ユニークシリーズ

サカナ丸

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ユニーク:魔法刺激部の悲劇な喜劇

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 リコッタ・シャウルスは史上最強で最低な天使である。
 天使のように可愛い――などという表現があるが、そんな比喩表現ではなく正真正銘、本当に天界に住まう天使である。
 しかしリコッタは、気に食わない他の天使を竜巻魔法で吹き飛ばしたり雷魔法で骨抜きにしたり、そのあまりの傍若無人っぷりのせいで神の手で天界を追い出され、強力な魔法で異世界へ飛ばされてしまったのだ。
 その際に魔力の一部を吸収し、リコッタの魔力は絶大にアップした。そのせいでさらに調子に乗り、異世界を征服していた魔王を撃滅して世界を乗っ取り、全世帯で必ず猫を一匹飼わなければならない法律を作った。
 しかしその様子を見た異世界の勇者――特に役に立たなかったが――は、強力すぎるリコッタを封じるため、魔法騎士団の力で魔界へ追放した。ちなみに勇者は、魔王に対してこの作戦を遂行しなかったことを後になって後悔した。
 そして案の定、リコッタは魔法騎士団の力すらも吸収し、さらに強くなって魔界へ降り立つ。
 そこで今度は下界へ侵攻しようと企んでいた魔物軍団と対峙する。急にやってきた部外者であるリコッタに激怒した魔物軍団は全勢力でリコッタを仕留めようとするが、その全てを蹴散らし、魔物軍団が企んでいた下界制圧作戦を未然に防いだ。そして魔物軍団を倒したことによって無数の魔力を吸収し、さらに底なしの強さを得た。
 そして、魔物軍団が用意していた下界への入口を見つけたリコッタは、興味本位で飛び込むことに。
「この下界も征服して、猫だらけの世界にしてやる」
 などと凶悪な欲望を全開させるも、この下界には別世界と一つだけ大きな違いがあった。
 そう、下界には魔力という概念がなかったのである。
 それどころか、そもそも魔物も存在せず人間も自力で魔法を使用できないのである。代わりに携帯や車なるものが発達した化学に秀でたノルヴェジア大陸という場所だと分かった。
 現代科学ににっちもさっちも行かなくなったリコッタはてんやわんやの大パニック。そこに目を付けた神は、これ幸いと試練を与えた。
「リコッタ・シャウルス、貴様は天界の恥さらしだ。罰として下界で学校生活を送り、まともな性格になってから戻りなさい。入学手続きは済ませたから安心しなさい。あと、ネットカフェなるものに住んではいかん。あそこは娯楽が多すぎて楽しすぎると噂だ。だから寮に住むがいい」
「嫌だ」
 神にそんなことを言われたリコッタだが、残念ながらその捻くれぶりは一筋縄ではいかない筋金入りだった。
 私立ロックフォール学園の一年生として学生生活がスタートしたわけだが、案の定うまくいかない。
 何を隠そう、リコッタは社交性、協調性、コミュニケーション能力が皆無なのである。
 机に突っ伏して一日を終えることは常時、体育の授業で二人一組になれないこと万事、掃除が終わっても一人だけ椅子を下ろしてくれないこと日常茶飯事。調子に乗れそうなときだけ強気になる性格のせいで周囲は避けていた。
 だが、幸か不幸かリコッタはある発見をする。腕につけて魔法カードを装填すれば、いつでもどこでも気に食わない相手を吹き飛ばせるカードリダーなる道具が女子高生の間で流行していたのだ。
 この世界に魔法はないのであくまで疑似魔法だが、体内の精神力や生命力を感知して威力が変化するため、リコッタが使うカードリダーの魔法は絶大な威力を誇った。
 リコッタは魔力を精神力や生命力に変換する特殊能力も有している。この程度の機械などサルに対するバナナのようなもの、カニに対するカキのようなものだ。
 そして、リコッタは兼ねてより気に食わなかったホウキ部のエリート部長にちょっかい――もとい悪戯――もとい嫌がらせ、いや悪質な攻撃を仕掛けた。
 こうして無事にエリートを敵に回したリコッタは、順調に学校全体からの評価を下げていく。ただでさえ低い評価は奈落のように落ち、寂しさに限界を感じたリコッタは自ら部活を作り上げた。
 それが今回の問題となる、魔法刺激部である。
 そして入学から一年。リコッタの傍若無人っぷりにはさらなる拍車がかかっていた。

