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一章
はじまりの時
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「だっ、駄目っ」
女が身をよじる。だが多輝は女を抱き竦めて耳元に唇を寄せた。ウェーブのかかった髪が頬に当たってくすぐったい。多輝は目を細めて女の耳朶にキスをした。途端に女が腕の中で身体を震わせる。
廊下の角で多輝はとある女を抱きしめていた。遠くに他の生徒たちの声が聞こえている。授業前の一時に賑わう声だ。その声を聞きながら多輝は口許に嗤いを浮かべた。腕の中の女は変わらず駄目よ、と呟いている。
女は清陵高校に勤める二十代半ばの教師だ。左手の薬指にはエンゲージリングが嵌っている。自分の腕に絡んでくる女の細い指を見下ろし、多輝は舌を女の耳に差し入れた。ひっ、と声にならない声を発して女が身体を竦める。
「おれのこと、嫌いになった?」
多輝はそう囁きながら女教師の耳の中をちろりと舐めた。ファンデーションの塗られた頬に唇を寄せ、女のスカートの中に手を入れる。すると女の抱えていたテキストが音を立てて廊下に落ちた。
「だ、駄目よ、雨宮くん……っ」
女は苦痛を感じているかのように顔を歪め、吐息交じりに微かな悲鳴を上げた。多輝の手は女教師の制止を無視し、じわじわとストッキングを撫でている。女は掠れた声を発して多輝の腕の中で身体を固くした。
「駄目って、何が」
「だって……」
こんなところで、と微かな声で続けた女に多輝は小さく笑った。パンティストッキングの上から女の陰部を指でつつく。多輝に弄られた女は声を殺して腰を震わせた。赤いヒールがかつん、と音を立てる。
「……旦那が怒るから?」
多輝は笑いながら女の耳に息を吹きかけた。ストッキングを滑らせている指に湿り気が触れる。女の漏らす愛液をなぞり、多輝は肩を揺らせて笑った。小さな笑い声を聞いた女が泣きそうな顔になる。
「……や、やめて、お願い……こんなところで……」
掠れた声で言いながら、女は潤んだ眼差しで吐息をついた。多輝の愛撫に感じているのだ。多輝はくすくすと笑いながら女の身体を廊下の壁に圧し付けた。こちらを向いている女の尻を強めに撫でてから、その手をするりとスカートの中に戻す。
多輝と女がいるのは東側に建った校舎の最上階だった。特別教室の並ぶその廊下を教師も生徒も普段、使わない。特別教室を使用する授業がある時にだけ人通りがあるのだ。
多輝は女がやめてと言いながら自分を盛り上げていることを知っていた。尻を向けて声を殺して震えている女を見つめ、多輝は笑って告げる。
「なに言ってんだよ。こんなにぐしょぐしょにして」
女のストッキングをずらし、多輝は囁いた。壁に手をついた女が言葉に反応して呻く。下着もずらして尻を触ると、女は弾かれたように身体を揺らせた。掠れた声が廊下に響く。
窓からは学校の下を横切る高速道路の高架が見える。多輝は高速を流れる車を眺めながら女の尻の穴を撫でた。女が息を殺して壁にすがりつく。指先で尻の穴を撫でながら、多輝は女の髪に口づけをした。
「感じる? 気持ちいい? 学校でされるのって」
そう問い掛けると女はやめて、と苦しそうに呟いた。ふうん、と嗤いながら多輝は指を滑らせた。愛液の漏れる膣口を弄る。すると女はびくりと身体を震わせて多輝の名前を呼んだ。
「お……願い。私……もう、授業に……行かなくちゃ」
女が途切れ途切れにそう呟く。多輝は女の膣口を撫でながら小さく笑った。
「そんなの、どうでもいいじゃん。それより」
多輝は声もなく笑いながら女の膣に指をねじ込んだ。小さな悲鳴を上げた女の膣を指でゆっくりと突く。
「おれとの授業の方が大事だろ」
