推測と仮眠と

六弥太オロア

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  「鳴」を取る一人

26.

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あとに残ったは三人。
参道を後ろへ、とって返す過程。

地下へ入って行った、鐘搗深記子かねつきみきこと円山梅内を見送って。
杵屋依杏きねやいあたちは、歩き始めた。

「さて。どれもこれも、当てはまらなかった。うん」

杝寧唯もくめねい

深記子みきこさんと円山まるやまさん? どっちも怪しいってことは。じゃあ不正アクセスは、逆によかった?」

「どう考えても駄目でしょ」

と依杏。

「円山さんが云うには、不正アクセスで。数登すとうさんの地下入室後データそのほか、消されたかもしれないって。慈満寺に不利な影響がある感じにしたかった……? あ」

後、どころか数登は地下におらず。

寧唯。

「うん。何らかで影響したかったんは。その後釆原さんが怪しいと指摘した、二人ふたりだとしたら。逆にどうよ」

「どうよって言われても……」

「今日慈満寺でする、恋愛成就キャンペーンに乗じて。地下で~って、大騒ぎしているだけかも、しれないけれどさ。散々、釆原うねはらさんと円山さんが云い合った意見、結局。アクセスの理由には薄かったんでしょう? だったらさあ。むしろ監視カメラを、円山さん以外が更に、張っていたとかいう、考え」

「逆説が多すぎ」

釆原凰介うねはらおうすけ

「地下入口の不正アクセスは、慈満寺じみつじ内部を経由して。とかっていたもんな」

「グッド。で、寺経由をえて不正って言います? ちょっと変だと思いません?」

釆原。

「確かに」

「さすが」

「ただ、経由がどうあれ。実際にアクセス出来る者は限られているよ、とか言われたりな」

「まあ、返答としてはそうかも」

寧唯ねい

依杏。

「誰かが監視カメラを張って、地下入口を見ていた?」

「釆原さんは、二人が怪しいと。だったら、地下入口の動きを見ていた誰かが居ても、違和感は薄い」

「地下で人が死んじゃったのが」

と依杏。

「始まりだよね。手掛かりって、結局ここまでで見つかってる?」

「いや、全然」

釆原と寧唯は、同時に言った。

「俺は、とりあえず珊牙さんがにファイルを渡したいし」

確かに、それはそれ。
方向、数登すとうさんへ渡す物。






今の状況で考えて、数登珊牙すとうさんがとやら。
彼は勝手に、恋愛成就キャンペーン時間外で、梵鐘ぼんしょうを鳴らす行動に
そして地下入口には、不正アクセスもあった。
慈満寺では、計二回。人が死んでいる。
さて。今の場合は?

「とりあえず、数登さんは怪しくない人ですか」

と依杏は、釆原へ尋ねてみたり。

「慈満寺を調べたいと云っている、その御当人が怪しかったら。すぐ話が終わってしまう」

「ですよね」

「釆原さんの説で考えたらさ。やっぱり、慈満寺じみつじ関係の人たちは。疑わなくっちゃ」

と寧唯。

「慈満寺の人たちが、怪しいと思って疑う結果を? 私たちは逆を取る。そう考えた場合、監視カメラはむしろ。変なアクセスにより保護された。とかね」

依杏。

「円山さんは、地下入口を閉じたがっていたり」

「実際、閉じます連発してたからね。それは、私も確かに一理あると思う」

と寧唯。

「結局。人が死んだのは地下で、だから」

「わかんなくなって来た。すると、誰が怪しい?」

「一回、頭を冷やせば?」

と釆原。

「とりあえず。珊牙に連絡入れてみるから。敷石以外は大丈夫だろう。恐らく」






参道で来る道。
ところどころ、積まれたものが多く。

今の場合、敷石ではない。
山門近くで、一つ一つ。
段々と積まれた結構な石と違う。
慈満寺じみつじ境内けいだいで使うために、取り置き状態であろう、石。

無造作に置かれており。
依杏は足首に違和感だったので、座る。

釆原の電話を待っている間、座ってファイルを開く。

西梅枝さいかちっていう名前だが」

寧唯が、捲りだす。

「円山さん本人も、西梅枝さいかちとかの名前出す感じだった。御当人IT専門でなくても、セキュリティにぐいぐい携わったのは、本当らしい。でも数登さんのは全然、動きがIT流っぽくない」

「勝手に梵鐘ぼんしょうを鳴らすとか。肉体系ってこと?」

「そう。ハイテク系が薄まる」

「片方IT。片方、力まかせ」

「調査のため?」

「あれで調査なんだろうか……」

「すると郁伽いくか先輩。先輩も一緒に居ますって、数登すとうさん。彼にいてみて何かわかるかも」

「そういえば」

と依杏。

「【かねが鳴って人が死ぬ】だっけ。入屋高校の噂」

「ぐいぐい来るね」

「円山さんみたいに言う」

「でも今の場合、結果。人は死んでないよね?」

「だったら。もっと大騒ぎになってる」

依杏と寧唯。
ファイルを見る眼。
ぐっと力が入る。

「やっぱり西梅枝っていう人。専門は考古学だから、ITとは程遠い」

陸奥谷むつだに大学自体は、IT強くても。理系と文系。慈満寺じみつじはすると、専門外にセキュリティを頼んだ。ううん……」

と依杏。

「ますます、慈満寺内部は怪しい……?」

依杏が一番気になるのは、今の状況。
鐘が鳴って後、人が死んだ様子がない。
というほうだった。
   
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