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全能の神は反省する
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「う、うわわわわわわあああああ!!嘘だああああ!!うさちゃん!今すぐ!今すぐ!鏡に映ってるものを消して!!」
リアムが半狂乱で叫ぶ。
「ダメだ!ダメダメダメダメ!!俺の大切なノーラが最古の竜人の番だなんて何かの間違いだ!!」
「!!私の番が何者か知っているのか!?」
「何者もクソも、俺の大事な妹だ!!パオラ、嘘だよね!?嘘だって言ってくれ!!なんでまたややこしい男がノーラの前に現れるんだよ!!」
「リアム……落ち着いて!私だってこんなことになるなんて分かってなかったし!」
「なあ。もしかして鏡に映ったのノーラ姫だったのか!?」
「うん……ばっちりそうだったね。」
「リアム殿の妹君であったか。」
「私の番が……みつか……った……。見つかった!!私の!番が!!私のーーーー!!」
リアムが興奮して頭を掻きむしり、ラウカーバンは涙を流してワンワンと感動していた。酷く混乱したその部屋が落ち着くのは数時間を要した。
「……では、私の番は今、石にされているのか。」
ノーラちゃんの事をラウカーバンに説明する。よほど番が見つかったのが嬉しいのかラウカーバンの顔は緩みっぱなしだったがノーラちゃんの話を聞いてからは眉間にしわが寄ったままになった。そりゃそうだろう。やっと見つかった番が今、石にされていてもう命が僅かだと聞いたのだから。
「私もノーラを戻すのに協力させてくれ!」
「煩い!勝手に呼び捨てにするな!俺は認めないぞ!お前、女の子に酷い扱いをしてレナ神に祟られたんだろ!そんな奴にノーラを会わせられるか!ノーラはなあ!天使なんだ!あんなに心優しい子なんていない!お前にもてあそばれるような事があってたまるか!」
「わ、私はもう十分反省したんだ!これからの生涯、番だけだ!それこそ祟られているんだから!分かるだろう!!」
「……なんか、あの二人、レナ神が祟ったとか普通に言ってるんだけど。」
「リアム殿は置いておいてもラウカーバン様が言ったと聞いてはレナ様はお怒りになるだろうな……。」
般若顔のレナ神が容易に思い浮かぶよ。
「レナ神、眠っててよかったな。」
「ウム。」
「まあまあ。リアム。ラウカーバン様にはご協力願おうよ。まずはノーラ姫が助からないと話にならないんだから。もーー。いつもの冷静さはどこ行っちゃったのさ。」
「それに、こんだけパオラが体張ったんだ。俺の目とエイデンの魔力、何とかなんのか?」
「ちっ。俺の許しなしにノーラに触れることは許さないからな!」
「み、認めてもらうよう努力する。」
リアムにしゅんとして言うラウカーバンだが、リアムだってお世辞にも女の子を大切に扱ってきたとは思えない。結構似た者同士のような気がする。まあ。ラウカーバンが協力してくれるのは願ってもないことだ。
「でもさ。結局ゼス神が復活しないと色々と解決しないよね……。」
レナ神はゼス神のこと愛してるけど離婚するつもりだったし、果たしてそんなのでゼス神に神力(ちち)を与えてくれるのだろうか?ましてやる気のないゼス神だ、もう人間になる!とか言い出したら面倒だ。世界が滅ぶ。やっぱり保険として冥界の王を誕生させてゼス神にやる気を戻させる。で、復活したゼス神にノーラちゃんとライリー達を戻してもらうというのが一番の方法かな。
「今日ってゼス神どうしてたっけ?」
「さあ……。甘いものは随分と食べつくしていらっしゃったからな。」
「早朝から出て行ったし、また覗きでもしてるかも。」
「まあ。どこかで女の人口説いててもおかしくはないよね。」
「「「「「……。」」」」」
「……きっとロクでもないな。」
最後の私の呟きに皆無言を貫いた。
ΘΘΘ
「パオラ~~~!パパだよ~~!」