「やっ……!」
開いた足の間に愛液が溜まる。下着を汚しながら、女は多輝の愛撫に感じていた。多輝は女を弄りながら、自分の制服のズボンに手を伸ばした。ジッパーを下ろして勃起したペニスを引っ張り出す。
高速道路をカラフルな車の群れが流れていく。多輝はそれをぼんやりと眺めながら女の小陰唇にペニスを突っ込んだ。多輝に腰を支えられた女の足が宙に浮き、突かれるたびにゆらゆらと揺れる。
ふと、多輝は動きを止めて目を転じた。曲がった廊下の向こうから足音が聞こえてくる。眉を寄せた多輝の視界の端に、ブルーグレイの制服が入って来た。
見慣れない顔だ。廊下を曲がったところで足を止めた男子生徒を多輝は睨むように見た。掠れた声を上げている女を抱きしめて、強く膣の奥を突く。そうしながら多輝は立ち止まって黙っている男子生徒を睨みつけた。
「……んだよ。なに見てやがる。さっさと行けよ」
見せつけるように女に突き入れながら多輝はそう吐き出した。すると立ち止まっていた男子生徒が瞬きをした。優しい面立ちをした生徒だ。だが決して女顔ではない。整った顔に微笑を浮かべ、男子生徒は再び歩き出した。ためらいもなく多輝たちのいる方へと歩いてくる。
「なるほどね」
男子生徒は多輝の傍まで来てそう呟いた。その顔に浮かべられた微笑みを見た多輝は一瞬、女の存在を忘れそうになった。だがすぐに思い直して男子生徒を激しく睨む。すると男子生徒は何事もなかったかのように多輝の傍を通り過ぎた。
すれ違った瞬間、男子生徒の唇が微妙に歪んだ。嗤いを浮かべたのだ。それを知った多輝は思わず振り返った。だが男子生徒はすたすたと廊下を歩いて行く。やがて男子生徒の背中は小さくなり、廊下の向こうへと消えた。
「……雨宮……くん?」
女に呼びかけられ、多輝は我に返った。すっかりやる気が失せてしまった。多輝はため息をついて女から離れた。愛液の音を立ててペニスが抜ける。驚いた表情で女が振り返ったが、多輝は黙って男子生徒の消えた方を睨みつけていた。
私立清陵高等学校は毎年と同じように四月に新入生を迎えた。慌ただしい一週間が過ぎ、やがて新緑の季節が巡ってくる。その頃になると新入生たちの初々しさも学校の雰囲気に溶け込むようにして見えなくなる。
今年の一年生にすげえのがいるらしいぜ。今日も多輝は教室の隅でクラスメイトたちが騒いでいるのをぼんやりと聞いていた。ふとした瞬間に四月初旬にすれ違った男子生徒の顔が思い出されるのだ。その度に多輝は苛立ちを覚えていた。多輝は頭を振って思考を切り替えた。
吉良瀬斎姫。近頃、もっぱら話題にされる姫は、今日も多輝の周囲で騒がれている。多輝は欠伸をかみ殺して賑やかに話を続けるクラスメイトたちを眺めた。
吉良瀬の姫、と密かに呼ばれる斎姫は清陵高校の生徒たちの注目の的だ。斎姫自身がとんでもない美少女だということももちろんだが、姫と称される本当の理由は別にある。吉良瀬、という苗字がその原因なのだ。
吉良瀬財閥といえば知らぬ者がいないほどの大財閥だ。財力、権力はもちろんトップクラス。そして何より謎が多い財閥として有名なのだ。その苗字を持つ斎姫はどうやら吉良瀬財閥と無関係ではないらしい。そんな噂が流れ始めたのは斎姫が新入生として清陵高校に入ってからすぐだった。
焦ったのは教師陣だった。吉良瀬財閥に関係のある娘が入学してくるということで教師陣の間にはそれまでにないほどの緊張が走った。斎姫をどう扱えばいいのかがまず判らない。斎姫に配慮するべきだと他の生徒たちに注意が必要だろうか。それとも他の生徒たちと変わらない接し方でいいのだろうか。教師たちは散々、頭を悩ませた。
多輝はぼんやりと四月のことを思い出して苦笑した。すると横で騒いでいたクラスメイトの一人が多輝に顔を寄せてきた。
