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コンビニにて
しおりを挟む願いが通じたか否かは定かではないが、行く手に一筋の光明が見えた。そこは一軒のコンビニ。そう、その存在を私は忘れていた。そこにはトイレがある。自然と私は、足早になって行った。
コンビニにかなり近づいた時、ふと手に持つ花束の存在に気づく。
「待てよ。これを抱えたまま、いきなり店のトイレへ駆け込むのは、あまりにも目立ちすぎる……」
体裁を気にする場合ではなかったが、花束を持ったままトイレに駆け込むのは、やはりためらわれた。
「あ、いい具合に街路樹がある…」
車道との境目。大振りな樹木が植えられていた。その街路樹の下、ガードレール支柱に寄り掛かるように、そっと花束を置く。
ひとり残されて待つ花束に見送られ、私はコンビニへと駆け込んだ……
五分が経過していた。
事は、つつがなく果たされた。この安堵感、清々しさは、どこからくるのだろう。
爽やかに店を出た私は、花束のことを思いだしていた。
「ん? あの人は誰……」
街路樹の下。お婆さんが一人、車道に向かい手を合わせていた。そっと背後に回ってみる。老女は何かを呟いていた。
「南無阿弥陀仏……可哀想にのぅ。車が多いから、ここは」
祈る老女の先に、ガードレールを背にした花束があった。
紛れもなくそれは、私が置いたものだ。
「そういえばもう、お盆も近いな……」
少しだけ暑さが和らいだような気がした。
腹具合のスッキリ感が、そう思わせたのだろうか。それはあたかも、法事で祈祷・献花を終えたような、そんな清々しさだった。
そして私は、そっとその場を後にした。
ー終ー
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