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奥様はお仕置き中

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 もしかして。

 もしかして。

 この、私の服の中に入っているのは。

 レダの生まれ変わり?



 ーーこのまま軌道が変わらなかったら現れるよパオラの前に。きっとパオラが望むならーー



 モーラの言ってたのってコレ?うん。望んだ!そう。ずっと、ずっと望んでる。私はもう一度レダと会うことを!

 胸のぬくもりにドキドキする。

 レダ。レダなの?

 じっと服の中を覗くと中のユノ王子と目が合った。お父さんと同じ灰色に近い薄水色の目。私がじっと見つめるとユノ王子は「みゃあ。」とひと鳴きした。

「随分パオラのことが気に入ったようだ。正直、ユノの安全が確保できるまで世話をしてもらえたら助かる。報酬もちゃんと払う。」

「あ。報酬は出来ればこの宝石のありかが分かれば教えて欲しいです。これを探しに仲間とここに訪れたのです。」

 動揺しながら王様に腕輪の宝石を見せる。王様はしげしげとそれを観察した。

「マウニーが気に入りそうな宝石だな。後で聞いてみよう。」

「マウニー?」

「カラス族の男だ。光るものや宝石に目が無くてな。収集している。」

「あ、でも。この宝石は長くは触れられないのです。そこのところよろしくお願いします。」

「うむ。わかった。それも一緒に聞いてやろう。さて、ユノをパオラに任せるのはいいのだがパオラたちの世話をする者の選抜に悩む。今のところドルトしか安心できる者がいない。」

「王様の勘?」

「うむ。私の勘だ。そうだ。ドルトの番に頼もう。」

 良いことを思いついたと言わんばかりに王様が細長い筒に声をかけた、あの管、どこに繋がっているんだろう。不思議に思って筒を覗くと覗きやすいように王様が私をユノ王子ごと抱き上げてくれた。入り口がラッパの形に広がった筒の向こうは真っ暗だ。


「お呼びでしょうか。」

 暫くしてクロヒョウ頭のしなやかな美豹(?)が現れた。

「ラウラ。ユノが見つかったのは聞いたか?この者はパオラ。ユノを滝壺から救ってくれた恩人だ。ユノがパオラの服から出てこないのでしばらくパオラに世話をしてもらうことになった。」

「城外に出て行ったドルトの部下からユノ様の無事は聞きました。滝壺とは恐ろしい!それではユノ様は殺されかけたという事なのですね!?」

 駆け寄るラウラにユノ王子が見えるようにオーバーオールの胸当てを広げる。やっぱりラウラも指でユノ王子の耳の後ろをコショコショとくすぐった。ユノ王子もそれに身を捩るがやはりそこから出るという選択は無いようだった。

「パオラ様、ユノ様を救っていただいてありがとうございます。ユノ様はよほど貴方が気に入ったらしいですね。きっと怖い思いをされたのでしょう。」

「ラウラ、パオラとその仲間の面倒を見て欲しい。その警護も兼ねてな。」

「分かりました。フラ様のご信頼は裏切りません。北の屋敷を使用します。ユノ様が助かったとなれば次の動きがございましょう。」

「そうだな。早々にお願いする。そろそろ大臣たちが戻ってくるだろう。」

「承知しました。さ。パオラ様。こちらへ。」

 すんなりとラウラは私をユノ王子ごと腕に抱えて王の部屋をでた。--窓から。死ぬかと思った。

 まるで何も無かったように着地したラウラは見上げる私ににっこりと笑った。

「北の屋敷に向かったと城内の者に知られたくないのです。さ、急ぎましょう。ドルトが先についているはずですから。」

「それで合図するの?」

 ラウラがネックレスを口に着けた。どうやら笛らしい。

「はい。ドルトにだけ聞こえる笛です。今から向かうと合図します。」

「そっか。だったらリアムが引き寄せてくれると思うよ?」

「え?引き寄せるとは……。」

 私が言った意味が分からないラウラが不思議そうに笛を吹いた。多分、その合図でリアムが私を呼び寄せてくれるはずだ。私はラウラと離れないようにぎゅっと彼女に抱き着いた。
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