「雨宮あ。おまえ、姫に手を出すなよっ」
「誰がだ」
多輝が呆れた顔で返すと、クラスメイトは顔をしかめて首を横に振った。やれやれ、とため息をついている。多輝は訝りに眉を寄せてその男子生徒を睨んだ。
「おまえの手の早さは有名なんだよっ。こないだも三組の春日さんに手を出したろうっ」
言われた多輝は天井を仰いで春日という女子生徒の顔を思い浮かべた。小柄で華奢な身体の感触を思い出す。そしてため息をついて文句をつけてきたクラスメイトに向き直った。
「あれはもう終わった」
「うわっ、早っ! 信じらんねっ!」
喚いたクラスメイトの顔が引きつっていてるのを肘杖をついて眺める。多輝は薄笑いを浮かべて顎をしゃくった。
「惚れてるんならとっとと付き合ったら? そしたらおれがまたかっさらってやるから」
嗤いながら告げると、クラスメイトは引きつって息を飲んだ。けっ、という声を残して多輝から離れていく。多輝はばーか、と心の中で呟いて窓の方を向いた。
多輝はその悪癖では有名だった。男のいる女子生徒を選んでは横から奪っていく。なまじ多輝の容姿が整っているだけに多くの男子生徒が泣きを見てきたのだ。そしてさらに悪いことに、多輝はひとたび手に入れた女子生徒をあっさりと放り出してしまうのだ。多輝にぶち壊されたカップルは数知れずという、誇張ではない噂が校内に出回っている。
だがそんな多輝も噂の姫には手を出していない。人のものを横取りするのを趣味としている多輝にとって、斎姫そのものには興味がないのだ。どんなに有名な財閥に関係していようが、他に類を見ないほどの美少女であろうが、そんなことはどうでもいい。多輝は窓の外の景色を眺めながら斎姫のことを思い出した。
おれ、きょーみねえし。いつか誰かに言った言葉を思い出す。多輝は空を横切るつばめを目で追った。写真でしか見たことのなかった斎姫が目の前に現れた。だがやっぱり興味は抱けない。
だがそんな多輝の考えはある日、ひっくり返る。
女が身をよじる。だが多輝は女を抱き竦めて耳元に唇を寄せた。ウェーブのかかった髪が頬に当たってくすぐったい。多輝は目を細めて女の耳朶にキスをした。途端に女が腕の中で身体を震わせる。
廊下の角で多輝はとある女を抱きしめていた。遠くに他の生徒たちの声が聞こえている。授業前の一時に賑わう声だ。その声を聞きながら多輝は口許に嗤いを浮かべた。腕の中の女は変わらず駄目よ、と呟いている。
女は清陵高校に勤める二十代半ばの教師だ。左手の薬指にはエンゲージリングが嵌っている。自分の腕に絡んでくる女の細い指を見下ろし、多輝は舌を女の耳に差し入れた。ひっ、と声にならない声を発して女が身体を竦める。
「おれのこと、嫌いになった?」
多輝はそう囁きながら女教師の耳の中をちろりと舐めた。ファンデーションの塗られた頬に唇を寄せ、女のスカートの中に手を入れる。すると女の抱えていたテキストが音を立てて廊下に落ちた。
「だ、駄目よ、雨宮くん……っ」
女は苦痛を感じているかのように顔を歪め、吐息交じりに微かな悲鳴を上げた。多輝の手は女教師の制止を無視し、じわじわとストッキングを撫でている。女は掠れた声を発して多輝の腕の中で身体を固くした。
「駄目って、何が」
「だって……」
こんなところで、と微かな声で続けた女に多輝は小さく笑った。パンティストッキングの上から女の陰部を指でつつく。多輝に弄られた女は声を殺して腰を震わせた。赤いヒールがかつん、と音を立てる。
「……旦那が怒るから?」
多輝は笑いながら女の耳に息を吹きかけた。ストッキングを滑らせている指に湿り気が触れる。女の漏らす愛液をなぞり、多輝は肩を揺らせて笑った。小さな笑い声を聞いた女が泣きそうな顔になる。
「……や、やめて、お願い……こんなところで……」
