アイドル候補生の初めてもらったテレビの企画が「天才アイドルは異世界で勇者になれるのか」だった件

静内燕

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バードランド編

絆の証

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 そして幸乃がリナにお礼を言って渡されたコーヒーの入ったマグカップを手にとりコーヒーを飲む、すると……

「何これ? 苦っ!!」

 幸乃が思わずその苦さに思わず吐きそうになるのをこらえる。

「あ、すいませんでした、それ砂糖とミルク入ってなかったですか?」

 慌ててリナが平謝りし、それはリルカように砂糖とミルク無しで煎れたコーヒーだと話す。

「あ…… そう、ってリルカちゃんブラックコーヒー飲めるの?」

 幸乃が慌てて質問をするとルリカは少し不機嫌な表情をして言葉を返す。

「当り前じゃん!! 私だってもう大人だよ!! ブラックコーヒーぐらい飲めるよ!!」

 ブラックコーヒーは大人であることのステータスであると考えているようであった。
 そして幸乃からブラックコーヒーの入ったカップをもらって一口つけると──

 ゴクッ……

 ゴホッゴホッウエッ──

 その瞬間にコーヒーを机に置いてあまりの苦さにむせかえりゴホゴホと咳をしだす。

「リルカちゃん大丈夫? やっぱり砂糖とミルク入れたほうがいいよ、ほら……」

 そう言ってリナはリルカのコーヒーにも砂糖とミルクを入れようとする、しかしリルカはそれを拒否し出す、そして恐る恐るコーヒーカップを再び口に近づける。

 リルカは両目をつぶって残りのコーヒーを飲み始める、苦みを我慢してなんとかコーヒーを飲み干す、そして涙目でけげんな表情をしながら幸乃やリナ達に向かってこう囁いた

「ブラックコーヒー……おいしいです……うぇぇ~~」

 その姿は誰から見ても苦さを我慢しているようにしか見えなかった。
 リルカは語る、自分は背が低いことや童顔、などの理由から子供扱いされていることが嫌だったのだと、何でもいいから大人っぽくなりたかった、そこで父さんが飲んでいたブラックコーヒーを思い出したらしくブラックコーヒーを自分も飲みたかったらしい。

「ようするにブラックコーヒーはリルカちゃんにとってステータスってことね」

 幸乃がリルカの言葉を要約し説得し始める。

「私、リルカちゃんは大人だと思うよ」

「え? でも私いつも背が小さくて子供みたいな顔つきしていて子供扱いされるし……」

「そんなことないよ、勇気あるし、ダメなことはちゃんとダメって言えるし、強い相手にも最後まで立ち向かっていくし。 とってもそういう強さがあるだからリルカちゃんは大人だと思うよ」

「大人? うん…… わかった」

 そう言ってリルカは微笑を浮かべて理解し始める、大人ということを……
 そして幸乃達は仕事を再開し始める、先ほどの一件で士気も上がり、能率も上昇し始める……

 夜中の3時ごろ、幸乃達は再び10分ほどの休憩をとった。
 あるものはトイレへ行き、あるものは紅茶などを飲んだり各自休憩をとっていた。

 そんな中でベルがリナに興味ありげに話しかける。

「しかし、こんな大都市で戸籍制度があるなんて珍しいですね、普通は成り立ちませんよ……」

 ベルによると戸籍制度はこの世界では一部の小規模な村や一部の貴族のなかでしかないらしい。

 というのもこのような大きな都市では知らない間では知らない間に難民や移民が入ってきたりして正確な数など把握できないしそもそも彼らに無関心な王や貴族が大半、このように大規模でいろんな種族が入り乱れる大都市でこのような制度があるのは聞いたことがないと話す。

 リナは微笑しながら語り初める。

 確かに政治の都合で争いあうこともあった。 しかし私達は長い歴史の中ずっと支えあい、協力しあって生きてきた。

 政権が変わったって政治が変わったって私達のその心は変わりはしない。だからいつだってまた関係は直せる

 この戸籍制度はみんなが種族を越えて友であること、決して他人ではないことの象徴なのだと……
 その言葉に幸乃とベルは心の底からこの人たちのために闘いたいと思った。

 そしてその話が終ると幸乃達はすぐに仕事に取りかかる。
 その話の効果かその後ほとんど集中を切らさずに仕事を続けていた。

 そして朝日が宮殿を照らし始めたころ、幸乃やリルカ達は仕事を終えた。
 仕事を終えた彼女達はやっとベッドに入り夢の中に入ったのである。



 ※



 この日は徹夜明けで仕事をしていたため3人は昼過ぎまで睡眠をとっていた、そこから再び宮殿を回ったりリナと話をしたりしていた。


 そして夜──

(zzz……)

 幸乃はカラブロが来るのは明日だと聞いて安心していつもの下着姿になる布団にくるまって就寝していた
 しかしおかしな気配を感じながらゆっくりと目を開ける。

 ストレートの青いさらさらとした髪、そして水色の下着、誰もがうらやむスタイル、白くて絹のようなきれいな肌──
 そんな少女が目をこすりながら最初に見た物とは……

「不用心すぎるぞ、俺が来ると聞きながらそんな恰好をしているなんてよ!!」

 そう、190cmの長身にすらっとしていてそれでいて筋肉質な体型
 オレンジを基調として白と黒シャツに長ズボン、一般人のような服装で巨大宗教の幹部とは思えないラフな服装、カラブロだった

「いやあああああああああああああああああああ」

 精いっぱいの声で幸乃は叫ぶ、カラブロは慌てて手を振って弁解をしだす。

「ま、ま、ま、まて叫ぶな俺が犯罪者みたいな扱いを受けたらどうするんだよ」

「夜中に女の子の部屋に勝手に入るなんてどっからどう考えたって犯罪者でしょ何なのよあんた!!」

 ベルもすぐにカラブロに毅然と反論する。

「私も同感です、とりあえず弁解してください、答えによってはあなたを切り落としますけど!!」

 そしてこの騒動に使用人たちやチャドリ達もこの部屋に来た、そしてその中で彼は弁解を始めた、何とか悪気はなく偶然そうなってしまったことを説明し、彼らは帰って行った。

「んで、あんたは何しに来たのよ?」

 幸乃はいまだ彼を信用せず毅然とした態度でカラブロに質問する

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