召喚勇者の俺が剣聖かラスボスを敵に回した時の生還法を述べよ。ただし俺はレベル1とする!

えいちだ

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第一章

02:初めての戦い

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 突然血を吐いて倒れた王様を見て、俺は度肝を抜かれていた。
「へ、陛下――ぐあぁっ!?」
 更に魔法使いの爺さんまで貫かれる。
 その後ろから、剣や槍を手にしたゾンビの兵士がワラワラと侵入してきた。
「な、なんだありゃ!?」
「イサム様! わたくしのそばへ!」
 ラーティは虚空から杖のようなものを現出させ、地面にトンと打ち付ける。
「聖なる守護神アルデム様、不浄なる敵から我らをお守りください――ホーリーシェル!」
 その瞬間、俺とラーティの周囲に半透明の壁が展開された。
「うおおおっ!?」
 触手に剣に槍にと俺の眼前でバカスカ攻撃されるが、半透明の壁はそのすべてを阻んでいる。
「聖なる結界を展開しました。この中にいれば安全です!」
「ひぃぃっ!?」
 見えない壁一枚越しでめちゃくちゃに触手や武器がぶん回される。安全と言われても正直怖すぎる。
「ゆ……しゃ……殿……」
 血だまりに沈む王様が、かすれた声を漏らした。
「おい、大丈夫かあんた!?」
「私はもうだめだ……。だが元よりこの城は陥落寸前であったゆえ、覚悟していた事……げふっ」
「おい! おい! おっさん!」
「世界を……頼む……」
「おい! 死ぬな!」
「イサム様、お下がりください。癒やしの術を使います! 聖なる守護神アルデム様、傷付いたこの者の肉体をお戻しください――ヒーリング!」
 その瞬間、王様と魔法使いの体がほんのり光った。見る間に傷口が閉じてゆく。
 おお、これは回復魔法的なやつか!? さすがは聖女だ!
 しかし傷はなくなったにも関わらず、王様も魔法使いも動かない。
「お待ちください! 死んではなりません! 目を覚まして……っ」
 必死に揺するが、反応はない。どうやらすでに事切れてしまったらしい。
「そんな……死なないでください……」
 ラーティの顔が悲痛に歪む。
 聖女というだけあって、きっと心根は優しい人物なんだろう。俺も残酷な現実を前に歯噛みする。
「お城が陥落寸前で勇者召喚など何をお考えなのですか!? 覚悟を決めて天に召されるのはご自由ですが、わたくし達を道連れにしないでくださいよぉ!」
 王様の襟首をつかんでぶん回す。
 前言撤回。こいつ本当に聖女か……?
「おい、落ち着けって」
「これが落ち着いてなどいられますか!?」
「気持ちはわかるけど、仏さんをいたぶるのは趣味が悪いぞ。あんたの神様はそういうの禁じてんじゃないのか?」
「大丈夫です。邪悪な死体はいたぶり尽くせと神は仰っております」
「邪神じゃねぇか! ほんとにあんた聖女なの!?」
「そんな事よりこの状況を何とかしませんと。結界の外は死霊だらけです」
 言われて周囲を見ると、半径数メートルの結界を取り囲むようにしてホラー映画よろしく骨だのゾンビだのがうようよしていた。
 爪で引っ掻いたりかじったり、腐食性の汁を飛ばしたりと色々やっているが、結界はそのすべてを弾いている。
「……結界って壊れる?」
「それはまぁ。この程度の攻撃で易々と破られはしませんが、限界はあります」
「なるほど。じゃあそれまでに脱出しないといけないんだな……。で、どうする?」
「どうしましょう?」
「……」
「……」
 二人顔を合わせて沈黙する。
「えっ? 攻撃手段はないの?」
「ないですねぇ」
「いや、何かあるだろ。ほらあれ、聖なる光とかで死霊を払う的なやつ、実はあるんだろ?」
「あったらいいんですけどねぇ」
「さっきのヒーリングってので死霊系モンスターにダメージとか……」
「試しましたけどダメでしたねぇ」
 ラーティは肩をすくめて嘆息する。
 俺は口元をヒクつかせていた
「冗談はよせよ。邪悪な死体はいたぶり尽くせって神様も言ってんだろ? 邪悪そうな死体、いっぱいあるよ?」
「仰る事はごもっともですが、しかし聖女たるわたくしが神より授かったのは、弱き者を守るための力です。攻撃手段はございません」
「マジか……」
「マジです」
「じゃあどうやって魔王を倒そうと思ってたんだ?」
「そのためのイサム様です」
 ラーティは強気の表情で微笑んだ。
「神より与えられた勇者の力とは、無限の成長。イサム様は最強の力を得る可能性があるのです!」
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