してきた。
「うわあああ! 逃げろ!」ツッコは叫びながら逃げ出した。
「待ってよツッコおお!」ボッケも一生懸命追いかける。
「いやあああ!!」出遅れたアマリだったが2人をすぐに追い抜いていった。
しばらく逃げてから振り返ると、縄張りを抜けたのかツノウサギは追ってこなかった。

ツッコは息を切らして座り込んだ。
「...はぁ、はぁ...なんとか、逃げ切れたか」
ボッケも同様に座り込んだ。
「...はぁ、...はぁ、はぁ...あの、変な、ウサギ、結構速かったねぇ。僕、もうちょっと走れると思ったんだけどなぁ」
アマリも2人に合流して座り込んだ。
「..はぁ、はぁ怖かった」

その後は少し休憩を挟み、他のツノウサギのいない草原を夕暮れ近くまで探し回って、なんとか10本ほどの薬草を摘み取ることができた。

疲れた足取りで街に戻り薬屋に向かうとエーリカに薬草を渡した。
そして薬草を見定めから、疲れた3人をみると残念そうな顔をした。
「これでポーション1個分ぐらいね。...まあ、初めてだし、また受けてくれると嬉しいわ」
その後ギルドに渡す完了報告書を渡された。

もうほぼ無言となり疲れた足取りでギルドのマーサの前に辿り着いた。
「あら、あなた達、大丈夫なのかい?」マーサは3人を見て心配そうだ。
「薬草とって、これ渡されたんだけど」ツッコは元気なく完了報告書を渡した。
「確認するよ、ちょっと待っててちょうだい」マーサは確認し始めた。

しばらくすると、マーサは銅貨30枚を置くと
「これが今日の報酬になるね、少ないけど頑張ったんだね」
「...少ない?」ツッコは、この貨幣の価値がどのくらいか、わからないなので、さらに聞いた。
「待ってくれ、その、このお金で買える食料ってどのくらいなんだ?」
「あら?あなた達は他から来たのかい?そうだねぇ...まあ1人分の1日の食費ぐらいだね」
マーサの顔は申し訳なさそうだった。

「あんだけ頑張って、一人分か...」ツッコは口を開け呆然としてる。
「僕もう疲れたよ」ボッケは肩を落とし疲れている。
「家に帰りたい...」アマリは顔を隠し頭を下げた。

全員諦めて家に戻ろうとした時、マーサが思い出したように言った。
「そういえば、あなた達の戦えないと言っていたけど変わったスキル持ってたね...確か吟遊詩人のスキルに似ていたから、吟遊詩人に聞いてみたらいいかもしれないね 」
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