 爪研ぎとは何か、猫が己の爪を研ぐ行為である。
 猫研ぎとは何か、しかしその言葉を知る者はいない。
「違う。それじゃまるで、爪研ぎじゃなくて猫研ぎだ! 猫研ぎをするな! 爪研ぎをしろ!」
 この注文が多い人間の名はリコッタ・シャウルス。十七歳、高校二年生、セーラー服。青髪のツインテールの上には大きな魔女帽子が鎮座し、指をさして怒鳴り散らしている。
 通称、廃部の女王と呼ばれ密かにバカにされていて、触れただけで食材を爆発させるほど壊滅的に料理下手であること以外は、至って普通の女子高生である。世間一般的には、概ね普通である。
 その異名、それは”笑止大好きクズ女子高生”
「だって、猫の日常を再現しろってリコッタさんが言うから、猫の生霊を憑依させてるんですよ」
 さんざん注文を押し付けた挙句ことごとく否定され、必死で雌豹のポーズを披露していた彼女の努力は徒労に終わった。
 その注文に振り回されているのは、赤髪ボブヘアーの二年生女子、クロミエ・ラクレットである。ちなみにボブヘアーというのは髪型のことだが、クロミエにはボブという名前の親戚がいる。
 その異名、それは”天の声を聞くことにおいては右に出る者はいない、ゆるふわ少女”
 さて、そもそもなぜ一人が猫のモノマネを要求し、なぜ一人が猫研ぎに興じているのか、事の発端は二人が出会った数分前へ遡る。
 半魚人との友情。
 天の声との愉快なトーク。
 曲者揃いの部活対決。
 指と指が交わるルール無用の絶望デスマッチ。
 膝と膝が唸り拳とハサミと紙が激突する壮絶なデスマッチ。
 血を血で塗りつぶす、ジーパンとペペロンチーノが交差し生魚が炸裂する過激なデスマッチ。
 チョイ悪親父がソロバン玉を高速で弾く悪夢の地獄絵図デスマッチ。
 総入れ歯のハムスターVS総虫歯の金魚が如き熾烈なデスマッチ。
 喋るホウキや、誰もルールを決められない完全ノープランの超絶デスマッチ。
 背中のボタンをいかにして押してやるか悩む過酷なデスマッチ。
 後に様々なデスマッチが待ち受けているわけだが、彼女たちはまだ知らない。