掠れた声で言いながら、女は潤んだ眼差しで吐息をついた。多輝の愛撫に感じているのだ。多輝はくすくすと笑いながら女の身体を廊下の壁に圧し付けた。こちらを向いている女の尻を強めに撫でてから、その手をするりとスカートの中に戻す。
多輝と女がいるのは東側に建った校舎の最上階だった。特別教室の並ぶその廊下を教師も生徒も普段、使わない。特別教室を使用する授業がある時にだけ人通りがあるのだ。
多輝は女がやめてと言いながら自分を盛り上げていることを知っていた。尻を向けて声を殺して震えている女を見つめ、多輝は笑って告げる。
「なに言ってんだよ。こんなにぐしょぐしょにして」
女のストッキングをずらし、多輝は囁いた。壁に手をついた女が言葉に反応して呻く。下着もずらして尻を触ると、女は弾かれたように身体を揺らせた。掠れた声が廊下に響く。
窓からは学校の下を横切る高速道路の高架が見える。多輝は高速を流れる車を眺めながら女の尻の穴を撫でた。女が息を殺して壁にすがりつく。指先で尻の穴を撫でながら、多輝は女の髪に口づけをした。
「感じる? 気持ちいい? 学校でされるのって」
そう問い掛けると女はやめて、と苦しそうに呟いた。ふうん、と嗤いながら多輝は指を滑らせた。愛液の漏れる膣口を弄る。すると女はびくりと身体を震わせて多輝の名前を呼んだ。
「お……願い。私……もう、授業に……行かなくちゃ」
女が途切れ途切れにそう呟く。多輝は女の膣口を撫でながら小さく笑った。
「そんなの、どうでもいいじゃん。それより」
多輝は声もなく笑いながら女の膣に指をねじ込んだ。小さな悲鳴を上げた女の膣を指でゆっくりと突く。
「おれとの授業の方が大事だろ」
「やっ……!」
開いた足の間に愛液が溜まる。下着を汚しながら、女は多輝の愛撫に感じていた。多輝は女を弄りながら、自分の制服のズボンに手を伸ばした。ジッパーを下ろして勃起したペニスを引っ張り出す。
高速道路をカラフルな車の群れが流れていく。多輝はそれをぼんやりと眺めながら女の小陰唇にペニスを突っ込んだ。多輝に腰を支えられた女の足が宙に浮き、突かれるたびにゆらゆらと揺れる。
ふと、多輝は動きを止めて目を転じた。曲がった廊下の向こうから足音が聞こえてくる。眉を寄せた多輝の視界の端に、ブルーグレイの制服が入って来た。
見慣れない顔だ。廊下を曲がったところで足を止めた男子生徒を多輝は睨むように見た。掠れた声を上げている女を抱きしめて、強く膣の奥を突く。そうしながら多輝は立ち止まって黙っている男子生徒を睨みつけた。
「……んだよ。なに見てやがる。さっさと行けよ」
見せつけるように女に突き入れながら多輝はそう吐き出した。すると立ち止まっていた男子生徒が瞬きをした。優しい面立ちをした生徒だ。だが決して女顔ではない。整った顔に微笑を浮かべ、男子生徒は再び歩き出した。ためらいもなく多輝たちのいる方へと歩いてくる。
「なるほどね」
男子生徒は多輝の傍まで来てそう呟いた。その顔に浮かべられた微笑みを見た多輝は一瞬、女の存在を忘れそうになった。だがすぐに思い直して男子生徒を激しく睨む。すると男子生徒は何事もなかったかのように多輝の傍を通り過ぎた。
すれ違った瞬間、男子生徒の唇が微妙に歪んだ。嗤いを浮かべたのだ。それを知った多輝は思わず振り返った。だが男子生徒はすたすたと廊下を歩いて行く。やがて男子生徒の背中は小さくなり、廊下の向こうへと消えた。
「……雨宮……くん?」
女に呼びかけられ、多輝は我に返った。すっかりやる気が失せてしまった。多輝はため息をついて女から離れた。愛液の音を立ててペニスが抜ける。驚いた表情で女が振り返ったが、多輝は黙って男子生徒の消えた方を睨みつけていた。