屋敷に戻ると上機嫌のゼス神が部屋に飛び込んできた。手にはいっぱいの荷物。
「ど、どうしたの??」
「お土産だ!今日はちょっと遠出してきたんじゃ。ほら、これは海に近いところで買った真珠の首飾りだ。一番おっきいのにしといたからな!それから、これは海産物の干し物。美味いぞ~~!菓子は有名な街のおすすめだからな!3時間も待って手に入れたんじゃ!さ、一緒に食べよう!」
どさりとお土産の入った袋をテーブルに置いてゼス神が私を膝に乗せる。うはぁ。人間生活を楽しんでおられる……。
「あ、これ、美味しい!!」
もぐもぐと差し出された焼き菓子を摘まむとホロホロと口の中で溶けて行った。
「美味しいか!?」
「おいし~~い!!パパ、3時間も並んじゃったの!?」
「そうじゃよ?3時間もな!でも、旨いからな!」
焼き菓子は私の人生で一番と言っていいくらい美味しいものだった。これを元とは言え全能の神が3時間も並んで買ったなんて笑ってしまう。ニコニコと口の中の幸せを楽しんでいるとゼス神もニコニコとした。
「--今日はラウカーバンのところへ行ったのじゃろう?上手くいったのか?」
「うん。それがさぁ。番は見つかったんだけど、それがなんと、リアムの石にされた妹さんでね。もーリアムが発狂して大変だった。」
「そうか。しかし、神力を使ったのだろう。体に負担がかかった筈じゃ。今日は早く寝ることじゃな。明日はパパと一緒にお出かけじゃ。わし、色々コツも掴んできたからいいとこ連れて行ってやるぞ。」
「うん。楽しみ。」
「ベッドに運んでやろう。」
ちゅ。私をベッドに運んだゼス神は額にキスをしてくれた。
「なんか、急に眠くなってきた。」
「さあ、パパと寝よう。背中をトントンしてやるからな。」
「ふふ。なに、言ってるのパパ。」
最高神がトントンって。クスクスと笑いながらもやっぱり疲れていたみたいで、まどろんでいるうちに本格的に眠ってしまった。
「悪い夢は追い払ってやったからな。……心からパパって呼んでもらえる日は来るのかなぁ。パオラ。」
夢うつつ、そんな声が聞こえたような気がした。
リアムが半狂乱で叫ぶ。
「ダメだ!ダメダメダメダメ!!俺の大切なノーラが最古の竜人の番だなんて何かの間違いだ!!」
「!!私の番が何者か知っているのか!?」
「何者もクソも、俺の大事な妹だ!!パオラ、嘘だよね!?嘘だって言ってくれ!!なんでまたややこしい男がノーラの前に現れるんだよ!!」
「リアム……落ち着いて!私だってこんなことになるなんて分かってなかったし!」
「なあ。もしかして鏡に映ったのノーラ姫だったのか!?」
「うん……ばっちりそうだったね。」
「リアム殿の妹君であったか。」
「私の番が……みつか……った……。見つかった!!私の!番が!!私のーーーー!!」
リアムが興奮して頭を掻きむしり、ラウカーバンは涙を流してワンワンと感動していた。酷く混乱したその部屋が落ち着くのは数時間を要した。
「……では、私の番は今、石にされているのか。」
ノーラちゃんの事をラウカーバンに説明する。よほど番が見つかったのが嬉しいのかラウカーバンの顔は緩みっぱなしだったがノーラちゃんの話を聞いてからは眉間にしわが寄ったままになった。そりゃそうだろう。やっと見つかった番が今、石にされていてもう命が僅かだと聞いたのだから。
「私もノーラを戻すのに協力させてくれ!」
「煩い!勝手に呼び捨てにするな!俺は認めないぞ!お前、女の子に酷い扱いをしてレナ神に祟られたんだろ!そんな奴にノーラを会わせられるか!ノーラはなあ!天使なんだ!あんなに心優しい子なんていない!お前にもてあそばれるような事があってたまるか!」
「わ、私はもう十分反省したんだ!これからの生涯、番だけだ!それこそ祟られているんだから!分かるだろう!!」
「……なんか、あの二人、レナ神が祟ったとか普通に言ってるんだけど。」
