42 / 139
2人の差
しおりを挟む
「ミシェウ、いい?」
「大丈夫!!」
互いに視線を合わせて、アイコンタクトを送る。1メートルの距離から、思いっきりジェフリーに向かって剣を振った。その剣には、ミシェウの魔力が灯っている。
その魔力が光線となってジェフリーに向かっていく。ジェフリーは慌てて障壁を張ったものの──。
「そんなおもちゃじゃ、私の夢は止まらないんだよね」
ガッシャァァァンンンンンン!! ガラスが割れたような音をして一瞬で崩壊。攻撃はそのままジェフリーへと直撃。
ドォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!
ジェフリーの肉体は数メートルほど吹き飛んだ後、後ろにある建物の壁に激突。そのまま下に力なくうなだれるように倒れこんだ。
「そんな馬鹿な──」
「これが、結果です……」
そう言い切った直後、体がふらついて思わずしりもちをついた。ふらふらして、力が入らない。
当然だ。強い敵相手に全力を出し尽くしたのは当たり前として、ずっと人一人抱きかかえていたのだ。
身体への負担は今までにないくらいのものだ。撤退、できるかな? そう考えた時、誰かが背中に手を回してくる。
「よっと」
そして、肩を貸して身体を持ち上げてきた。
ミシェウだ。私と目が合うなり、にっこりと笑みを浮かべてきた。ミシェウの笑顔を見ているだけで、心が暖かくなってくる。
「お疲れ様。よく頑張ったね」
「いえいえ、ミシェウこそ。あんな強い術式、素晴らしいです」
そうだ。私が力負けしそうになった時、いつも魔力をくれたり援護してくれたりした。それも一切の邪魔もなく。表情を見ていたけど、かなり真剣で神経を使っていたと思う。ミシェウだってかなり消耗していたはずなのに。
周囲に視線を送ると、敵たちはほとんど逃げ帰っている。ここにこれ以上いても効果は薄いし、進軍したとしても敵の抵抗にあい被害が出るだけだと思う。
「撤退しましょう」
そんなことを考えていると、ロザリアがやってきた。その通りだ、他の部隊のことも気になるし。
「ほら、王都に帰ろ?」
「そうですね」
やっと帰れる。ほっと安堵の気持ちになった。すると、ロザリアが目をキラキラさせて、羨望のまなざしを向けていた
「ミシェウさん、シャマシュさん。素晴らしいですね、あのジェフリーに勝ってしまうなんて」
ぎゅっと右手を握ってぶんぶん振ってきた。相当嬉しそうなのがわかる。
「まあ、運が良かっただけだよ~~」
「すばらしいです、ミシェウ様。そんなことないです、2人合わせての戦い、お見事でした!」
「まあ~~それほどでも~~」
ミシェウが、嬉しそうに自分の頭を撫でていた。かなり喜んでいて、かわいい笑顔。しかし、そう喜んでもいられない。今回の戦いは、敵を倒すだけではない。
すぐにロザリアに話しかける。
「損害はどんな感じですか?」
「こっちは、そこまで被害は出ていないようです。本拠地から遠いので、何かあったら、すぐに後方に撤退するように伝えていましたので」
「いい指示ですね、それなら撤退もスムーズに進みそうです」
私は目の前の戦いにかかりっきりで周囲のことまで気が回らなかった。ロザリアは、私と一緒に戦うことはできないとわかり、周囲の応戦や状況の確認、けが人の手当てと撤退の手伝いなど自分にできることをしていたとか。
「本当はもっとお力添えしたかったのですが──申し訳ございません」
「そんなことありません。あの状況で、自分にできることを考え動いて、しっかりと遂行する。素晴らしいかったです!」
「そう言ってもらえると、こちらも嬉しいです」
そうだ。私たちが戦いに集中している間、ロザリアは自分にできることを行っていた。彼女のおかげて助かった人は多い。頭を下げる必要なんてない。
本当にいい部下を持ったと思う。王都に帰っても大切にしていきたい。
「行きましょ」
「そうね」
私はミシェウの肩を離れて歩き出した。みんなの頑張りを無駄にしないためにも、早く撤退しないと。
そう考えていると、倒れこんでいるジェフリーがぶつぶつと言っていた。耳を傾けて聞き取る。
「俺のふるさと──絶対返してもらう! くそう」
「ちょっといいかな?」
ミシェウが彼のもとに寄ろうとする。どうして? と首をかしげていると、ミシェウが
耳打ちしてきた。
「無視してもいいんだけど……ここまで強い気持ちを持っているなら、ちょっと話してもいいかなって。戦いが終われば、何らかの形で関係を持つことだってあり得るし、今後のことを考えたら彼を励ますのもいいんじゃないかなって」
「了解です」
そうだ。今敵だからといっても、今後手を組まなくちゃいけないことだってあり得る。それなら、関係を作っておくのもいいかもしれない。
ジェフリーの隣に行って、じっと彼の目を見ながらミシェウが話した。
「強かったね」
「だが負けた」
ぶっきらぼうな物言い。多分、何を言ったところで彼は自分を責めるだろう。勝負の結果は変わらなかったのだから。
だったら、潔く彼に足りないものを言うような接し方の方がいいかな?