 ここは日本の某県に建つ私立ロックフォール学園。
 世界でも有数だったりなかったりする中途半端な偏差値を誇る女子校である。
 ここは部室。部活動の名前は魔法刺激部。机とイスのセットは一つのみ。残念ながら部員は部長のリコッタただ一人。だが教師すらも忘れているため廃部にはなっていない。
 そもそも、この部活自体が謎である。その活動内容を知るものは誰もいない。教師もほったらかしの無法地帯で、無法地帯部などとも呼ばれている。
 そんな荒唐無稽な部活に入りたがるモノ好きな人物とは、いったい何者なのだろうか。
「失礼しまーす」
 そう言って扉を開いたのは、数分後に猫研ぎなるものを披露するクロミエだ。
「おいおい、まさか貴様が新しい部員か?」
 リコッタがそう言うと、クロミエは目を丸くした。
「は、はい。クロミエ・ラクレットです」
「ふっ、面白そうなのが現れたな」
「アライグマですか?」
「洗われたんじゃない、現れたんだ」
「どんなアライグマだと思いました?」
「毛並みが良くて可愛いやつをな。いやアライグマは関係ない。それで、なんの要件だ?」
「え、あの、部活に入りたくて来たんですけど」
「愚か者! 軽率に目的を喋っちゃダメだ!」
 リコッタがツインテールを逆立てて謎の激怒。リコッタは基本的に情緒が不安定である。ちなみにベーコンエピを投げつけると落ちつく。
「え、えー……」
 そんなやりとりを数回繰り返した後、ようやく話が進んだ。
「それじゃ、まずは具体的な自己紹介だ」
「は、はい! クロミエ・ラクレットです! 時々ですが私には天の声が聞こえます!」
「て、天の声?」
「はい! 天の声です!」
 しばしの沈黙。
 リコッタの脳内で状況が整理しきれないままクロミエが話を進める。
「どういうことだ」
「あー、じゃあ実際にやります?」
「やるって、何をだ?」
 クロミエはゆっくり目を閉じ、天の声を聞くため集中モードに入った。
 そして開眼。
「ハイィィィ!」
『――クロミエは強く目を開いた。力強い意思が込められた相貌にリコッタは気圧され、こいつはとんでもないやつが来たな。と思った』
「聞こえましたよ」
「な、なにも言ってないぞ」
「こいつはとんでもないやつが来たな。って思いましたね!」
「なっ――」
 リコッタは図星を貫かれ、半歩仰け反る。
「ふふーん、どうですか私の力」
「それは魔法か?」
「いいえ、私の体質です」
「面白いな。だが天の声とやらと勝手に会話するな。私には聞こえないんだぞ」
「あーごめんなさい。天の声とは長い付き合いなんで、つい癖で」
『クロミエはペロっと舌を出し、頭をコツンと小突く。実に可愛らしい仕草である。いいね。いいよいいよ』
「あ、いま天の声に褒められちゃった」
「おい急に会話するな」
『リコッタは友達がいない人生を送っていたせいか、友達がいる人間を非常に妬ましく感じてしまうのだ』
「あーごめんなさい、妬ましいんですね」
「笑止! 妬ましくなんかないぞ!」
『などと虚勢を張る姿勢だが、内心では妬ましく思っている』
「あーやっぱり妬ましいんですね」
「やめろ! その天の声との通信を切れ!」
「はーい」
 クロミエが集中を解いたことにより、天の声との通信が切れた。
「ま、だがそこそこ気に入ったぞ! シロミエとやら」
 面白いからセーフ。それが単純頭脳なリコッタのポリシーだ。
「クロミエです!」
「よーし、とりあえず貴様のカードリダーを見せろ」
 カードリダーとはなにか。
 この化学が発達した世界では、魔法は全て機械で発動する。左腕に取り付けたカードリダーに魔法カードを装填して呪文を唱えることで発動でき、その威力は精神力や生命力に左右される。
 同じ魔法カードは暴発などの安全面を考慮し、しばらく間をおかないと連続で使用できない。
 カードリダーは白と水色を基調としたデザインで、近頃の女子高生の間で大人気なのだ。
 ちなみに魔法カードはスーパーなどで売っている。カードが余ったらお友達と交換して気に食わないやつを魔法でぶっ飛ばそう! が宣伝文句である。
「ほう、ちゃんと整備しているな」
「はい!」
「悪くない」
 クロミエは自分のカードリダーを大層気に入り、お風呂も一緒で寝る時は添い寝でいつも磨いている。だからカードリダーを大切にする人間には感心するのだ。
「ではクロミエ、まず聞こう。この魔法刺激部の評判を知っているか」
 腕を組み、さっそく質問をぶつけるリコッタ。評判が悪いことは承知のうえだが、リコッタの着眼点は違った。
「え、ここって孤独悲壮感部じゃないんですか?」
「ぜんぜん違うだろ。魔法刺激部だ」
 どこをどうしたらそういう勘違いをするのか。だが九割は似たようなものなので間違いというわけでもない。
「たしか、孤独な生徒が日々涙と憎しみを抱えながら膝を抱える様子を記録する部活とか」
「なにそれ、ぜんぜん違う」
「例えるなら、捨てられた子猫の気持ちを理解して共感する部活ですか」
「どういう例えだそれ」
「じゃあどういったことに膝を抱えるんですか?」
「膝は抱えない。この魔法刺激部は、色々な魔法を駆使し、研究したりしなかったりする部活なのだ」
 こう言っているが、これは嘘だ。実は寂しくて膝を抱えたことは幾度となくあった。
「なるほど。色々な魔法の力で膝を抱えるんですね」
「膝は抱えない。クロミエとやら、貴様はその活動を知らんようだが、どうして入部するつもりなんだ」
 質問をされた直後、クロミエの悲壮感がマックスになった。
「実はですね。私は友達がぜんぜんいなくて……こんな寂れた、いや錆びれた部活なら同士がいると思ったんです」
「私のことバカにしてないか?」
 リコッタは半ギレ。この状態ならベーコンエピじゃなくてエピの部分だけでも浄化できる。
「とんでもないです! 孤独に耐えることなら右に出るものはいないと思って尊敬してるんです!」
「やっぱりバカにしてるな」
「してないです! だって膝を抱えることに関しては右に出るものはいないですよね? 私に膝抱えの極意を伝授してほしいんです!」
「膝は抱えないし極意もない。貴様、尊敬だの伝授だの言ってるが、部活の名前まで知らなかったではないか」
「部活のことは知らないですけど、リコッタさんの悪評はいい感じに轟いているので」
「貴様! やっぱりバカにしているな!」
 リコッタの頭から湯気が噴き出す。だがクロミエは別にバカになどしていない。エリートに喧嘩を売るような魔法刺激部の悪評を知っている身からすればそういう感想が出るのは普通だ。
「私はな、本気で魔法で頂点に上り詰めたいんだ! その辺にいる連中なんかと違ってな。授業で習わなかったり習ったりする魔法も極めれば、もっと人生が楽しくなるはずなんだ!」
 両手を広げて力説するリコッタに、クロミエは小さな拍手を送る。
「なんか、すごい力説してる!」
「そりゃ密かに膝を抱える寸前まで陥ったことは多々あった。でもな、魔法に対する情熱と部活への執念は本物だ!」
「やっぱりあったんですね。奥義膝抱え」
「奥義って言うな。というか抱えてない、寸前で思いとどまったんだ。膝を抱えたのは八割だけだ」
「必殺八割膝抱え?」
「必殺って言うな」
「膝がどうのこうのって話がごちゃごちゃになったから要約しますと、私は寂しさ表現を尊敬していただけで、別に部活の内容を把握しているわけではないんです。評判が悪魔級にすこぶる悪いことは知ってますけど、入部の理由は寂しさを分かち合える同士を見つけるためです」
 分かりやすく纏めてるが、けっこう酷い言い方である。
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