異世界言ってみよう

サラニネル

文字の大きさ
24 / 59

夕暮れの草原の悲(喜)劇

しおりを挟む
夕焼けが赤く染まり、いつものように薬草とツノウサギを狩り続けていた。
「なんか薬草が、あんまないねぇ」
「まあこんな日もあるだろ」
ボッケの何気ない言葉に、ツッコも気にせず笑顔で答えた。
その日の成果は薬草23本、ツノウサギ12匹。儲けは銅貨381枚だった。

翌日、激しい雨が降っていた。
「今日は休みだな!やっぱ雨って言えば野球も中止だしな!」
「そうだね、狩りも余裕だし明日やればいいよ!」
久しぶりの雨を眺めながらツッコはそう言うと、ボッケも気軽に賛成した。
「雨なんて珍しいね!」「アメ アメ」
アマリは雨にはしゃぐドゥエンデ見ると楽しそうに家に戻った。

次の日も街の周りの草原へ出たが、やはり薬草もツノウサギも見つからない。
夕焼けが空を染める頃、ようやく収穫はあったが、その少なさに3人は戸惑っていた。
「もう夕方か?おかしいな薬草が見つかんねえ」
「なんか変だね?ツノウサギもいないんだけど?」
ツッコとボッケの顔から笑みが消えていた。
「明日はスライムにしてみる?」
二人の深刻な顔に不安げなアマリの提案が採用された。
この日の成果は薬草18本、ツノウサギ5匹。儲けは銅貨184枚だった。

その次の日にはスライムでも疑惑が形に現れ始めていた。
「スライムもなんか微妙にすくねえな。これは取り過ぎると、いなくなるってことか?」
「まあ、そうだね、明らかに減ってるね」
ツッコもボッケも不安から顔が暗くなる。
その夜は、3人とも不安で眠れなかった。
翌日のスライム狩りの成果は9匹で、魔石4個、体液9個。儲けは銅貨330枚だった。

そして異変を感じてから5日目。空が赤く染まり、草原では虫が鳴き始める。
その日も薬草もツノウサギも全く見つからず、3人は疲れ果てていた。
「なんでだ!全然ねえぞ。せっかくここまで、うまくいってたのに、また振り出しなのか」
ツッコは不安から昼も食欲がなく最後の言葉は呟きに近かった。
「ツッコ...街の周りじゃ、もう無理なんだよね。他は強いのばっかなのかな。じゃなくて、えぇと。」
ボッケは困った顔で何か盛り上げないといけないと思いつつ思いつかなかった。
ボッケとツッコは過去にいつも上手く行ってる時限って、なぜか上手くいかなくなる苦い経験が頭にちらついて険しい顔になってしまっていた。

「もう!お兄ちゃんたち、いつも心配性すぎるよ!やっぱ困った時は、マーサさんと、エーリカに聞いてみるしかないよ」
アマリの提案に、二人は驚きと嬉しさが混じって少し恥ずかしがると
「そっ..そうだよな!俺たちにはもう色々仲間いるんだもんな!」ツッコは頭を掻いた。
「うん。アマリの方が逃げ足も速いし!頭の回転も速いね!」ボッケが笑顔でいうとアマリに睨まれ、すぐ謝る事となった。そんなこんなで薬草を届けながらエーリカに話を聞いてみることにした。

いつも通り客間に通されると、雑多に置かれてるようで毎回大体同じ位置にある物達を座って眺めていた。少し待っているとエーリカは顎に手をかけ何か考え事をしながら現れた。
「…あのう、薬草こんだけなんだけど。街の周り以外で俺達でも薬草取れるとこあるかな?」
ツッコは疲れた顔で薬草を渡し、ため息をついた。
「今日も、さらに少ないわね。まあ頑張ったほうでしょうけど」
エーリカは薬草を受け取ると、少し考えて口を開いた。

「でも、これだけ取れないとなると、もう街の周りは当分ダメね。西の森に行きなさい。あの小山にかこまれた森よ。薬草も生えてるし、ツノウサギもいるって聞いたわ。ただ、グリーンスライムは毒があるから気をつけて。毒消しは持って行った方がいいわね。..そういえば、毒消しの材料も生えてるから、ついでに取ってくればいいわ。これサンプルの1本ね」
エーリカは毒消し草を1本渡し、ツッコ達の自信のない顔に気づくと少し呆れたように言った。

「…あなたたち、あれだけ薬草もツノウサギも取ってきたのに?もっと自信持ちなさいよ」エーリカ不思議そうな顔から一転ポンと手をうつと「それは別にして、とりあえずは毒消しは買っていきなさい。1本銅貨80枚だけど、いつも通り材料を届けてくれるお礼に、75枚にまけてあげるわ」そう言うとエーリカの目が光り、テーブルの上に毒消しが3本入った袋をドンッと置かれ3人は自信を取り戻した笑顔を引きつらせ、がっくり肩を落とした。
そして、完了の報告書をツッコに手渡した。そして、毒消3本と、この前使ったポーションの補充1本で銅貨320枚が財布から消えたが、不安も消えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~

namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。 かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。 海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。 そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。 それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。 そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。 対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。 「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」 アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。 ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。 やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。 揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

処理中です...