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闇市へ
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「じゃあ次はシャレーちゃんが主役になる番だよ」
「え……?」
「シャレーちゃん、化粧って知ってる?」
「知らない、私の興味の管轄外だもん」
やっぱり、と幸乃は反応する。キレイで可愛いシャレーだがよくて見るとどこかカサカサに乾いた唇、少しぼさぼさの髪化粧になんて興味が無い態度。恐らく体質だろうが肌にシミが無いのが不思議なくらいだった
。
「ってのはちょっと言い過ぎた、侍女が私が要人と会う時のやってもらっている奴でしょ、肌にクリーム塗ったりしているあれでしょ」
「まあそうね、でも化粧ってそれだけじゃないんだよ、ま、最初は私が説明しながらやってみるね~~」
すると幸乃は両手を上げて皆を集めるように叫び始める。
「レディース・アンド・ジェントルマーン」
その掛け声の下、ここにいた子供たちがわらわらと集まってくる。
「今からこの可愛いシャレーちゃんがもっと魅力的で可愛くなるように私が変身させちゃうよーー」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと幸乃ちゃん……」
シャレーは恥ずかしそうに両手を振る。
「ま、いいからいいから、じゃあいっくよ~~」
幸乃の指導のもとシャレーへの化粧が始まる。最初にあらかじめ街で買っておいた化粧品を取り出す。
まずスキンケアを行い肌の取り付いている汚れを落とす、次に化粧水、その次に乳液を使い肌にうるおいを作る。
「う~~ん、この感覚……」
そのなかでシャレーは違和感を感じていた、どうやら肌に化粧水や乳液を塗る感覚があまり好きではないようだ。それに対して幸乃は微笑を浮かべてシャレーの頭をポンポンしながら話しかける。
「ほら、女の子のたしなみ、きれいになるため我慢我慢」
幸乃のその言葉にシャレーは再び我慢し始める。
次にその化粧水の成分を閉じ込めるためにデイクリームを使用した。
そしてパウダータイプのファンデーションを使い、口紅を使用しシャレーのメイクは出来上がりだった。
そこでもシャレーは違和感を感じる
「う~ん、この感覚やっぱりなれない」
「でも我慢しなきゃ、もう少しで終わるよ!!」
手入れが全くされていなくてどこかボサボサだった髪を整えると1時間ほどで完了となった。
さらに今回服装もコーディネートした。
一端孤児院の中の更衣室に入って服も着替えさせた、上半身には白と淡い黄色のワンピース、下半身にはブーツと茶色のホットパンツ。
幸乃はアイドル候補生だった経験を生かし、どうすればシャレーが素敵になるか考えた結果だった。
そして完成したシャレーの姿をみんなの前に見せる、すると……
「すごーい、可愛い~~」
小さい女の子が思わず叫ぶ、リルカとベルも驚く。
「とってもかわいいと思います……」
「私もそう思うよ、本当に見違えたみたい!!」
そのほかのみんなからも可愛い、きれいという声がこだまする、そしてそのタイミングで幸乃はシャレーに手鏡を渡す、そしてシャレーがその手鏡を見る、すると……
「嘘……これが私?」
思わず目を大きくして鏡の中の自分の顔を見つめる、そこには幸乃によってキレイになったシャレーの姿があった。
「もっと自分に自信をもちなよ」
「ほら、あなたは必要とされているんだよ、だから……その声、答えなくっちゃ」
「私……うん!」
シャレーは周りを見る、そして決意してにこっと笑いだす、そしてみんなに向かって宣言し出す。
「幸乃さん、ベル、リルカ……私、やってみるよ」
※
3日後、闇市の開催日となった。
闇市では黄色の粉状になった薬品と思われるものや茶色の液体の中に蛇や蛙が入った瓶など怪しげなものを販売している露店などが建ち並んでいた。
