殿下と僕のお話

まっちゃこ

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今③

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「エリィ、おかえり。会いたかったよ」


放課後、迎えに来て下さったディーンの馬車に乗りながら、僕の頭の中はこの後訪問されるマリー様の事でいっぱいだった。

何言われるのかな…ミーシャに話したらお菓子とかお茶とかしっかりやってくれるよね!きっと…不安だなぁ

「エリィ、今日は何かあった?」

ディーンはすごいなぁ!でも、マリー様にディーンには内緒でって言われてしまったから言えない…

「ううん、なんでもないよ!それより、今日はお家でのお茶はできないんだ…ちょっと用事があって…ごめんねディーン」

送ってもらった後、毎回の様にディーンと僕はお茶会をしていた。毎回2種類ずつに分けられていて、お互いに食べさせあっている。

最初は、王太子殿下にあーんなんて、交換なんて失礼だと思って断ろうとしていたのに、「僕はエリィと一緒に食べられるなら気にしないし、4種類も食べられるからとっても効率よく沢山食べられるよ」とディーンから説明されて、甘いものが大好きな僕はその嬉しい提案に抗えなかった…今ではもう日常だ。

「エリィが用事って珍しいね…残念だな。じゃあその分、今のうちにエリィを堪能させてもらうね」

そういうと、ディーンは僕の腰を掴んで、向かい合わせになる様に抱き上げた。

「ディ、ディーン!この格好は恥ずかしい…」

「いつものハグだけじゃ、エリィを近くに感じるには今日は足りないんだ。許して、ね?」

いつもより強くぎゅっとハグをされて身体が甘く痺れた。ディーンの手があやす様に背中を撫でると、少しずつ力が抜けていく。

その手が、腰にまわり、グッとディーンの方に寄せられて体がより密着した。

「エリィ、いい匂い…」

ディーンの髪が僕の首筋に当たってくすぐったい。僕の方がいつも見上げてるのに、今はディーンのつむじが見える…ふふっ…ちょっと可愛いな。

そう思った僕は、ディーンの頭を撫でた。

「…エリィ、何してるの⁇」

「ディーン可愛いなって…あっごめんね!なかなかディーンの髪触るなんて出来ないから…」

手を離そうとすると、もっと撫でてというように頭を肩口にグリグリされた。ディーンの耳ちょっと赤い…⁇

家に着くまで、僕はディーンの髪を撫で続け、「かわいいのはエリィだよ…敵わないなぁ…」というディーンの独り言は僕の肩に吸い込まれていった。
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