私立清陵高等学校は毎年と同じように四月に新入生を迎えた。慌ただしい一週間が過ぎ、やがて新緑の季節が巡ってくる。その頃になると新入生たちの初々しさも学校の雰囲気に溶け込むようにして見えなくなる。
今年の一年生にすげえのがいるらしいぜ。今日も多輝は教室の隅でクラスメイトたちが騒いでいるのをぼんやりと聞いていた。ふとした瞬間に四月初旬にすれ違った男子生徒の顔が思い出されるのだ。その度に多輝は苛立ちを覚えていた。多輝は頭を振って思考を切り替えた。
吉良瀬斎姫。近頃、もっぱら話題にされる姫は、今日も多輝の周囲で騒がれている。多輝は欠伸をかみ殺して賑やかに話を続けるクラスメイトたちを眺めた。
吉良瀬の姫、と密かに呼ばれる斎姫は清陵高校の生徒たちの注目の的だ。斎姫自身がとんでもない美少女だということももちろんだが、姫と称される本当の理由は別にある。吉良瀬、という苗字がその原因なのだ。
吉良瀬財閥といえば知らぬ者がいないほどの大財閥だ。財力、権力はもちろんトップクラス。そして何より謎が多い財閥として有名なのだ。その苗字を持つ斎姫はどうやら吉良瀬財閥と無関係ではないらしい。そんな噂が流れ始めたのは斎姫が新入生として清陵高校に入ってからすぐだった。
焦ったのは教師陣だった。吉良瀬財閥に関係のある娘が入学してくるということで教師陣の間にはそれまでにないほどの緊張が走った。斎姫をどう扱えばいいのかがまず判らない。斎姫に配慮するべきだと他の生徒たちに注意が必要だろうか。それとも他の生徒たちと変わらない接し方でいいのだろうか。教師たちは散々、頭を悩ませた。
多輝はぼんやりと四月のことを思い出して苦笑した。すると横で騒いでいたクラスメイトの一人が多輝に顔を寄せてきた。
「雨宮あ。おまえ、姫に手を出すなよっ」
「誰がだ」
多輝が呆れた顔で返すと、クラスメイトは顔をしかめて首を横に振った。やれやれ、とため息をついている。多輝は訝りに眉を寄せてその男子生徒を睨んだ。
「おまえの手の早さは有名なんだよっ。こないだも三組の春日さんに手を出したろうっ」
言われた多輝は天井を仰いで春日という女子生徒の顔を思い浮かべた。小柄で華奢な身体の感触を思い出す。そしてため息をついて文句をつけてきたクラスメイトに向き直った。
「あれはもう終わった」
「うわっ、早っ! 信じらんねっ!」
喚いたクラスメイトの顔が引きつっていてるのを肘杖をついて眺める。多輝は薄笑いを浮かべて顎をしゃくった。
「惚れてるんならとっとと付き合ったら? そしたらおれがまたかっさらってやるから」
嗤いながら告げると、クラスメイトは引きつって息を飲んだ。けっ、という声を残して多輝から離れていく。多輝はばーか、と心の中で呟いて窓の方を向いた。
多輝はその悪癖では有名だった。男のいる女子生徒を選んでは横から奪っていく。なまじ多輝の容姿が整っているだけに多くの男子生徒が泣きを見てきたのだ。そしてさらに悪いことに、多輝はひとたび手に入れた女子生徒をあっさりと放り出してしまうのだ。多輝にぶち壊されたカップルは数知れずという、誇張ではない噂が校内に出回っている。
だがそんな多輝も噂の姫には手を出していない。人のものを横取りするのを趣味としている多輝にとって、斎姫そのものには興味がないのだ。どんなに有名な財閥に関係していようが、他に類を見ないほどの美少女であろうが、そんなことはどうでもいい。多輝は窓の外の景色を眺めながら斎姫のことを思い出した。
おれ、きょーみねえし。いつか誰かに言った言葉を思い出す。多輝は空を横切るつばめを目で追った。写真でしか見たことのなかった斎姫が目の前に現れた。だがやっぱり興味は抱けない。
だがそんな多輝の考えはある日、ひっくり返る。
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