市場では荒々しくにぎわい
それぞれの店では商人特有のぎらついた眼光をしながら商人達が商談話をしていた。
4人は姿がばれないようにその中を歩いてみた。ベルとリルカはサングラス、シャレーと幸乃はダテ眼鏡、髪型も幸乃はロングヘアーからポニーテールに変えるなどすぐに姿がばれないように最低限の変装も行った。
時折露店の主人に話を聞いてみる、これはどういったものなのかと、
すると大半は調味料だったり地方に伝わる秘薬だったりするのだが、中には火であぶって、そこから出てくる煙を吸い込んで使用するという危ないものまであった。
しかし今回は偵察に来た主旨が違うので軽くあしらったが……
エドゥアルドのことについて聞いてみた、すると彼がここに秘密に出入りしていることは意外と有名らしく、最近は闘技場で姿を現しているらしい。
「闘技場……ですか?」
ベルが冷静な声でそう言葉を返す。
「え?ベルちゃん知っているの?」
「以前、別のクエストで闇市に潜入した時に聞いたことがあります」
ベルの話によるとこういった闇市は他の場所でもあるらしくそこでも闘技場があり、2人の冒険者が互いに戦い周りの観客達が勝敗をかけて大金を掛け合うとのこと。
しかし使用する兵器に改造を施して危険度を上げたり人気取りの演出のために必要以上に攻撃して相手に大けがをさせたり、中には死亡事故にまで発展することもあるらしい。
「そこかもしれないね、行ってみようか」
「み~~」
幸乃とカメラを回しているシェルリの声のもと、露店の人にその場所を聞いてみる。するととある店の品物に目を奪われる。
「これ、私の世界のネックレスよね……」
そのネックレスは模様や飾り具合が明らかに人工的な模様をしていてこの世界の物ではなかった。そう、明らかに幸乃の世界に存在していたものである……
「姉ちゃん、興味あるのかい?」
その露店の主人であるひげを蓄えた老人が話しかける。幸乃はその手に持っていたネックレスの出所を聞いてみる、すると……
「え……?」
「シャレーちゃん、化粧って知ってる?」
「知らない、私の興味の管轄外だもん」
やっぱり、と幸乃は反応する。キレイで可愛いシャレーだがよくて見るとどこかカサカサに乾いた唇、少しぼさぼさの髪化粧になんて興味が無い態度。恐らく体質だろうが肌にシミが無いのが不思議なくらいだった
。
「ってのはちょっと言い過ぎた、侍女が私が要人と会う時のやってもらっている奴でしょ、肌にクリーム塗ったりしているあれでしょ」
「まあそうね、でも化粧ってそれだけじゃないんだよ、ま、最初は私が説明しながらやってみるね~~」
すると幸乃は両手を上げて皆を集めるように叫び始める。
「レディース・アンド・ジェントルマーン」
その掛け声の下、ここにいた子供たちがわらわらと集まってくる。
「今からこの可愛いシャレーちゃんがもっと魅力的で可愛くなるように私が変身させちゃうよーー」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと幸乃ちゃん……」
シャレーは恥ずかしそうに両手を振る。
「ま、いいからいいから、じゃあいっくよ~~」
幸乃の指導のもとシャレーへの化粧が始まる。最初にあらかじめ街で買っておいた化粧品を取り出す。
まずスキンケアを行い肌の取り付いている汚れを落とす、次に化粧水、その次に乳液を使い肌にうるおいを作る。
「う~~ん、この感覚……」
そのなかでシャレーは違和感を感じていた、どうやら肌に化粧水や乳液を塗る感覚があまり好きではないようだ。それに対して幸乃は微笑を浮かべてシャレーの頭をポンポンしながら話しかける。
「ほら、女の子のたしなみ、きれいになるため我慢我慢」
幸乃のその言葉にシャレーは再び我慢し始める。
次にその化粧水の成分を閉じ込めるためにデイクリームを使用した。