「私は──自分以外の目的でも戦っています。だからどんな時でも気持ちを投げ出したりしない。背負っているものがあるんです」
「大丈夫!!」
互いに視線を合わせて、アイコンタクトを送る。1メートルの距離から、思いっきりジェフリーに向かって剣を振った。その剣には、ミシェウの魔力が灯っている。
その魔力が光線となってジェフリーに向かっていく。ジェフリーは慌てて障壁を張ったものの──。
「そんなおもちゃじゃ、私の夢は止まらないんだよね」
ガッシャァァァンンンンンン!! ガラスが割れたような音をして一瞬で崩壊。攻撃はそのままジェフリーへと直撃。
ドォォォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!
ジェフリーの肉体は数メートルほど吹き飛んだ後、後ろにある建物の壁に激突。そのまま下に力なくうなだれるように倒れこんだ。
「そんな馬鹿な──」
「これが、結果です……」
そう言い切った直後、体がふらついて思わずしりもちをついた。ふらふらして、力が入らない。
当然だ。強い敵相手に全力を出し尽くしたのは当たり前として、ずっと人一人抱きかかえていたのだ。
身体への負担は今までにないくらいのものだ。撤退、できるかな? そう考えた時、誰かが背中に手を回してくる。
「よっと」
そして、肩を貸して身体を持ち上げてきた。
ミシェウだ。私と目が合うなり、にっこりと笑みを浮かべてきた。ミシェウの笑顔を見ているだけで、心が暖かくなってくる。
「お疲れ様。よく頑張ったね」
「いえいえ、ミシェウこそ。あんな強い術式、素晴らしいです」
そうだ。私が力負けしそうになった時、いつも魔力をくれたり援護してくれたりした。それも一切の邪魔もなく。表情を見ていたけど、かなり真剣で神経を使っていたと思う。ミシェウだってかなり消耗していたはずなのに。
周囲に視線を送ると、敵たちはほとんど逃げ帰っている。ここにこれ以上いても効果は薄いし、進軍したとしても敵の抵抗にあい被害が出るだけだと思う。
「撤退しましょう」
そんなことを考えていると、ロザリアがやってきた。その通りだ、他の部隊のことも気になるし。
「ほら、王都に帰ろ?」
「そうですね」
やっと帰れる。ほっと安堵の気持ちになった。すると、ロザリアが目をキラキラさせて、羨望のまなざしを向けていた
「ミシェウさん、シャマシュさん。素晴らしいですね、あのジェフリーに勝ってしまうなんて」
ぎゅっと右手を握ってぶんぶん振ってきた。相当嬉しそうなのがわかる。
「まあ、運が良かっただけだよ~~」
「すばらしいです、ミシェウ様。そんなことないです、2人合わせての戦い、お見事でした!」
「まあ~~それほどでも~~」
ミシェウが、嬉しそうに自分の頭を撫でていた。かなり喜んでいて、かわいい笑顔。しかし、そう喜んでもいられない。今回の戦いは、敵を倒すだけではない。
すぐにロザリアに話しかける。
「損害はどんな感じですか?」
「こっちは、そこまで被害は出ていないようです。本拠地から遠いので、何かあったら、すぐに後方に撤退するように伝えていましたので」
「いい指示ですね、それなら撤退もスムーズに進みそうです」
私は目の前の戦いにかかりっきりで周囲のことまで気が回らなかった。ロザリアは、私と一緒に戦うことはできないとわかり、周囲の応戦や状況の確認、けが人の手当てと撤退の手伝いなど自分にできることをしていたとか。
「本当はもっとお力添えしたかったのですが──申し訳ございません」
「そんなことありません。あの状況で、自分にできることを考え動いて、しっかりと遂行する。素晴らしいかったです!」
「そう言ってもらえると、こちらも嬉しいです」
そうだ。私たちが戦いに集中している間、ロザリアは自分にできることを行っていた。彼女のおかげて助かった人は多い。頭を下げる必要なんてない。
本当にいい部下を持ったと思う。王都に帰っても大切にしていきたい。
「行きましょ」
「そうね」
私はミシェウの肩を離れて歩き出した。みんなの頑張りを無駄にしないためにも、早く撤退しないと。
そう考えていると、倒れこんでいるジェフリーがぶつぶつと言っていた。耳を傾けて聞き取る。
「俺のふるさと──絶対返してもらう! くそう」
「ちょっといいかな?」
ミシェウが彼のもとに寄ろうとする。どうして? と首をかしげていると、ミシェウが
耳打ちしてきた。
「無視してもいいんだけど……ここまで強い気持ちを持っているなら、ちょっと話してもいいかなって。戦いが終われば、何らかの形で関係を持つことだってあり得るし、今後のことを考えたら彼を励ますのもいいんじゃないかなって」
「了解です」
そうだ。今敵だからといっても、今後手を組まなくちゃいけないことだってあり得る。それなら、関係を作っておくのもいいかもしれない。
ジェフリーの隣に行って、じっと彼の目を見ながらミシェウが話した。
「強かったね」
「だが負けた」
ぶっきらぼうな物言い。多分、何を言ったところで彼は自分を責めるだろう。勝負の結果は変わらなかったのだから。
だったら、潔く彼に足りないものを言うような接し方の方がいいかな?
「私は──自分以外の目的でも戦っています。だからどんな時でも気持ちを投げ出したりしない。背負っているものがあるんです」
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます
よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」
婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。
「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」
「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」
両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。
お姉様からは用が済んだからと捨てられます。
「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」
「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」
ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。
唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。
ここから私の人生が大きく変わっていきます。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる