アイドル候補生の初めてもらったテレビの企画が「天才アイドルは異世界で勇者になれるのか」だった件

静内燕

文字の大きさ
7 / 112

恥ずかしがり屋のベルちゃん

しおりを挟む
 そう言ってその求人票を渡す。

「はい、わかりました」

 さらにギルドへの登録も行った。
 ベルはすでに緑色の登録書を持っていて手続きを済ませ残りは幸乃の手続きだけだった。
 10分ほどで手続きは終わり紫色の登録書を幸乃は受け取り2人はこの場を後にした。


 40分ほど歩いて2人は目的地へ向かう。
 そこは庶民的な街並みから一転、大理石の豪華そうな建造物や巨大なドーム状の宮殿や宮廷が立ち並ぶ官庁街だった。

 そしてそこのとある白金色の壁をしたカフェテリアにたどり着く
 中はレトロながらも清潔感があり、中央には豪華そうなシャンデリアが天井に飾ってあった

「ここみたいね」

 たどり着いて主人と条件や勤務内容などを話し10分後。

「じゃ~~ん!!」
 純白のエプロンに白と黒を基調としたメイド服。
 気品がある格好でありながらどこか色気も感じさせる姿に2人はなっていた。

「幸乃……さん?」

 ベルが顔をほんのり赤らめ、恥ずかしそうな態度で質問し始める。

「何?」
「これは……どういった理由ですか?幸乃さんの趣向なのですか?」

「まあ、それもほんの少しあるけど、ここならこの国のお偉いさんの話が聞けそうじゃん!!」

 そう、幸乃が選んだのは官庁街の喫茶店のメイドであった。

 どうせ働くならこの世界の手がかりが分かるような仕事にしたほうがよいと考えこの仕事にしたのである。

「ん?」

 幸乃はそう言ってベルの姿をじーっと見始める。

「な、何かありましたか?」

 ベルが思わず顔をほんのり赤くして質問をすると……

「ちょっとこっち来ようか」

 幸乃はそう言って人が見えない暗い場所へ誘導する。
 そして誰からも見えない死角の場所へ移動すると──

「ちょっと目をつぶって」

 その言葉にベルは目をつぶる。
 そしてカメラをの方向を確認すると──

「こ、こうでしょうか……」

「うん、じゃあ行くわね、ベルちゃんを可愛く見せるための私の必殺技、そ・れ・は・ね~~」

 そう言って幸乃はベルに接近、すると……

「ひっ!!」

「ス、スカートを上げた??」

 1分ほどで作業は終了、そう言葉を上げるとベルは自分の下半身を見る。

 ひざ下まであったはずのスカート丈が今の幸乃と同じく太ももが半分見えるくらいまで上げられていた……

「な、な、な、何でこうしたのですか?」

 ベルは恥ずかしそうにあわあわと両手を振り、明らかに動揺した様子で幸乃に問いかける。

「何でって……もったいないもん、ベルちゃんこんなに可愛いのに……もっと魅力的にしないと損だもん!」

 自信満々に幸乃はニヤリと笑いながら答える。


「は、恥ずかしい……」

 ベルはほんの少し恥ずかしそうな表情をし、もじもじしながらそうつぶやく。

「うん、やっぱり可愛い……っていうか初めて表情が変わったね」

 幸乃がそう指摘する、彼女は初めて無表情が崩れたのを見てびっくりしたからである。

「ぅぅぅ──、そろそろ仕事に入りますね。」
 ベルはそう言って早足でここから解放されたそうに仕事場へ向かっていった。

 そして仕事が始める。

 ベルは通常時は入口に立って来店した客を誘導したり注文を聞いたりする仕事を、幸乃は店主が作った料理を出したり、席に着いた来客にお冷を持ってきたりベルが他の客の対応をしているときに注文を聞いたり客の誘導をしたりする仕事だった。


 この店はこの辺りでも有名らしく常に25席くらいある座席の内半分くらいは埋まっている感じだった、昼時になればランチの時間になり満員になるほどだった。

 昼も過ぎてだいぶ落ち着いてきたころ、奥の部屋で1人ずつ休憩をとった、最初はベル、次が幸乃だった。
 食事は羊のミルクにホットドックだった。

(うん、おいしい)

 幸乃はそう感じながら食事を進めた。


 話を盗み聞きすると客同士の会話でもここを進めるような発言をしていた。

「あのクラブの青鳥族の女の子は可愛いんだよ~~、胸は平べったいけどさ~~」

「いや、やっぱバーのあの灰色のヨハネヨハネ言ってる子のが可愛いっしょ~~」

 ほとんどが同僚の話題や女の子の話などたわいもない話ばかりだった
 そんな中、昼も過ぎて夕方くらいの頃興味深い話を幸乃は聞き始める。

「また軍を派遣しろと政府が?」
「はい、そうです」

 コーヒーを飲みながら2人は会話する。
 話をしていたのは軍服を着た2人の男性だった、胸の勲章をいくつも付けていることからそれなりの地位に属する方だと幸乃は察する。
「そんな事言われたってどっちも信者は熱狂的な奴は多いし」


「それなら私が説明します」
 ベルが主人がこの場を離れている事を確認して小さな声で話しかける。

 どうやらここでは二つの宗教が対立しているらしい、海外から来た世界的な一神教エルリス教、多神教でこの辺りが発祥のブリトン教、何度か過激な信者達が乱闘騒ぎになり、軍も出動していているという話だった。

 幸乃はそれをメモに記録する。

 それ以外は特に目立った情報はなく主人にワインの注ぎ方などを学んだ後夕方になり、仕事を終えた。

「ありがとうございます」

「ああ、こちらこそどうも」

 あいさつを終え、その日の日当をもらった後2人はこの場を後にした

「ま、いい情報は聞けたわね」

「はい、ではもう一回ギルドに向かいましょう、何かいい仕事があるかもしれません」

 ベルのその言葉に幸乃は思い出す、そのほかにも収穫はあった、シェルリとの息が合ってきたのだった、最初は幸乃の合図をしてやっとシェルリがカメラを回しているのだったがしだいに息が合ってきたようで幸乃がカメラを回してほしい時にはすでに彼女がカメラを回しているようになった。

「あ、そうだった、今度こそクエストにいくわよ~~」

 そう言いながら再びギルドに行くと──

「ああ、ありましたよ」
 案内人のフレンサが嬉しそうにそう話した。

「白いトラが出現しているのでそれを退治してほしいとのことですね」
 内容をベルが見て説明する。

「へぇ~~ま、やってみましょうか」

「み~~」

 幸乃がそうのんきにしゃべり、シェルリがそれに答えて鳴く、そして2人は夕食のため繁華街へ向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...