そしてパウダータイプのファンデーションを使い、口紅を使用しシャレーのメイクは出来上がりだった。
そこでもシャレーは違和感を感じる
「う~ん、この感覚やっぱりなれない」
「でも我慢しなきゃ、もう少しで終わるよ!!」
手入れが全くされていなくてどこかボサボサだった髪を整えると1時間ほどで完了となった。
さらに今回服装もコーディネートした。
一端孤児院の中の更衣室に入って服も着替えさせた、上半身には白と淡い黄色のワンピース、下半身にはブーツと茶色のホットパンツ。
幸乃はアイドル候補生だった経験を生かし、どうすればシャレーが素敵になるか考えた結果だった。
そして完成したシャレーの姿をみんなの前に見せる、すると……
「すごーい、可愛い~~」
小さい女の子が思わず叫ぶ、リルカとベルも驚く。
「とってもかわいいと思います……」
「私もそう思うよ、本当に見違えたみたい!!」
そのほかのみんなからも可愛い、きれいという声がこだまする、そしてそのタイミングで幸乃はシャレーに手鏡を渡す、そしてシャレーがその手鏡を見る、すると……
「嘘……これが私?」
思わず目を大きくして鏡の中の自分の顔を見つめる、そこには幸乃によってキレイになったシャレーの姿があった。
「もっと自分に自信をもちなよ」
「ほら、あなたは必要とされているんだよ、だから……その声、答えなくっちゃ」
「私……うん!」
シャレーは周りを見る、そして決意してにこっと笑いだす、そしてみんなに向かって宣言し出す。
「幸乃さん、ベル、リルカ……私、やってみるよ」
※
3日後、闇市の開催日となった。
闇市では黄色の粉状になった薬品と思われるものや茶色の液体の中に蛇や蛙が入った瓶など怪しげなものを販売している露店などが建ち並んでいた。
市場では荒々しくにぎわい
それぞれの店では商人特有のぎらついた眼光をしながら商人達が商談話をしていた。
4人は姿がばれないようにその中を歩いてみた。ベルとリルカはサングラス、シャレーと幸乃はダテ眼鏡、髪型も幸乃はロングヘアーからポニーテールに変えるなどすぐに姿がばれないように最低限の変装も行った。
時折露店の主人に話を聞いてみる、これはどういったものなのかと、
すると大半は調味料だったり地方に伝わる秘薬だったりするのだが、中には火であぶって、そこから出てくる煙を吸い込んで使用するという危ないものまであった。
しかし今回は偵察に来た主旨が違うので軽くあしらったが……
エドゥアルドのことについて聞いてみた、すると彼がここに秘密に出入りしていることは意外と有名らしく、最近は闘技場で姿を現しているらしい。
「闘技場……ですか?」
ベルが冷静な声でそう言葉を返す。
「え?ベルちゃん知っているの?」
「以前、別のクエストで闇市に潜入した時に聞いたことがあります」
ベルの話によるとこういった闇市は他の場所でもあるらしくそこでも闘技場があり、2人の冒険者が互いに戦い周りの観客達が勝敗をかけて大金を掛け合うとのこと。
しかし使用する兵器に改造を施して危険度を上げたり人気取りの演出のために必要以上に攻撃して相手に大けがをさせたり、中には死亡事故にまで発展することもあるらしい。
「そこかもしれないね、行ってみようか」
「み~~」
幸乃とカメラを回しているシェルリの声のもと、露店の人にその場所を聞いてみる。するととある店の品物に目を奪われる。
「これ、私の世界のネックレスよね……」
そのネックレスは模様や飾り具合が明らかに人工的な模様をしていてこの世界の物ではなかった。そう、明らかに幸乃の世界に存在していたものである……
「姉ちゃん、興味あるのかい?」
その露店の主人であるひげを蓄えた老人が話しかける。幸乃はその手に持っていたネックレスの出所を聞いてみる、すると……
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