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フィテアトル編
虹色の力
しおりを挟む「私は背負わない、みんなで歩む。少しずつだっていい、力だってそう、たとえもう立てないくらいボロボロで立った少し力がもうなくても全員で力を合わせる、最初はギスギスシテも最後にはこうして力を合わせられた、この街だってそう。こうして1つになった。
だから…… 私も力を合わせて戦う、この街のために!!
幸乃の新たな術式であった。
そう、勇者、これが勇者に与えられた力、 自分の
幸乃だけじゃない、ベル、シンクレア、ロニー、ジャミア、レオポルト、カレンシアの左腕も光っていた、それも同じ文字、同じ光の強さを……
「これはどういうことだ?」
ロニーが言葉を発する、見たことがなかった、冒険者が使う呪文は普通一人ひとり違う、似たような能力があっても呪文が同じということはない。するとシンクレアが声を上げ始める、これは全員の力を合わせて繰り出す術式なのだと。
「恐らくそうです、みなさん、幸乃さんに私たちの力を分け与えてください」
「でも、私たち魔力なんてほとんど残ってないよ」
ジャミアの言う通りだった、5人ともほとんど力を使い尽くしてしまっていた仮に全員の魔力を全部幸乃に集めたとしてもとてもギルガスにかなうとは思わなかった。
「それでもやるんですの、これはさっきまでのようにシェリンがやった事とは違うちからをかんじます、恐らく幸乃さんの新たな力かもしれません。恐らくみんなで力を合わせるということが大切だという気がします」
シンクレアが周りを勇気づけるような口調でさけぶ、そして周りもその言葉に同調し皆が左腕を上げて残った魔力をすべてその左腕に込める。そしてその左腕を通してその魔力が幸乃に移る。
そして幸乃の方は……
「感じる、みんなの力が──」
幸乃の左腕にはシンクレア達から譲り受けた力が宿っていた。
すでに全員が満身創痍でまともに戦える状態じゃない、一発撃てばそこを尽くくらいの魔力、それでも負ける気はしなかった。
「だって、みんなでつなぐ力だもん、負ける気はしないよ!!」
そう小さな声で囁き幸乃は自身の剣に魔力を込めて詠唱を始める、ギルガスもそれを見て攻撃を始める。
「これで最後だ、昔の勇者と一緒に消えてチリとなれ!!」
そしてギルガスが再び「ジェノサイド・ホール」を繰り出そうとする。
七つの希望を持つ光よ、我が願いに答え、無限を超える力を得よ!!
レインボー・オーバー・エアレイド・エクスプローション!!
幸乃は残った力を振り絞って剣を振りぬく、そして向かってくるギルガスの「ジェノサイド・ホール」にその攻撃を当てる。
「虹色?」
その光線状の攻撃を見て幸乃は思わずつぶやく、確かに幸乃の繰り出した攻撃は今までのような自身の水属性の青いものになっていた、しかし今回は違った、幸乃が繰り出した攻撃は虹色に変質していた。それも今までとは段違いの威力をもった──
そしてその攻撃はギルガスの攻撃に衝突、両者の攻撃が激突した瞬間幸乃の攻撃がギルガスの攻撃を引き裂き、そのまま彼を飲み込み爆発したのであった。
「ギィィィィィイイイイイイィィィ……ギィィィィィイイイイイイィィィァァァァァァ」
ギルガスは断末魔の様な、金属がきしむような悲鳴をあげ、少しずつ肉体が蒸発するように消滅していく。
幸乃はその姿を見ながらゆっくり落下。2~3分の時間をかけて地上に降りる。そして力を使い果たしたのか降りた草原の場所にバタッと倒れこむ。
「幸乃さん、お疲れ様です」
そこに1人の少女の声がする、ベルだったその後にシンクレア、ジャミア、ロニー、レオポルト、カレンシアがゆっくりとやってくる。
「おう、ベルちゃん、私勝ったよってあれ?」
幸乃が立ち上がろうとすると力がうまく入らず再び倒れる。
「無理は禁物ですわ、力も使い果たしたでしょうし……」
シンクレアが力を使い果たした幸乃にゆっくり休むよう諭す。幸乃はその言葉に甘えて座り込み始める。
「でもありがとう、力をくれて」
「いいえ、あの敵を倒したいのは私たちも一緒ですから、みんなで力を合わせた結果ですわ」
そんな言葉を発しながら彼らはこの戦いの勝利の余韻に浸っていた。
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