「リアム殿は置いておいてもラウカーバン様が言ったと聞いてはレナ様はお怒りになるだろうな……。」
般若顔のレナ神が容易に思い浮かぶよ。
「レナ神、眠っててよかったな。」
「ウム。」
「まあまあ。リアム。ラウカーバン様にはご協力願おうよ。まずはノーラ姫が助からないと話にならないんだから。もーー。いつもの冷静さはどこ行っちゃったのさ。」
「それに、こんだけパオラが体張ったんだ。俺の目とエイデンの魔力、何とかなんのか?」
「ちっ。俺の許しなしにノーラに触れることは許さないからな!」
「み、認めてもらうよう努力する。」
リアムにしゅんとして言うラウカーバンだが、リアムだってお世辞にも女の子を大切に扱ってきたとは思えない。結構似た者同士のような気がする。まあ。ラウカーバンが協力してくれるのは願ってもないことだ。
「でもさ。結局ゼス神が復活しないと色々と解決しないよね……。」
レナ神はゼス神のこと愛してるけど離婚するつもりだったし、果たしてそんなのでゼス神に神力(ちち)を与えてくれるのだろうか?ましてやる気のないゼス神だ、もう人間になる!とか言い出したら面倒だ。世界が滅ぶ。やっぱり保険として冥界の王を誕生させてゼス神にやる気を戻させる。で、復活したゼス神にノーラちゃんとライリー達を戻してもらうというのが一番の方法かな。
「今日ってゼス神どうしてたっけ?」
「さあ……。甘いものは随分と食べつくしていらっしゃったからな。」
「早朝から出て行ったし、また覗きでもしてるかも。」
「まあ。どこかで女の人口説いててもおかしくはないよね。」
「「「「「……。」」」」」
「……きっとロクでもないな。」
最後の私の呟きに皆無言を貫いた。
ΘΘΘ
「パオラ~~~!パパだよ~~!」
屋敷に戻ると上機嫌のゼス神が部屋に飛び込んできた。手にはいっぱいの荷物。
「ど、どうしたの??」
「お土産だ!今日はちょっと遠出してきたんじゃ。ほら、これは海に近いところで買った真珠の首飾りだ。一番おっきいのにしといたからな!それから、これは海産物の干し物。美味いぞ~~!菓子は有名な街のおすすめだからな!3時間も待って手に入れたんじゃ!さ、一緒に食べよう!」
どさりとお土産の入った袋をテーブルに置いてゼス神が私を膝に乗せる。うはぁ。人間生活を楽しんでおられる……。
「あ、これ、美味しい!!」
もぐもぐと差し出された焼き菓子を摘まむとホロホロと口の中で溶けて行った。
「美味しいか!?」
「おいし~~い!!パパ、3時間も並んじゃったの!?」
「そうじゃよ?3時間もな!でも、旨いからな!」
焼き菓子は私の人生で一番と言っていいくらい美味しいものだった。これを元とは言え全能の神が3時間も並んで買ったなんて笑ってしまう。ニコニコと口の中の幸せを楽しんでいるとゼス神もニコニコとした。
「--今日はラウカーバンのところへ行ったのじゃろう?上手くいったのか?」
「うん。それがさぁ。番は見つかったんだけど、それがなんと、リアムの石にされた妹さんでね。もーリアムが発狂して大変だった。」
「そうか。しかし、神力を使ったのだろう。体に負担がかかった筈じゃ。今日は早く寝ることじゃな。明日はパパと一緒にお出かけじゃ。わし、色々コツも掴んできたからいいとこ連れて行ってやるぞ。」
「うん。楽しみ。」
「ベッドに運んでやろう。」
ちゅ。私をベッドに運んだゼス神は額にキスをしてくれた。
「なんか、急に眠くなってきた。」
「さあ、パパと寝よう。背中をトントンしてやるからな。」
「ふふ。なに、言ってるのパパ。」
最高神がトントンって。クスクスと笑いながらもやっぱり疲れていたみたいで、まどろんでいるうちに本格的に眠ってしまった。
「悪い夢は追い払ってやったからな。……心からパパって呼んでもらえる日は来るのかなぁ。パオラ。」
夢うつつ、そんな声が聞こえたような気がした。
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